西川和久の不定期コラム
16,980円でAndroid 7.0の8型タブレット ファーウェイ「MediaPad T3」
2017年8月28日 13:02
「MediaPad T3 10」と双子なモデル
6月に同社の9.6型「MediaPad T3 10」をご紹介したが、今回ご紹介するのは「MediaPad T3」。モデル名からわかるように、違いは“10”の有無だけで、本製品は8型のモデルとなる。
仕様を見るまでは「ほぼ同じだろうな……」と思っていたが、予想以上に共通点が多く、ほとんどパネルサイズだけが違うと言っても過言ではないほど。少し前に紹介したNECのLAVIE Tab E「TE510/HAW」と「TE508/HAW」の2機種は“兄弟”と表現したが、こちらはほぼ“双子”だ。ここまで似ているのは稀ではないだろうか。おもな仕様は以下の通り。
SoC | Qualcomm MSM8917(Snapdragon 425、1.4GHz) |
---|---|
メモリ | 2GB |
ストレージ | 16GB |
OS | Android 7.0 |
ディスプレイ 8型IPS式1,280×800ドット、タッチ対応 | |
ネットワーク | IEEE 802.11 a/n対応(LTEモデルは11n)、Bluetooth 4.1 |
その他 | Micro USB(充電兼用)、microSDカードスロット、前面200万画素/背面500万画素カメラ、音声入出力 |
センサー | GPS |
WAN(LTEモデル) | nano SIM、FDD-LTE 1/3/5/7/8/19/20、TDD-LTE 38/39/40/41(下り最大150Mbps、上り最大50Mbps)、W-CDMA 1/2/5/6/8/19、GSM 850/900/1,800/1,900MHz |
バッテリ | 4,800mAh |
サイズ/重量 | 約124.65×211.07×7.95mm(幅×奥行き×高さ)/約350g |
税別店頭予想価格 | 16,980円(Wi-Fiモデル)、19,980円(LTEモデル) |
SoCはSnapdragon 425で、4コアの最大クロック1.4GHz、GPUにAdreno 308を内包し、メモリはLPDDR3 667MHzに対応。2GB搭載している。ストレージは16GB。OSはAndroid 7.0。Snapdragonに関しては、8系や6系が上位SKUにあるのでエントリークラスだ。
ディスプレイは8型IPS式1,280×800ドット。ネットワークはIEEE 802.11 a/n対応、Bluetooth 4.1。ただし、LTEモデルのWi-Fiは11nとなる。
そのほかのインターフェイスは、Micro USB(充電兼用)、microSDカードスロット、前面200万画素/背面500万画素カメラ、音声入出力、nano SIM(LTEモデル)。センサーは、Wi-Fiモデル、LTEモデル共にGPSを搭載している。
LTEモデルの対応バンドは、FDD-LTE 1/3/5/7/8/19/20、TDD-LTE 38/39/40/41、W-CDMA 1/2/5/6/8/19、GSM 850/900/1,800/1,900MHz。LTEは下り最大150Mbps、上り最大50Mbps。
4,800mAhのバッテリを内蔵し、サイズは約124.65×211.07×7.95mm(幅×奥行き×高さ)。重量約350g。店頭予想価格は16,980円(Wi-Fiモデル)、19,980円(LTEモデル)。
9.6型「MediaPad T3 10」との違いは、サイズ/重量を除くとGPSの有無のみ。バッテリ容量まで同じだ。差額はWi-Fiモデルで約2,000円、LTEモデルは3,000円の違い。安価でLTEなタブレットが欲しいユーザーに嬉しい価格と言えよう。またこの程度の差であれば、8型か9.6型かを用途の観点のみに絞って選択することができる。
なお上位モデルとして、「MediaPad M3 Lite」(Wi-Fi/LTEモデル)も8月25日より販売されている。
こちらは、Snapdragon 435(1.4GHzクアッドコア+1.1GHzクアッドコア)、3GBメモリ/32GBストレージ、8型IPS式1,920×1,080ドット液晶パネル、指紋認証センサー、800万画素前面/背面カメラなど、結構な仕様が強化されて価格は24,980円(Wi-Fiモデル)/29,800円(LTEモデル)。1万円近く高くなるものの、画面解像度もフルHDで、メモリ関連も強化された8型となる。
筐体色はスペースグレー。メタリックで1万円台のタブレットには見えない雰囲気を持つ。重量は実測で347gなので、持ち上げるのも持ち運ぶのも容易だ。
前面は、パネル中央上に200万画素カメラ。上の細長い部分がスピーカー。ナビゲーションボタンはソフトウェア式だ。背面は左上に500万画素カメラ。左側面には何もなく、下側面に充電兼のMicro USB。右側面に音量±ボタン、電源ボタン、microSDカード/Nano SIMスロット。上側面に音声入出力を配置。microSDカード/Nano SIMスロットは手前がmicroSDカードとなる。
