西川和久の不定期コラム

DVDドライブ装備のスタンダードノートPC、レノボ「ideapad 330」

製品写真

 レノボ・ジャパンは6月19日、同社の14型スタンダードノートPC「ideapad 330」と「ideapad 330S」に15.6型モデルを追加した。

 前者が編集部から送られて来たので、試用レポートをお届けしたい。

15.6型を追加した2スピンドルのideapad 330

 これまでideapadの330系は14型だったが、冒頭に書いたとおり15.6型が追加された。330は光学ドライブあり、330Sは光学ドライブなしとなる。

 ideapad 330の各モデルは、プロセッサ/メモリ/ストレージの仕様が異なり、プロセッサはCeleorn N4000/Core i3-7020U/Core i5-7200U/Core i7-7500U/Core i5-8250U/Core i7-8550Uといった第7世代と第8世代の混合、メモリは4GBか8GB、ストレージはHDD 500GB/1TB、SSD 128GB/256GB、1TB HDD+Optaneメモリーなどの構成となる。パネルやインターフェイスなど、そのほかの主要部分は同じだ。

 ただし、Celeron N4000搭載モデルのみ、Gigabit Ethernetなし、Type-Cなしとなる。手元に届いたのは、そのCeleron N4000搭載モデルで、おもな仕様は以下のとおり。

Lenovo「ideapad 330」の仕様
プロセッサCeleron N4000(2コア2スレッド/1.1~2.6GHz/キャッシュ4MB/TDP 6W)
メモリ4GB/PC4-19200 DDR4 SDRAM SODIMM、スロット1(空き0)
ストレージHDD 1TB
光学ドライブDVDスーパーマルチドライブ
OSWindows 10 Home(64bit)
ディスプレイ15.6型1,366x768ドット、非光沢、タッチ非対応
グラフィックスIntel UHD Graphics 600/HDMI出力
ネットワークEthernet、IEEE 802.11ac対応無線LAN、Bluetooth 4.1
インターフェイスUSB 3.0、USB 2.0、4in1メディアカードリーダ、30万画素Webカメラ、音声入出力
バッテリ/駆動時間2セルリチウムイオンポリマー/約7.3時間
サイズ/重量378×260×22.9mm(幅×奥行き×高さ)/約2.2kg
カラーバリエーションプラチナグレー、ブリザードホワイト、ミッドナイトブルー、オニキスブラック
販売価格オープンプライス

 プロセッサはCeleron N4000。2コア2スレッドで、クロックは1.1GHzから最大2.6GHz。Gemini LakeのノートPC用としては一番下のSKUだ。

 メモリはPC4-19200 DDR4 SDRAM SODIMMで4GB。スロットは1つで(本モデルとしては)最大4GB。ストレージはHDD 1TB。そして光学ドライブとしてDVDスーパーマルチドライブを搭載する。

 久々の2スピンドルノートPCだが、音楽や動画、そしてソフトウェアがインターネットから降ってくるこのご時世でも、CDやDVDなど光学メディアの資産を持つユーザー向けだ。OSは64bit版のWindows 10 Home。

 グラフィックスはプロセッサ内蔵のIntel UHD Graphics 600。外部出力用にHDMIを装備している。パネルは非光沢の15.6型HD/1,366x768ドットTNパネル。タッチには対応していない。15.6型でHD解像度はppiが低く、かなり粗目だが、ここはコストとの兼ね合いだろう。

 ネットワークはEthernetとIEEE 802.11ac対応無線LAN、Bluetooth 4.1。Celeron N4000モデルのみGigabit Ethernetに非対応だ。そのほかのインターフェイスは、USB 3.0、USB 2.0、4in1メディアカードリーダ、30万画素Webカメラ、音声入出力。

 今どきのモデルとしては、Type-Cがないのは残念なところ。Celeron N4000モデル以外はType-Cありで、USB系は3ポートとなっている。

 サイズは378×260×22.9mm(幅×奥行き×高さ)、重量約2.2kg。2セルのリチウムイオンポリマーバッテリを内蔵し、駆動時間は約7.3時間。カラーバリエーションはプラチナグレー、ブリザードホワイト、ミッドナイトブルー、オニキスブラックの4種類を用意している。

