西川和久の不定期コラム
第13世代Coreで性能向上し、5Gも対応する魅力的な着脱式2in1「NEC VersaPro タイプVS」
2024年3月15日 13:02
NECは2024年1月、プロセッサなどさまざまな部分をスペックアップした新型の着脱式2in1「VersaPro タイプVS<VS-L>」を発表した。今となってはやや珍しいフォームファクタとなったが、今どきのメインストリームのCPUを搭載していることもあって注目の1台だ。試用レポートをお届けしたい。
プロセッサが第13世代Core i5、そしてメモリ32GB、ストレージ512GBも選択可能に
1世代前のタイプVSはちょうど筆者が記事にしているので参考にしてほしいが、プロセッサに第11世代のCore i5-1130G7を搭載した2in1だった。
そして今回ご紹介するタイプVSは、プロセッサに第13世代のCore i5-1335Uを採用。そのほか、最大メモリ32GB、ストレージ最大512GB、LTE/5G対応、USB 4搭載など、さまざまな部分をスペックアップした2024年1月発表の新型となる。主な仕様は以下の通り。
NEC「VersaPro タイプVS<VS-L>」の仕様 | |
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プロセッサ | Core i5-1335U(2P+8E/10コア/12スレッド/最大4.6GHz/キャッシュ 12MB)、vPro Essentials対応可能 |
メモリ | 16GB(オンボード固定)/LPDDR5X |
ストレージ | SSD 256GB/PCIe |
OS | Windows 11 Pro/22H2 |
ディスプレイ | 12.3型IPS式1,920×1,280ドット(3:2)、10点マルチタッチ、光沢 |
グラフィックス | Intel Iris Xe Graphics eligible/Type-C×2 |
ネットワーク | Wi-Fi 6E対応、Bluetooth 5.3、LTE/5G対応あり(eSIM対応) |
インターフェイス | USB 4×1、USB 3.1 Type-C×2(うち1つDisplayPort Alt Mode対応)、500万画素前面カメラ(IR対応)/800万画素背面カメラ、ステレオマイク/スピーカー(ヤマハ製 AudioEngineTM機能搭載)、音声入出力 |
バッテリ駆動時間 | 約5.1時間(JEITA3.0 動画再生時) |
サイズ/重量 | 283×220.4×10.5mm、重量約759g(LTE選択時は約759g、5G選択時は約765g) |
価格 | 22万4,300円(税別、vPro/16GB/256GB/5G、NEC得選街価格) |
プロセッサは、第13世代Core i5-1335U。2P+8Eの10コアで12スレッド。クロックは最大4.6GHz。キャッシュ 12MB。vPro Essentialsも選択可能だ。前世代のタイプVSはCore i5-1130G7だったので、2世代新しくなったことになる。
メモリはLPDDR5Xの8/16/32GB。これもLPDDR4X 8/16GBからパワーアップしている。ストレージはPCIe SSD 256GBに512GBが加わった。OSはWindows 11 Pro。22H2だったのでこの範囲でWindows Updateを適応し評価している。
グラフィックスはIntel Iris Xe Graphics eligible。外部出力用にUSB Type-C×2を備える。ディスプレイは、12.3型IPS式1,920×1,280ドット(3:2)、光沢の10点マルチタッチ。デジタイザペン(AES2.0対応)にも対応する。
ネットワークは、Wi-Fi 6E対応、Bluetooth 5.3。オプションとしてLTEと5Gにも対応(eSIM対応)。そのほかのインターフェイスは、USB 4×1、USB 3.1 Type-C×2(うち1つDisplayPort Alt Mode対応)、500万画素前面カメラ(IR対応)/800万画素背面カメラ、ステレオマイク/スピーカー(ヤマハ製 AudioEngineTM機能搭載)、音声入出力。USB4があるので、その気になればeGPUボックスを付けることも可能だ。
