西川和久の不定期コラム

2,160×1,440ドットでsRGB 100%の13型モバイルノート「MateBook 13」

MateBook 13

 ファーウェイ・ジャパン株式会社は、13型2,160×1,440ドット(3:2)、sRGB 100%で画面占有率88%のモバイルノートを発表、15日より順次販売を開始する。編集部から実機が送られて来たので試用レポートをお届けしたい。

Whiskey Lake、13型2,160×1,440ドット/sRGB 100%といろいろ詰め込んだモバイルノート!

 現在同社のサイトにアクセスすると、ノートPCとしては、「MateBook X Pro」、「MateBook X」、「MateBook E」、「MateBook D 2018」の4つに加え、今回ご紹介する「MateBook 13」が並んでいる。

 このなかでパネルサイズが違うもののスペック的に上位モデルに相当するのは「MateBook X Pro」となるだろうか。Proのない「MateBook X」は、13型でよく似ており、重さ1.05kgで軽量だがプロセッサが第7世代でパネルもsRGB 100%ではなく微妙にスペックダウンする。

 そして「MateBook X Pro」と「MateBook X」の中間に位置付けするのが「MateBook 13」となる。おもな仕様は以下のとおり。

「MateBook 13(WRT29CH78CNCNNUA)」の仕様
プロセッサCore i7-8565U(4コア8スレッド/1.8GHz~4.6GHz/キャッシュ 8MB/TDP 15W)
メモリ8GB/LPDDR3 2133 MHz
ストレージPCIe SSD 512GB
OSWindows 10 Home(64bit)
ディスプレイ13型IPS式2,160x1,440ドット、光沢、タッチ非対応、sRGB100%
グラフィックスIntel UHD Graphics 620/Type-C(HDMI/ミニD-Sub15ピン/USB Type-A/USB Type-C変換ドック付属)
ネットワークIEEE 802.11ac対応、Bluetooth 5.0
インターフェイスUSB 3.0 Type-C×2、100万画素Webカメラ、音声入出力、指紋センサー、NFC
サイズ/重量約286×211×14.9mm(幅×奥行き×高さ)/約1.28kg
税別価格129,880円前後

 プロセッサはWhiskey LakeのCore i7-8565U。4コア8スレッドでクロックは1.8GHzから最大4.6GHz。キャッシュは8MBでTDPは15W。現在、Whiskey Lakeとしては最上位のSKUだ。

 メモリはLPDDR3 2,133MHzで8GB。PCMark 10のSystem Informationでは4GB×2と表示されたが、念のためにと、編集部経由でファーウェイに確認したところ「デュアルチャネル対応」とのこと。昨今8GBモデルは8GB×1/シングルチャネルのケースが多く、デュアルチャネル対応だと性能的にも期待できる。ストレージはPCIe SSD 512GB。OSは64bit版Windows 10 Homeを搭載する。

 ディスプレイは画面占有率88%の狭額縁で光沢ありの13型IPS式2,160×1,440ドット(アスペクト比3:2)。タッチには非対応だ。加えてsRGB 100%なので、色を気にする処理などにも心強い。

 グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel UHD Graphics 620。外部出力用として、右側面のType-CがDisplayport Alternate Mode/DisplayPortに対応しているのに加え、標準で「MateDock 2」が付属し、HDMI/ミニD-Sub15ピン/USB Type-A/USB Type-Cへの接続が可能となる。

 ネットワークはIEEE 802.11ac対応、Bluetooth 5.0。有線LANがない。できれば先の「MateDock 2」に含まれてほしかったところか。その他のインターフェイスは、USB 3.0 Type-C×2、100万画素Webカメラ、音声入出力、指紋センサー、NFC。

 NFCは、「HUAWEI Share OneHop」と呼ばれる、同社製のスマートフォン(EMUI 9.0以降かつNFC搭載/Mate 10 Pro、Mate 20 Pro、P20シリーズ)からワンタッチで写真や動画を転送できる機能に使われる。同社によれば、500枚の写真を1分、1GBの動画を35秒で転送できるとのこと。同一セグメント上のWi-Fiでファイル転送が行なえる「Huawei Share」のような機能と言えばわかりやすいだろうか。「HUAWEI Share OneHop」はWi-Fi Directの機能を使うため、スマートフォンとPCが同一セグメントである必要がないため、対応するスマートフォンがあればより密にPCとのやり取りができる。

 サイズ約286×211×14.9mm(幅×奥行き×高さ)、重量約1.28kg。カラーバリエーションはスペースグレーのみ。ただし今後ビジネスモデルとしてシルバーも投入予定とのこと。税別価格は129,880円前後。

