瀬文茶のヒートシンクグラフィック

Akasa「VENOM MEDUSA」

~6mm径ヒートパイプ8本搭載のハイスペックCPUクーラー

 今回は、AkasaのハイエンドCPUクーラー「VENOM MEDUSA」を紹介する。購入金額は10,800円だった。

6mm径ヒートパイプ8本搭載のモンスターヒートシンク

 AkasaのVENOM MEDUSAは、同社が「Extreme performance CPU cooler」と位置づける、ミッドシップレイアウト採用の大型サイドフローCPUクーラーだ。IntelとAMDのマルチプラットフォームに対応しており、IntelのLGA775以降、AMDのSocket AM2以降にリリースされたコンシューマ向けソケットに対応している。

 VENOM MEDUSAのヒートシンクは、銅製のベースプレートを採用したベースユニットと、8本の6mm径ヒートパイプ、42枚のアルミニウム製放熱フィンを備えたフィンブロック2基からなる放熱ユニットによって構成されている。1万円超クラスのハイエンドCPUクーラーなだけあって、ヒートシンクの出来は上々。8本のヒートパイプを横1列に並ぶ、ベースユニットとヒートパイプの接続部も上手く処理されている。作り込みの良さに加え、ヒートパイプと放熱フィンにめっき処理が施し、放熱ユニットの最上段には黒色の飾り板を配置するなど、外観にもこだわって作られており、ハイエンド製品らしさを感じられるヒートシンクだ。

 標準ファンには、ヒートシンク中央部に配置する140mm径ファンと、吸気側に配置する120mm角ファンを採用。ハイブリッド仕様のデュアルファン構成となっている。いずれのファンもPWM制御に対応しており、140mm径ファンが600~1,600rpm、120mmファンが600~1,900rpmの範囲でファンの回転数を制御できる。なお、同梱の抵抗ケーブルを利用することで、それぞれ500~1,000rpm、500rpm~1,400rpmへと回転数域を変化させられる。

 ヒートシンクへのファンの取り付けは、ファン側に差し込んだプラスチックピンに、金属クリップ引っ掛ける形で行なう。NoctuaやPhanteksも同様の方法を採用しているが、これらのメーカーに比べると、プラスチックピンから金属クリップが抜けやすいのが少々気になった。

 ファンクリップとプラスチックピンは、標準ファン取り付け用の2セットとは別に、1セット同梱されている。リブ無しフレームを採用し、120mm角ファンと穴位置互換のあるファンであれば取り付けられる可能性があり、3連ファンでの運用もできなくは無い。ただ、標準ファン用としてヒートシンクに取り付けられている防振ゴムは付属していない。余分に入っているファンクリップとプラスチックピンは、スペアとしての意味合いが強そうだ。

Akasa VENOM MEDUSA 本体
付属品
標準ファン。120mm角ファンと140mm径ファンの異径ファンによるハイブリッド・デュアルファン構成
ファンクリップはプラスチックピンに引っ掛ける形でファンに取り付ける
ヒートシンク側には、防振用のゴムが貼りつけられている。
ファン固定時。固定方法は難しく無いが、ファンクリップがプラスチックピンから抜けやすく、作業性は悪い。
メモリスロットとのクリアランス(ASUS MAXIMUS V GENE取り付け時)
拡張スロットとのクリアランス(ASUS MAXIMUS V GENE取り付け時)

 ミッドシップレイアウトを採用する大型サイドフローCPUクーラーの例に漏れず、VENOM MEDUSAもメモリスロット上空にヒートシンクと吸気側の冷却ファンが被る。ただ、VENOM MEDUSAでは、放熱フィンの最下段の位置が高めで、なおかつ吸気側の搭載ファンが120mm角ファンであるため、全高40mm前後のメモリモジュールであれば、取り付けることが可能だった。写真では120mmファンが最下段の放熱フィンより下に位置しているが、VENOM MEDUSAのファンクリップは、固定位置を上下にずらせるので、PCケースの横幅が許す限り、ファンの搭載位置を調性することでメモリモジュールとの干渉を回避できる。

