PC短評

それなりなGeForce RTX 5050のゲーミングノートは使えるの?ギリ10万円台のASUS Gaming V16 V3607VHで検証

ASUS Gaming V16 V3607VH。直販価格は19万9,800円

 ASUSの「ASUS Gaming V16 V3607VH」は、CPUにCore 7 240H、GPUにGeForce RTX 5050 Laptop GPUを搭載する16型ゲーミングノートだ。直販価格は19万9,800円で、Amazonでは約18万円で販売されている。

 最近のトレンドであるアスペクト比16:10のWUXGA(1,920×1,200ドット)液晶パネルを搭載しており、20万円切りと比較的購入しやすい価格設定もあって、使いやすいエントリークラスのゲーミングPCを検討するカジュアルゲーマーの選択肢に入ってきそうなモデルだ。

 この記事では「ASUS Gaming V16 V3607VH」の製品サンプルをもとに、その実力を簡単にチェックしていこう。

スペック

 今回ASUSから貸与されたサンプルは、メモリ16GB、ストレージ512GBのモデル。CPUに「Core 5 210H」を搭載した下位モデルも用意されているが、ことゲーム用途に関して言えば、近年は高めのCPU性能が求められるタイトルも増えている。個人的には、予算が許すならバランスの良いCore 7 240H搭載モデルを選んでおくほうがのちのち後悔せずに済みそうだと感じる。

 CPUのCore 7 240Hは10コア/16スレッド構成で、コアの内訳はPコア6基・Eコア4基、動作クロックは最大5.2GHz。性能的には十分な反面、世代としてはRaptor Lakeに分類されるSKUであり、AI系アプリなどの処理能力に優れるNPUが非搭載となっている点には注意が必要だろう。

CPUはノートPC向けミドルクラスの「Core 7 240H」。TDP45Wと高クロック動作により、ゲーム・クリエイティブ問わず使っていけるが、NPUは非搭載
GPUは「GeForce RTX 5050 Laptop GPU」。カジュアルゲーマー向けではあるが、最新の重めのタイトルも問題なくプレイ可能

 GPUのGeForce RTX 5050 Laptop GPUに関して言えば、これまでのGeForceシリーズの下2桁50番台GPUの例に漏れず、性能的にはエントリークラスのGPUという位置づけのモデルとなる。

 CUDAコア数が2,560基である点はデスクトップPC向けRTX 5050と同等で、VRAMは8GB(GDDR7)を搭載。エントリーとは言うものの、DLSS 4が利用できる上、1080pのAAA級タイトルの中~高品質設定プレイを念頭に開発されているため、最新ゲームの描画でもかなり健闘してくれるのはうれしい点だ(そのぶん、製品自体も決して安価というわけではないのだが……)。

メーカーロゴのみのシンプルな天板

 本体サイズは357×250.7×18~22mm、重量は約1.95kgを実現。先に述べた通り16型でアスペクト比16:10のディスプレイを採用しているため、筐体は少し大きめと言える。一方で重量は2kgを切っており、持ち運びは比較的容易だ。

ディスプレイは16型でアスペクト比16:10とやや縦に長い。リフレッシュレートは最大144Hz対応

 なお、ディスプレイは144Hzのハイリフレッシュレート表示に対応している。ゲーミングノートでハイリフレッシュレートディスプレイが当たり前に採用されるようになって久しいが、当然ながら、なめらかな画面表示は快適なゲーム体験に直結する。エントリー帯のGPU性能が上がってきたこともあり、負荷が高くないタイトルなどではその効果を実感しやすいだろう。

左側面には電源ポート、USB 3.2 Gen 2 Type-C、USB 3.2 Gen1、HDMI 2.1、ヘッドフォン・マイクジャックを備える
右側面にはUSB 3.2 Gen 1

 インターフェイスはUSB 3.2 Gen 2 Type-C、USB 3.2 Gen1 2基、HDMI 2.1、ヘッドフォン・マイクジャックとシンプルな構成。ネットワーク機能はWi-Fi 6に対応する。有線LANが用意されていない点はオンラインゲームなどのプレイ時にちょっとしたリスクになりそうだ。自宅の無線が安定しているのならいっそ割り切ってしまうか、別途USBタイプのアダプタを用意しておくとよいかもしれない。

キーボードはテンキーあり、日本語配列
WASDキーと方向キーはちょっとオシャレなスケルトン仕様
画面上部のカメラにはプライバシーに配慮した物理シャッターを用意している
【表】ASUS Gaming V16(V3607VH-C7165R5050WP)のスペック
CPUCore 7 Processor 240H(10コア、最大5.2GHz)
GPUGeForce RTX 5050 Laptop GPU(8GB GDDR7)
メモリ16GB
ストレージ512GB SSD(PCIe 4.0 x4)
ディスプレイ16型非光沢液晶(1,920×1,200ドット、144Hz)
インターフェイスUSB 3.2 Gen 2 Type-C(USB PD+DisplayPort対応)、USB 3.2 Gen 1 2基、HDMI、207万画素Webカメラ、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.3
本体サイズ357×250.7×18~22mm
質量1.95kg
直販価格19万9,800円

ベンチマーク

 では、「ASUS Gaming V16 V3607VH」の性能をいくつかのベンチマークで計測してみよう。

 今回は、人気タイトルである「モンスターハンターワイルズ」「ELDEN RING NIGHTREIGN」「ストリートファイター6」の3タイトルでフレームレートを計測した。ちなみに計測時の本体動作モードはすべて出荷時の「高パフォーマンス」としている。

「モンスターハンターワイルズ」のベンチマークアプリでは、画質「高」設定、解像度WUXGA、フレーム生成利用で平均77.79fpsを達成。CPU・GPU性能をバランス良く求められるタイトルだが、しっかり高い画質設定でプレイ可能だ
発売から根強い人気の「ストリートファイター6」のベンチマークアプリでも、解像度フルHD、画質「HIGHEST」で計測を実施。60fps上限の対戦時はしっかり60fpsに張り付いており、他モードでも高いフレームレートを発揮できた
「ELDEN RING NIGHTREIGN」にはベンチマークアプリやモードが存在しないため、画質「最高」設定で一定コースを移動した1分間のフレームレートを「CapFrame X」で計測した。本作はフレームレートの上限が60fpsとなるが、平均・最小ともに60fps張り付きを達成

 いずれのタイトルでも安定したフレームレートが発揮できており、特に最新の高負荷タイトル「モンスターハンターワイルズ」で良好な結果を出せている点は評価できる。実ゲーム内ではベンチマークより重いシーンもあるものの、極端にカクつくようなことはないだろう。

 「エントリー向けゲーミングノート」というと最新の高負荷ゲームは荷が重いイメージを持っている人もいるかもしれないが、ことGeForce RTX 5050 Laptop GPU搭載機に関して言えば「結構がんばれるな」という印象だ。

エントリー向けと侮るなかれ。カジュアルゲーマーの入門機としても魅力的

 「ASUS Gaming V16 V3607VH」は、多くのゲームをフルHDからWUXGA解像度で快適にプレイできる、エントリー向けとしては侮れない性能を備えたノートPCだ。「なんでも最高画質で」というこだわりがないカジュアルゲーマー層には特におすすめしやすい製品と言えるだろう。