 下位モデル(WRT19AH58BNCNNUA)は、パネルなどおもな構成は同じで、プロセッサCore i5-8265U(4コア8スレッド/1.6GHz~3.9GHz/キャッシュ6MB/TDP 15W)、メモリ8GB、PCIe SSD 256GBで99,880円前後だ。Core i5とは言え、4C/8TでPCIe SSD、かなりの性能が期待できる。加えてそれぞれOffice Home & Business 2019モデルも用意されている。

画面占有率88%の狭額縁。写真からはわかりにくいが、パネル中央上にWebカメラ
斜め後ろから。カラーはスペースグレー。中央にロゴがある
左側面にはType-C(おもに充電用)、音声入出力
右側面はType-C。パネルの傾きはこの位置が最大
キーボードはテンキーなしのアイソレーションイプで2段階のバックライト付き。今どき珍しい? 綺麗なレイアウト。タッチパッドは一枚プレート式。指紋センサーは電源ボタン兼
キーピッチは実測で19mm。歪な並び/キーピッチが全くない
裏は4隅にゴム足。手前左右にスピーカー用のスリット。後部には熱処理用スリット
もうほとんど限界と思われるほど薄い
付属品。USB式ACアダプタ(約60×60×27mm/155g/5V2A,9V2A,12V2A,15V3A,20V3.25A)、MateDock 2(約57×70×15mm/67g)、Type-Cケーブル(44g)
重量は実測で1,313g

 筐体はスペースグレーなメタリック調、エッジ部分がダイヤモンドカットなど、かなりこだわったデザインだ。横から見るともう限界かと思うほど薄い。ただフットプリントが約286×211mmの割に、実測で約1,313gあるため、持った時、ズッシリ重く感じる。密度が高いと言う感じだろうか。冒頭に書いたが同じ13型の「MateBook X」が重量1.05kgなので、もう一歩頑張ってほしいところ。

 前面は画面占有率88%の狭額縁。写真からはわかりにくいがパネル中央上にWebカメラがある。左側面におもに充電用のType-C、音声入出力。右側面にType-Cを配置。裏は4隅にゴム足。手前左右にスピーカー用のスリット。スピーカーはDolby Atmos対応だ。後部には熱処理用スリットがある。

 付属のUSB式ACアダプタはサイズ約60×60×27mm、重量155g、出力5V2A,9V2A,12V2A,15V3A,20V3.25A。MateDock 2はサイズ約57×70×15mm、重量67g。参考までにUSBケーブルは44g。全部足すと266g。本体と一緒に持ち歩くと1.5kgを越えてしまう。なおこのACアダプタは15分チャージで約2.5時間使用可能の急速充電対応だ。

 13型IPS式2,160x1,440ドットのディスプレイは、縦横比3:2、そしてsRGB 100%と筆者の好み。もちろん、発色、明るさ、コントラスト、視野角全て良好。傾きは写真の位置が最大となる。

 キーボードはテンキーなしのアイソレーションタイプ。2段階のバックライトを備えている。主要キーのキーピッチは19mm。写真をご覧いただきたいが、とにかく昨今珍しい綺麗なレイアウトだ。歪なものが1つもなく極端に狭くなるキーピッチもない。ストロークも浅過ぎず深過ぎず、打鍵感も良好。年初に入手したMacBook(Retina, 12-inch, Early 2015)のキーボードに失望(ストロークが浅す過ぎる)していただけに、このキーボードにはグッときた(笑)。細かいことを言えば、キートップはもう少し硬いのが個人的には好みだ。

 タッチパッドは1枚プレート型。パームレストも含め、かなり広めに確保されており使いやすい。右上の電源ボタンは指紋センサー兼、右側のシールの部分にNFCがある。HUAWEI Share OneHopは、手持ちのP20 Proで試そうとしたところ、docomo版でまだEMUI 8.0(Android 8)のまま。残念ながら試せなかった。

 実機が届く前に別の場所で短時間であるが使った感想は、ペアリングさえできてしまえばあとは簡単。スマートフォンをNFCシールの部分へかざすだけでサクッと写真や動画が転送できる。とは言え、このMateBook 13とMate 10 Pro、Mate 20 Pro、P20シリーズでEMUI 9.0が作動条件となると、国内で何人が使えるのか? と思ってしまわなくもない。

NFCを使った「HUAWEI Share OneHop」(イメージ)。手持ちのHUAWEI P20 Proは対応機種だが、docomo版でEMUI 8.0(9.0が必要)なので試せなかった

 ノイズや振動は試用中とくに感じなかった。発熱はベンチマークテストなど負荷をかけると、パームレスト、キーボード上部など全面的に熱(暖かくなる程度)を持つ。ファン自体は2基内蔵している。

 サウンドは、下にスピーカーがあるため、机など反射する素材にもよるが、このクラスとしては物凄くパワーがあり、最大だとかなり煩い。筐体全体を響かせる音作りで低音もそこそこ出る。これだけ鳴りっぷりが良ければ、音楽や映像は十分楽しめる。

