西川和久の不定期コラム

マウスコンピューター「NEXTGEAR-NOTE i1100PA4-SP3」

~何もかもが桁違いの爆速ゲーミングノートPC!

 マウスコンピューターは1月10日、1TBのSSDを4基、NVIDIA GeForce GTX 780Mを2基、そしてCore i7プロセッサと32GBのメモリを搭載したゲーミングノートPCを発表した。649,950円と驚きの価格だが性能も桁違い。編集部から実機が届いたので、その爆速ぶりを楽しみながらのレポートをお届けする。

全てが桁違いのモンスターマシン

 「NEXTGEAR-NOTE i1100 シリーズ」は、ブロンズモデル(249,900円)からプラチナモデルカスタムまで計7種類あり、共通点は、17.3型ノングレアのフルHD液晶パネル、プログラマブルなキーボードバックライト、Sound Blaster X-Fi MB3、2.5インチのストレージ2基とmSATA 2基を搭載可能、そしてNVIDIA GeForce GTX 780M(4GB)×2でSLI接続などの特徴を持つ。従ってプロセッサやメモリ容量、ストレージの構成などで価格が大きく変わることになる。

 今回手元に届いたのは、何と2.5インチの「SAMSUNG 840 EVO シリーズ 1TB」を2基、「SAMSUNG 840 EVO mSATA シリーズ 1TB」を2基の計4TB、更にメモリ32GBを搭載した最上位モデルだ。主な仕様は以下の通り。

【表】マウスコンピューター「NEXTGEAR-NOTE i1100PA4-SP3」の仕様
プロセッサCore i7-4930MX Extreme Edition(4コア/8スレッド、3.0GHz/Turbo Boost:3.9GHz、キャッシュ8MB、TDP 57W)
チップセットIntel HM87 Express
メモリ32GB(8GB×4/PC3-12800 DDR3L SODIMM)、4スロット(空き0)、最大32GB
SDDRAID 0 4TB/SAMSUNG 840 EVO シリーズ 1TB mSATA×2+SATA×2
光学ドライブBDドライブ
ディスプレイ17.3型 フルHDノングレア液晶、1,920×1,080ドット
グラフィックスIntel HD Graphics 4600+NVIDIA GeForce GTX780M(4GB)×2(SLI)、HDMI×1、Mini DisplayPort(Thunderbolt)×1
ネットワークGigabit Ethernet、IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 4.0+LE
その他USB 3.0×4(内1つはPowered)、USB 2.0/eSATA×1、200万画素Webカメラ、マルチカードリーダ、音声入出力、S/PDIF、指紋センサー、キーボードバックライト
サイズ/重量419×293×39.3~49.7mm(幅×奥行き×高さ)/約4.7kg
バッテリ駆動時間最大約2.66時間
価格649,950円

 一部先の記述と被るが、プロセッサはCore i7-4930MX Extreme Edition。4コア8スレッドでクロックは3.0GHz。Turbo Boost時3.9GHzまで上昇する。キャッシュは8MB、TDPは57Wと、ノートPC用としては最強のSKUとなる。チップセットはIntel HM87 Express。メモリスロットは4つあり、8GBのPC3-12800 DDR3L SODIMMが4つ実装済で計32GBだ。光学ドライブはBDドライブを搭載。

 そしてストレージは、2.5インチ×2とmSATA×2を内蔵でき、それぞれ1TBの「SAMSUNG 840 EVO シリーズ」と「SAMSUNG 840 EVO mSATA シリーズ」を実装の上、RAID 0を構成し計4TBもの容量だ。ノートPCの1次ストレージとして考えた場合、HDDでもここまで容量を使うのはあまり考えられないだけに、個人的にはやり過ぎ感があるにはあるが、なかなか面白く、そして贅沢な仕様と言えよう。

 ディスプレイは、非光沢の17.3型フルHD(1,920×1,080ドット)を搭載する。タッチには非対応だ。外部出力用としてHDMI×1とMini DisplayPort×1を装備している。また、このMini DisplayPortはThunderboltを兼ねており、デイジーチェーンでディスプレイやストレージを接続できる。

 ネットワークは、有線LANがGigabit Ethernet、無線LANがIEEE 802.11b/g/n。Bluetooth 4.0+LEにも対応している。その他のインターフェイスは、USB 3.0×4(内1つはPowered)、USB 2.0/eSATA×1、200万画素Webカメラ、マルチカードリーダー、音声入出力、S/PDIF、指紋センサー、キーボードバックライト。マシンのスペックを考えるとIEEE 802.11acに対応していないのが残念なところか。

 そして最大の特徴は、グラフィックスにNVIDIA GeForce GTX 780M(4GB)を2基搭載し、SLI接続していることだ。Keplerアーキテクチャをベースとし、単体でも最上位のSKUをSLI接続しているのだから、パフォーマンスはかなり凄いことが予想される。この点は、後半のベンチマークテストで検証したい。