サイズは283×220.4×10.5mm、重量約759g(LTE選択時は約759g、5G選択時は約765g)。
NEC得選街における直販価格はvPro対応、16GB、256GB、5G対応で税別価格で22万4,300円(税込は24万6,730円)。 カバーキーボード「PC-U-KBSKNL」は1万2,500円(税別)、デジタイザペン「PC-U-PDSNPL」は6,100円(税別)となる。
vPro非対応だと、プロセッサがCore i5-1345Uとなり価格は少し下がるものの、LTE/5Gの選択ができない。1世代前と比較してvProなしで約3万円ほど高くなっているが、この円安なので仕方ないところか。
筐体は283×220.4×10.5mm、重量は実測で757g。12.3型でパネルが3:2なので、所有するiPad Pro 12.9とサイズ感などは似てる。いずれにしてもタブレットとしては大きい方で、大きい分、実務的な作業はしやすくなる。
前面は画面中央上に500万画素前面カメラ。指紋センサーは非搭載だが顔認識に対応する。背面は中央上に800万画素背面カメラ。半分から下がキックスタンドとなる。傾きは最大約165度。左側面上からnanoSIMスロット、USB 4、USB 3.1 Type-C、3.5mmジャック、スピーカーL、USB 3.1 Type-C。下側面はキーボード用接点。右側面上から電源ボタン、ロックポート、スピーカーR、音量±ボタンを配置。上側面はスリットのみ。
ACアダプタはUSB PD/45Wタイプで同種であればほかのものでも充電可能。ペンもUSB Type-Cでの充電となる。
着脱式のキーボード(オプション)は、キーピッチが実測で約18mm。仕様上はキーピッチ18mm、キーストローク1.5mm。シルバーベースに刻印が黒。この組み合わせは視認性が低いので個人的には好きではない。配列などは特に歪なものはなく、キーピッチも[Space]近辺と[Fn]以外は同じ。なかなかうまく収まっている。タッチパッドも入る限りの大きさで十分な面積だ。
本体の下側に接点があり、そこへ接続、また下の縁に付くためキーボードがチルトする。これだけ角度があると入力しやすい。重量は本体込みで実測で1,042gとほぼ1kg。これなら持ち運びも容易だろう。
打鍵感は、少し深めでクリック感があり、それなりに良いのだが、上記したように、チルトするとキーボード部分が宙に浮くので、少したわむのは仕方ないところか。
12.3型のディスプレイは、発色、明るさ、コントラスト、視野角……全て良好。i1 Display Proを使い特性を測ったところ、最大輝度329cd/平方m。写真の鑑賞/編集で最適とされる標準の明るさ120cd/平方mは、最大から-6が133cd/平方m、-7が99cd/平方m。従って前者で計測。黒色輝度は0.086cd/平方mと少し浮いているがIPSパネルなら一般的。リニアリティはかなりいい。ただしBの補正量だけ気持ち多めだ(=補正前は少し黄色い)。
筆者は最近、Web会議に「MacBook Pro 14(M1 Pro)」の前面カメラを使っており、いつもの位置/同じ照明で試したが、画質は正直見劣りする印象だ。とは言え、企業とのミーティングの時によく見かける絵なので、これが標準的なのかもしれない。
一方。背面カメラは撮影サンプルを1枚掲載したので参考にしてほしいが、この手のタブレットとしては(Apple製品を除く)良く写る方だと思われる。
別売のUSB Type-C拡張ドックは、前面(写真からは見えない)がUSB Type-C、USB Type-A、音声入出力。背面がUSB Type-C(本体接続用)、電源入力、DisplayPort×2、HDMI、USB Type-A×2、Gigabit Ethernet、USB Type-A×2。これは1世代前の時に扱ったものと同じとなる。
ノイズや発熱は試用した範囲で特に気にならなかった。ベンチマークテストなど負荷をかけると裏の左上が少し暖かくなる程度。サウンドはPC設定ツール / YAMAHAサウンド設定でProfileをMusic/TV/Cinemaなどいろいろ切り替えできるようになっている。いずれもそれほどパワーはないが、業務用であれば十分な範囲だろう。
旧モデルから大幅に性能向上!
