西川和久の不定期コラム
Comet Lake搭載の14型液晶搭載小型軽量ノート「MSI Modern 14」
2020年5月18日 11:00
MSIは2019年10月末頃から、Comet Lakeを搭載し、従来の13型クラスの筐体へ14型液晶を収めた「Modern 14」シリーズを順次市場へ投入している。iGPU版とdGPU版、大きく分けて2系統あるなか、前者が編集部から送られて来たので試用レポートをお届けしたい。
iGPU版とdGPU版で2系統あるModern 14シリーズ
今回ご紹介するModern 14シリーズは、iGPU版とdGPU版の2系統がある。前者は「Modern-14-A10M-477JP」と「Modern-14-A10M-618JP」。違いはメモリ容量(8GB/16GB)とOSのエディション(Home/Pro)。
後者は、「Modern-14-A10RB-808JP」、「Modern-14-A10RB-842JP」、「Modern-14-A10RAS-1020JP」。違いは順に、Core i5-10210U/GeForce MX250/8GB/256GB、Core i7-10510U/GeForce MX250/16GB/512GB、Core i5-10210U/GeForce MX330/8GB/256GB。OSはすべてWindows 10 Home。
パネルや筐体のデザイン、インターフェイスなどは同じだ。プロセッサはモデルによってCore i5かCore i7かの違いはあるものの、すべてComet Lakeの第10世代Coreを搭載する。全体的なパフォーマンスはおそらく後者のdGPU搭載機のほうが上だろう。
手元に届いたのはiGPU版。パッケージの記述では「Modern-14-A10M-477JP」となっているが、内容的には「Modern-14-A10M-618JP」と同等だったため、「Modern-14-A10M-618JP」としてご紹介する。おもな仕様は以下のとおり。
MSI「Modern 14 Modern-14-A10M-618JP」の仕様 | |
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プロセッサ | Core i7-10510U(4コア8スレッド/1.8GHz~4.9GHz/キャッシュ 8MB/TDP 15W) |
メモリ | 16GB/DDR4-2666/SO-DIMMx1(最大32GB) |
ストレージ | M.2 NVMe SSD 512GB |
OS | Windows 10 Pro(64bit) |
ディスプレイ | 14型フルHD(1,920×1,080ドット)、非光沢 |
グラフィックス | Intel UHD Graphics |
ネットワーク | IEEE 802.11ac対応、Bluetooth 5.0 |
インターフェイス | USB 3.0×2、USB 3.0 Type-C×2、Webカメラ、SDカードリーダ、HDMI、音声入出力 |
バッテリ容量・駆動時間 | リチウムイオン/50Whr/4セル/3,290mAh、最大10時間 |
サイズ/重量 | 約322×222×15.9mm(幅×奥行き×高さ)/約1.19kg |
価格 | 134,800円(MSIストア調べ) |
プロセッサは第10世代Comet LakeのCore i7-10510U。4コア8スレッドで、クロックは1.8GHzから最大4.9GHz。キャッシュは8MB、TDPは15W。Uタイプとしては6コアのSKUもあるが、一般的な4コアに抑えられている。またiGPU版はどちらも同じSKUだ。
メモリはDDR4-2666/16GB。SO-DIMMのソケットが1つなのでシングルチャンネル動作となる。ストレージはM.2 NVMe SSD 512GB。OSは64bit版のWindows 10 Pro。ほかのモデルがすべてHomeなのに対して、唯一、「Modern-14-A10M-618JP」のみProを搭載する。
グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel UHD Graphics。外部出力用にHDMIを備えている。ディスプレイは14型非光沢のフルHD(1,920×1,080ドット)。画面占有率約80%の狭額縁デザインで、13型クラスの筐体へ14型を収めたコンパクトな筐体だ。色域はsRGB相当。
ネットワークは、IEEE 802.11ac対応、Bluetooth 5.0。有線LANはない。そのほかのインターフェイスは、USB 3.0×2、USB 3.0 Type-C×2、Webカメラ、SDカードリーダ、音声入出力。加えてキーボードバックライトを搭載している。
