西川和久の不定期コラム

パナソニック「TOUGHBOOK CF-C2」

~タフさが売りのコンバーチブル

 パナソニックは1月17日、頑丈さを謳う「TOUGH」シリーズを一新し、1月29日より順次発売した。タブレットPCのTOUGHPAD「FZ-G1」、TOUGHBOOKの「CF-19」、「CF-31」、「CF-H2」、「CF-C2」と、5機種発表された中、コンバーチブルの「CF-C2」が編集部から送られて来たので試用レポートをお届けする。

バッテリがホットスワップに対応したコンバーチブル

 同社のサイトにはTOUGHBOOKのキャッチコピーとして「現場での使用に耐えられる“頑丈設計”」が謳われている。具体的には「76cm(非作動時、6方向)落下試験を実施」、「100kgf加圧振動試験を実施」、「キーボード全面防滴採用」、「ファンレス設計」、「耐衝撃HDD」、「頑丈LCD構造」、「コーナーを補強」、「ヒンジの強度アップ」となる。これらからも分かるように、(頻繁にキーボードへコーヒーをこぼしたり、机の上から落とすなどする人にも向いているかも知れないが)ホビー用途では無く、現場で使う業務用だ。

 今回発表された、「CF-19」、「CF-31」、「CF-H2」は、アーキテクチャをIvy Bridgeへ変更した新モデル。さらに今回ご紹介するコンバーチブルの「CF-C2」が加えられた。主な仕様は以下の通り。

パナソニック「TOUGHBOOK CF-C2」の仕様
CPUCore i5-3427U(2コア/4スレッド、1.8GHz/Turbo Boost 2.8GHz、キャッシュ3MB、TDP 17W)
チップセットIntel QM77 Express
メモリ4GB(最大8GB)
HDD500GB
OSWindows 8 Pro(64bit)
ディスプレイ輝度500cd/平方m、12.5型IPS液晶ディスプレイ(非光沢)、1,366×768ドット、5点静電容量式マルチタッチパネル+デジタイザ機能
グラフィックスCPU内蔵Intel HD Graphics 4000、HDMI出力
ネットワークGigabit Ethernet、IEEE 802.11a/b/g/n、Bluetooth 4.0
その他USB 3.0×2、USB 2.0×1、SDカードスロット、音声入出力、HD 720p Webカメラ、デジタイザペン付属
バッテリ駆動時間公称容量6,800mAh/定格容量6,400mAリチウムイオン(6セル)/最大11時間
サイズ/重量299×217.3×25~42mm(幅×奥行き×高さ)/約1.81kg
価格オープンプライス

 プロセッサはCore i5-3427U。2コア4スレッドでクロックは1.8GHz。TurboBoost時2.8GHzまで上昇する。キャッシュは3MBでTDPは17W。チップセットはIntel QM77 Express。Intel vProが使え、セキュリティにも配慮。メモリスロットは1つ。4GBを搭載済みで最大8GBとなる。HDDは500GB。グラフィックスはCPU内蔵Intel HD Graphics 4000。HDMI出力を装備している。

 ディスプレイは、外でも見やすい高輝度(500cd/平方m)非光沢12.5型IPS式液晶ディスプレイを搭載。解像度は1,366×768ドットだ。5点静電容量式マルチタッチパネルにデジタイザ機能付き。デジタイザペンも付属する。

 OSは64bit版のWindows 8 Proまたは、ダウングレード権を使用したWindows 7 Professional。タッチそしてデジタイザ機能があるのでWindows 8の方が使いやすいと思われるが、業務用と言うことで、互換性を考えるとWindows 7が選べるのはポイントが高い。

 ネットワークは、有線LANがGigabit Ethernet、無線LANがIEEE 802.11a/b/g/n。Bluetooth 4.0にも対応している。その他のインターフェイスは、USB 3.0×2、USB 2.0×1、SDカードスロット、音声入出力、HD 720p Webカメラ。ノートPCとして見た場合、一通り揃っている。

 バッテリは公称容量6,800mAh(定格容量6,400mA)の6セルリチウムイオンで、最大11時間駆動可能だ。興味深い機能として、バッテリのホットスワップ対応が挙げられる。本体内(交換不可)にブリッジバッテリと呼ばれる公称容量500mAh(定格容量490mAh)のリチウムポリマーバッテリを内蔵しており、メインバッテリを交換中の短い時間はこれを使ってPCを駆動することにより、ホットスワップを可能にしているのだ。長らくノートPCを試用しているが、この機能を搭載したものは初めて見た。オプションでバッテリパック(9セル)「CF-VZSU83U」も用意され、この場合約15時間駆動できる。

