西川和久の不定期コラム
フルHDパネル2枚で1,920×2,160ドット表示も可!折りたためる2画面モバイルモニター「MINISFORUM MDSA156」
2025年2月7日 06:11
小型のモバイルモニターはいろいろあるが、今回はちょっと変わった上下に15.6型1,920×1,080ドットのパネルを搭載し、折りたたんで持ち運べるMINISFORUMの「MDSA156」が編集部から送られてきたのでご紹介したい。
上下1,920×1,080ドット2画面に加え1,920×2,160入力にも対応!
以前少し書いたことがあるが、筆者のメイン環境は、下にMacBook Pro 14、上に27型4K OLED(PHILIPS 27E1N8900/11)と、上下2画面のマルチモニターになっている。
こうなるまでには紆余曲折あり、もちろん左右2画面、左中央右の3画面などいろいろ試し、結局これに落ち着いている。最大の理由は、左右にパネルがあると視線(や首)の移動(や回転)が多く疲れること。
上下に配置した場合、アプリは、下側に常時使う、メール、スケジュール、Slack、Teams、Messengerなどメッセージ系、加えて最近だとAIチャット系を並べ、上側は仕事に応じて仮想デスクトップを切り替えて……っと言った感じになる。
これによって、仕事中、必要に応じて視線を下にするだけでメールやスケジュールなどにアクセス可能。また送られて来た内容を参照しつつも便利だ。
左右配置だと視線が右に行ったり左に行ったりで、パネルサイズが大きいと移動量も多くなり+αで疲れる。
そんな中、届いたのが今回ご紹介する「MDSA156」。フルHD が上下に2画面、加えて折りたたんで持ち運べるモバイルモニター。お!っと思ったのは言うまでもない。主な仕様は以下の通り。
MINISFORUM「MDSA156」の仕様 | |
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パネル | 15.6型IPS式1,920×1,080ドット(16:9)/2画面、非光沢、250cd/平方m、45% NTSC |
インターフェイス | HDMI、USB Type-C×2、3.5mmジャック、デュアルスピーカー(2W×2) |
サイズ/重量 | 355×216×22.3mm(幅×高さ×奥行き)、1.6kg |
付属品 | USB Type-Cケーブル(フル機能)、USB Type-C電源ケーブル、HDMI to HDMI ケーブル、電源アダプタ(最大30Wまで) |
価格 | 3万7,580円(Amazon調べ) |
パネルは非光沢の15.6型IPS式1,920×1,080ドット(16:9)で上下に2画面。最大輝度250cd/平方m、色域45% NTSC。個人的には16:10やOLEDに興味があるものの、そこはまだ見ぬ上位モデルに期待したいところ。
面白いのは上1,920×1,080ドット、下1,920×1,080ドットに加え、上下合わせて1,920×2,160ドット入力にも対応していること。間に縁があるので、全画面で使うのは厳しそうだが、1つの大きなパネルとして使えるのはなかなか便利そうだ。
インターフェイスはHDMI、USB Type-C×2、3.5mmジャック、デュアルスピーカー(2W×2)。付属品はUSB Type-Cケーブル(フル機能)、USB Type-C電源ケーブル、HDMI to HDMI ケーブル、電源アダプタ(最大30Wまで)。電源アダプタや電源用USB Type-Cケーブルが含まれているが、もちろんPC側からの映像+給電で作動するため、ケーブル1本で取り回しが可能。
サイズ355×216×22.3mm、重量1.6kg。このサイズは折りたたんだ時のもので開くと扉の写真から分かるように、高さが倍となり結構大きく迫力がある。
価格はAmazonで3万7,580円。フルHD一面だとこの半分程度の価格からあるため、値段的には妥当なところだ。また価格的にハイエンドのプロフェッショナル用途を狙ったものではなく、一般的な用途で使うモニターという位置付けとなる。
筐体はツヤなしブラック、フチは左右は細目だが、上下は少しある。スタンドは結構硬く、曲げにくいが、その分、ガッチリ安定する。スタンドは最大180度、つまり机に並行まで倒すことができる。重量は実測で1,438g。カバンに入れ持ち運べる範囲だろう。
左側面にUSB Type-C×2、HDMI。右側面に3.5mmジャック、モード/戻るボタン、輝度/音量/移動±ボタン、電源/メニュー/確定ボタンを配置。裏は固定用のスタンドとVESAマウンタ用のネジ穴がある。
付属品はType-Cケーブル(フル機能)、Type-C電源ケーブル、HDMI to HDMI ケーブル、電源アダプタ(最大30Wまで)。白いタグが付いているType-Cケーブルが電源用だ。
2画面をいろいろなモードで使用可能