ただし、Type-CはUSB Power DeliveryおよびDisplayport Alternate Modeには非対応だ。プロセッサが第10世代ながらWi-Fi 6未対応と合わせて残念な部分となる。
サイズ約322×222×15.9mm(幅×奥行き×高さ)、重量約1.19kg。50Whr/4セル/3,290mAhのリチウムイオンバッテリを内蔵し、駆動時間は最大10時間。
価格はWindows 10 Home/8GB版の「Modern-14-A10M-477JP」で115,119円(Amazon調べ)、Windows 10 Pro/16GB版の「Modern-14-A10M-618JP」で134,800円(MSIストア調べ)。内容を考えると結構安いのではないだろうか。
筐体は気持ちグリーンがかったメタリックな感じで質感も高い。このサイズ感で実測1,174gなので、持ち上げると見た目より軽く感じる。また「MIL-STD 810G」に適合しているだけあって軽いながらもガッチリしているのも印象的だ。
前面は画面占有率約80%の狭額縁。この関係でWebカメラは上に入らず中央下にある。試してみたが上にあるタイプよりローアングルになるため顔の映りが悪くなる。
左側面には、電源入力、HDMI、USB 3.0 Type-C、音声入出力、各種ステータスLED。右側面には、USB 3.0×2、USB 3.0 Type-C、SDカードスロット、ロックポートを配置。HDMIコネクタの高さからもわかるように結構薄い。裏は5つのゴム足と、後ろ右側にファンが見える。バッテリは内蔵式で着脱不可。付属のACアダプタは、サイズ約65×65×28mm、重量192g、出力19V/3.42A。
14型のディスプレイは、狭額縁でスッキリしており、明るさ、発色、コントラスト、視野角すべて良好(ただしすごく良いわけでもなくクラス相応)。加えて非光沢なので、長時間操作しても眼が疲れにくい。パネルは180度傾けることができる。
キーボードはオフ+三段階のバックライトを搭載したアイソレーションタイプだ。キートップが硬め、ストロークもそこそこあり、個人的には好みの打鍵感。キーピッチは[]、[半角/全角]、[ろ]など、一部狭くなっているものもあるが、基本実測で約19mm確保されている。ただし、[Enter]キーの外側にキーがあるのは好みが別れそうだ。
タッチパッドは物理的なボタンがない1枚プレート型。ポインタの移動などはスムーズだが、クリック相当の押し込みが硬く、個人的には少し使いにくかった。パームレストが若干狭いものの、効率が下がるほどではない。
振動やノイズは試用した範囲では問題なし。発熱は、ベンチマークテストなど、負荷をかけると、キーボード右上側が熱くなり、ちょうど裏にファンがある部分と一致する。いずれにしても下まで熱は降りて来ないため、気になることはない。
サウンドはキーボード上のスリットにスピーカーがあり、耳に直接音が届くため、裏から反射するタイプよりクリアだ。また幅も確保されておりステレオ感もある。ただしパワーが足らない。後述するNahimicを搭載し、音にはある程度こだわりを持っているようなので、もう少しがんばってほしいところか。
Core i7/16GB/NVMe SSDで快適動作
初期起動時、スタート画面(タブレットモード)は1画面。2つあるMSIグループがプリインストールとなる。デスクトップは壁紙のみの変更とシンプル。動作はCore i7、メモリ16GB、M.2 NVMe SSDなので快適。
ストレージはNVMe SSD 512GBのKINGSTON「RBUSNS8154P3512G」。C:ドライブのみの1パーティションで約476.38GBが割り当てられ空き439GB。Wi-FiとBluetoothはIntel製だ。
おもなプリインストールのソフトウェアは、「AudioDirector」、「ColorDirector」、「Creator Center」、「MSI Driver & App Center」、「MSI Help Desk」、「MSI Recovery Image Backup」、「MSI True Color」、「Nahimic」、「ノートンセキュリティ」、「PhotoDirector 10 Essentail」、「PowerDirector 17 Essential」。同社のツール系と、写真/ビデオの編集系となる。
