PC短評
ハンドル付きでバッテリ内蔵の「HP ENVY Move All-in-One」は一体型PCの完成体だ
2023年11月9日 06:24
日本HPはディスプレイ一体型PC「HP ENVY Move All-in-One」を10月18日に発表、11月中旬以降に販売開始する。価格は22万円。
本製品は最厚部で実測38mm前後という薄型ボディに、80Whのリチウムイオンバッテリを内蔵。背面上部に備え付けられているキャリングハンドルで手軽に持ち運び、ACアダプタと接続することなくバッテリ駆動でどこでも利用可能。またHDMI入力端子を装備しているので、23.8型モバイルディスプレイとしても利用できる。今回は本製品の実機レビューをお届けしよう。
80Whバッテリを内蔵しており、バッテリ駆動時間は最大4時間
HP ENVY Move All-in-Oneに用意されているのは1モデルのみ。OSはWindows 11 Home、CPUは第13世代(Raptor Lake)のCore i5-1335U(10コア/12スレッド、最大4.6GHz)を採用。メモリは16GB、ストレージは1TB SSD(PCIe 4.0 x4接続)を搭載している。
ディスプレイは23.8型WQHD光沢IPS液晶(2,560×1,440ドット)を採用。ディスプレイ上部には約500万画素Webカメラ、デュアルマイク、ディスプレイ下部にはステレオスピーカーが内蔵されている。
インターフェイスはUSB 3.1 Type-C、USB 3.1、HDMI入力を装備。ワイヤレス通信はWi-Fi 6E、Bluetooth 5.3をサポート。前述の通りHDMI入力端子を装備し、バッテリを内蔵しているので、ゲーム機など外部ディスプレイとしても利用可能だ。
本体サイズは約552.3×366.6×148.6mm、重量は約4.1kg。6セル、80,018mWh(batteryreportで確認)のリチウムイオンバッテリを内蔵しており、バッテリ駆動時間は最大4時間と謳われている。
製品名 | HP ENVY Move All-in-One 24 |
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OS | Windows 11 Home |
CPU | Core i5-1335U(Pコア×2+Eコア×8/12スレッド、最大4.6GHz、15W) |
GPU | Iris Xe Graphics(1.25GHz) |
メモリ | 16GB(LPDDR5-4800、オンボード) |
ストレージ | 1TB SSD(PCIe 4.0 x4接続) |
ディスプレイ | 23.8型WQHD IPS光沢液晶(2,560×1,440ドット、最大輝度300cd/平方m、タッチ対応) |
ワイヤレス通信 | Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.3 |
インターフェイス | USB 3.1 Type-C、USB 3.1、HDMI入力 |
入力デバイス | HP 720タッチパッドBluetoothキーボード(日本語配列) |
Webカメラ | HP Wide Vision 5MP IRプライバシーカメラ(約500万画素) |
サウンド | ステレオスピーカー(Audio by Bang & Olufsen)、デュアルマイク |
バッテリ | リチウムイオンバッテリ(6セル、80,018mWh) |
バッテリ駆動時間 | 最大4時間 |
本体サイズ | 約552.3×366.6×148.6mm |
重量 | 約4.1kg |
セキュリティ | 顔認証 |
同梱品 | シェルパカバー、ACアダプタ、電源ケーブル、説明書一式 |
【お詫びと訂正】初出時にディスプレイを「タッチ非対応」としておりましたが、正しくは「タッチ対応」となります。お詫びして訂正いたします。
持ち運びと設置のしやすさを考えた設計
本製品最大の売りは持ち運びと設置のしやすさ。ボディは最厚部で実測38mm前後と薄く、上部にはキャリングハンドルが用意され、保護用の専用シェルパカバーが用意されている。基本的に屋内での持ち運びを想定した製品だが、大型のバックパックなどに入れれば、体力自慢の方なら外へ携帯することもできそうだ。
そして特筆すべきが設置の容易さ。テーブル面に置くと、本体下部の黒い突起が押されることで、キックスタンドが自動的に開く。この独自のキックスタンド機構により、片手で容易に設置できるし、ボディの薄型化にも成功している。単純だがよくできた機構だ。
23.8型WQHD IPS液晶は色域が公表されていない。カラーキャリブレーション機器で色域を実測したところ、sRGBカバー率は98.9%、sRGB比は100.1%、AdobeRGBカバー率は73.9%、AdobeRGB比は74.2%、DCI-P3カバー率は73.8%、DCI-P3比は73.8%となった。一般的な用途であれば実用上十分な色域だ。
一般的な用途なら十分こなせる性能
最後にパフォーマンスをチェックしよう。比較対象機種としては、第12世代(Alder Lake)のCore i5-1245U(10コア/12スレッド、最大4.4GHz)を搭載する「FZ-G2E」を使用した。
主要ベンチマークを実施したところ、HP ENVY Move All-in-OneはFZ-G2Eに対して、Cinebench R23のCPU(Multi Core)は149%相当、CPU(Single Core)は109%相当、3DMarkのTime Spyは116%相当、Fire Strikeは125%相当、Wild Lifeは126%相当、Night Raidは123%相当、「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」の「1,920×1,080ドット標準品質(ノートPC)」は138%相当、PCMark 10の総合スコアは110%相当のスコアを記録した。
HP ENVY Move All-in-Oneは低消費電力向けのUプロセッサを搭載しているが、一般的な用途であれば実用上十分な処理性能を備えている。
バッテリ内蔵一体型PCとして気になるスタミナ性能については、ディスプレイ輝度50%で「PCMark 10 Modern Office Battery Life」を実行したところ4時間43分というスコアを記録した。モバイル用途としてはやや物足りないが、自宅やオフィスで腰を落ち着けて作業できるだけのバッテリ駆動時間は備えている。
モバイルPCとして使いたくなるほど携帯性に優れた一体型PCだ
「HP ENVY Move All-in-One」の処理性能はUプロセッサ搭載PCなりのものだ。しかし本製品を実際に試用したところ、バッテリを内蔵することによって一体型PCの使い勝手が格段に向上することに気付かされた。
基本的には自宅やオフィス内を持ち歩くことを想定した製品ではあるが、約4.1kgの重量の持ち運びに適応して、モバイルPCとして使いたいと思わせるほど携帯性に優れた一体型PCだ。