Windows 8ユーザーズ・ワークベンチ

新しいWindows UIの標準アプリとMicrosoftアカウント



 Windows 8の一般向け発売からほぼ2週間が経過した。量販店頭には各社のWindows 8プリインストール機も並んだ。店頭の様子を見ていると、タッチに対応した新しいWindowsは、おおむね好意的に迎えられているようだ。

 この連載では、Windows 8をユーザーの立場から、実際に使いながら、そのポテンシャルや可能性、使いこなしのヒントを探っていくことにする。是非ご期待いただきたい。

●ストアの利用はMicrosoftアカウントが必須

 アプリをインストールしてそれを使うという点で、Windows 8はこれまでのWindowsと何も違わない。ただし、新しいWindows UIのアプリは「ストア」というアプリを使い、そこからインストールする。一般のユーザーにとって、Windows ストアアプリを入手するための唯一の方法だ。

 そして、ストアを利用するためには、Microsoftアカウントが必要になる。Windows 8のインストール時には、Microsoftアカウントでのログインが促される。また、アップグレードの場合も、ローカルアカウントをMicrosoftアカウントに切り替えるように促される。それをスキップして、ローカルアカウントのまま使うこともできるのだが、実際には不便ばかりを強いられるだろう。

 Microsoftアカウントは、live.jpやHotmailなど、かつて、Windows Liveと呼ばれていた各種のサービスで使っていたものをそのまま使える。Microsoftでは、Microsoftアカウントは、これまでのWindows Live IDの新しい名前であるとしている。最近では、Outlook.comなども加わり、選択肢は広がっている。

 これらのドメイン名のみならず、普段使っているプロバイダのメールアドレスなどをMicrosoftアカウントとして登録することもできる。ややこしい話だが、Gmailのユーザーであれば、xxxxx@gmail.comのメールアドレスをMicrosoftアカウントとして使うこともできる。

 Windows 8には、新しいUI用のアプリとして、メール、カレンダー、People、メッセージングなどが標準で含まれる。これらはストアで入手することなく、すぐに利用できるのだが、Microsoftアカウントがなければ使えない。つまり、Microsoftアカウントを追加することなく、Windows 8を使うのは無理といってもいい。少なくとも、新しいUIに関してはそういうことだ。

カレンダーは3種類のサービスをサポートする
Peopleの連絡先では6種類のアカウントをサポートする。SNSの更新情報が得られるのは、FacebookとTwitterだけだ
メールでは、4種類のアカウントのほか、他のIMAPアカウントなどを追加できる
メッセージングでは2種類のアカウントをサポートする

●上限の制限に注意

 Windowsのログインは、Microsoftアカウントを使って行なうこともできるし、ローカルアカウントでログインし、Microsoftアカウントを追加し、ローカルアカウントと併用することもできる。また、ドメインユーザーの場合は、特定のMicrosoftアカウントと関連付けるという方法をとることになる。

 Microsoftアカウントを使ってWindowsにログオンすることのメリットは、複数台のデバイスで設定などを同期できる点だ。たとえば、1台のデバイスで壁紙を変更すれば、他のデバイスでも数秒後には壁紙が変わる。メールの設定などもすべて同期されるので、似たような作業を各デバイスで設定する必要がない。

 ただし、1つのMicrosoftアカウントでログオンできるデバイスは10台までとなっているし、1つのストアアプリは5台のデバイスでしか使えない。この制限は、十分な数と思いがちだが、こうした記事を書くために複数台のデバイスを行ったり来たりしていると、すぐに制限にひっかかってしまう。上限に達した場合は、他のデバイスを削除するように求められる。

 なお、デバイスに関しては「信頼済みPC」として登録される。これらアカウントについての詳細情報は、Microsoftアカウントのサイトで確認できるようになっている。ページの名前こそ、Microsoftアカウントだが、アドレスのドメイン名を見るとlive.comのままであるのを見ると痛々しい。

 なお、Microsoftアカウントは、複数のものを取得し、「リンクアカウント」として、相互に関連付けることができることになっているようだ。ただし、この原稿を書いている時点ではエラーが起こり、設定ができなくなっている。

●各アプリの対応サービス

 いったんMicrosoftアカウントでWindows 8を使い始めると、その他のクラウドサービスのアカウントを追加で登録できるようになる。サポートされているアカウントの種類を挙げてみよう。

・メール
 Hotmail、Outlook、Google、Yahoo! Japanのほか、その他のメールアカウントとして、Exchange ActiveSync、IMAPで読み書きできるメールサービスすべて

【お詫びと訂正】初出時にPOPに対応としておりましたが、実際には対応しておりません。お詫びして訂正させて頂きます。

・カレンダー
 Hotmail、Outlook、Google

・メッセージング
 Live Messenger、Facebook

・Peopleの連絡先
 Hotmail、Outlook、LinkedIn、Google、Facebook、Twitter、Skype

・Peopleの更新情報
 Facebook、Twitter

 ここでいうOutlookは、ExchangeやOffice 365などのアカウントだ。この一覧を見てわかるように、連絡先ではSkypeがサポートされているが、メッセージングではサポートされていなかったり、今後、新しいサービスが出てきたときに追加する方法が現時点では用意されていないところが気になる。特にSkypeは、Live Messengerとの統合がアナウンスされたばかりだ。ただ、Windows 8の一般向け発売の前から、何度もこれらのアプリの更新はあったので、今後、もっと柔軟なものになっていく可能性もある。

 ちなみに、これら標準アプリを含め、ストアアプリは、更新があった場合、スタートスクリーンのストアアプリのタイルに、更新されているアプリの数が表示される。それを見てストアを開くと、スクリーン右上に「更新プログラム(n)」とn個の更新があることが表示されるので、それをタップして更新ができる。ダウンロードは自動的に行なわれても、明示的にインストールを指示しない限り、更新されないようになっているようだ。

●ファイルとアプリの関連付け

 このほか、標準アプリとしては、フォト、ニュース、スポーツ、天気、Internet Explorer 10、地図、SkyDrive、Bing、Bingトラベル、Bingファイナンス、Xboxゲーム、Xboxビデオ、カメラ、ミュージックといったものが用意されている。

 このうち「フォト」は、SkyDriveと連動し、ローカルのピクチャライブラリ、Facebookの写真、SkyDriveの写真のほか、同一のMicrosoftアカウントでログオンしている他のデバイス上の写真を見ることができる。

 ちなみに、フォトはデフォルトでJPEGファイルに関連付けられているため、デスクトップなどでJPEGファイルをダブルタップするなどの操作で開くと、フォトがその写真を開く。複数のファイルを選択した状態で開いても、フォトが開いてくれるのは単一のファイルなので、任意のフォルダ内の写真を順に見ていくといった用途には向いていない。リムーバブルデバイスを含むローカルストレージにある写真を見るには、それをいったんコピーするなり、取り込むなりして、ピクチャライブラリ内に置く必要があるのだ。このあたりの使い勝手は、もう少しなんとかなるとうれしいが、そのうち、もっと使いやすいアプリが登場するに違いない。

 いずれにしても、ストアアプリはこれからだということだ。また、ストアアプリが、ローカルストレージのファイルをどのように扱うのかについては、機会を改めて紹介することにしたい。