西川和久の不定期コラム
ChatGPT/Bing AIキーつけちゃう!?N95搭載の実用スペックノート「BiTECOOL NC15N」
2023年7月25日 06:21
BiTECOOLは、Intel N95プロセッサ、メモリ16GB、SSD 512GBを搭載しつつ、一風変わったショートカットキーを搭載した15.6型スタンダートノートPC「NC15N」をAmazonで販売中だ。編集部から実機が送られてきたので試用レポートをお届けしたい。
16GB/512GB/15.6型フルHD搭載で5万円を切るノートPC!
BiTECOOLはこの連載では初登場。同社のサイトを眺めると、ノートブック専門でかつ、主にCore未満のプロセッサを搭載し安価なモデルを扱ってる。またサイズは14~15.6型。割とスタンダードなラインナップだ。
今となっては従来のCeleronクラスはパフォーマンス的につらいが、そこに登場したのがAlder Lake-Nの「Intel Processor N95」や「N100」。12世代(以降)のEコアのみで構成したプロセッサで、少し前にミニPCで評価したが、本当に第6世代Coreに相当するパフォーマンスだった。筆者は、6~8世代Core i搭載ノートPCを多く所有しているが体感速度も変わらない。
今回ご紹介するのは、そのうちN95を搭載したNC15N。主な仕様は以下の通り。
BiTECOOL「NC15N」の仕様 | |
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プロセッサ | Intel Processor N95(4コア4スレッド/クロック最大3.4Hz/キャッシュ 6MB/TDP 15W) |
メモリ | 16GB/DDR5 |
ストレージ | 512GB SSD(M.2 NVMe 2280) |
OS | Windows 11 Pro/22H2 |
ディスプレイ | 15.6型非光沢IPS式1,920×1,080ドット(16:9) |
グラフィックス | Intel Core Graphics(16 units)/HDMI、Type-C |
ネットワーク | GbE、Wi-Fi 11ac対応、Bluetooth 5.2 |
インターフェイス | USB 3.0×2、USB 2.0、USB Type-C、Webカメラ、microSDカードスロット、3.5mmジャック |
サイズ/重量(どちらも実測) | 約355×235×20mm/約1.6kg |
税込価格 | 4万2,980円(Amazon調べ) |
プロセッサはAlder Lake-NのIntel Processor N95。4コア4スレッド、クロックは最大3.4GHz。キャッシュは6MB、TDPは15W。メモリはDDR5の16GB。ただしシングルチャンネル作動となる。ストレージはM.2 NVMe 2280 SSDの512GB。OSはWindows 11 Pro。22H2だったのでこの範囲でWindows updateを適応し評価している。
グラフィックスは、Intel Core Graphics(16EU)。外部出力用にHDMIとType-C(いつものキーボード付きモバイルモニターで確認)を備えている。ディスプレイは15.6型非光沢IPS式1,920×1,080ドット(16:9)だ。
ネットワークはGbE、Wi-Fi 11ac対応、Bluetooth 5.2。そのほかのインターフェイスは、USB 3.0×2、USB 2.0×1、USB Type-C、Webカメラ、microSDカードスロット、3.5mmジャック。
サイズ/重量は、メーカーサイトやaAazonに無かったため、実測で約355×235×20mm/約1.6kg。15.6型としては普通と言ったところか。
税込価格は4万2,980円(Amazon調べ)。N95は第6世代Core同等と言われているパフォーマンス(実際少し前に搭載機で試してもそうだった)、それにメモリ16GB、SSD 512GB、フルHDの15.6型パネル。これだけ揃っていれば、おそらく普段使いや通常業務(加えてテンキー付き)程度であればなんなくこなす。中古ならともかく、新品でこの価格とはある意味驚きに値する。
メーカーのサイトやamazonにサイズや重量がなく、測ったところ約355×235×20mmで約1.6kg。筐体はシルバーベース。と言ってもプラスチックで高級感はない。この辺りは価格なりと言ったところ。