 総じて完成度は非常に高く、筐体、パネル、キーボード、サウンドなど、何一つ気になる部分はない。あえてあげれば、もう少し軽ければ……と言うことだろうか。

iGPUのモバイルノートとしては文句なしの性能

 OSは64bit版のWindows 10 Home。初期起動時のスタート画面(タブレットモード)は1画面。とくに追加されたグループなどはない。デスクトップは壁紙の変更に加え、いくつかのショートカットが追加されている。ウィジェットっぽく起動しているのは「MateBook 13」と言うアプリだ。

 Core i7-8565U、デュアルチャネル対応の8GB、PCIe SSD 512GBと、iGPUタイプのモバイルノートとして現状ほぼ最上位のスペック。ブート/シャットダウン、アプリの起動や作動……何をしても快適。一度このクラスを触ってしまうとやはりほしくなってしまう(笑)。

 ストレージはPCIe SSD 512GBの「WDC PC SN720 SDAPNTW-512G-1027」。C:ドライブのみの1パーティションで約461GBが割り当てられ空き436GB。Wi-Fi(Wireless-AC 9560)とBluetoothはIntel製だ。

スタート画面(タブレットモード)は1画面。とくに追加されたグループなどはない
起動時のデスクトップ。壁紙の変更に加え、いくつかのショートカットを追加。ウィジェットっぽく起動しているのは本機紹介アプリの「HUAWEI MateBook 13」
デバイスマネージャ/主要なデバイス。ストレージはPCIe SSD 512GBの「WDC PC SN720 SDAPNTW-512G-1027」。Wi-Fi(Wireless-AC 9560)とBluetoothはIntel製
ストレージのパーティション。C:ドライブのみの1パーティションで約461GBが割り当てられている

 おもなプリインストールのソフトウェアは、「PC Manager」、「HUAWEI MateBook 13」。前者はドライバ更新などシステムメンテナンスツール、後者は本機の紹介となる。

PC Manager
HUAWEI MateBook 13

 ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、CINEBENCH R15、CrystalDiskMark、BBench。結果は以下のとおり。

PCMark 10 v1.1.1739
PCMark 10 Scoren/a
Essentials8,419
App Start-up Score10,616
Video Conferencing Score7,243
Web Browsing Score7,762
Productivity7,123
Spreadsheets Score8,750
Writing Score5,799
Digital Content Creationn/a
Photo Editing Score4,167
Rendering and Visualization Scoren/a
Video Editting Score4,167
PCMark 8 v2.8.704
Home Accelarated 3.03,585
Creative Accelarated 3.03,829
Work Accelarated 2.04,962
Storage5,077
3DMark v2.8.6528
Time Spy467
Fire Strike Ultra302
Fire Strike Extreme574
Fire Strike1,233
Sky Diver4,936
Cloud Gate9,358
Ice Storm Extreme44,017
Ice Storm59,550
CINEBENCH R15
OpenGL57.38 fps
CPU711 cb
CPU(Single Core)187 cb
CrystalDiskMark 6.0.0
Q32T1 シーケンシャルリード3,449.555 MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト2,526.332 MB/s
4K Q8T8 ランダムリード1,320.821 MB/s
4K Q8T8 ランダムライト1,143.759 MB/s
4K Q32T1 ランダムリード407.502 MB/s
4K Q32T1 ランダムライト324.985 MB/s
4K Q1T1 ランダムリード46.322 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト141.505 MB/s
BBench(ディスプレイの明るさ0%、電源モード:バッテリー節約機能)
バッテリ残量2%まで13時間19分31秒

 PCMark 10はRendering and Visualization Scoreがエラーでスコアが出ていないため(最近この現象が多発している。Whiskey Lakeと相性が悪い?)、結果、トータルスコアもないが、個別に見るとさすがにCore i7-8565U、デュアルチャネル対応の8GB、PCIe SSDだけあってiGPU機としてはハイスコアが並んでいる。下位モデルもCore i5とは言え4C/8T、ほかは同じなので高スコアが期待できそうだ。

 バッテリ駆動時間は、キーボードバックライトOFF、ディスプレイの明るさ0%、電源モード:バッテリー節約機能で残2%まで13時間19分31秒。軽く12時間を越えてしまった。但し輝度0%は暗いため、実際はもう少し短くなると思われる。


 以上のようにMateBook 13(WRT29CH78CNCNNUA)」は、Core i7-8565U/8GB/PCIe SSD 512GB、13型IPS式2,160x1,440ドット/sRGB 100%などを搭載したモバイルノートだ。ルックスや質感、パネルのクオリティ、性能、そして使いやすいキーボード……など、すべてにおいて高い次元で仕上げられている。価格もCore i5モデルは10万円切りの頑張りようだ。

 仕様上気になる部分もなく、税込10万円+αのレンジで完成度の高い13型モバイルノートを探しているユーザーにお勧めの逸品と言えるだろう。