西川和久の不定期コラム

KDDI「MOTOROLA RAZR」
~HDステーションでデスクトップ環境へ変身



 デュアルコアでAndroid 2.3を搭載したスマートフォンはいろいろあるが、今回ご紹介する「MOTOROLA RAZR」はHDステーションにキーボードとマウス、そしてHDMI出力でディスプレイを接続し、“Webtop”と言うデスクトップ環境を使える特徴を持つスマートフォンだ。編集部から実機が送られてきたので試用レポートをお届けする。

●薄型でパワフルなスマートフォン

 ディスプレイは有機ELの4.3型SUPER AMOLED Advancedで540×960ドットと、いわゆるqHD。傷の付きにくい「Gorilla Glass」を採用している。iPhone 4Sが3.5型で640×960ドットなので、解像度は若干低く、パネルサイズは一回り大きい。そのため、Retinaディスプレイほどの精細感はない。

 プロセッサはデュアルコアでクロックは1.2GHz。メモリは1GB搭載している。本体側のストレージは16GB(ユーザーエリアとしては約8GB)、外部用としてはmicroSDHCのスロットを持ち、最大32GBまで搭載可能だ。

 プロセッサが異なるので直接比較はあまり意味が無いものの、筆者が所有する同社のタブレット「XOOM」は、1GHzデュアルコアのTegra 2なので、同じデュアルコアでクロック数はRAZRの方が上回っている。約1年でここまでプロセッサが進化した良い例ではないだろうか。

 OSは現時点でAndroid 2.3だが、5月中旬以降にAndroid 4.0へのアップデートも実施する予定となっている。

 ネットワーク関連は、グローバルパスポート(CDMA/GSM/UMTS/GPRS)、IEEE 802.11a/b/g/n、Bluetooth 4.0 LE。残念ながらテザリングやWiMAXには非対応だ。

【MOTOROLA「RAZR」の仕様】
ディスプレイ4.3型SUPER AMOLED Advanced(有機EL)、540×960ドット
プロセッサOMAP4430+MDM6600(デュアルコア1.2GHz)
OSAndroid 2.3
メモリ1GB
本体ストレージ16GB
外部ストレージ32GB(microSDHC)
カメラ800万画素/背面CMOS/AF/LED/手ぶれ補正、130万画素/前面CMOS
Wi-FiIEEE 802.11a/b/g/n
BluetoothBluetooth 4.0 LE
ネットワークグローバルパスポート(CDMA/GSM/UMTS/GPRS)
外部コネクタmicroUSB、microHDMI
サイズ約69×131×7.1mm(幅×奥行き×高さ)
重量約127g

 カメラは、メインカメラが背面CMOSの800万画素(3,264×2,448ピクセル)。AF、LEDフラッシュ、手ぶれ補正などに対応する。動画は1080pのフルHDで撮影可能。サブカメラは前面CMOSの130万画素となる。

 インターフェイスは、microUSBとmicroHDMI。一般的なUSBポートから充電が可能だ。バッテリは1,780mAhと大容量のリチウムイオンを搭載している。そのため、連続待受け時間が約240時間、連続通話時間が580分と、結構長いのが魅力的と言えよう。本体左下側面には、microSIMとmicroSDHCのスロットがある。

 本体サイズは約69×131×7.1mm(幅×奥行き×高さ)と、最薄部7.1mmという薄さが特徴的だ。重量も約127gと軽量級。ボディカラーはブラックとホワイトの2モデル。

 主なオプションとしては多彩なヘッドセットに加え、「HDステーション」と「車載用ドック」が用意されている。HDステーションは、オーディオ出力、電源入力、USB×3、microHDMI出力を装備。単なるスタンドと充電、オーディオ出力を兼ねたものでは無く、RAZRをよりパワフルに使える周辺機となっている。

前面。シンプルなデザインだ。電源スイッチと音量調整は右側上部側面にある背面。フラットではなく、メインカメラとLEDフラッシュの部分が少し出っ張っている。右側の長細い凹みはスピーカコネクタ部。本体上部の側面。ヘッドフォンコネクタ、microUSB、microHDMI
左下側面にmicroSIMとmicroSDHCのスロットがあるiPhone 4Sとの比較。液晶パネルが4.3型と大きい分、iPhone 4Sと比較して一回り大きくなる付属品。左側のACアダプタとUSBケーブルは本体付属。右側のACアダプタとHDMIケーブルはHDステーション付属
HDステーション前面。左のコネクタへ本体上部のコネクタがジョイントするHDステーション背面。オーディオ出力、電源入力、USB×3、microHDMI出力装着したところ。コンパクトだが安定感は十分ある。この状態でキーボードとマウス、そしてHDMIケーブルをディスプレイに接続すれば後述するWebtopが起動する

 筆者は日頃iPhone 4S(厚み9.3mm/重量140g)を使っているので、RAZRを手にすると、大きいが、薄く軽いと言うのが第一印象。筆者は手が小さいので、このサイズは少し持ちにくい。有機ELのパネルは十分に明るく、発色は彩度が高い。iPhone 4Sと比較すると視野角は若干狭い感じだ。

 ボディの質感は、側面のメタリックっぽい部分と裏のラバーっぽい部分など、質感の異なる素材で構成され、全体的にはクールにまとまっている。この辺りは同社らしいデザインだ。