前面はパネル中央上にシャッター付きのWebカメラ。しっかりシャッターがあるのはGood。左右のフチはそこそこ狭い。左側面に電源入力、USB 3.0×2、HDMI、USB Type-C。右側面にロックポート、Gigabit Ethernet、USB 2.0、microSDカードスロットを配置。Gigabit Ethernetは厚みの関係か下側に開く蓋がある。裏は前後に1本バーのゴム足。手前左右にスピーカー。そして小さいパネルの下にM.2 2280 SSD。SSDを入れ替えて使うことも容易だ。
付属のACアダプタは、約70×40×30mm、重量122g、出力12V/3Aの36W。EコアのみのAlder Lake-Nならではのサイズだ。ただUSB Type-Cからでも充電できるため、このアダプタに固執する必要はないだろう。
15.6型のディスプレイは、明るさ、コントラスト、発色、視野角全て普通だ。価格が価格なので少し悪いか? と思っていたが全く問題ないレベルだった。加えて非光沢なので眼にも優しい。
i1 Display Proを使い特性を測ったところ、最大輝度237cd/平方m。最大から-4が145cd/平方m、-5が121cd/平方m。従って後者で計測。黒色輝度は0.083cd/平方m。リニアリティは結構いいのだが、青だけがほかからズレているのが分かる。とは言え、価格を考慮すると悪くない。
キーボードはUS配列でテンキー付き。打鍵感も、昔の安価なノートと比較にならないほど良くなっている。キーピッチは主要キーで約19mm。US配列で15.6型のフットプリントがあるので、破綻しているピッチや並びなどはない。
また面白いのはテンキーの手前に[Chat-GPT]、[Bing]、[Intel Unison]キーがあり、ワンタッチでそれぞれを呼び出せること(前2つはEdgeに入っているブックマーク指定で起動、最後1つはアプリが起動)。
タッチパッドはボタンのない1枚プレート式。フットプリントが十分あるのでパームレストも含めゆったりした面積が確保されている。
Webカメラは解像度がHD。シャッターがあるのはいいが、映りはとりあえず的な感じだ。これを使ってWeb会議は個人的には抵抗があるだろう。
ノイズは本体に耳を当てると気持ち聞こえる程度で特に問題ないだろう。発熱はベンチマークテストなど負荷をかけると本体左上の裏側が少し熱を持つ。ただ気になるほどの温度ではない。
サウンドはスピーカーが裏にあるので、机などに音が反射して間接音として耳に届く。幅があるためステレオ感は出るものの、中域中心のかまぼこレンジでパワーも後一歩欲しいところか。
筐体に高級感がないのは仕方ないとして、価格を考えると十分よくまとまっているのではないだろうか。しかもメモリ16GB、SSD 512GB。速度も含め通常用途であれば普通に使うことができそうだ。
通常用途なら問題ないパフォーマンス。ただしバッテリ駆動時間は短い
初期起動時、壁紙はそのままWPS Officeのアイコンを追加。使用感は手持ちの第7世代ThinkPadとあまり変わらない感じだ。各種ベンチマークテストの結果は、後半をご覧頂きたいが、参考までにGoogle Octane 2.0のスコアは44,685@Edge。そこそこ速いのでネットアクセスはまったく問題ないレベルと言える。
512GB SSDは「SCCTP-800-512G」。検索しても見つからなかったので詳細は不明だが、CrystalDiskMarkのシーケンシャルリード約3,500MB/s、シーケンシャルライト約3,100MB/s出てるので結構速い。C:ドライブのみの1パーティションで約475GBが割り当てられ空き443GB。
Gigabit EthernetはRealtek製、Wi-FiはIntel Dual Band Wireless-AC 3165、BluetoothもIntel製だ。
プリインストールのアプリケーションは、Windows 11標準に加え、「WPS Office」と、「Intel Unison」、そして「MultiKeysFunction」が入っている。
Intel Unison(スマホ連携)は、非売品な上に、ネットからダウンロードできないため、ある意味貴重。機能的には、スマホの通知やメッセージなどを連携、デバイス間のファイルをワイヤレス転送、スマホの写真/動画を大きく表示などに対応する。
スマホ側はAndroid/iOSともにストアからアプリをダウンロード、QRコードでペアリングすればOKと設定は簡単だ。以下、試した画面キャプチャを掲載したので参考にしてほしい。結構サクサク動き快適にスマホと連携できる。
