西川和久の不定期コラム
パナソニック「TOUGHPAD FZ-G1」
~タフな10.1型Windows 8搭載タブレット
(2013/4/11 00:00)
パナソニックは1月17日、Windows 8を搭載し、頑丈さを謳う「TOUGHBOOK」と「TOUGHPAD」の発表を行なった。2月にコンバーチブルタイプのTOUGHBOOKをご紹介したが、今回はタブレットタイプのTOUGHPADが編集部から送られて来たので、試用レポートをお届けする。
頑丈でも約1kgのWindows 8搭載タブレット
TOUGHPAD FZ-G1は、以前掲載したTOUGHBOOK同様、「120cmからの落下試験実施」、「IP65準拠の防塵・防滴性能」、「衝撃に強い液晶」などの特徴を持ち、頑丈さを謳うタブレットだ。
同社のサイトでは「水濡れの恐れのある工場や、土埃のたつ屋外現場でも使えます」と明記されている。確かにこのような現場では一般的なノートPCやタブレットは、短時間なら使えなくはないだろうが、すぐに故障する可能性がある(と言うか、できれば使いたくない場所だ)。主な仕様は以下の通り。
【表】パナソニック「TOUGHPAD FZ-G1」の仕様 | |
---|---|
CPU | Core i5-3437U(2コア/4スレッド、1.9GHz/ Turbo Boost 2.9GHz、キャッシュ3MB、TDP 17W) |
チップセット | Intel QM77 Express |
メモリ | 4GB |
SSD | 128GB |
OS | Windows 8 Pro(64bit) |
ディスプレイ | 高輝度10.1型IPS液晶ディスプレイ(非光沢)、800cd/平方m 1,920×1,200ドット。静電容量式10点マルチタッチパネル、 デジタイザ機能 |
グラフィックス | CPU内蔵Intel HD Graphics 4000、HDMI出力 |
ネットワーク | IEEE 802.11a/b/g/n、Bluetooth 4.0 |
その他 | USB 3.0×1、92万画素前面/300万画素背面カメラ、 音声入出力、モノラルマイク/スピーカー、 拡張バスコネクター(24ピン)×1、 ドコモUIMカードスロット、デジタイザペン付属 |
センサー | 電子コンパス、加速度センサー、照度センサー |
バッテリ駆動時間 | 公称容量 4,400mAh/定格容量 4,100mAh リチウムイオン/約9時間 |
サイズ/重量 | 270×188×19mm(幅×奥行き×高さ)/ 約1.1kg(デジタイザペンを除く) |
価格 | オープンプライス |
プロセッサはCore i5-3437U。2コア4スレッドでクロックは1.9GHz。Turbo Boost時2.9GHzまで上昇する。キャッシュは3MBで、TDPは17Wだ。TOUGHBOOK CF-C2はCore i5-3427Uだったので若干のパワーアップとなる。
チップセットはIntel QM77 Express。Intel vProが使え、セキュリティにも配慮している。メモリは4GB搭載。OSは64bit版Windows 8 ProだがWindows 7へのダウングレード権も含んでいる。ストレージは128GBのSSDを搭載。
ディスプレイはAR処理され、表面反射を大幅にカットした非光沢の10.1型IPS液晶ディスプレイを採用。800cd/平方mの高輝度で天気の良い屋外でも十分見ることができる。10点マルチタッチに対応し、デジタイザ機能付きだ。解像度は1,920×1,200ドット。グラフィックスはCPU内蔵Intel HD Graphics 4000。HDMI出力を搭載している。
インターフェイスは、IEEE 802.11a/b/g/n、Bluetooth 4.0、USB 3.0×1、92万画素前面/300万画素背面カメラ、音声入出力、モノラルマイク/スピーカー、拡張バスコネクター(24ピン)×1、ドコモUIMカードスロット。有線LANには標準では非対応だ。またドコモXi(LTE)対応ワイヤレスWAN内蔵モデルも用意されている。センサーは電子コンパス、加速度センサー、照度センサーを搭載。
なお、法人向けカスタマイズとして、スマートカードリーダ、LAN、GPS、バーコードリーダ、USB 2.0、microSD、シリアルを別途装備可能だ。ただし全てのインターフェイスを同時搭載することはできない(どの組み合わせならOKなのかは同社のサイトからは分からなかった)。
サイズは270×188×19mm(幅×奥行き×高さ)、重量約1.1kg(デジタイザペンを除く)。簡単に着脱できる公称容量4,400mAh/定格容量4,100mAhのリチウムイオンバッテリを裏側に搭載し、最大約9時間駆動可能だ。
筐体は厚みが19mmもあるので、最近の薄型になった10型前後のタブレットと比較するとかなり分厚い。ただマグネシウム合金で覆われメタリックな雰囲気は悪くなく、持ち上げると見た目以上に軽く感じる。各コネクタはカバーで覆うなどしっかりシールドされている。
前面は、上側左からLEDインジケータ、前面カメラ、マイク、照度センサー。下側左からA1/A2ボタン、ボリューム、Windowsボタン、回転ロック、LEDインジケータ、パワーボタン。背面は上中央にLEDライト付き背面カメラ、デジタイザペンホルダー、バッテリ右下にある凹みにスピーカー。
