西川和久の不定期コラム
手軽な値段で高品質なNEC PC製10.1/8型Androidタブレット、LAVIE Tab E「TE510/HAW」/「TE508/HAW」
2017年8月14日 06:00
NECパーソナルコンピュータ(NEC PC)は、Androidタブレット“LAVIE Tab E”シリーズの新モデルとして、10.1型の「TE510/HAW」と8型の「TE508/HAW」の2機種を8月3日に発売した。パネルやSoC、メモリなどが違うものの、ほぼ同じ構成ということもあり、今回は2台同時に紹介したい。
シンプルなデザインで、画面も音もGoodなタブレット
10.1型のLAVIE Tab E「TE510/HAW」は、SoCに8コア2GHzのQualcomm APQ8053(Snapdragon 805)を搭載。同SoCはハイエンドSKUのなかで下位という位置づけだ。
搭載メモリはLPDDR3 3GB。一般的にこれだけあれば十分な容量だろう。ストレージはeMMCの16GB。音楽や動画を保存するには少ないものの、microSDカードスロットがあるのでデータを逃すことができる。OSは画面分割などに対応したAndroid 7.1。
ディスプレイは、10.1型IPS式1,200×1,920ドット、マルチタッチ対応だ。外部出力用のHDMIなどは非搭載。ネットワークはIEEE 802.11 ac対応、Bluetooth 4.2。
インターフェイスは、USB 2.0 Type-C、microSDカードスロット、前面500万画素/背面800万画素カメラ、音声入出力、指紋センサー。センサーは、GPS、加速度、照度を搭載。Typc-Cは充電用兼、またDolby Atmosにも対応している。
サイズは172.5×246.8×7.2mm(幅×奥行き×高さ)、重量約485g。7,000mAhのバッテリを内蔵し、駆動時間はWeb閲覧時で約8.8時間。税別店頭予想価格は36,800円前後。NEC製、そしてハイクオリティなパネル、Dolby Atmos対応などを考えると無難なところか。
筐体はホワイト。とても質感が良く、個人的にはiPhone 4Sのホワイトモデルを彷彿とさせる色使いだった。ただ裏がツルツルし過ぎて厚みも7.2mmと薄いので、なにかの拍子に滑って落としてしまいそうな気持ちになる。重量は483g。片手でも両手でも楽々持ち上がり、持ち続けることができる。
前面は中央上に500万画素前面カメラ、中央下に指紋センサー。ナビゲーションボタンはソフトウェア式だ。上側面左右にスピーカー用のスリットがある。左側面に音量±ボタン、電源ボタン。右側面に音声入出力、USB Type-C、カバーの下にmicroSDカードスロットを配置。上側面と下側面にコネクタ類はなにもない。
付属品は専用のスタンド、USB式のACアダプタ、USB Type-Cに対応したUSBケーブル。専用のスタンドは数段階あるツメに引っ掛けて角度を変える簡単なものだが、あればあったで重宝する。ACアダプタのサイズは約40×45×30mm(同)、重量46g。出力は5.2V/2A。
10.1型のディスプレイは明るさ、コントラスト、発色、視野角、すべて良好。とても品質の高いものが使われている。タッチの反応も申し分ない。
ノイズや振動は皆無。発熱も試用した範囲では気にならないレベルに収まっている。サウンドは左右のスピーカーが上側面にあるめずらしいタイプだ。低音があまり出ずシャリシャリするのは仕方ないがパワーも十分。音楽も動画も十分楽しめる。またDolby Atmosをオン/オフしてもあまり音質は変わらず、素がしっかりしている証拠となる。
しかし、イヤフォン接続時はスピーカーではあまりわからなかったDolby Atmos オン/オフがはっきりわかり、オフだと少しこもり気味だ。常時オンでの使用をおすすめしたい。
TE510/HAW | TE508/HAW | |
---|---|---|
SoC | Qualcomm APQ8053(2GHz、8コア) | Qualcomm APQ8017(1.4GHz、4コア) |
メモリ | LPDDR3 3GB | LPDDR3 2GB |
ストレージ | 16GB | |
ディスプレイ | 10.1型IPS液晶 | 8.1型IPS液晶 |
解像度 | 1,200×1,920ドット | 800×1,280ドット |
OS | Android 7.1 | |
バッテリ容量 | 7,000mAh | 4,850mAh |
バッテリ駆動時間 | 約8.8時間(Web閲覧時) | 約8時間(Web閲覧時) |
USB | USB Type-C | Micro USB |