 サイズは419×293×39.3~49.7mm(幅×奥行き×高さ)、重量約4.7kg。形状はノートPCだが、このサイズで重さだと移動は可能と言ったところか。

 価格は驚きの649,950円。1TBの「Samsung SSD 840 EVO mSATA シリーズ」だけでも7万円ほどするため、4つも載るとそれだけでかなりの金額だ。更に4GB搭載のNVIDIA GeForce GTX 780Mを2つ。もはや価格を度外視した仕様なだけに気にすることもないだろう。

側面右側に各種LED、液晶パネル中央上にWebカメラ
背面。USB 3.0×1、電源入力、USB 3.0×1、HDMI。両サイドのメッシュはスピーカーではなく空調用
底面。向かって右側にサブウーファ。ただカットオフ周波数が高めなのか、サウンドが右に偏って聴こえる
左側面。ロックポート、Gigabit Ethernet、マルチカードリーダ、音声入出力(S/PDIF)
キーボードは10キー付き。[Fn]キーが[スペース]キーの右に1つしかないなど、一部レイアウトが変わっている。右手前に指紋センサー
右側面。Mini DisplayPort(Thunderbolt)×1、USB 3.0×2(手前がPowered)、USB 2.0/eSATA×1、BDドライブ
キーピッチは実測で約19mm。[スペース]キーの右側の[<][>][?]など、一部ピッチが狭い
斜め後ろ。後ろの一番高いベース部分が約4cmあるため、ノートPCと見た場合かなり厚めだ
ACアダプタとバッテリ。195×95×45mm/1,249gと、小型ノートPC並みの重量

 筐体はブラウンがかったブラックで、トップカバーとパームレストはマット調、キーボード周辺はヘアライン仕上げになっている。流石に17.3型の液晶パネルを搭載しているだけにフットプリントは大きく、また重量約4.7kgもあるため、ズッシリ重い。

 正面右側面に各種LED、液晶パネル中央上にWebカメラ、左側面にロックポート、Gigabit Ethernet、マルチカードリーダ、音声入出力(S/PDIF)、右側面にMini DisplayPort(Thunderbolt)×1、USB 3.0×2、USB 2.0/eSATA×1、BDドライブを配置。また右側面手前のUSB 3.0はPoweredとなる。

 バッテリは裏に取り付ける形式で、背面にもUSB 3.0×1、電源入力、USB 3.0×1、HDMIのポートがある。両サイドのメッシュはスピーカーではなく空調用だ。裏には手前中央にバッテリスペース、右側にサブウーファがある。

 17.3型の液晶パネルは非光沢で映り込みも少なく見やすい。明るさ/コントラスト共に良好で、IPS式かどうかは明記されていないので不明だが、視野角もそれなりに広い。

 発熱や振動、ノイズに関しては、内蔵しているパーツがパーツだけに、全体的に熱を持ち、またファンのノイズもある。特にベンチマークテストなど負荷をかけるとこれらのレベルは少し上がる。

 サウンドは「Sound Blaster X-Fi MB3」と、サブウーファ付きの2.1chスピーカーを搭載し、クオリティは高く、最大出力も十分ある。ただサブウーファのカットオフ周波数が高いのか、全体的に右側に音が偏って聴こえるのが残念なところ。

 タッチパッドは左右のボタンが無い一枚プレートタイプで面積も広く扱いやすい。キーボードは10キー付きだ。最近一般的になったアイソレーションタイプではなく、キーが隣接したパンタグラフ方式となっている。キーピッチは[スペース]キーの右側の[<][>][?]など一部を除き、実測で約19mm。また[Fn]キーが[スペース]キーの右側1つしかない。

キーボードバックライトパターン設定

 特徴としてはプログラマブルなキーボードバックライトを搭載していること。[Fn]キー+10キーの[/]を同時に押すと、掲載したような画面が表示される。Random/Dancing/Tempo/Flash/Wave/Breath/CycleのプリセットとCustomでカスタマイズも可能となっている。光り方を動画で掲載したので参考にして欲しい。

【動画】さまざまな色で光るキーボードバックライト

winsat formalが全て8.2越え

 OSは64bit版のWindows 8.1 Pro。メモリを32GB搭載し、RAID 0のSSDなので、ブートやアプリの起動、シャットダウンは瞬時に近く、かなり快適な環境だ。

 RAID 0は、Intelラピッド・ストレージ・テクノロジーで構成され、先述したように「SAMSUNG 840 EVO シリーズ 1TB」を2基、「SAMSUNG 840 EVO mSATA シリーズ 1TB」を2基の計4TBになっている。C:ドライブのみの1パーティションで約3.7TBが割り当てられ空きは3.57TB。

 BDドライブは「HL-DT-ST BD-RE BT30N」、GbE/Wi-Fi/Bluetooth全てがRealtek製だ。またグラフィックスはSLIになっている関係上、デバイスマネージャに2つのNVIDIA GeForce GTX 780Mが見える。

