■西川和久の不定期コラム■
エプソンダイレクト株式会社は、BTOメニューを人気のある項目のみに絞った「Endeavor S」シリーズのミニタワーモデル「Endeavor TY5000S」を7月12日より受注開始した。編集部から実機が送られて来たので、早速試用レポートをお届けしたい。
この「Sシリーズ」は、以前「Endeavor NY3200S」の記事の中で解説したが、基本的に初期コストを抑えるため、フルBTOではなく、「パッケージモデル プラスα程度のBTO」でかつ、「サポート範囲の限定」、「国際エネルギースタープログラムは取得しない」と言ったコストカットによって、フルBTOモデルと比較して安価にできるモデル。個人/SOHO向けの新しいラインナップだ。
「Endeavor TY5000S」に関しては、プロセッサIntel Core i7-2600(3.4GHz)/Core i5-2500(3.3GHz)/Core i5-2400(3.1GHz)、メモリ4~16GB、OS Windows 7 Professional 64bitもしくはWindows 7 Home Premium 64bit(いずれもSP1適応済み)、グラフィックスは内蔵Intel HD Graphics 2000/NVIDIA GeForce GTS 450/AMD Radeon HD 5770、光学ドライブ DVDスーパーマルチドライブ/Blu-ray Discドライブ、HDD 500GB/1TB またはSSD 80/120(SATA600)/160GB、無線LANやeSATA、マルチカードリーダーなどを選んで構成できる。
プラスα程度のBTOとは言え、これだけ選べれば一般的には十分だと思われる。今回届いたマシンの仕様は以下の通り。
エプソンダイレクト「Endeavor TY5000S」の仕様 | |
CPU | Intel Core i7-2600(4コア/8スレッド、3.4GHz/TB 3.8GHz、キャッシュ 8MB) |
チップセット | Intel H67 Express |
メモリ | 8GB(4GB×2)、PC3-10600 DDR3 SDRAM/4スロット空き2/最大16GB |
HDD | 1TB(7,200rpm) |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチドライブ |
OS | Windows 7 Home Premium SP1(64bit) |
グラフィックス | NVIDIA GeForce GTS 450/1GB、DVI-I×2、HDMI×1/Intel HD Graphics 2000、DVI-I×1、ミニD-Sub15ピン×1 |
ネットワーク | Gigabit Ethernet |
拡張スロット | PCIe x16×1、PCIe x4×1、PCIe x1×2 |
その他 | USB 2.0×10(前面4/背面6)、IEEE 1394、オーディオ入出力(前面/背面)、PS/2マウス&キーボードポート、マルチカードリーダ |
サイズ/重量 | 170×403×362mm(幅×奥行き×高さ)/約7.7kg |
価格 | 69,930円から(今回の構成は103,530円+送料2,625円) |
CPUはIntel Core i7-2600プロセッサ。4コア/8スレッド、キャッシュは8MB、クロック3.4GHzでTurboBoost時3.8GHzまで上昇する。BTOで選択できる範囲としては最上位のCPUだ。チップセットは、Intel H67 Express。
デスクトップPC用の第2世代Core iプロセッサ・チップセットとしては、H67/H61/P67、そして最近Z68が追加された。H67とP67の一番の違いはCPU内蔵Intel HD Graphics 2000(または3000)対応とオーバークロック機能の有無となる。H67は内蔵GPU対応/オーバークロック非対応、P67は内蔵GPU非対応/オーバークロック対応だ。H61はSATA 6Gbps非対応/メモリ最大8GB(2メモリスロット)と、H67の廉価版に相当する。
メモリは4スロットあり、4GB×2の計8GBを搭載。最大16GBまで対応だ。OSは64bit版Windows 7 Home Premium SP1。HDDは7,200rpmの1TB、光学ドライブはDVDスーパーマルチドライブ。H67チップセットはSATA600に対応しているので、できれば該当するドライブが欲しいところ。
グラフィックスは、NVIDIA GeForce GTS 450/1GB。DirectX 11やOpenGL 4.2、192SPと、それなりのパワーを持ったディスクリートGPUだ。初めからディスクリートGPUを搭載するならチップセットはP67と言う選択肢もあるが、BTOの構成上、内蔵GPUにも対応した上で、オーバークロックには非対応。従って今回のような構成になっている。出力はDVI-I×2、HDMI×1。最大解像度は2,560x1,600ドットだ。CPU内蔵Intel HD Graphics 2000側は、DVI-I×1とミニD-Sub15ピン。
ネットワークは有線LANのGbEのみ。無線LANはオプション扱い(USB接続)。その他のインターフェイスは、USB 2.0×10(前面4/背面6)、IEEE 1394、オーディオ入出力(前面/背面)、PS/2マウス&キーボードポート、マルチカードリーダ。USB 2.0が10ポートあるのは少し多めで使い易い。BTO上、マルチカードリーダやUSB 3.0、eSATA、3波デジタルTVチューナはオプションとなっている。
またキーボードとマウスも選択可能で、「109 PS/2キーボード」、「109 USBキーボード」、「コードレス106コンパクトキーボード&ホイール付オプティカルマウス(2.4GHz 高感度タイプ)」、「ホイール付きPS/2オプティカルマウス(M-SBF96)」、「ホイール付きUSBオプティカルマウス(M-U0003)」から、予算や好みによって選ぶことができる。今回同梱されていたのは、同社のレビュー記事で何時も掲載しているPS/2ポートタイプのものだったので特に写真は撮っていない。