カードリーダ | microSD | |
Webカメラ | 前面500万/背面800万画素 | 前面200万/背面500万画素 |
SIMスロット | - | |
通信機能 | IEEE 802.11ac、Bluetooth 4.2 | IEEE 802.11n、Bluetooth 4.0 |
センサー | GPS、加速度、照度 | GPS、加速度 |
本体サイズ(幅×奥行き×高さ) | 172.5×246.8×7.2mm | 124.2×210.9×8.4mm |
重量 | 約485g | 約340g |
税別店頭予想価格 | 36,800円前後 | 23,800円前後 |
一方、8型のLAVIE Tab E「TE508/HAW」は、SoCに4コア、1.4GHzのQualcomm APQ8017(Snapdragon 425)を搭載。「TE510/HAW」より2ランク下のSKUだ。メモリはLPDDR3 2GB、ストレージはeMMCで16GB。OSはAndroid 7.1。
ディスプレイは8型IPS式800×1,280ドット、マルチタッチ対応。HDMIなど外部出力用はない。ネットワークはIEEE 802.11 n対応、Bluetooth 4.0に対応。
インターフェイスは、Micro USB、microSDカードスロット、前面200万画素/背面500万画素カメラ、音声入出力。Micro USBは充電用兼、こちらもDolby Atmosに対応している。センサーはGPS、加速度を搭載。指紋センサーと照度センサーが非対応となる。
サイズは124.2×210.9×8.4mm(同)、重量約340g。4,850mAhのバッテリを内蔵し、駆動時間はWeb閲覧時で約8時間。
税別店頭予想価格は23,800円前後。「TE510/HAW」と比較して13,000円の差となる。違いはSoC、メモリ-1GB、パネルサイズと解像度、Wi-Fi/Bluetoothの対応、カメラの画素数、指紋センサーと照度センサーなし。順当なところだろう。
こちらも筐体はホワイト。ただ「TE510/HAW」のような質感ではなく、裏は少しザラザラした感じで逆に手に馴染む。デザイン的には扉の写真からもわかるように、「TE510/HAW」をそのままスケールダウンした感じだ。重量は実測で342g。コンパクトな分、さらに軽くなっている。ただ厚み8.4mmと「TE510/HAW」(7.2mm)より厚みがあるので、同時に両方持つと違いがわかる。
前面は、中央上に200万画素前面カメラ。ナビゲーションボタンはソフトウェア式だ。背面は左上に500万画素背面カメラ。左側面はカバーの下にmicroSDカードスロット。右側面に音量±ボタン、電源ボタン。上側面に音声入出力とMicro USBを配置。また上側面と下側面にR/Lのスピーカーがそれぞれある。これからもわかるように、音楽や動画は横向きにして再生することを前提にしている。
付属品は「TE510/HAW」と同じ。ただしスタンドの大きさとUSBケーブルがMicro USBになっている点だけ異なる。ACアダプタはまったく同じだ。
ディスプレイは、明るさ、コントラスト、発色、視野角すべて良好。ただ明るさは「TE510/HAW」と比較するとかなり明るく、発色はしっとりした感じに対して少しギラギラした感じとなる。照度センサー非搭載のため、外光による明るさ自動調節機能はない。
ノイズや振動は皆無。発熱も同様に気にならなかった。サウンドは両手で持つと、ちょうどスピーカーの部分を掌で反射できるので、「TE510/HAW」よりバランスが良くなる。パワーも十分。イヤフォンで聴いたところ、傾向は「TE510/HAW」に似ているものの、Dolby Atmos オン/オフの差が少ないように思う。
以上のように、「TE510/HAW」、「TE508/HAW」ともに、ルックス、パネルの品質、サウンドの品質と3拍子揃っており、最高性能を求めなければ満足度の高いモデルに仕上がっている。
適度なアプリの追加で使いやすい構成
「TE510/HAW」のセットアップは約10画面。ほぼ素のAndroid状態でサクッと終わる。初心者かどうかとは無関係に、購入後、パッケージを開け、電源オンからの初期設定はこの程度にするのが無難で、最初につまずくこともないだろう。「TE508/HAW」は指紋センサーがない関係で関連する画面がなく、PINやパスワード設定の画面となっている。
以下、「TE508/HAW」に関しては主に横向きか縦向きかの違いで大差がないため画面キャプチャは省き、必要に応じて説明だけに留めている。