 価格はオープンプライス。Webで探してみたものの同スペックは見つからず、SSD 128GB+Office H&B 2016モデル(ほかは同じ)が価格.com最安値で57,800円だった。おそらく同程度の価格帯だと思われる。

 15.6型の2スピンドルスタンダードノートPCとしては、安価なモデルになるだろうか。

前面。パネル中央上に30万画素Webカメラ。パネルは非光沢
背面。手前左右のスリットがスピーカー。メモリなどにアクセスできる小さいパネルはない
左は電源入力、Ethernet、HDMI、USB 3.0、USB 2.0、4in1メディアカードリーダ。パネルの傾きはこれが最大
右はロックポート、DVDスーパーマルチドライブ
斜め後ろ。カラーバリエーションはミッドナイトブルー。左上にLenovoのロゴ。バッテリは着脱できない
キーボードは10キー付きのアイソレーションタイプ。タッチパッドは1枚プレート型
キーピッチは主要キーは約19mm。[Enter]キーに隣接する[む]キーが気になる程度で歪な並びはない
付属のACアダプタ。サイズ約62×62×29mm、重量162g。プラグは折りたためない
横から。厚み22.9mmとそれなりに薄く、Ethernetコネクタは高さが足らず下の部分が開くタイプになっている

 筐体はプラスチック製で、高級感はなく価格なりだ。今回手元に届いたのはミッドナイトブルー。背面、キーボード、パネルのフチ以外は、ご覧のような深めのブルーとなっている。

 15.6型で厚みが22.9mmなので薄めだが、重量は2kgを超えているので、持ち上げるとズッシリ重い。

 前面は、パネル中央上に30万画素Webカメラ。左サイドに電源入力、Ethernet、HDMI、USB 3.0、USB 2.0、4in1メディアカードリーダとコネクタ類が集中。Ethernetは下が開くタイプだ。右サイドはロックポート、DVDスーパーマルチドライブを配置している。

 背面は手前左右にスピーカー用のスリット。バッテリは内蔵式で着脱できない。手前のゴム足と、後ろのゴム足の高さが若干違うため、キーボードが少し手前に傾く構造になっている。

 付属のACアダプタはサイズ約62×62×29mm(同)、重量162gと少し大きめだ。プラグの部分は折りたためない。サイズがサイズなだけに、プラグ部分は折りたためるようにして欲しかった。

 15.6型のディスプレイは、明るさ、コントラスト、発色はギリギリ及第点レベル。輝度0%は暗く、実質50%からが実用範囲だろうか。TNパネルなので視野角は狭い。

 このサイズでHD解像度のため、文字なども荒く見える。非光沢なので、映り込みが少なく見やすい点は良いが、価格なりのパネルだ。180度近くまで傾けることができる。

 キーボードは10キー付きのアイソレーションタイプ。主要キーのキーピッチは約19mm。15.6型とフットプリントに余裕があるので、とくに歪な並びはない。あえて挙げれば、[Enter]キーに隣接する[む]キー程度だろうか。

 打鍵感はクリック感があり、ストロークも若干深め。この辺りは個人的な好みにもよるだろう。タッチパッドは1枚プレート型だ。パームレストも含め十分な面積が確保されており扱いやすい。

 試用中、ノイズや振動はとくに気にならなかった。発熱は、ベンチマークテストなど負荷をかけると、タッチパッド右側のパームレスト部分が熱を持つ。サウンドは、カマボコレンジだが、それなりにパワーがあり、また左右のスピーカー間が広く、ステレオ感も出る。

 基本的にコスト優先モデルなので、全体的に粗削りだが、不満が出るレベルではないという絶妙なバランスに仕上げられている。

HDDが全体の足を引っ張るのが残念

 OSは64bit版のWindows 10 Home。初期起動時のスタート画面(タブレットモード)は1画面。Lenovoグループがプリインストールされている。デスクトップは壁紙のみの変更とシンプルだ。

 プロセッサと関係なく、ストレージがHDDなので、ブートやアプリの起動はどうしてもモッサリしてしまう。できればSSDか、大容量が必要であればHDD+Optaneメモリー搭載モデルを選びたいところだ。

