西川和久の不定期コラム

マウスコンピューター「LuvBook R400X2」
~Radeon HD 6730Mを搭載したパワフルな2スピンドル



 株式会社マウスコンピューターは6月24日、スタンダードノートPC「LuvBook」に15.6型の新しいラインナップ「R」シリーズを追加した。LuvBookはさまざまなシリーズがあるものの、15.6型のLuvBookはNVIDIA GPUを搭載した「T」シリーズのみだった。今回、AMD GPUを搭載した「R」シリーズの量産試作機「LuvBook R400X2」が届いたので、早速試用レポートをお届けする。


●Intel HM65 Expressに+αの魅力的な構成

 従来の「LuvBook T」シリーズは、15.6型の液晶パネル、第2世代Core-iプロセッサを搭載、NVIDIA GeForce GT 540Mと、CPU内蔵Intel HD Graphics 3000をGPUの必要性に応じて自動的に切り替えるNVIDIA Optimusテクノロジ対応の強力な2スピンドルマシンだ。そして今回発表された「Rシリーズ」は、2スピンドル、外部GPU搭載という意味では同じであるが、グラフィックスには更に高速なAMD Radeon HD 6730Mを採用している。主な仕様は以下の通り。

【表】「LuvBook R400X2」の仕様
CPUCore i5-2410M
(2コア/4スレッド、2.3GHz/TB 2.9GHz、キャッシュ3MB)
チップセットIntel HM65 Express
メモリ4GB(4GB×1) PC3-10600 DDR3-SDRAM (最大8GB)/2スロット(空1)
HDD750GB(5,400rpm)
OSWindows 7 Home Premium(64bit)SP1
ディスプレイ15.6型液晶ディスプレイ(光沢)、1,366×768ドット
グラフィックスAMD Radeon HD 6730M(1GB)、内蔵Intel HD Graphics 3000、
HDMI出力、ミニD-Sub15ピン
ネットワークGigabit Ethernet、IEEE802.11b/g/n、Bluetooth
光学ドライブBlu-ray Discドライブ
その他USB 3.0×2、eSATA/USB 2.0コンボ×1、メディアスロット、マイク入力、
ヘッドフォン出力、Webカメラ
サイズ/重量375.8×253×30~36.3mm(幅×奥行き×高さ)/重量2.5kg
バッテリ駆動時間4.6時間
価格79,800円

 CPUはCore i5-2410M。2コア/4スレッド、クロック2.3GHzでTurboBoost時2.9GHzまで上昇する。キャッシュは3MB。チップセットはIntel HM65 Expressで、メモリは4GB×1の計4GB。2スロットあり最大8GBまで増設できる。OSは64bit版Windows 7 Home Premium SP1。

 グラフィックスは、CPU内蔵のIntel HD Graphics 3000に加え、AMD Radeon HD 6730M(1GB)を搭載する。DirectX 11やOpenGL 4.1に対応、SP数は480基と、モバイル用としては強力なものだ。

 2つのGPUは同時には使えないものの、後述するPowerPlayによって、AC駆動の時はハイパワーのAMD Radeon HD 6730M、バッテリ駆動時は省エネが期待できるIntel HD Graphics 3000へ自動的に切り替え可能だ。出力はHDMIとミニD-Sub15ピン。液晶パネルは、15.6型のグレア(光沢)タイプで解像度は1,366×768ドット。PowerPlayの省電力効果がどの程度なのかは後半検証したい。

 HDDは5,400rpmの750GB、そして光学ドライブにBlu-ray Discドライブを搭載している。eSATA/USB 2.0コンボポートが1つあるので、外部に大容量のHDDなどを追加することもできる。

 ネットワークは、有線LANがGigabit Ethernet、無線LANがIEEE 802.11b/g/n、そしてBluetooth。廉価モデルであるにもかかわらず有線LANがGigabit Ethernetなのはポイントが高い。その他インターフェイスは、USB 3.0×2、メディアスロット、マイク入力、ヘッドフォン出力、Webカメラ。USB 3.0を2ポートというのは、先のeSATA×1同様、高速な外部ストレージに接続でき、容量不足に悩まずに済みそうだ。

【17時5分訂正】記事初出時、USB 2.0は搭載していないと表記しておりましたが、eSATAとのコンボになります。お詫びして訂正します。

 サイズは375.8×253×30~36.3mm(幅×奥行き×高さ)、重量2.5kg。2スピンドルのノートPCとしては標準的。バッテリ駆動時間は、最大約4.6時間だ。

