西川和久の不定期コラム
第13世代Core、そしてUSB4/2.5GbEを2ポート搭載したミニPC!「MINISFORUM NPB5」
2023年7月21日 06:17
ハイパフォーマンスのHタイプにUSB4/2.5GbEを2つ搭載!
同社のサイトで製品一覧を眺めると数多くのミニPCが並んでいる。一言でミニPCと言っても小さかったり大きかったり、Intel搭載だったりAMD搭載、縦置横置き……いろいろなタイプがある。
話は少し横道にそれるが、先日IntelがNUCタイプのPCを生産停止するとの発表があった。既存製品のサポートなどはASUSに引き継ぎ、新製品の開発などもASUSが行なうという。
おそらくMINISFORUM、Beelink、CHUWIなど、この連載でもお馴染みのメーカーから、数多くのミニPCが出ていることもあり、Intelから発売する必要性がなくなったとの判断なのだろう。少し残念な話であるが、これも時代の流れか。
今回ご紹介するNPBシリーズは、NPB5が第13世代Core i5、NPB7がCore i7搭載機だ。形状だけだとNAB6とそっくりだが、こちらは第12世代Core i7搭載と、1つ古いモデルとなる。手元に届いたのはCore i5搭載のNPB5。主な仕様は以下の通り。
MINISFORUM「NPB5」の仕様 | |
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プロセッサ | Core i5-13500H(Pコア4+Eコア8の12コア/16スレッド/クロック最大4.7GHz/キャッシュ 18MB/TDP 45W) |
メモリ | 16GB(SODIMM/DDR5-4800 8GB×2/最大32GB) |
ストレージ | M.2 2280 SSD 512GB/2.5inch SATA HDD/SSD(空き/7mm以内) |
OS | Windows 11 Pro(22H2) |
グラフィックス | Intel Core UHD Graphics(80units)/HDMI×2(4K@60Hz)、Type-C×2(4K@60Hz) |
ネットワーク | 2.5GbE×2、Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.2 |
インターフェイス | USB4×2、USB 3.1 Type-C(データのみ)×1、USB 3.1×4、3.5mmジャック |
サイズ | 127×127.5×54.7mm(幅×奥行き×高さ) |
価格 | 7万5,990円(ベアボーン5万8,380円) |
プロセッサは第13世代Raptor LakeのCore i5-13500H。Pコア4+Eコア8の12コアで16スレッド、クロック最大4.7GHz、キャッシュ 18MB、TDP 45W。最大ターボパワー時95WまでOKなSKU末尾がHタイプでモバイル用の中ではハイパフォーマンスとなる。
なおNPB7のCore i7-13700Hは、Pコア6+Eコア8の14コアで20スレッド、クロック最大5GHz、キャッシュ 24MB、iGPU 96units。全てで上回っているが、特にPコアが2つ増えているため、それなりにパフォーマンスの差はありそうだ。
メモリはDDR5-4800 8GB×2の計16GB。SO-DIMMスロットが2つあり最大32GBまで。なおプロセッサ的にはDDR5-5200にも対応する。ストレージはM.2 2280 SSD 512GB。加えてトップカバーの裏に2.5インチSATA HDD/SSDがマウントできる(厚み7mm以内)。OSはWindows 11 Pro。22H2だったので、この範囲でWindows Updateを適応し評価した。
グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel Core UHD Graphics(80EU)。外部出力用にHDMI×2(4K@60Hz)とType-C×2(4K@60Hz)。
ネットワークは2.5Gigabit Ethernet×2、Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.2。インターフェイスは、USB4×2、USB 3.1 Type-C、USB 3.1×4、3.5mmジャック。2.5GbE×2/USB4×2があるのはなかなか重装備だ。なお、仕様ではUSB 3.1×2、USB 3.0×2だが、テストしたところ全ポートUSB 3.1だった。