 ストレージは1TB/5,400rpm/128MBの「TOSHIBA MQ04ABF100」。Cドライブのみの1パーティションで、約930GBが割り当てられ空きは906GB。

 EthernetはRealtek製、Wi-FiとBluetoothはQualcomm製だ。

スタート画面(タブレットモード)は1画面。Lenovoグループがプリインストール
起動時のデスクトップは壁紙のみの変更
デバイスマネージャ/主要なデバイス。ストレージは1TB/5,400rpm/128MBの「TOSHIBA MQ04ABF100」。EthernetはRealtek製、Wi-FiとBluetoothはQualcomm製
ストレージのパーティション。Cドライブのみの1パーティションで約930GBが割り当てられている

 プリインストールのアプリは、「Lenovo App Explorer」、「Lenovo Vantage」、「Lenovo Utility」といった同社のツール系と、「Power2Go for Lenovo」、「PowerDVD for Lenovo」、「Realtek Audio Console」など。

Lenovo Vantage
Lenovo App Explorer

 ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、CINEBENCH R15、CrystalDiskMark、BBenchで、結果は以下のとおり。

PCMark 10 v1.0.1457
PCMark 10 Score1,434
Essentials3,427
App Start-up Score2,751
Video Conferencing Score3,721
Web Browsing Score3,932
Productivity2,765
Spreadsheets Score3,314
Writing Score2,308
Digital Content Creation845
Photo Editing Score854
Rendering and Visualization Score556
Video Editting Score1,275
PCMark 8 v2.8.704
Home Accelarated 3.01,718
Creative Accelarated 3.01,453
Work Accelarated 2.02,937
Storage2,172
3DMark v2.4.4264
Time Spyn/a
Fire Strike Ultran/a
Fire Strike Extremen/a
Fire Strike308
Sky Diver1,051
Cloud Gate2,175
Ice Storm Extreme11,853
Ice Storm17,679
CINEBENCH R15
OpenGL12.48 fps
CPU121 cb
CPU(Single Core)75 cb
CrystalDiskMark 6.0.0
Q32T1 シーケンシャルリード152.744 MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト143.723 MB/s
4K Q8T8 ランダムリード1.069 MB/s
4K Q8T8 ランダムライト4.769 MB/s
4K Q32T1 ランダムリード1.064 MB/s
4K Q32T1 ランダムライト4.257 MB/s
4K Q1T1 ランダムリード0.472 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト2.973 MB/s
BBench(ディスプレイの明るさ0%、電源モード:バッテリー節約機能)
バッテリ残量7%まで7時間37分30秒

 前回ASUSの「E203MA」(Celeron N4000/4GBメモリ/eMMC 64GB)を紹介したが、HDDかeMMCかで各ベンチマークテストのスコアに少し違いが出るため、基本的に本機の方が若干遅い。

 参考までに、初期起動時のWindows 10 Home RS3からRS4へUpdate(執筆時点までのWindows Updateをすべて適応)して、BBenchを除く各種ベンチマークテストが終わるまで約12時間(Update 6時間+各種ベンチマークテスト計6時間)ほどかかっている。プロセッサが非力なマシンほど、SSDなど高速なストレージが欲しいところか。

 バッテリは仕様上約7.3時間なので、ほぼそのとおり。15.6型で重量も2kgを超えるので、おもな用途が室内の移動であれば、問題ないレベルだ。


 以上のようにLenovo「ideapad 330」は、15.6型HD解像度、Celeron N4000、4GBメモリ、1TB HDDを搭載した2スピンドルスタンダードノートPCだ。

 スペック的には、Windows 10を動かしてアプリを使うには、ある意味、必要最低限レベルとなるものの(といっても一昔前のAtom/2GBメモリ搭載品よりは随分速い)、そこは価格との兼ね合いで、需要はあるだろう。性能については、プロセッサやストレージを選べるので予算で調整すれば良い。

 仕様上とくに気になる部分もなく、低価格で15.6型のスタンダードなノートPCを求めているユーザーにおすすめできる1台だ。