初期起動時、壁紙は変更されているものの、デスクトップにショートカットなどはなし。代わりにタスクバーに「NECお試しアプリ集」のアイコン、スタートメニューにお試しアプリ集、「Power2Go」、「型番・製造番号表示ユーティリティ」、「ウィルスバスタークラウド」、「PC設定ツール」がピン留めされている。Core i5、メモリ16GB、SSDということもあり作動自体は快適。
ストレージのSSD 256GBは「KBG5AZNT256G LA KIOXIA」。なぜかKIOXIAのサイトにはKBG5AZNT型番がなく、ここによると、シーケンシャルリード2,890MB/s、シーケンシャルライト1,828MB/s。CrystalDiskMarkのスコアはこれより少し高めになっている。C:ドライブのみの1パーティションで約236GBが割り当てられ空き199GB。BitLockerで暗号化されている。
Wi-FiはIntel Wi-Fi 6E AX211 160MHz、BluetoothもIntel製。オプションの5Gモジュール付きでIntel 5G Solution 5000。
主なプリインストールのソフトウェアは、「Cyberlink Power 2 Go 8」、「NECお試しアプリ集」、「PC設定ツール」、「Yamahaサウンド設定」、「ウィルスバスタークラウド」、「型番・製造番号表示ユーティリティ」など。基本業務用なので、一般向けのようにいろいろ入ってはおらず、必要最小限となっている。
手元に届いた実機は5G搭載機だったので、手持ちの関係からLTEになってしまうが、軽くテストした。設定自体は簡単。まず設定→ネットワークとインターネット→携帯電話でSIM/eSIMを切り替える(今回はSIM)。APNはmopera系しか入っていないため新規に追加。これで通信可能となる。
ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、Cinebench R23、CrystalDiskMark、PCMark 10/BATTERY/Modern Officeを使用した。
基本ビジネス用ということで、PCMark 10には前モデルのスコアもカッコ内に併記した。ご覧のように全項目で本機が圧勝している。これだけ違うと使い勝手も大きく変わるはずだ。
PCMark 10/BATTERY/Modern Officeは4時間55分(電源モード/バランス、明るさ、バッテリモードなどはシステム標準)。JEITA3.0 動画再生時 約5.1時間とほぼ同じ。このテストはそれなりにずっとCPUなどが動いているので、近い感じになったのだろう。節約機能ONにすればまた違う結果になったかもしれないが、ここは試用する全機種統一している関係もあり、いつもの状態でテストしている。
試しに、節約機能を「常にON」で再測定したところ6時間16分だった。パネルの明るさなど、いろいろ制御されるものの、バッテリ駆動時にはオンにした方が良さそうだ。
PCMark 10 v2.1.2662 | |
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PCMark 10 Score | 5,115 (3,590) |
Essentials | 10,404 (8,155) |
App Start-up Score | 14,262 (10,084) |
Video Conferencing Score | 8,409 (7,521) |
Web Browsing Score | 9,392 (7,153) |
Productivity | 6,675 (5,186) |
Spreadsheets Score | 6,846 (4,807) |
Writing Score | 6,510 (5,596) |
Digital Content Creation | 5,230 (2,971) |
Photo Editing Score | 7,981 (4,717) |
Rendering and Visualization Score | 2,849 (1,654) |
Video Editting Score | 6,295 (3,363) |
PCMark 8 v2.8.704 | |
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Home Accelarated 3.0 | 4,562 |
Creative Accelarated 3.0 | N/A |
Work Accelarated 2.0 | 3,123 |
Storage | 5,030 |
3DMark v2.28.8217 | |
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Time Spy | 1,368 |
Fire Strike Ultra | 1,067 |
Fire Strike Extreme | 1,945 |
Fire Strike | 3,855 |
Sky Diver | 12,686 |
Cloud Gate | 16,944 |
Ice Storm Extreme | 77,689 |
Ice Storm | 93,503 |
Cinebench R23 | |
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CPU(Multi Core) | 6,587 pts |
CPU(Single Core) | 1,535 pts |
CrystalDiskMark 6.0.0 | |
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Q32T1 シーケンシャルリード | 3049.956 MB/s |
Q32T1 シーケンシャルライト | 2021.278 MB/s |
4K Q8T8 ランダムリード | 644.825 MB/s |
4K Q8T8 ランダムライト | 334.170 MB/s |
4K Q32T1 ランダムリード | 443.098 MB/s |
4K Q32T1 ランダムライト | 343.990 MB/s |
4K Q1T1 ランダムリード | 57.092 MB/s |
4K Q1T1 ランダムライト | 133.246 MB/s |
以上のようにNEC「VersaPro タイプVS」は、第13世代Core i5となりパワーアップ、加えてメモリ32GB、ストレージ512GB、LTE/5Gも選択可能……と、今風になった2in1だ。ペンなども含め豊富なオプションも魅力的。
個人的にキーボードの配色が気になるものの、これは個人差もあるだろう。一方で本体特に欠点らしい欠点もなく、旧モデルから大幅に性能が向上している。着脱式でタブレット形状での利用も考えている企業にとって、強力な有力候補になりえる1台と言えよう。