PC短評
薄っす!でもGeForce RTX 5070搭載の高性能ゲーミングノート「ROG Zephyrus G16 GA605KP」
2025年5月16日 11:00
ASUSから薄型軽量でハイエンドというロマンを追い求めるROG ZephyrusシリーズからGeForce RTX 5070 Laptop GPUとRyzen AI 7 350を組み合わせた「ROG Zephyrus G16 GA605KP」が登場した。最薄部1.49cmというスリムボディのゲーミングノートPCの実力を確かめてみよう。
RTX 5070とRyzen AI 7 350で高い汎用性を実現
「ROG Zephyrus G16 GA605KP」は16型ディスプレイを採用するゲーミングノートPCだ。高いスペックを備えながら、本体サイズは354×246×14.9~17.4mm、重量は約1.85kgを実現。どこにでもゲーミング環境を持って行けるのが強みと言える。
ゲーミングノートの心臓部となるGPUは、NVIDIA最新世代のRTX 50シリーズから「GeForce RTX 5070 Laptop GPU」を搭載。CUDAコア4,608基、ビデオメモリGDDR7 8GB、AI性能798TOPSだ。前世代で同一グレードのGeForce RTX 4070 Laptop GPUがCUDAコア4,608基、ビデオメモリGDDR6 8GB、AI性能321TOPSなので、CUDAコア数は同じながらアーキテクチャの進化でAI性能が2.48倍になっているのが特徴と言える。
なお、スペックはノートPCの設計に合わせて電力は50~100W、ブーストクロックは1,425~2,347MHzで調節できるが本機は105W/1,545MHzに設定されていた。スリム型だけにブーストクロックはやや控えめだ。
CPUはAMD最新の「Ryzen Al 7 350」を採用。8コア16スレッドで最大5GHzとゲーミング用途としては十分なスペックだ。また、Microsoft「Copilot+ PC」の要件(40TOPS以上)を満たす最大50TOPSのNPUを内蔵しているため。AI用途でも活躍できる。
メインメモリはLPDDR5X-7700の高クロックタイプで容量は32GBだ。ゲーミングで困ることはないだろう。ちなみにメモリを増設することはできない。ストレージはPCI Express 4.0接続M.2 SSDで容量は1TBだ。OSはWindows 11 Home。
ディスプレイは16型のOLED(有機EL)パネルでアスペクト比は16:10、解像度は2,560×1,600ドット、リフレッシュレートは240Hz、応答速度は0.2msと非常にハイスペックだ。可変リフレッシュレート(VRR)としてG-SYNCにも対応している。限りなく暗い黒の表現と高いピーク輝度が求められるDisplayHDR True Black 500認証を取得しており、ゲームや映像のHDRコンテンツも快適に楽しめる。
インターフェイスは、左側面にはHDMI出力、USB4、USB 3.2 Gen 2、ヘッドセット端子を搭載。右側面にはSDカードスロット、USB 3.2 Gen 2、USB 3.2 Gen 2 Type-Cを用意。このほか、6基のスピーカー(2W×2、1W×4)、207万画素のWebカメラ、3Dアレイマイクも内蔵している。ワイヤレス機能はWi-Fi 7とBluetooth 5.4に対応。
キーボードは日本語配列だ。キーストロークは1.7mmと薄型ノートとしては深く、気持ちよく入力が可能だ。2,000万回の打鍵寿命と耐久性にも優れている。
幅広い用途に対応できるパワー
ここからはベンチマークで性能をチェックしていこう。比較対象として同じくASUSの16型ゲーミングノートPC「ROG Strix G16 G614FR」を用意した。
AMDのノート向けゲーミングCPUとしては最上位の「Ryzen 9 9955HX3D」(16コア32スレッド)を搭載。デスクトップ版のX3Dシリーズと同じく第2世代3D V-Cacheを搭載する。GPUはROG Zephyrus G16 GA605KPのワンランク上になる「GeForce RTX 5070 Ti Laptop GPU」。ACアダプタは280Wと供給できる電力も強力だ。
ディスプレイのサイズや解像度は同じだが本体サイズは354×264×22.6~30.4mm、重量は約2.5kgとひとまわり大きくなる。そして、直販価格は41万3,820円と価格は近い。スリムサイズを優先するかスペックを優先するかの比較にはよいだろう。
早速実ゲームでパフォーマンスをチェックしていく。なお、動作モードはどちらもArmoury Crateで「Turbo」に設定した。
オーバーウォッチ2
まずは「オーバーウォッチ2」を実行しよう。botマッチを実行した際のフレームレートを「CapFrameX」で測定した。このテストについてはCPUパワーの差が出やすい低画質設定も試している。
最高画質ではROG Strix G16 G614FRのほうが約1.4倍フレームレートが高くなる。その差は低画質だとさらに広がる。1,920×1,200ドットでは2倍以上の差だ。これはROG Zephyrus G16 GA605KPがCPUパワー不足でフレームレートが伸びなくなっているため。GPUの処理に余裕があり、CPUパワーの影響が大きくなる場面ではRyzen 9 9955HX3Dの強さが際立つ。とはいえ、ROG Zephyrus G16 GA605KPでも2,560×1,600ドットの最高画質で快適にプレイできるフレームレートが出ているわけで、あとはこだわり次第だろう。
モンスターハンターワイルズ
続いて、ハンティングアクション「モンスターハンターワイルズ」の公式ベンチマークを試す。画質のプリセットは最上位、DLSSはプリセットが設定したまま変更していない。フレーム生成には対応しているが、マルチフレーム生成には非対応だ。
ここはビデオメモリ量の差が大きく影響している。モンスターハンターワイルズの最高画質設定はとにかく大容量のビデオメモリを要求するので、8GBのRTX 5070を搭載するROG Zephyrus G16 GA605KPはフレームレートが伸びにくい、快適にプレイしたいなら、画質をワンランク下げたほうがよいだろう。
サイバーパンク2077
最後はマルチフレーム生成が行なえるDLSS 4対応のタイトルとして「サイバーパンク2077」を用意した。ゲーム内のベンチマークを利用している。2020年発売ながら、度重なるアップデートでいまだに最上位クラフの描画負荷を誇っている。
RTX 50シリーズ一番の特徴と言えるマルチフレーム生成がどちらも活きている。複雑な光の反射を再現するレイトレーシング : オーバードライブ設定かつ2,560×1,600ドット解像度でも快適にプレイ可能なフレームレートが出ているのはすごいところだ。
動作音と温度
なお、システム全体の消費電力はアイドル時で17.5W、サイバーパンク2077実行時で178WとACアダプタが200Wなので順当と言える。薄型ハイエンドだと温度や動作音も気になるところ。サイバーパンク2077を10分間動作させたときの動作音を正面、右側面、背面のそれぞれ10cmの位置に騒音計を置いて測定、サーモグラフィーでキーボード全体の温度をチェックしてみた。
キーボードの中央付近で48.6℃、上部で47.0℃まで高くなるが温かいというレベルで操作に大きな影響が出るほどではない。底面から吸気して背面から排気するエアフローはうまく機能しているようだ。また、背面に排気を集中させることで正面から動作音がそれほど大きく聞こえないのはうまい作りと言える。
ROG Zephyrus G16 GA605Kは、持ち運べるサイズで重量級ゲームも遊べるパワーを持ったゲーミングノートPCを求めているなら注目したい1台だ。剛性が高く入力しやすいキーボード、美しいOLEDディスプレイなどスペックだけではなく、全パーツがハイレベルでまとまっている。価格は高いが、それだけの価値がある薄型ゲーミングノートPCだ。