MSI True Colorはカラープロファイルをシーンに合わせて切り替える画面用ツール、Nahimicはプロファイルをシーンに応じて切り替えるサウンド用ツール、そしてCreator Centerは、CPU/GPUの監視、パフォーマンスの調整、バッテリの管理など、システムを管理するツールとなる。iGPUのみのノートPCで、この手のツールがあるのはめずらしい。
ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、CINEBENCH R20、CrystalDiskMark、PCMark 10/BATTERY/Modern Office。結果は以下のとおり。
手元にデュアルチャンネル動作のIntel Core i7-10510Uのデータがないため、シングルチャンネル動作での影響はわからないが、SSDも速く、システム的な性能は悪くない。とは言えiGPUなので3DMarkのスコアが伸びないのも想定内だ。
PCMark 10/BATTERY/Modern Office 7時間37分(キーボードバックライトオフ。明るさ、バッテリモードなどはシステム標準)。仕様上、最大駆動時間が10時間なので、妥当なところか。この状態でパネルは十分以上に明るかったこともあり、輝度を落とすともう少し伸びそうな感じだ。
ベンチマーク結果 | |
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PCMark 10 v2.1.2177 | |
PCMark 10 Score | 4,408 |
Essentials | 7,732 |
App Start-up Score | 9,944 |
Video Conferencing Score | 6,744 |
Web Browsing Score | 6,894 |
Productivity | 6,401 |
Spreadsheets Score | 7,585 |
Writing Score | 5,402 |
Digital Content Creation | 4,697 |
Photo Editing Score | 3,784 |
Rendering and Visualization Score | 6,984 |
Video Editting Score | 3,922 |
PCMark 8 v2.8.704 | |
Home Accelarated 3.0 | 3,449 |
Creative Accelarated 3.0 | 3,544 |
Work Accelarated 2.0 | 4,846 |
Storage | 5,049 |
3DMark v2.11.6866 | |
Time Spy | 454 |
Fire Strike Ultra | 294 |
Fire Strike Extreme | 538 |
Fire Strike | 1,124 |
Sky Diver | 4,632 |
Cloud Gate | 8,555 |
Ice Storm Extreme | 45,161 |
Ice Storm | 61,624 |
CINEBENCH R20 | |
CPU | 1,379 pts(10位) |
CPU(Single Core) | 412 pts(2位) |
CrystalDiskMark 6.0.0 | |
Q32T1 シーケンシャルリード | 1,603.690 MB/s |
Q32T1 シーケンシャルライト | 1,037.275 MB/s |
4K Q8T8 ランダムリード | 838.141 MB/s |
4K Q8T8 ランダムライト | 785.371 MB/s |
4K Q32T1 ランダムリード | 542.006 MB/s |
4K Q32T1 ランダムライト | 373.231 MB/s |
4K Q1T1 ランダムリード | 27.929 MB/s |
4K Q1T1 ランダムライト | 74.903 MB/s |
以上のようにMSI「Modern 14 Modern-14-A10M-618JP」は、第10世代Comet LakeのCore i7を搭載し、13型クラスの筐体へ14型を収めたコンパクトでかつ軽量のノートPCだ。キーボードバックライト内蔵なので、暗めの室内でも問題なく操作できる。
サイズのわりに有線LANがない、メモリがシングルチャンネル動作、[Enter]キーの外側にキーがある……など、気になる部分もあるにはあるが、軽くて、コンパクトで、比較的安価な第10世代Comet Lake搭載ノートPCを探している人におすすめしたい1台だ。