 実際の動きなどは動画を掲載したので参考にして欲しいが、反応も速くスムーズで、ストレスは一切無い。タッチパネルの反応もなかなか。全体的には好印象。また届いて直ぐフル充電し作動確認後、2~3日そのまま待機状態にしていたのだが、それでもバッテリは残っており、1,780mAhの威力を実感した。

 プリインストールされているアプリケーションは、KDDIやMOTOROLAオリジナル(Smart Actions/バッテリー使用最適化、MOTOBLUR/SNS一元管理)やカスタマイズはあるものの、KDDIの一般的なAndroid 2.3系(正確には2.3.6)と大差なく、Android 4.0へのアップデートが待ち遠しいところだ。

 HDステーションは、フットプリントが比較的大きく(約129×105×52mm(同)/約155g)、スタンドとしては安定している。ただ、本体との固定が、上部側面にあるmicroUSBとmicroHDMIコネクタだけなので、固定した状態で本体を触ると少しグラグラ動くのが気になった。電源は専用のACアダプタが付属し、USBポートにはキーボードやマウスが接続可能だ。

ホーム画面1ホーム画面2ホーム画面3
ホーム画面4ホーム画面5バージョン情報など

【動画】MOTOROLA「RAZR」のスマートフォンとしての動き

●HDステーションでデスクトップPCのような環境へ変身

 少し古い話になるが、2011年のCESレポートで、ドックへキーボードとマウス、そしてHDMI出力で大型ディスプレイに、もしくは液晶パネルとキーボードが一体化したノートPCのようなドックへ接続すると、Webtopと言うもう1つのデスクトップ環境が使えるスマートフォン「ATRIX」の記事を見て、なかなか面白そうだと思っていた。

 これがあれば普段はスマートフォン、外出時落ち着いて使いたい時はノートPC型ドック、自宅(もしくは仕事場)では、キーボードとマウス、そして大型ディスプレイを接続というように常に最適な環境を構築できる。データが複数のデバイスに散在しないので、管理面も楽だ。もちろんパワーやアプリケーションの数や種類の面でWindows PCにはかなわないが、Webやメール、写真や動画などを扱う程度であれば十分対応できる。

 Webtopの特徴は、スマートフォンの画面をそのままミラー表示するのでは無く、まるでデスクトップPCのようにアプリをウインドウ表示でき、その中でAndroid側の操作(モバイルビュー)もできることだ。Webtop用の主なアプリケーションとしてはファイルマネージャとFirefoxがインストールされている。

 また例えばスマートフォン側のWebブラウザであるサイトを開いたままWebtopを起動すると、URLはそのまま引継がれFirefoxが起動する機能もある。

 対応しているクラウド系のサービスとしては、Webtopサイトを見ると、YouTube、Google Docs/Gmail、Dropboxなど、お馴染みのものが並んでいる。特にGoogle Docs/Gmail、Dropboxがあると、それだけで多くの仕事が片付く人も多いのではないだろうか。

HDステーションにワイヤレス(USB)マウスとキーボードを接続ファイルマネージャWebtop Applicationページ
Firefoxモバイルビューの音楽を起動ビューの切り替え

 実際操作している動画を掲載したのでご覧頂きたい。ファイルマネージャの反応も良く、Firefoxでの表示も結構速い。1.2GHzのデュアルコア・プロセッサで想像以上にサクサク動くのが印象的だ。一時期のネットブックより動きがいい感じもする(XOOMで動かすFirefoxより速いかも知れない)。モバイルビューでのスマートフォン操作もスムーズ。もちろんHDMI接続なのでサウンドも外付けディスプレイ側から出力される。難点を上げるとすると、マウスカーソルがチラつく。

【動画】Webtopの動作

 今後発表されるハイエンドスマートフォンはクアッドコア搭載となり、数年すればもっと多いコア数もありえる。正直これまで、「電話+αのデバイスにそんなマルチコアを入れてどうするんだ?」と思っていたが、Webtopを見て考えが変わった。

 スマートフォンとして使っている時は最低限のコアだけ活用し、残りのコアはスリープさせ省エネ。ドックへ接続し電源が安定供給される時は、コア全開で動かし、PC代わりのデスクトップ環境へ変身……とすれば、俄然実用的になるわけだ。

 現在Androidを搭載したタブレットやiOSを搭載したiPhoneやiPadでも、HDMI出力やApple TVへAir Playすれば同じような環境は作れるものの、あくまでも本体側のミラー表示であり、加えてポインティングデバイスは非対応だ。パネルをタッチしなければならず(Android搭載機は例外あり)、Webtopとは使い勝手がかなり異なる。

 いずれにしてもスマートフォンに搭載するプロセッサがパワーを持てば持つほど、Webtopのような環境でよりPC的に使うことが可能となる。数年後はかなりの割合でこう言った使い方が当たり前になっているのではないだろうか。


 以上のようRAZRは、スマートフォンとして使ってもパワフルだが、HDステーションでキーボードとマウス、ディスプレイを接続すると、WindowsでもMac OS XでもAndroidでもない、LinuxライクなWebtopと言うデスクトップ環境が使えるユニークなマシンだ。

 日頃はスマートフォンとして、自宅に帰れば大きな画面でキーボードとマウスを使い快適に操作できる。この記事を見てグッと来た人に是非お勧めしたい逸品と言えよう。