 そのほか、法人向けのカスタマイズとして、指紋センサー、ExpressCardスロット、シリアルポート、スマートカードリーダ、バーコードリーダ、モデム、Xi対応ワイヤレスWAN、背面カメラ、外部ディスプレイコネクタなどが用意されているのも独特と言えよう。

 本体サイズは299×217.3×25~42mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約1.81kg。頑丈設計のため、いろいろな部分を強化している関係上、同クラスと比較すると、大きく重くなっているが、重量に関しては、持ち歩きに支障が出るほどではない。

正面側面に、電源スイッチ、音声入出力、無線切り替えスイッチ、SDカードスロット。パネル右下にWindowsボタン、音量調整ボタン、画面回転ボタン、アプリケーションボタン
斜め後ろから。Gigabit Ethernet、USB 2.0×1。バッテリは右側面から入る
底面。ハンドストラップ、メモリスロット
左側面。スピーカー、電源入力、USB 3.0×2、HDMI出力
ウォータースルー構造と防滴を備えたキーボード。同社特有のリーフトップキーボードを採用
右側面。デジタイザペン収納場所、バッテリケース、HDDケース
キーピッチは実測で約19mm
重量は実測で1,818g
ACアダプタは約100×40×25mm(同)/203g。コネクタはミッキータイプ。バッテリは約190×68×20mm(同)/342g
液晶パネル回転途中。ヒンジの右端にロックボタンがあり、これをアンロックにしてパネルを回転させる
タブレットへ変身。一般的なタブレットよりかなり厚みがある
付属のデジタイザペン。マルチタッチに加えデジタイザペンを使い手書き感覚で入力可能

 同社の資料には明記されていないものの、筐体で使われている素材はおそらくLet'snoteと同様のマグネシウム合金だろう。独特な光沢感、手触り、そして強度を増すための凹凸など同じ雰囲気だ。一般的なノートPCとは比較にならないほど分厚いものの、何だか妙にカッコいい。重量が約1.81kgということもあり、ズッシリ重いのかと思っていたが、実際手に取るとスペックほどの重みは感じられない。

 天板はブラックで、ほかはシルバー。角に補強が施されている。底も同じ素材。ハンドストラップが付いているもが印象的だ。ACアダプタは約100×40×25mm(同)/203gでコネクタはミッキータイプ。バッテリは約190×68×20mm(同)/342gと結構大きい。

 正面手前側面に電源スイッチ、音声入出力、無線切り替えスイッチ、SDカードスロット。液晶パネルの右下にWindowsボタン、音量調整ボタン、画面回転ボタン、アプリケーションボタンが並んでいる。標準では[A1]ボタンに「Dashboard for Panasonic PC」、[A2]ボタンに「手書き入力」が割り当てられている。

 左側側面は、スピーカー、電源入力、USB 3.0×2、HDMI出力。右側側面は、デジタイザペン収納場所、着脱可能なバッテリケースとHDDケース。後ろにはGigabit Ethernet、USB 2.0×1。裏側はメモリへアクセスできる小さいパネルがあり、ネジ1本で外せる。

 液晶ディスプレイはIPS式で視野角は広く、そして最大輝度500cd/平方mと言うこともあり、かなり明るく、発色やコントラストも問題無い。タッチの感度は良好、デジタイザペンでの使用も中央/四隅の位置がズレることなく快適に入力できる。

 キーボードは同社特有の角が丸くなっている「リーフトップキーボード」だ。キー入力した感じもなかなか良い。パームレストも筐体と同じ素材が使われ結構ザラザラしている。タッチパッドは手前にボタンが2つあるタイプだ。

 ファンレスと言うこともあり、振動やノイズはかなり少なく快適。ただし、左側手前はそれなりに暖かくなる。

 タブレットへの変形は非常に簡単で、右側のヒンジにロックボタンがあり、これを解除、クルっと回してパネルを倒せばよい。ガタつきや固い感じもなく、スムーズに変形可能だ。

 サウンドに関しては、スピーカーが左側にモノラルになっている関係上、視聴/観賞用には向いていないものの、最大出力は十分あり、音質自体もマイルドで悪くない。

BBenchで11時間のバッテリ駆動

 OSは64bit版のWindows 8 Pro。スタート画面は1画面に収まり、右側の「Panasonicアプリ」以降がプリインストールとなる。デスクトップはごみ箱に加え、ショートカットが3つ追加されている。壁紙は無く、色は白とシンプル過ぎるほどシンプルだ。