スタート画面1。フルHDと言うこともあり1画面で収まっている。楽天gateway以降がプリインストール
起動時のデスクトップ。壁紙がGTuneオリジナルに替わり、いくつかのショートカットが追加されている
アプリ画面1。WindowsストアアプリはFresh Paintなど定番が、デスクトップアプリはマルチメディア系とツール系が中心だ
デバイスマネージャ/主要なデバイス。ストレージはIntelラピッド・ストレージ・テクノロジーで構成され、1ドライブに見えている。BDドライブは「HL-DT-ST BD-RE BT30N」。Gigabit Ethernet/Wi-Fi/Bluetooth全てがRealtek製
C:ドライブのみの1パーティション、約3.7TBが割り当てられている
RAID 0の構成。上2つがSAMSUNG 840 EVO シリーズのSATAタイプ、下2つがSAMSUNG 840 EVO シリーズのmSATAタイプ。全て容量は1TB

 プリインストールのソフトウェアは、Windowsストアアプリは、「Fresh Paint」、「Hulu」、「NAVITIME」、「R25 for Windows 8」、「SUUMO」、「ヤフオク」、「クックパッド」、「じゃらん」、「ホットペッパーグルメ」、「ポンパレ」、「ムビチケ」など。定番ばかりだが、本PCの性格上、これらの有無は関係無さそうだ。

NVIDIAコントロールパネル
Sound Blaster X-Fi MB3
Thunderboltソフトウェア

 デスクトップアプリは、「Sound Blaster X-Fi MB3」、「CyberLink Media Suite」、「ファイナルパソコンデータ引越し」、「マカフィーインターネットセキュリティ」。そしてRAID 0を構成しているIntelラピッド・ストレージ・テクノロジー、Thunderboltソフトウェアなどのツール系となる。Thunderbolt接続は該当する機器を所有していないので残念ながら試せなかった。

 ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2、BBenchの結果を見たい。CrystalMarkのスコアも掲載した(4コア8スレッドで条件的には問題があるので参考まで)。また、かなり特殊なハードウェアなので、3DMarkとCrystalDiskMarkも計測している。

 winsat formalの結果は、総合 8.2。プロセッサ 8.2、メモリ 8.2、グラフィックス 8.3、ゲーム用グラフィックス 8.3、プライマリハードディスク 8.75。PCMark 8 バージョン2は4334。CrystalMarkは、ALU 78230、FPU 68784、MEM 81220、HDD 58653、GDI 22479、D2D 14847、OGL 42918。

 3DMarkは、Fire Strike 8689/Cloud Gate 19733/Ice Storm 118422。CrystalDiskMarkは、Seq Read 1,582:Write 1,193MB/sec、512K Read 1,068:Write 1,119MB/sec、4K Read 30.69:Write 105.3MB/sec、4K QD32 Read 613.7:Write 569.6MB/sec。

 winsat formalの結果が驚くほど高いスコアでバランスもとれている。逆にここまでしないと全て8.2越えしないのかと少しガッカリ気味でもある。3DMarkは、Fire Strikeが普通に動くのは今回初めて見た(笑)。RAID 0の1TB SSD×4も(何故か4K Readは平凡だが)桁違いで凄いスコアとなっている。これ以上速いマシンにお目にかかることはなかなか無いだろう。

 BBenchは省電力モード、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残4%で8,952秒/2.5時間。ほぼ仕様通り。Haswellと言えどもさすがに厳しいものの、このノートPCの特性上、全く問題にならないと思われる。

winsat formalコマンドの実行結果は総合 8.2。プロセッサ 8.2、メモリ 8.2、グラフィックス 8.3、ゲーム用グラフィックス 8.3、プライマリハードディスク 8.75
PCMark 8 v2の結果は4334
BBench。省電力モード、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残4%で8,952秒/2.5時間
CrystalMark。ALU 78230、FPU 68784、MEM 81220、HDD 58653、GDI 22479、D2D 14847、OGL 42918
3DMark。Fire Strike 8689/Cloud Gate 19733/Ice Storm 118422
CrystalDiskMark。Seq Read 1,582:Write 1,193MB/sec、512K Read 1,068:Write 1,119MB/sec、4K Read 30.69:Write 105.3MB/sec、4K QD32 Read 613.7:Write 569.6MB/sec

 以上のようにマウスコンピューター「NEXTGEAR-NOTE i1100PA4-SP3」は、Intel Core i7-4930MX Extreme Editionとメモリ32GBを搭載した上に、1TBのSSD 4基をRAID0で構成し計4TB、そしてGeForce GTX 780M(4GB)×2でSLIとしたモンスターゲーミングPCだ。液晶パネルは17.3型非光沢のフルHD、サウンドもサブウーファ付きの2.1chスピーカー搭載と、十分楽しめる内容になっている。

 価格は今時のPCとしては考えられない649,950円だが、あくまでも趣味の世界。ただ、残念なことに本記事が掲載された時点で、このモデルはすでに売り切れてしまったとのことだ。近々、後継が出るとのことなので、これを楽しみに待っておきたい。

(西川 和久http://www.iwh12.jp/blog/