PC短評
リンゴより小さいデスクトップPC「CHUWI LarkBox」
2020年6月22日 06:10
CHUWIは、クラウドファンディングサイトIndiegogo上で、小型デスクトップPC「LarkBox」の出資を募りはじめた。製品を入手するために必要な最小出資額は169ドルからだ。今回、製品出荷に先立ってCHUWIよりLarkBoxのサンプルが送られてきたので、簡単に評価したい。
デスクトップPCの超小型化の流れを作ったのはIntelのNUCだが、それ以降、さらに小型化を進めた製品が雨後の筍のように現れた。たとえばECSは「LIVA」、マウスコンピューターのスティックPC「m-Stick MS-NH1」などは、新たなジャンルを切り開き、大きな話題を呼んだ。
LarkBoxは、スティックPCほどではないが、LIVAよりは小型な製品となる。本体サイズは61×61×43mm(幅×奥行き×高さ)、重量は127gと、手のひらに余裕で収まる。一般的なリンゴよりも小さく愛着が持てる。なお、ECSがリリースしている最小のデスクトップPC「LIVA Q」は70×70×33.4mm(同)となっているが、体積ではLarkBoxのほうがわずかに小さい。
小さい筐体では熱設計が重要となるわけだが、LarkBoxでは超小型のファンを内蔵し、ヒートシンクを強制冷却する。天板側から吸気し、前面に排気する仕組み。回転中はそれなりの熱を排出していることがわかるが、騒音はかなり抑えられている。静かな部屋でも気になることはないだろう。
インターフェイスは最小限で、ACアダプタ接続用のUSB Type-C(12V/2A専用なので、USBとしては利用できない)、HDMI出力、USB 3.0×2、microSDカードスロット、3.5mmミニジャックとなっている。無線モジュールは「Intel Wireless-AC 9461」で、433MbpsのIEEE 802.11ac対応無線LANとBluetoothに対応する。
本機は「世界最小の4K対応PC」と謳われているとおり、HDMIによる4K/60Hzをサポートするのが特徴。また、きちんとデュアルチャネルのメモリ(3GB×2)を用意し、4Kビデオのデコードをこなすところが偉い。なおメモリはDDR4-2133駆動のようだ。
CPUには、Intelの製品情報にはない「Celeron J4115」が採用されている。CPU-Zなどで調べてみたところ、ベースクロックは1.8GHz、バースト周波数が2.6GHzとなっており、J4105の1.5GHz~2.5GHzより明らかに高速なものであった(ただし、Gemini Lake RefreshにあたるCeleron J4125の2~2.7GHzよりは遅い)。
PCMark 10のベンチマークでは、以前に計測したCeleron N4100搭載のHeroBoxにわずかながら遅れを取った。これはHeroBoxが高性能なSATA SSDを搭載しているのに対し、本機はeMMCを搭載しているからだ。
ところが、実際の操作体感的にはLarkBoxのほうが明らかにキビキビしており、YouTubeの閲覧程度でも、UIの描画や動画再生開始までの時間などストレスが少ない。これは、LarkBoxのCPUがおおむね2.4GHzと高いクロックで動作するからだろう。HeroBoxよりファンの音は気になるものの、4KのTVやディスプレイにつないで4K動画コンテンツを楽しむなら、LarkBoxのほうを選択すべきだ。