初回起動時のホーム画面は1画面。中央に「info.Board」のウィジェットが陣取っている。Dock部分に「Playストア」、「まもるゾウ2 for NEC」、「パスワードマネージャー」。フォルダは「サポート」、「Google」、「Microsoft」の3つを配置と、シンプルな構成だ。
ストレージは16GB中7.83GB(「TE508/HAW」もほぼ同じ)が空き。Androidのバージョンは7.1.1。7系なので画面分割も機能する。
標準搭載のアプリは、「ウイルスバスター」(url)、「お客様登録」(url)、「ガイドブック」、「カメラ」、「カレンダー」、「サービス一覧」(url)、「ドライブ」、「パスワードマネージャー」(url)、「ハングアウト」、「ファイルマネージャー*」、「フォト」、「マップ」、「まもるゾウ2 for NEC」、「音声レコーダー*」、「音声検索」、「時計」、「設定」、「電子書籍」、「電卓」、「動画なびポータル」、「連絡先」、「Chrome」、「Dolby Atmos」、「Excel」、「FSKREN」、「Gmail」、「Google」、「Google+**」、「i-Filier」、「info.Board」、「LAVIEアシスト」、「My History service」(url)、「My Time Line」、「OneDrive**」、「OneNote」、「Outlook」、「Playストア」、「Play Music」、「Playムービー&TV」、「PowerPoint」、「Skype」、「U-NEXT」、「Word」、「Yahoo!」、「YouTube」。
(url)はアプリではなくWebへのショートカット。*は「TE508/HAW」には入っていないもの、**は「TE508/HAW」のみのもの
Androidの基本構成に加え、Office Mobileと、どちらかと言えば初心者向けのアプリが入っている感じだろうか。
ウィジェットは、「カレンダー」×2、「ドライブ」×3、「マップ」×3、「時計」×2、「設定」、「連絡先」、「Chrome」、「Gmail」×2、「Googleアプリ」×2、「Google Playストア」×2、「Google Play Music」×3、「info.Board」。
カメラの設定は、撮影モードも含んでおり、撮影場所の記録、ストレージ(内蔵ストレージ/SDカード)、撮影モード(オート、景色、スポーツ、夕焼け、ビーチ、雪、ろうそく光)、カウントダウンタイマー、タイマー時にビープ音、露出(±2)、ホワイトバランス(オート、白熱灯、蛍光灯、昼光、曇り)、写真サイズ、画質。「TE508/HAW」もほぼ同じ内容だ。
2台共背面カメラ、最大解像度(8M/5M)モードで撮影した写真をそれぞれ1枚掲載する(露出+1補正)。発色や解像感が結構違うのがわかる。角度が違うのは、手ぶれを防ぐため、机に下側面をつけて撮っている関係で、筐体の大きさ違によるレンズの高さが異なるためだ。
ミドルレンジとエントリークラスの住み分け
ベンチマークテストは、AnTuTuベンチマークとGoogle Octane 2.0の結果を掲載した。カッコ内は「TE508/HAW」のスコアだ。
結果は、総合 61964(36131)。3D 12579(2533)、UX 23385(14955)、CPU 20708(13433)、RAM 5292(5210)。Google Octane 2.0は4625(3280)。
「TE508/HAW」と比較して、3Dは圧倒的。ほかも倍とまでは言わないものの結構差があるのがわかる。Snapdragonの8系と4系なので、それなりに差があるのは仕方ないところ。
バッテリ駆動時間は、輝度50%音量50%に設定し、Wi-Fi接続でYouTubeの動画を全画面で繰り返し再生したところ、約11時間(約10時間)で電源が落ちた。どちらも仕様以上であり、また画面の明るさは50%でも結構明るく、この結果は実際に使用したときと変わらないと思われる。
以上のようにLAVIE Tab E「TE510/HAW」と「TE508/HAW」は、SnapdragonとAndroid 7.1を搭載したタブレットだ。主にパネルサイズと解像度、SoC、メモリが異なるものの、内容は非常に良く似ており兄弟と言っても差し支えない。パネル、サウンド、ルックスも高いレベルに仕上がっており、加えてUIも触らずほぼ素のAndroidと言うのも好感が持てる。
両モデルとも、SoC的に爆速ではないものの、仕様上とくに気になる部分もなく、高い品質かつ手頃なAndroidタブレットを探しているユーザーに、予算や用途に合わせてどちらかチョイスしてほしい逸品だ。