サイズ170×403×362mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約7.7kg。価格は最小構成で69,930円(+送料2,625円)。今回の構成では103,530円(+送料2,625円)だった。
【8月2日訂正】記事初出時、構成価格を誤っておりました。お詫びして訂正します。
ケースは白で統一された一般的なミニタワーデスクトップPC。最近コンシューマ機では光沢ブラックのケースを見かけるが、指紋が目立つため筆者的にはこちらの方が好みだ(ただし汚れは目立つ)。オプション扱いのマルチカードリーダーの白がパネルの白と合わないのが若干気になるところか。フロントにはポートを隠すような小さいパネルは無い。
ファンはリアに2つ、加えて電源ユニットとCPU、ビデオカードで計5つ搭載している。起動時少し大き目の音がするものの、安定するとブォーと言う低い音に変わり、静音では無いがあまり耳につかないレベルにまで落ち着く。電源ユニットは450Wを搭載。今回程度の構成であれば、パワー不足になることは無い。
中を見て1番興味を持ったのはGPUに「ZOTAC」製のものが使われていたことだ。同社のWebで調べるとGTS 450でメモリ1GBのモデルは計4タイプ。DVI-Iの並び方などを見ると、「ZOTAC GeForce GTS 450(ZT-40501-10L)」が該当する。これまで色々なデスクトップPCのレビューを書いたが、明らかに「××製のモデル××」と分かるのは結構珍しいケースだ。
拡張スロットは、PCIe x16×1、PCIe x4×1、PCIe x1×2があるものの、GeForce GTS 450が2レーン占有している関係で、実質使えるのはPCIe x1、PCIe x4が各1となる。拡張ベイは5インチ×2(内1つ実装済み)、3.5インチ×1、3.5インチシャドウ×2(内1つ実装済み)。
その他フロント/リア、内部を見る限り、特殊な部分は見当たらず、各ポートの構成なども含めオーソドックスな作りで癖の無いミニタワーデスクトップPCと言えよう。ユーザーによるドライブの増設なども容易だ。
●高パフォーマンスでバランスのとれた構成OSは64bit版Windows 7 Home Premium。SP1適用済みだ。Internet Exploerも9になっている。メモリが8GBあるため動きにはかなり余裕がある。初期起動時のデスクトップは、左側にショートカットが少しあるだけのシンプルなもの。
HDDは「ST31000524AS」。容量1TBで7,200rpm、キャッシュ32MBのドライブだ。HDDのパーティションは、C:ドライブ約931GBの1パーティション。初期起動時、空き904GBとなっている。なおパーティションに関しては有償であるもののBTOでプライマリドライブのみ「パーティション分割」(C:ドライブ80GB、D:ドライブ残り)に対応している。
DVDスーパーマルチドライブは「DVD RW AD-7250H」。オプションのマルチカードリーダはUSB接続なのが分かる。ネットワークアダプタは「Intel 82579V」。IEEE 1394は「VIA 1394」が使われていた。
プリインストールアプリケーションは、「エプソンダイレクト 初期設定ツール」、「PCお役立ちナビ」、「マカフィー・PCセキュリティセンター 90日期間限定版」、「Nero MediaHub 10」、「InterVideo WinDVD for EPSON」など、かなりシンプルな構成だ。
特に画面キャプチャを掲載した2つのアプリケーションに関しては、デスクトップPCに限らず、同社製のPCとしてはお馴染みのもの。
BTOでは、「KINGSOFT Office2010 Standard」、「OpenOffice」、「ATOK 2011 for Windows」、「一太郎2011」なども選ぶことができる。
エプソンダイレクト 初期設定ツール | PCお役立ちナビ | NVIDIAコントロールパネル/システム情報 |
ベンチマークテストはWindows エクスペリエンス インデックスとCrystalMarkの結果を見たい。また参考までにCore i5-2310(2コア/4スレッド、2.9GHz/TB 3.2GHz、キャッシュ6MB)のIntel HD Graphics 2000の値をカッコ内に併記している。
Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 5.9。プロセッサ 7.6、メモリ 7.6、グラフィックス 7.2(5.2)、ゲーム用グラフィックス 7.2(4.7)、プライマリハードディスク 5.9。HDDのスコアだけ5台とバランスが悪く、他が7台なだけにプライマリドライブはSSD、セカンダリドライブは大容量HDDとして使いたいところか。自分で増設するのもいいし、BTOでは、プライマリドライブに80/120(SATA 6Gbps)/160GBのSSD。そして2台目・3台目に各1TBのHDDを選択することも可能だ。
CrystalMarkは、ALU 73753、FPU 64961、MEM 50175、HDD 14744、GDI 19857(17173)、D2D 16832(2124)、OGL 38924(2947)。GeForce GTS 450のパワーでD2D/OGL共にIntel HD Graphics 2000と比較して桁違いとかなり差のある値となっている。
Windows エクスペリエンス インデックス。総合 5.9。プロセッサ 7.6、メモリ 7.6、グラフィックス 7.2、ゲーム用グラフィックス 7.2、プライマリハードディスク 5.9 | CrystalMark。ALU 73753、FPU 64961、MEM 50175、HDD 14744、GDI 19857、D2D 16832、OGL 38924 |
以上のように「Endeavor TY5000S」は、64bit版Windows 7 Home Premium、Intel Core i5-2400プロセッサ、内蔵GPU、メモリ4GB(2GB×2)、HDD 500GB、DVDスーパーマルチドライブの基本構成で69,930円(+送料2,625円)と、国内メーカー製としては頑張った価格になっている。
Core-i5クラスのプロセッサを搭載したシンプルなミニタワーデスクトップPCで、ある程度のBTOに対応した安価な国産機を求めている人の候補になりえる1台だろう。