 HDDは、500GB/5,400rpm/キャッシュ8MBの「HTS547550A9E384」を搭載。C:ドライブのみの1パーティションで、約455GB割り当てられ、初期起動時431GBの空きがある。

 Gigabit Ethernetは「Intel 82579LM Gigabit Network Connection」、Wi-Fiは「Intel Centrino Advanced-N 6235」が使われている。

スタート画面。「Panasonicアプリ」以降がプリインストールアプリ
起動時のデスクトップ。壁紙は無く、色は白とシンプル過ぎるほどシンプル
デバイスマネージャ/主要なデバイス。HDDは、500GB/5,400rpm/キャッシュ8MBの「HTS547550A9E384」。Gigabit Ethernetは「Intel 82579LM Gigabit Network Connection」、Wi-Fiは「Intel Centrino Advanced-N 6235」
HDDのパーティション。C:ドライブのみの1パーティションで、約455GB割当てられている

 プリインストール済みのアプリケーションは、Windowsストアアプリは、「Camera for Panasonic」のみと、ほとんど素のWindows 8のままとなっている。タブレットにもなることを考えると、もっと多くのアプリが欲しいところだが、基本的に主な用途が業務用なので、あえて減らしている可能性も考えられる。

アプリ画面1
アプリ画面2
Camera for Panasonic PC

 デスクトップアプリケーションは、「Dashboard for Panasonic PC」、「Hotkey設定」、「PC情報ビューアー」、「PC情報ポップアップ」、「カメラユーティリティ」、「画面回転ツール」、「手書きユーティリティ」、「電源プラン拡張ユーティリティ」、「ネットセレクター3」、「バッテリー残量表示/補正ユーティリティ」、「プロジェクターヘルパー」、「マニュアル選択ユーティリティ」、「無線ツールボックス」、「リカバリーディスク作成ユーティリティ」など、主に同社のツール系だ。

Dashboard for Panasonic PC
ネットセレクター3
マニュアル選択ユーティリティと操作マニュアル
プロジェクターヘルパー/設定
電源プラン拡張ユーティリティ
手書きユーティリティ

 ベンチマークテストはWindows エクスペリエンス インデックスとPCMark 7、BBenchの結果を見たい。参考までにCrystalMarkの結果も掲載した(今回の条件的には特に問題は無い)。

 Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 4.3。プロセッサ 6.4、メモリ 5.9、グラフィックス 4.3、ゲーム用グラフィックス 6.2、プライマリハードディスク 5.9。PCMark 7は2351 PCMarks。CrystalMarkは、ALU 40197、FPU 34768、MEM 22668、HDD 10250、GDI 13335、D2D 1549、OGL 4444。スコア的にはCore i5-3427U搭載機としては標準的で特筆すべき点は無い。

 BBenchは省電力モード、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残5%で40,516秒/11.3時間。仕様通りの駆動時間となった。屋外で使う場合、バックライトの輝度が最小では見えないので、実際はもっと短時間になる可能性はあるが、予備を1本用意すれば丸1日作業できる。しかも、前述の通りホットスワップに対応しているので、OSを動かしたままバッテリ交換できる。

Windows エクスペリエンス インデックス(Windows 8から最大9.9へ変更)。総合 4.3。プロセッサ 6.4、メモリ 5.9、グラフィックス 4.3、ゲーム用グラフィックス 6.2、プライマリハードディスク 5.9
PCMark 7。2351 PCMarks
BBench(スレートPC時)。省電力モード、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残5%で40,516秒/11.3時間
CrystalMark。ALU 40197、FPU 34768、MEM 22668、HDD 10250、GDI 13335、D2D 1549、OGL 4444

 以上のようにTOUGHBOOK CF-C2は、5点タッチそしてデジタイザ機能を持つ、非光沢IPS式12.5型HD解像度液晶パネルを搭載し、クラムシェルとしてもタブレットとしても使えるコンバーチブルだ。最大の特徴は、一般的なPCとは違い、頑丈さを謳っている点となる。

 仕様的には法人向けだと思われるが、このタフネスさにグッと来た人にお勧めしたい逸品と言えよう。

(西川 和久http://www.iwh12.jp/blog/