西川和久の不定期コラム
3万円台の8型Androidタブレット「dtab Compact d-42A」。ドコモ製でeSIM内蔵
2020年12月19日 09:50
NTTドコモは11月6日に、eSIMを内蔵する指紋/顔認証対応の8型WUXGAタブレット「dtab Compact d-42A」を発表し、12月18日に発売した。ドコモオンラインショップでの新規契約の場合、価格は3万5,640円となっている。事前に試作機を使う機会を得たので試用レポートをお届けしたい。
3つのUIを用意し幅広いユーザー層に対応できるミドルレンジ
AndroidはiOS/iPadOSとは違い、ランチャーを設定できるため、標準のUIに加え、ユーザーが好みで変更しているケースが多い。同じことがメーカーにも言え、同じAndroidでも操作性はさまざまだ。
これは欠点でもあるが利点でもあり、スマートフォンやタブレットはパソコンより幅広いユーザー層が利用する。多くは標準のUIで問題ないものの、子供や高齢者には別のUIを用意したほうがより使いやすくなる。本機は、保護者が利用範囲を限定できるキッズモードと、大きな文字/アイコンなどを配置したシンプルメニューモード、計3つのUIを搭載し、さまざまなニーズに答えている。
もちろんそれだけでなく、Snapdragon 665、メモリ4GB、ストレージ64GBとミドルレンジ構成、そしてこのクラスとしてはめずらしくeSIMを内蔵。同社のニュースリリースによるとレノボ製の端末ということだ。
おもな仕様は以下のとおり。
【表】NTTドコモ「dtab Compact d-42A」の仕様 | |
---|---|
プロセッサ | Snapdragon 665(高性能4コア2GHz、高効率4コア1.8GHz) |
GPU | Adreno 610 |
メモリ | 4GB |
ストレージ | 64GB |
OS | Android 10 |
ディスプレイ | 8型WUXGA(1,920×1,200ドット) |
ネットワーク | Wi-Fi 5(IEEE 802.11ac)、Bluetooth 5.0、eSIM内蔵(4Gおよび3G) |
インターフェイス | USB Type-C、microSDカードスロット(最大256GB)、スピーカー、高性能内蔵マイク、3.5mmイヤフォンジャック |
カメラ | 前面 : 約500万画素/F2.2、背面 : 約800万画素/F2.0 |
バッテリ容量 | 5,000mAh |
カラーバリエーション | ネイビー、ゴールド |
サイズ | 約122×8.3×198mm(幅×奥行き×高さ) |
重量 | 約326g |
その他 | キッズモード/シンプルメニュー搭載、指紋/顔認証対応、充電スタンド付属、Dolby Audio/aptX対応、防水IPX3/防塵IP5X対応 |
価格 | 3万5,640円 ※ドコモオンラインショップでの新規契約の場合 |
SoCはSnapdragon 665。発表自体は2019年4月と少し古いが11nmプロセスで製造され、CPUにKryo 260(高性能4コア2GHzと高効率4コア1.8GHzの計8コア)と、GPUにAdreno 610、そして第3世代のAI Engineを搭載している。6xx系なのでミドルレンジとなる。
とは言え、ひと昔前と違って、昨今6xx系の性能も上がってきており、普段使いであれば問題ないレベルになってきた。メモリは4GB、ストレージは64GB。OSはAndroid 10。
ディスプレイは8型WUXGA(1,920×1,200ドット)の。ローエンドだとHD系が多いものの、このクラスとしてはワンランク上の解像度となる。ネットワーク機能はWi-Fi 5(IEEE 802.11ac)対応、Bluetooth 5.0、そして4Gおよび3Gに対応したeSIMを内蔵。Wi-Fiでのテザリングは最大5台、USBテザリングは1台、Bluetoothでのテザリングは最大7台に対応する。
インターフェイスはUSB Type-C、microSDカードスロット(最大256GB)、ステレオスピーカー、高性能内蔵マイク、3.5mmイヤフォンジャック。認証方式は指紋と顔の2種類。カメラは前面が約500万画素/F2.2、背面が約800万画素/F2.0。
サイズは約122×8.3×198mm(幅×奥行き×高さ)、重量約326g。バッテリ容量は5,000mAh。カラーバリエーションはネイビー、ゴールドの2色。
そのほか、先に書いたとおりキッズモード/シンプルメニュー搭載、充電スタンド付属、Dolby Audio/aptX対応、防水IPX3/防塵IP5X対応などの特徴を持つ。今回は試作機だったこともあり、本体のみで充電スタンド(横置き用)は入っていなかった。
手元に届いたのはネイビーカラーのモデル。筐体はマット仕上げで結構渋く、チープな感じはまったくない。重量は実測で327g。片手で持って操作しても何とかなる範囲だ。
縦位置の場合、前面はパネル中央上に前面カメラ。それほど狭額縁ではない。ナビゲーションボタンはソフトウェア式だ。リアは左上に背面カメラ。左側面にmicroSDカードスロットとDock用コネクタ。下側面にType-Cとスピーカー。右側面に音量±ボタンと電源ボタン。電源ボタンは指紋センサーを兼ねており、側面と同じ高さになっているため、ボタンが出っ張っていない。上側面に3.5mmイヤフォンジャックとスピーカー。
8型WUXGAのパネルはとにかく明るい。輝度50%で眩しいほど。環境光に応じて自動的に明るさを調整する機能も備えている。コントラスト、発色、視野角も十分。画素密度は283ppiで、文字のジャギーなどもさほど目立たない。もちろんタッチの反応もスムーズだ。