天板は細かい模様の入ったダークブラウン左側にHDDアクセスLEDなどが並ぶ本体底面。小さいパネル側にHDD、大きいパネル側にメモリがある。1スロット空き
左側面。電源コネクタ、Gigabit Ethernet、ミニD-Sub15ピン、HDMI、USB 3.0×2テンキー付のキーボード。特に破綻している部分は無い。上にはスピーカーがある右側面。ロックポート、Blu-ray Discドライブ、メディアスロット、eSATA/USB 2.0コンボポート×1、マイク入力、ヘッドフォン出力
キーピッチは実測で約19mmACアダプタのコネクタはメガネタイプ。長辺13cmと大き過ぎず小さ過ぎず後ろは特にコネクタ類は無く、スッキリしている

 天板は細かい模様入りのダークブラウン。液晶パネルのフチは黒だが、パームレストやタッチパッドの部分も同じカラーリングだ。光沢のある外装で指紋が目立つ。ボディーのフチはシルバーで全体的にはバランスが取れた雰囲気となっている。

 タッチパッドはパームレストと同じ素材でツルツルしているが段差があり分かり易い。ボタンは左右物理的に2つ。少し硬めでクリック感はしっかりしている。ドライバはお馴染みSynaptics TouchPad(V7.2)だった。

 パネルはグレア(光沢)タイプなので映り込みはある。視野角は上下左右共ほぼ同等。発色は原色系がクッキリ浮き出す感じでコントラストもほどほどに高い。安価な15.6型ノートPCに使われているものより、ワンランク上のように思われる。バックライトをOFFにしても結構普通に見えるため、バッテリ駆動に向いたパネルだ。

 キーボードはテンキー付き。キーピッチは特にどこかが狭くなっていることもなく、約19mm確保されている。若干たわみ、またソフトなタッチ。このあたりは好みの問題もあるだろう。少し面白いのは無線ON/OFFのファンクションキー。多くのノートPCでは、1つのキーでWi-FiとBluetoothの2つをコントロールするものが多く、ON/OFFが順番に行なわれるため、片方だけONかOFFにしたい時、少し面倒なのだが、本機はBluetooth ON/OFFキー([ESC])とWi-Fi ON/OFFキー([F10])が独立していて、サクッと状態を変更できる。

 振動やノイズに関してはあまり気にならないが、発熱に関してはパームレスト左側が若干暖かくなる。

 今回唯一気になったのは、キーボードの上にあるステレオスピーカーだ。サウンドの傾向を語る前に、ボディサイズの割には最大出力はかなり低い。日頃レビューの時に使う音源はWindows 7に入っている楽曲3つをまずはじめに聴くのだが、どれも一般的なノートPCの半分以下の音量となっている。次に筆者手持ちの楽曲を聴いたところ、エネルギーバランスのほとんどが高域より。キンキン、シャリシャリ鳴るばかり。これは是非改善を望みたい。

●パワフルなAMD Radeon HD 6730M

 OSは64bit版Windows 7 Home Premium。SP1が適用済だ。Internet Explorerも9になっている。デスクトップ右側の輝度や音量などの状態を表すパネル(Power OSD)が印象的。タスクトレイには「Synapticsポインティングデバイス」、「Intel HD Graphics」、「RealTek HDオーディオマネージャ」、「マカフィーインターネットセキュリティ」、「Super POSH」、「Intel Rapid Storage Technology」、「Bluetooth」、「Catalyst Control Center」が常駐している。また、外部GPUがあるものの、切り替え可能な状態でIntel HD Graphics 3000も有効となっているので、実メモリは3.85GBと、一部共有メモリへ割当てられているのがわかる。

 HDDは750GB/5,400rpm/キャッシュ8MBの「MK7559GSXP」。C:ドライブ1パーティションのみで、約698GBが割当てられている。初期起動時の空きは677GB。Blu-ray Discドライブは「HL-DT-ST BD-RE BT10N」を搭載。Bluetoothは「CSR Bluetooth Device」、ネットワークは「Realtek」製、そしてUSB 3.0には「ASM104x」が使われている。グラフィックスは先に書いたように「AMD Radeon HD 6730M」と「Intel HD Graphics 3000」両方だ。