サイズは127×127.5×54.7mm(幅×奥行き×高さ/ACアダプタ含まず)、重量は実測で605g(ACアダプタ含まず)。価格は今回の構成で7万5,990円。ベアボーンが5万8,380円。手持ちでメモリ/ストレージがあり、Linuxを入れるならベアボーンの方が安上がりだ。Core i7搭載のNPB7だと9万3,520円(ベアボーン7万4,320円)。それなりの価格差はある。いずれにしても内容を考えると結構安価には違いなく、コストパフォーマンスは高い。
筐体はシルバーをベースに裏がホワイト。同社何時ものパターンで少し厚みがある。iPhone 13 Proとの比較からも分かるようにコンパクトだ。重量は実測で605g。ACアダプタが448gなので、合計1kgを少し超えるが、それでもハンドキャリーは十分可能の範囲だろう。
前面にUSB 3.1 Type-C、USB 3.1×2、3.5mmジャック、電源ボタン。背面にUSB 3.1×2、HDMI、USB4×2、2.5GbE×2、HDMI、電源入力を配置。背面にUSB4が2つあるのは使いやすそうだ。いつものキーボード付きモバイルモニターにはこれ1本で接続できる。やはりType-A/Type-CとHDMIケーブルで接続するよりこちらの方が取り回しが楽。裏はVESAマウンタ用のネジ穴と4隅にゴム足、そして技適マークがはっきり分かる。
付属品はACアダプタ(サイズ約140×60×35mm/重量448g/出力19V/6.3A)、VESAマウンタ、HDMIケーブル、電源ケーブル、SATA用ケーブル、各種ネジ。
内部へのアクセスは、トップカバー手前を指で押せば外れるツールレス構造。メモリやM.2 2880 SSDに簡単にアクセス可能だ。加えてトップカバーの裏に2.5インチSATA HDD/SSDが厚み7mm以内であればマウントできる。接続は付属する専用のSATAケーブルを使用。専用なので、これだけはなくさないようにしたいところ。BIOSの表示は起動時[Del]キーと標準的だ。
試用時、ノイズは特に気にならなかったがが、発熱は右側のスリットからそれなりの熱風が出る。従ってキーボード付きモバイルモニターとの写真のように、本体の右側に何かあると少し熱い。設置に関してはこの点だけ注意したいところ。
さすがに多くのミニPCを出しているだけあって非常に完成度は高い。SSDやメモリのメンテンスも容易。安心して長く使える1台と言えそうだ。
Core i7-12650HよりiGPU性能は上!
初期起動時のデスクトップはWindows 11標準のまま。特にカスタマイズはされていない。言うまでもなくHタイプのCore i5、メモリ16GB、SSDなので快適に操作できる。
SSD 512GBは「KINGSTON OM8PGP4512Q-A0」。ネット上で仕様は見つからなかったが、同社がよく使ってるSKUで、CrystalDiskMarkはシーケンシャルリード約4,800MB/s、シーケンシャルライト約3,500MB/sとそれなりに速い。C:ドライブのみの1パーティションで約474GBが割り当てられ空き440GB。
2.5GbEはIntel Ethernet Controller I225-Vが2つ。Wi-FiとBluetoothはRZ608が使われている。
ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、Cinebench R23、CrystalDiskMarkを使用した。比較用としてCore i7-12650Hを搭載したMINISFORUM「NAB6」も入れた。第13世代Core i5対第12世代Core i7の対決となるが、CPUのシングルスレッド性能は本機が若干劣るものの、iGPU性能が高いので(80EU対64EU)グラフィック系はほぼ上と言う結果となった。これはなかなか興味い。
以上のようにMINISFORUM「NPB5」は、第13世代Raptor LakeのIntel Core i5-13500H、メモリ16GB、SSD 512GBを搭載したミニPCだ。2.5GbE×2、USB4×2と拡張性もなかなか高い。オプションでベアボーン、32GB+512GB、32GB+1TBと、予算や用途に応じて選べるのもポイントが高く、そして何より構成を考えると低価格だ。
特に欠点らしい欠点もなく、ミニPCでUSB4や2.5GbE搭載、そしてハイパフォーマンスを求めているユーザーに使ってほしい1台と言えよう。