西川和久の不定期コラム
小型筐体にRyzen 9と32GB/2TBを詰め込んだ10万円ちょっとのミニPC、GEEKOM「NUC A7」
2024年3月29日 06:08
Ryzen 9-7940HS/32GB/2TB内蔵のミニPC
GEEKOMは本連載で初めて取り上げるメーカーだ。同社のサイトを見ると、主にミニPCを扱っているようだ(加えてアクセサリが若干)。ミニPCは8モデルあるが、プロセッサが少し古いものも含まれているので、実質はもう少ないモデル数だろうか。
今回ご紹介する「NUC A7」の主な仕様は以下の通り。
GEEKOM「NUC A7」の仕様 | |
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プロセッサ | ARyzen 9 7940HS(8コア16スレッド/標準クロック4GHz/最大ブーストクロック5.2GHz/キャッシュ L2 8MB, L3 16MB/TDP 35~45W/cTDP35~54W) |
メモリ | 32GB/LPDDR5-5,600MHz |
ストレージ | M.2 2280 2TB |
OS | Windows 11 Pro |
グラフィックス | AMD Radeon 780M(12コア/2,800MHz)/HDMI 2.0×2、Type-C×2 |
ネットワーク | 2.5Gigabit Ethernet、Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.2 |
インターフェイス | USB4×1、USB 3.1 Type-C×1、USB 3.1 Type-A×3、USB 2.0 Type-A×1、SDカードスロット、3.5mmジャック |
サイズ/重量 | 112.4×112.4×37mm、416g(実測) |
価格 | 11万8,000円(Ryzen 9 7940HS/32GB/2TB)、9万4,000円(Ryzen 7 7840HS/32GB/1TB) |
プロセッサはAMD Ryzen 9 7940HS。8コア16スレッドで標準クロックは4GHz、最大ブーストクロックは5.2GHzまで上がる。キャッシュは L2 8MB/L3 16MB、TDPは35~45W、cTDPは35~54W。下位モデルとしてRyzen 7 7840HS搭載機も用意されている。
メモリはLPDDR5-5,600MHzで32GBと大容量。ストレージもミニPCでは珍しくM.2 2280 SSD 2TB(下位モデルは1TB)と大きい。OSはWindows 11 Pro。23H2だったのでこの範囲でWindows Updateを適応し評価した。
グラフィックスは、プロセッサ内蔵AMD Radeon 780M(12コア/2,800MHz)。外部出力用にHDMI 2.0×2とType-C×2を装備。4画面出力が可能だ。
ネットワークは2.5Gigabit Ethernet、Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.2。そのほかのインターフェイスは、USB4×1、USB 3.1 Type-C×1、USB 3.1 Type-A×3、USB 2.0 Type-A×1、SDカードスロット、3.5mmジャック。USBが多めな上にSDカードスロットありはポイントが高い。
サイズは112.4×112.4×37mm、重量(実測)は416g。iPhone 13 Proとの比較写真からも分かるようにコンパクトだ。
価格はRyzen 9 7940HS/32GB/2TBで11万8,000円、Ryzen 7 7840HS/32GB/1TBで9万4,000円。内容を考えるとリーズナブルではないだろう。
筐体はご覧の通りNUCタイプ。ACアダプタを加えても約660gと1kgを大きく下回るので、カバンに入れ持ち運びすら容易だ。
前面はUSB 3.1×2、3.5mmジャック、電源ボタン。背面は電源入力、USB4、HDMI、2.5Gigabit Ethernet、USB 3.1、USB 2.0、USB 3.1 Type-C、HDMI。加えて左側面にSDカードスロットを配置。付属のACアダプタは、サイズ約97×65×23mm、重量220g、出力19V/6.32A。
いつものキーボード付きモバイルモニターへの接続は、USB4があるのでケーブル1本で行けるかと思ったものの、画面が出ず、またキーボードも認識しなかったので(つまりUSBそのものが動いていない可能性あり。もう1つのType-Cも同様)、もしかすると届いた実機の不都合かも知れない。そのため今回はUSBとHDMIケーブル、2本を使用して接続している。
