Windows 10カウントダウン
Windows 10の省電力機能を探る
(2015/5/27 06:00)
Windows 10 Insider Previewは今回、短い期間でアップデートされ、最新ビルドは10122となった。さまざまなところで英語のままだった項目が日本語化されていたり、フォントの使い方が変わったようで少し見かけが美しくなっている。
さて、Windows 10の省電力機能については「バッテリー節約機能」という名前でスマートフォン的な機能が実装されている。今回は、アクションセンターに用意されるクイックアクションを含め、これらの概要について見ていくことにしよう。
クイックアクションで必要な機能をワンタッチ呼び出し
一般的な電源設定については、Windows 8/8.1とほぼ同じ機能が実装されている。「設定」の「システム」にある「電源とスリープ」で指定できるのは、ディスプレイの電源を切る時間とスリープ状態にするまでの時間で、それぞれバッテリ駆動時と電源接続時について「なし」から「5時間」までを指定できる。
この設定画面には「電源の追加設定」というコマンドリンクが用意され、そこからコントロールパネルに用意された従来の電源オプションアプレットに遷移できる。タスクバーの通知領域にはバッテリの充電状態が横向きの電池のアイコンで表示されていて、左クリックでその詳細と電源オプションへの移動ができるほか、右クリックでショートカットメニューが表示され「画面の明るさの調整」や「電源オプション」への遷移を指示できる。
ただ、「画面の明るさの調整」や「電源オプション」は結局同じ電源オプションアプレットを開くだけだ。画面の明るさの調整についてはスクリーン右側からのスライドインでアクションセンターが開き、その中に調整用のボタンが表示される。そのボタンをクリック、タップすることで、手元の環境では25%単位で明るさを変更することができる。
このボタンはクイックアクションと呼ばれ、さまざまな設定項目用のクイックアクションを表示、非表示設定することができる。用意されているクイックアクションは、
- Battery Saver
- Bluetooth
- メディア接続
- 場所
- 回転ロック
- タブレットモード
- VPN
- Wi-Fi
- Brightness
- 機内モード
となっていて、これらの全てを表示する「すべての設定」が用意されている。このクイックアクションを使ってPCの現在の状態を比較的簡便化された操作で呼び出し、変更できる。
アプリからの通知が個々に選べる
どのクイックアクションを表示するかは、「設定」の「システム」にある「通知と操作」を使う。ここではクイックアクション以外に、従来の通知領域に表示するアイコンについても指定できる。
ここで気が付くのは、これまでのように、
- 通知のみを表示
- アイコンと通知を表示
- アイコンと通知を非表示
という3種類からではなく、オンかオフしか選べなくなっている点だ。これはインストールされた各アプリの通知に加え、時計や音量といったシステムアイコンについても同様だ。
各アプリからの通知についてはアクションセンターに表示されるが、アプリごとに、通知をオンにするかどうか、通知バナーを表示するかどうかを決めておくことができる。アプリの一覧はデスクトップアプリもモダンアプリもすべて同列に並んでいる。このあたりを見ると、Windows 10がクラッシックなデスクトップアプリとモダンアプリの区別をあまりして欲しくないと思っていることがよく分かる。
バッテリ延命のためにバックグラウンド実行を止める
新たな機能として提供されるのが「バッテリー節約機能」だ。この機能は充電中についてはオフになり、バッテリ残量が少なくなると自動的にオンになる。デフォルトでは20%未満となっている。モバイルデバイスにおいて、バッテリ駆動時間は重要な要素であり、我々はバッテリが犠牲になっても潤沢にリソースを使いたい場合と、多少の不便を感じてもとにかくバッテリを保たせたい場合がある。「バッテリー節約機能」は、そのニーズに応えようとするものだ。
システムのバッテリー節約機能がオンになると、全てのアプリのバックグラウンド稼働が一切許可されなくなる。当然バッテリは長持ちし、20%まで減ったバッテリが空っぽになるまでの時間を延命させられる。
だが、このアプリだけはバックグラウンドで動いてくれなければ困るというものもあるだろう。そこで、バッテリー節約機能がオンの時を含め、常にバックグランドで実行されるアプリを指定しておくことができるのだ。
この機能をうまく利用すると、たとえばバッテリが100%の時でもバックグラウンドアプリの稼働を禁止しておき、必要なアプリだけにバックグラウンド実行を許可するような応用もできる。ただ、現時点では、バッテリー節約機能についての詳細が分かっていないため、システムにどのような影響を与える省電力が実施されるのか不明で、ここはもう少し先のビルドを待つ必要がありそうだ。
まだまだ整理が必要な省電力機能
省電力機能については、バッテリ残量が危なくなってきた時にオンになる。だが、一般的には通常の使用においてもある程度の制御ができるのが望ましい。画面の明るさや画面のオン/オフなどを時間で制御するのはその一環だが、通常時のアプリの振る舞いもバッテリ駆動時間に大きな影響を及ぼすであろうからだ。
Windows 10では、アプリごとのバッテリ使用率を直近24時間、48時間、1週間の期間でチェックできる。フォアグラウンドのアプリがどのくらいのバッテリを消費したのか、バックグラウンドアプリはどうだったのかを知ることができ、さらに個々のアプリにおいても同様にその詳細が分かる。例えば、メールアプリについて、システム全体でどのくらいバッテリに対するインパクトがあったのか、そして、そのフォアグラウンド時とバックグラウンド時のバッテリ使用量が棒グラフで分かるようになっている。
この値を見ることで、たいしたこともしていないくせに、やけにバックグラウンドでのバッテリ使用量が多いアプリがあれば、それをアンインストールしたり、常駐させるのを止めて必ず終了させるようにするといった対策ができる。
Windows 8/8.1のInstantGo機では、スマートフォンと同様にスリープ時にもアプリがバックグラウンドで稼働する。デスクトップアプリやサービスについては完全に停止されるが、モダンアプリについてだけ必要な通信をシステムに登録し、システムが代理でその通信をバックグラウンド実行する仕組みだ。現時点でのビルドでは、InstantGo機における制御が不明確なので、その振る舞いがどのようになるのかまだ分からないが、少なくとも、非InstantGo機においてはスリープ時の振る舞いについては指定できない。
ただ、手元の環境では、電源接続時のスリープはなし、電源ボタンのみでスリープするように設定しておき、電源ボタンでスリープさせても、いつのまにかスリープから復帰してしまうという現象が起こっている。このあたりの振る舞いを見ていると、この部分には、まだまだ手が入るのではないだろうか。
Microsoftが言うようにWindows 10がPCでもタブレットでもスマートフォンでも稼働し、それが単一のWindowsなのであれば、このあたりは、もっと整理し、分かりやすくした上で、バッテリに与えるインパクトをユーザーが自在に設定できるようにならなければならないだろう。