 拡張スロットとのクリアランスについては、最上段の拡張スロット上空にファンクリップが被ってしまった。ヒートシンク自体は被っていないため、金属クリップの形状を変形させて絶縁処理を行なえば、ビデカードなどを搭載することも不可能では無いが、VENOM MEDUSAを購入するのなら、使用しているマザーボードのCPUソケットや拡張スロットのレイアウトに注意が必要だ。

冷却性能テスト

 それでは、冷却性能テストの結果を紹介する。今回のテストでは、マザーボード側のPWM制御設定を「20%」、「50%」、「100%(フル回転)」の3段階に設定し、それぞれ負荷テストを実行した際の温度を測定した。

 なお、グラフ中ではファンの回転数を「(120mmファン/140mmファン)」の順で記載している。

【グラフ】テスト結果

 冷却性能テストの結果では、3.4GHz動作時のCPU温度は51~56℃を記録している。これはCPU付属クーラーより29~34℃低い結果だ。CPUの発熱が増すオーバークロック動作時には、4.4GHz動作時に66~75℃、4.6GHzは75~86℃をそれぞれ記録。ファンを絞っても過昇温に陥ることなく、全ての条件でテストを完走した。見た目に違わぬ冷却性能を持ったヒートシンクのようだ。

 動作音については、120mmファンと140mmファンがともに600rpm程度で動作する20%制御時は文句なく静かだが、1,000rpm程度まで回転数が上がる50%制御時になると風切り音が目立ちはじめる。50%制御時程度の風切り音なら、ケースに収めてしまえばさほど気にならないのかもしれないが、フル回転時の風切り音ははっきりうるさいと感じるレベルだ。幸い、ヒートシンクからビビリ音が発生するようなことは無いが、風切り音の大きさからすると、常用時はなるべく1,000rpm程度に回転数を抑えたい。

出来は上々だが、日本では入手困難なハイエンドCPUクーラー

 VENOM MEDUSAは、その巨大かつハイスペックなヒートシンクに違わぬ性能を持ったCPUクーラーだ。取り付け作業時に、ファンクリップがファン側のプラスチックピンから抜けやすい点が気になったが、それを除けば、リテンションキットの出来も悪くなく、1万円超という実売価格に見合うだけの製品には仕上がっている。

 ただ、残念なことに、国内でVENOM MEDUSAを取り扱っているPCパーツショップは非常に少ない。今回はツクモ店頭で購入したが、いざ購入しようと思っても、国内のショップや通販サイトで入手するのは困難だろう。1万円超という価格と製品の価値を天秤に掛ける前に、どこで入手するのかを考えなければならないのが惜しいところである。

【表】Akasa「VENOM MEDUSA(AK-CC4010HP01)」製品スペック
メーカーAkasa
フロータイプサイドフロー
ヒートパイプ6mm径8本
放熱フィン84枚(42枚+42枚)
サイズ(ヒートシンクのみ)130×58×160mm (幅×奥行き×高さ)
重量480g
付属ファン120mm角ファン
電源:4ピン (PWM制御対応)
回転数:600rpm~1,900rpm(抵抗ケーブル利用時:500~1,400rpm)
最大風量:83.63CFM(抵抗ケーブル利用時:61.62CFM)
ノイズ:6.9~28.9dBA(抵抗ケーブル利用時:6.9~22.3dBA)
サイズ:120×120×25mm
140mm径ファン
電源:4ピン (PWM制御対応)
回転数:600rpm~1,600rpm(抵抗ケーブル利用時:500~1,000rpm)
最大風量:109.55CFM(抵抗ケーブル利用時:68.47CFM)
ノイズ:7~21.7dBA(抵抗ケーブル利用時:7~11.5dBA)
サイズ:145×145×25mm
対応ソケットIntel:LGA 115x/2011/1366/775
AMD:Socket AM2/AM2+/AM3/AM3+/FM1/FM2

(瀬文茶)