内部へアクセスするには、裏のゴム足4つを剥がし、その下にあるネジを外す必要がある。これで裏パネルを外すことができるが、細いケーブル1本が本体側とつながっているため、強く引っ張らないように注意がいる。そして内部にもう1枚仕切りがあり、これも四隅にネジがあるので外すと、SSDとメモリにアクセスできる。ちょっと面倒そうだが、実際やってみると大したことはない。UEFIは起動時、[DEL]キーを押す一般的なパターンでOKだ。
ファンノイズは耳をかなり近づけると聞こえるものの、一般的な距離であれば問題ないレベルだ。発熱は、ベンチマークテストなど負荷をかけてもあまり熱を持たない。搭載している冷却機構が優秀なのだろう。
重いゲーム以外なら余裕のパフォーマンス
初期起動直後は追加アプリや壁紙の変更などもなく、Windows 11 Pro標準のまま。高めのスペックなので非常に快適に動作する。サイズでこんなに快適なの? と驚くほど。
ストレージは、M.2 2280 2TB SSDの「Acer SSD N5000 2TB」。AcerのSSDは本連載初登場だが、メーカーサイトには情報がない。C:ドライブのみの1パーティションで約1,905GB割り当てられ空き容量1.82TB。BitLockerで暗号化されている。
2.5Gigabit EthernetはRealtek Gaming 2.5Gigabit Ethernet、Wi-FiはMediaTek Wi-Fi 6E MT7922、BluetoothもMediaTek製だ。
ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、Cinebench R23、CrystalDiskMarkを使用した。各スコアからも分かるように、NUCでもハイエンドクラスのパフォーマンスを叩き出している。ヘビーなゲーム以外であれば十分以上に使えるはずだ。
ベンチマーク | スコア |
---|---|
PCMark 10 v2.1.2662 | |
PCMark 10 Score | 7,560 |
Essentials | 11,385 |
App Start-up Score | 16,405 |
Video Conferencing Score | 8,667 |
Web Browsing Score | 10,380 |
Productivity | 10,601 |
Spreadsheets Score | 13,573 |
Writing Score | 8,280 |
Digital Content Creation | 9,713 |
Photo Editing Score | 13,222 |
Rendering and Visualization Score | 10,172 |
Video Editting Score | 6,814 |
PCMark 8 v2.8.704 | |
Home Accelarated 3.0 | 5,631 |
Creative Accelarated 3.0 | N/A |
Work Accelarated 2.0 | 5,652 |
Storage | 5,066 |
3DMark v2.28.8217 | |
Time Spy | 3,313 |
Fire Strike Ultra | 2,358 |
Fire Strike Extreme | 4,225 |
Fire Strike | 7,971 |
Sky Diver | 27,818 |
Cloud Gate | 39,821 |
Ice Storm Extreme | 177,584 |
Ice Storm | 218,430 |
Cinebench R23 | |
CPU | 15,931(4位) |
CPU(Single Core) | 1,205(4位) |
CrystalDiskMark 6.0.0 | |
Q32T1 シーケンシャルリード | 4862.339 MB/s |
Q32T1 シーケンシャルライト | 4704.933 MB/s |
4K Q8T8 ランダムリード | 1791.771 MB/s |
4K Q8T8 ランダムライト | 447.252 MB/s |
4K Q32T1 ランダムリード | 494.040 MB/s |
4K Q32T1 ランダムライト | 584.982 MB/s |
4K Q1T1 ランダムリード | 45.927 MB/s |
4K Q1T1 ランダムライト | 124.530 MB/s |
以上のようにGEEKOM「NUC A7」は、Ryzen 9 7940HSにメモリ32GB、ストレージ2TBを搭載した非常に強力なミニPCだ。大きさの割に静かで熱が出ないのも魅力的。10万円未満に抑えたい時は下位モデルのRyzen 7 7840HS/32GB/1TB用意されている。
手元に届いた実機はUSB4の不都合があったものの、これがなければNUCタイプのミニPCの中でもかなりオススメだろう。新年度に備えPCを新調したいユーザーにお勧めの1台と言える。