起動時のデスクトップ。OSは64bit版Windows 7 Home Premium SP1。IEは9になっている。右側に明るさや音量などの状態が分かるパネルがある(Power OSD)HDDはMK7559GSXP(750GB、5,400rpm、キャッシュ8MB)、Blu-rayドライブは「HL-DT-ST BD-RE BT10N」、ディスプレイアダプタにはAMD Radeon HD 6730MとIntel HD Graphics 3000両方が見えるC:ドライブのみの1パーティション。約698GBが割当てられている

 プリインストール済みのアプリケーションは、「マカフィーインターネットセキュリティ」、「CyberLink Blu-ray Disc Suite」、「Super POSH」など非常にシンプル。実際コントロールパネルのプログラムと機能の一覧を見ても、他はデバイスドライバーやモジュール、細かいツール系のみとなっていた。

 Super POSHは電源管理(Super Power)だけでなく、デスクトップ右側のパネルが「Super OSD」、システムの最適化とデフラグ機能の「Super SPEED」、CPUとHDDの状態を表示する「Super HDD」などシステム系の統合ツールだ。筆者は日頃からいろいろノートPCを試用しているが、このソフトウェアは初対面だ。グラフィカルでなかなか良く出来たツールと言えよう。Super POSH起動時は、Windows標準の電源管理はSuper Power固定となり変更できない(Super Powerの設定でWindows標準の電源管理へ切り替えることも可能)。

 Catalyst Control Centerの「PowerPlay」は、AC駆動時とバッテリ駆動時でGPUを自動的に切り替える仕掛けだ。標準ではAC駆動時/AMD Radeon HD 6730M、バッテリ駆動時/Intel HD Graphics 3000となっている。

Super POSH。キャプチャではVer.1.05.02(For Testing)となっているが、製品版ではVer1.06が搭載されるCatalyst Control Center/切り替え可能なグラフィックス(PowerPlay)CyberLink Blu-ray Disc Suite

 ベンチマークテストはWindows エクスペリエンス インデックスとCrystalMark、BBenchの結果を見たい。なおカッコ内は参考までに(機種は違うが)同じプロセッサの内蔵Intel HD 3000の値を掲載している。

 Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 5.9。プロセッサ 6.9、メモリ 5.9、グラフィックス 6.8(4.7)、ゲーム用グラフィックス 6.8(6.1)、プライマリハードディスク 5.9。メモリとHDDが足を引っ張っている。できればメモリは2枚にしてデュアルチャンネルアクセス、HDDをSSDにして更にアップしたい雰囲気だ。

 CrystalMarkは、ALU 38596、FPU 39628、MEM 24266、HDD 10006、GDI 14159(13412)、D2D 3229(1346)、OGL 23146(2386)。特にGPUに関しては、Intel HD Graphics 3000との違いは圧倒的。GDIこそ差が無いものの、D2Dでは約3倍、OGLでは桁違いの結果となった。AMD Radeon HD 6730Mの圧倒的なパワーを見て取れる。

 BBenchは、Super POSH/Super Powerの省電力モード、バックライトOFF、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、Wi-Fi/ON、Bluetooth/OFFでの結果だ。バッテリの残3%で9,730秒(2.7時間)。Radeon HD 6730Mのままだと8,378秒(2.3時間)と、約20分ほど短くなる。どちらのパターンも外出時にモバイル用途として使うのには少し短い駆動時間と言えるが、本体サイズと用途を考えれば問題はないだろう。

Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 5.9。プロセッサ 6.9、メモリ 5.9、グラフィックス 6.8、ゲーム用グラフィックス 6.8、プライマリハードディスク 5.9CrystalMarkの結果。ALU 38596、FPU 39628、MEM 24266、HDD 10006、GDI 14159、D2D 3229、OGL 23146BBench。Super POSH/Super Powerの省電力モード、バックライトOFF、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、WiFi/ON、Bluetooth/OFFでの結果だ。バッテリの残3%で9,730秒(2.7時間)

 以上のように、「LuvBook R400X2」は、パワフルなグラフィックスAMD Radeon HD 6730Mを採用し、Blu-ray Discドライブを搭載した2スピンドルノートPCだ。スピーカーの出力が小さいのは気になるものの、USB 3.0やeSATA、AC駆動とバッテリ駆動で自動的にGPUを切り替えるPowerPlayに対応しているのも魅力的。

 同価格帯では内蔵Intel HD Graphics 3000を使ったスタンダードな15.6型が多い中、+αを求めているユーザーの候補になりえる1台と言えよう。