ちょうどWindowsのロゴが付いている四角い部分がバッテリで、右上のロック解除スイッチをスライドさせると簡単に外すことができる。ただしTOUGHBOOKのように2つのバッテリを搭載していないため、ホットスワップには非対応だ。
上側は放熱用のスリット、端のバンパーになっている部分にセキュリティロック。下側は拡張バスコネクタがある。左側は電源入力。右側は音声入出力、HDMI出力、USB 3.0×1。いずれもカバーで覆われている。
AR処理された非光沢の10.1型IPS液晶ディスプレイは、解像度1,920×1,200ドットということもあり、標準の状態では文字は結構小さく見える。またIPSパネルで視野角は広いものの、AR処理の影響か少しザラザラした感じだ。800cd/平方mの輝度は多くの製品の倍以上あり、明るいところでも十分内容を確認することが可能。
デジタイザペンは四隅でもズレは無くストレスフリー。10点タッチ対応のパネルも反応が良い。ただTOUGHBOOKも同様だったが、画面右端から内側へスワイプし、Windows 8のチャームを表示する時、フチとパネルに段差があり、少しやりにくい感じがする。
熱やノイズ、振動については試した範囲では問題にならないレベル。またサウンドはモノラルで裏側にあることもあり、あくまでも業務用といった感じだ。
背面と前面にあるカメラの画質はビデオキャプチャ的で、どちらかと言えばビデオ用途が主なものだと思われる。
付属のACアダプタは、サイズ約100×40×25mm(同)、重量204g。このクラスのタブレットとしては普通の大きさとなっている。
バッテリ駆動で約9時間作動可能
OSは64bit版のWindows 8 Pro。初期起動時のスタート画面は標準構成+α。デスクトップは、左側に3つのショートカットを追加。一見あっさりした感じにまとめられている。掲載したデスクトップの画面キャプチャを10.1型のパネルへ表示すると、(個人差もあるだろうが)結構文字が小さく感じられる。
システムのプロパティを見ると10点タッチ対応であるものの、「限定あり」になっているのが分かる。
SSDはmSATAタイプの128GB「TOSHIBA THNSNF128GMCS」。C:ドライブのみの1パーティションで、約108GB割り当てられ空きは約85GB。Wi-Fiモジュールは「Intel Centrino Advanced-N 6235」が使われている。
プリインストール済みのアプリケーションは、Windowsストアアプリは、「Camera for Panasonic PC」のみ。ほぼWindows 8標準そのままの状態だ。主な用途が業務用と言うこともあり、敢えていろいろ入れていないのだろう。
デスクトップアプリケーションは、「Dashboard for Panasonic PC」、「PC情報ビューアー」、「PC情報ポップアップ」、「カメラユーティリティ」、「カメラライトスイッチユーティリティ」、「画面回転ツール」、「画面コピー」、「手書き入力ユーティリティ」、「電源プラン拡張ユーティリティ」、「ネットセレクター3」、「バッテリー残量表示」、「マニュアル選択ユーティリティ」、「無線ツールボックス」、「リカバリーディスク作成ユーティリティ」、「ワイヤレスWAN拡張機能設定ユーティリティ」など、主に同社のユーティリティを中心に構成されている。
先に「一見あっさりした感じ」と書いたのは、実はこのように同社のユーティリティが数多くインストールされているからだ。国内メーカーならではの構成と言えよう。
ベンチマークテストはWindows エクスペリエンス インデックスとPCMark 7、BBenchの結果を見たい。参考までにCrystalMarkの結果も掲載した(今回の条件的には特に問題は無い)。
Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 5.3。プロセッサ 7.0、メモリ 5.9、グラフィックス 5.3、ゲーム用グラフィックス 6.4、プライマリハードディスク 8.1。PCMark 7は4853 PCMarks。CrystalMarkは、ALU 42889、FPU 40592、MEM 39284、HDD 40662、GDI 15210、D2D 1951、OGL 6411。TOUGHBOOKよりプロセッサがパワーアップしているので比較した場合、全体的にスコアが良くなっている。特にSSDの性能は結構高く、結果、OSやアプリケーションの起動が速く快適に操作できる。
BBenchは省電力モード、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残5%で30,972秒/8.6時間。スペックでは最大9時間だったので、ほぼその通りとなった。前半で書いたように、簡単に着脱できるバッテリを搭載していることもあり、複数用意すれば(一旦電源オフする必要はあるものの)、丸1日の作業が可能だ。
以上のようにパナソニック「TOUGHPAD FZ-G1」は、頑丈ながら約1kgの重量に抑えたWindows 8搭載タブレットだ。800cd/平方mの液晶パネルにより屋外でも見易く、Core i5でパワーも十分。バッテリ駆動は約9時間作動する上、交換も容易なので丸1日作業することも可能となる。デジタイザペンに対応しているものポイントが高い。
基本的に業務用なので一般的なタブレットよりも高価となるが、これでしか作業出来ない現場がある企業にお勧めの1台と言えよう。