15.6型のディスプレイは明るさ、コントラストは良好。視野角は下側が角度大き目だとさすがに少し厳しくなるが、これは仕方ないところか。
発色は色域45% NTSCなので広くなく、sRGBだとカバー率約62.4%相当。一般的なノートPC搭載のパネルと同程度だ。ビジネス用途はOKだが、写真編集などクリエイティブ系はちょっと……という感じだろうか。写真は掲載していないが、MacBook Pro 14に接続した場合、本体側のモニターとの差は歴然。並べて使うにも差があり過ぎて……という感じになってしまう。
i1 Display Proを使い、特性を測ったところ、最大輝度283cd/平方m。写真の鑑賞/編集で最適とされる標準の明るさ120cd/平方mは、輝度39%で121cd/平方m。この状態で測定した。黒色輝度は0.093cd/平方mと少し浮いているがIPSパネルなら一般的。リニアリティは明るい方で少しばらつきがあるもののなかなか良い。
OSD 1段目の項目は、画質調整、色設定、オーティオ設定、その他、入力切替。全て写真を掲載したので参考にしてほしい。色域が狭い関係でsRGBなどの項目はなく、寒色/暖色が選べる程度となる。見慣れないMAC拡張については以降の説明を参考にして頂きたい。
実際の操作は右側面、下のボタンで電源オン/オフ、OSD呼び出し、確定。輝度/音量±ボタンで項目移動、モードボタンはOSDがオンの時は戻る、オフの時は結合モードと2画面独立モードがトグルとなる。
作動モードは大きく分けて5つだ。
- 結合モード: 1,920×1,080ドット2画面合わせて1,920×2,160で使用/入力: 1つ
- ミラーモード: それぞれに同じものを映す(テンドモードも同様)/入力: 1つ
- 2画面独立モード1: USB Type-CとUSB Type-CもしくはUSB Type-CとHDMIで個別に接続/入力: 2つ
- 2画面独立モード2: Windows/MAC拡張オフ/入力: 1つ
- 2画面独立モード3: macOS/MAC拡張オン/下側がUSBディスプレイ(付属のドライバ使用)/入力: 1つ
1から3までは一般的なので、特に説明の必要はないだろう。3では設定 > システム > ディスプレイで上下の配置に変更する。ミラーモードでかつテントモードでは、上側の映像は自動的に上下入れ替わるが、縦置き左右では、OS側の設定で回転させる必要がある。
4はWindowsの場合、OSDでその他→MAC拡張をオフにして使用。ケーブル1本で2画面に分離できる。
5はmacOSのケースだ。この時はOSDのその他→MAC拡張をオンにする。モニター内部に小さなUSBドライブ(読み込み専用)があり、自動的にマウントされ、そこにmacOS用のUSBディスプレイドライバが入っている。なお同社のWebサイトからドライバをダウンロードすることも可能だ。
これをインストールすることにより、下型がUSBディスプレイとなり、USB Type-Cケーブル1本で2画面独立作動が可能となる。おそらくWindows 11(24H2)ではこのドライバ相当が標準で入っているため、インストールは不要なのだろう。
WindowsでもmacOSでも2画面独立/US Type-Cケーブル1本の場合、下側はUSBディスプレイなるため、PDFやWebサイトなど参照用途的に使うのが無難だ。
個人的に、たとえばWindowsとLinuxなど別々の画面を2つに映さない限り、結合モードで1,920×2,160ドットにして一画面扱いにするのが使い勝手は良かった。
サウンドは下側面の左右にスピーカーがあり、机などに音が反射する。パワーはあるのだがかなりのシャリシャリ音で音楽系はちょっと……というところかも知れない。
いずれにしても(PC側のUSB Type-Cから映像信号が出ていれば)USB Type-Cケーブル1本で接続出来るため取り回しが楽。ミニPCや小型になったMac miniなどを接続、モニターの手前にキーボードとタッチパッドを配置すると(高さはあるが)あまり場所を取らず、かつ効率良い作業環境ができ上がる。
筆者も1組欲しいところだが、既に机の上はモニターだらけ。本機を設置する場所がなかったりする(笑)。
以上のようにMINISFORUM「MDSA156」は、15.6型1,920×1,080ドットのパネルを2面搭載したモバイルモニターだ。上下合わせて1,920×2,160ドットにするモードは結構使いやすく、ノートPCの+αモニター、ミニPCなどのメインモニターとしても十分使え、価格も4万円を切っておりお手頃だ。
ただ45% NTSCは、一般的な事務用途ならOKだが、画像編集などクリエイティブ用途では色域が狭い。できればsRGB 100%の上位モデルやOLED版をリリースしてほしいところだ。
とは言え、なかなか面白い製品であり、1画面で使うより、グッと作業効率が上がる。外出先での作業が多いなど、お!っと思ったユーザーに是非使ってほしい逸品だ。