そしてMultiKeysFunctionはスタートメニューにはないが、起動時、自動的にロードされれ、[Chat-GPT]、[Bing]、[Intel Unison]キーのコントロールを行なっている。実体はC:¥Program Files¥MultiKeysFunctionにあり、キーの割当はMultiKeysFunction.dllに書かれている。安価なノートPCだがこの辺りは少し面白い。
ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、Cinebench R23、CrystalDiskMark、PCMark 10/BATTERY/Modern Officeを使用した。かなりザックリだが、第13世代のモバイル用Core i5辺りと比較して多くは2分の1~3分の2程度のスコアになっている。Cinebench R23が2,645 pts / 789 pts vs 5,284 pts / 1,573 pts@Core i5-1335Uなので妥当なところだろうか。
PCMark 10/BATTERY/Modern Officeは4時間7分(電源モード/バランス、明るさ、バッテリモードなどはシステム標準)。これは予想以上に短かった。搭載しているバッテリ容量が少ないのだろうか。室内で電源使用、ONにしたまま会社内/家内での持ち運びは可能……というところだろう。
ベンチマーク結果 | |
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PCMark 10 v2.1.2600 | |
PCMark 10 Score | 3,138 |
Essentials | 7,096 |
App Start-up Score | 9,006 |
Video Conferencing Score | 5,885 |
Web Browsing Score | 6,742 |
Productivity | 4,625 |
Spreadsheets Score | 4,303 |
Writing Score | 4,973 |
Digital Content Creation | 2,556 |
Photo Editing Score | 2,878 |
Rendering and Visualization Score | 1,687 |
Video Editting Score | 3,442 |
PCMark 8 v2.8.704 | |
Home Accelarated 3.0 | 3,133 |
Creative Accelarated 3.0 | N/A |
Work Accelarated 2.0 | 2,568 |
Storage | 5,066 |
3DMark v2.26.8125 | |
Time Spy | 368 |
Fire Strike Ultra | 268 |
Fire Strike Extreme | 521 |
Fire Strike | 1,101 |
Sky Diver | 4,150 |
Cloud Gate | 6,781 |
Ice Storm Extreme | 36,407 |
Ice Storm | 54,138 |
Cinebench R23 | |
CPU | 2,645 pts(12位) |
CPU(Single Core) | 789 pts(9位) |
CrystalDiskMark 6.0.0 | |
Q32T1 シーケンシャルリード | 3475.694 MB/s |
Q32T1 シーケンシャルライト | 3163.015 MB/s |
4K Q8T8 ランダムリード | 1139.932 MB/s |
4K Q8T8 ランダムライト | 751.185 MB/s |
4K Q32T1 ランダムリード | 435.006 MB/s |
4K Q32T1 ランダムライト | 341.418 MB/s |
4K Q1T1 ランダムリード | 61.513 MB/s |
4K Q1T1 ランダムライト | 138.877 MB/s |
以上のようにBiTECOOL「NC15N」は、Intel N95、16GB/512GBで15.6型フルHD搭載のノートPCだ。筐体は少しチープだが価格は約4.2万円。パフォーマンスは第13世代の2分の1~3分の2。バッテリ駆動時間は短いものの、構成を考えるとコストパフォーマンスは高い。
価格を考慮するとバッテリ駆動時間と(一般的に)USキーボード以外、特に欠点らしい欠点もない。普段使い用で、安価なIntel Processor N95を搭載したノートPCを探しているユーザーだけでなく、ChatGPTやBingAIチャットを多用するユーザーにも試してほしい1台だ。