カメラは背面/前面ともに試したが、背面はHDRや8倍デジタルズームに対応しているものの、肝心の画質がイマイチ。前面は撮れるには撮れるがどちらかと言えば顔認証用だろう。いずれにしても積極的に使うシーンを思い浮かばない。スマートフォンで撮影し、Googleフォトなどを使って共有したほうがいいだろう。
発熱は試用した範囲では上側が少し暖かくなる程度。あまり熱を持たない。サウンドは横位置にしたときにステレオになる(Type-C側が右)。パワーも8型と考えると十分。本体だけで音楽も動画も楽しめる。半面イヤフォン出力はあと一歩パワーがほしいところか。Dolby Audioに対応しており、好みの音に調整できる。BluetoothはaptX対応だ。
独自画面が多い初期設定
初期セットアップはアカウントなどの設定を基本スキップして計18画面あった。何らかの設定を行なうとさらに増える。本機の特性上、店頭で担当者が入力する形式を想定しているのかもしれないがかなり多めだった。
本機はeSIMを搭載しており、モバイルネットワークを利用できる。手元に届いたときには設定済みだったが、docomo製ということもあり、出荷時もしくは手渡し時には設定済みだと思われる。APNはspmode.ne.jpとなっていた。
顔認証と指紋認証は、パターン/PIN/パスワード設定後、登録可能だ。指紋認証に関しては側面の電源ボタンが兼ねており、面積が狭いので少し登録しにくいものの、いったん登録してしまえば認証は一瞬だ。顔認証に関しては、本機が試作機だったためか登録できなかった。
なお、子供の指紋や顔を登録しておくと、ユーザーを識別して自動的にキッズモードを起動することが可能だ。これはなかなか興味深い機能と言えよう。シンプルメニューも同様の機能があってもいいのではないだろうか。
docomoならではのプリインストールアプリ群
初回起動時のホーム画面は3画面。DockにはChrome、カメラ、ドコモメール、マイマガジンを配置。画面中央のキャラクターはmy daiz。状況に合わせて必要な情報を表示する。
1画面目にdメニュー、dマーケット、dポイント、My docomo、Playストア、Googleフォルダ。2画面目にフォト、my daiz、+メッセージ、dキッズ、キッズモード、マイホームスクリーンとdマーケット・ウィジェット。3画面目はスケージュール・ウィジェットを配置している。docomoならではのレイアウトだ。
Androidのバージョンは10、ストレージは若干の画面キャプチャを含めた状態で13.62GB/64GB使用中だった。docomo LIVE UXモードでは上から下へのスワイプで通知画面/コントロールパネル、壁紙長押しでホーム設定/ウィジェット/壁紙など、基本操作は標準のAndroidと同じとなる。
インストール済みのアプリケーションは、「フォト」、「あんしんセキュリティ」、「カメラ」、「カレンダー」、「キッズモード」、「スケージュール」、「ドコモデーターコピー」、「データ保管BOX」、「ドコモメール」、「ドコモ電話帳」、「ドライブ」、「マイホームスクリーン」、「マイマガジン」、「マップ」、「メモ」、「ローソン」、「遠隔サポート」、「災害用キット」、「時計」、「取扱説明書」、「設定」、「地図アプリ」、「Amazon Kindle」、「Chrome」、「dキッズ」、「dフォト」、「dポイント」、「dマーケット」、「dメニュー」、「Dolby Audio」、「Duo」、「Files」、「FMラジオ」、「Gmail」、「Google」、「Keepメモ」、「my daiz」、「My docomo」、「Playストア」、「Playムービー&TV」、「YouTube」、「YT Music」、「+メッセージ」。
Android標準アプリに加え、docomo製アプリが山盛り入っている。マイホームスクリーンは画面キャプチャにある「docomo LIVE UX」と呼ばれるモードと、大きなアイコンでシンプルなレイアウトの「シンプルメニュー」モードの切り替え用だ。
キッズモードはキッズブラウザとキッズギャラリーをホーム画面へ配置。保護者は設定で時間制限、アクセスできるアプリの管理、キッズブラウザの管理、キッズギャラリーの管理、ブルーフィルタ……などが調整できる。FMラジオは76MHzから108MHzまでカバーする。イヤフォンをアンテナとするが、スピーカー出力にも対応だ。
ウィジェットは、「カレンダー、「スケジュール&メモ」、「ドコモサービス」、「ドコモ電話帳」、「ドライブ」、「マップ」、「時計」、「設定」、「天気予報」、「Chrome」、「Contents Headline」、「Gmail」、「Google」、「Keepメモ」、「YouTube Music」。アプリが多いわりにウィジェットの数は少ない。
ベンチマークは簡易式で、Geekbench 5とGoogle Octane 2.0を計測。そしてバッテリベンチとして、Wi-Fi接続で音量・明るさともに50%で動画の全画面連続再生を行なった。
性能はミドルレンジ向けとしては普通の値だ。それでもWebサイトへのアクセス、動画再生などでストレスを感じるようなことはない。
バッテリ駆動時間は約6時間半。残10%で「バッテリが少ないので充電してください」という警告が表示され、Wi-Fiもオフになったのでテストを打ち切った。ただし明るさ50%はかなり明るく、音量50%はうるさめだ。どちらも実用のレベルに下げればもう少し動作すると思われる。
以上のように、NTTドコモ「dtab Compact d-42A」は、Snapdragon 665、メモリ4GB、ストレージ64GBを搭載した8型WUXGAタブレットだ。画面は明るく綺麗。このクラスとしてはめずらしくeSIMを内蔵し、どこでも活用することができる。性能もネットや動画、音楽など一般的な用途であれば、問題なく使えるレベルだ。非常にオーソドックスな作りであり、8型でLTEが使えるAndroidタブレットを探しているユーザーに使ってほしい1台と言えよう。