USB式のACアダプタは手元に届いたのが海外仕様のため、プラグの形状が異なっているので参考程度に。サイズ約50×25×20mm(プラグ含まず)、重量30g。出力は5V/1A。USBケーブル、イジェクトピンも付属する。
8型のディスプレイは、明るさ/コントラスト/発色/視野角すべて良好。明るさ最大だと眩しいほどだ。解像度はフルHDではないが、文字のジャギーなどもほとんど気にならない。「MediaPad T3 10」と同じ解像度だが、パネルサイズが小さい分、高ppiとなる。タッチの反応も良好。2万円以下のタブレットでこの品質なら文句なしだ。
ノイズや振動は皆無。発熱はバッテリ駆動テストでYouTubeを12時間以上連続再生したものの、(エアコンの影響もあるだろうが)特に熱は持たなかった。
サウンドはパネル上の長細い部分にモノラルスピーカーが埋め込まれており、縦向きで使うと気にならないが、横向きだと音が一方に偏ってしまう。低音が出ないシャリシャリした安っぽい音だが、このクラスとしてはパワーがある。
イヤフォン出力は中域中心で、高音と低音がそこそこのカマボコレンジ。パワーもいま一歩で、価格なりな印象だ。
カメラとサウンドに関しては、コストとの兼ね合いもあるので仕方ない部分とも言え、総じて「MediaPad T3 10」と同様、価格の割に完成度の高いタブレットに仕上がっている。
構成は「MediaPad T3 10」とほぼ同じ
初期起動時のセットアップ画面は全部で約11。SIMの設定は後から行ないスキップした。おおよそ素のAndroidに近いのだが、(このモデルのみなのか、あるタイミングから全モデルなのかは不明であるが)他社で指摘してきたGoogleアカウントとは別のアカウントの登録画面が入ってしまった。
初心者の場合、アカウント登録が2つあると混乱するので、初期起動時は避けて欲しいところだ。自己主張が強いので、このアカウントが必要なアプリをはじめに起動した時に出せば良いと思う。
Androidのバージョンは7.0、独自UIであるEMUIのバージョンは5.1。試用期間中にはどちらも更新はなかった。IMEは「Swiftkey」が標準で入っている。ストレージの空きは(若干画面キャプチャが含まれているが)6.61GB。Android 7系なので、画面分割も機能する。
初期起動時のホーム画面は3画面。Dockに「Playムービー」、「Play Music」、「メール」、「Chrome」、「ギャラリー」。1画面目にはショートカットはなく、2画面目に「Google」フォルダ、「Playストア」、「端末管理」、「設定」、「カメラ」。3画面目に、「電話」、「連絡先」、「メッセージ」、「テーマ」、「ファイル」、「メモ帳」、「HiGame」、「カレンダー」、「キッズモード」、「ツール」フォルダ、「おすすめ」フォルダ、「マイクロソフト」フォルダを配置。
Android標準アプリに加え、「端末管理」や「バックアップ」、「テーマ」、「ファイル」、「キッズモード」など、若干のツール系などを加えた構成になっている。この辺りは「MediaPad T3 10」と同じだ。割とあっさりめのアプリ/フォルダ構成で分かりやすく、後からカスタマイズもしやすい。
SIMの設定は、Nano SIMを入れ、設定/モバイルネットワーク/アクセスポイント名から該当するAPNを選ぶだけで完了する。
ウィジェットは、「Google Playストア」、「オプティマイザ」、「カレンダー」、「ギャラリー」、「連絡先」、「時計」、「ドライブ」×2、「Google App」、「メール」、「メモ帳」、「マップ」、「音楽」、「画面ロック」、「書籍」、「設定のショートカット」、「天気」、「電源管理」、「Chromeのブックマーク」、「Gmail」、「Gmailのラベル」、「Google Playニュース スタンド」、「Google Play ブックス」、「Google Play Music」、「Google+投稿」、「Musicプレイリスト」、「Outlook」。
またHome画面をページングする時のエフェクトとして、「デフォルト」、「パースペクティブ」、「スクイーズ」、「ボックス」、「フリップオーバー」、「回転」、「ページ」、「風車」が用意されている。
カメラの撮影モードは、写真、動画、HDR、コマ抜き、音声写真、文章スキャン、その他。Proモードに相当するものはない。
設定は、解像度(5M/3.1M/2.1M/1.4M/0.9M)、GPSタグ、カメラグリッド、タイマー、音声シャッター、タップして撮影、スマイルキャプチャ、シャッターボタンを長押し、音量ボタンの機能、ホワイトバランス(自動/白熱灯/昼光/蛍光灯/曇り)、画像調整(彩度/コントラスト/明るさ。各±3)。露出補正に関する項目は見当たらなかった。
500万画素モードで撮影した写真を1点掲載するが、ご覧の通り、画質的には積極的に使うほどでもないだろう。
「MediaPad T3 10」と瓜2つのパフォーマンス
ベンチマークテストは、AnTuTuベンチマークとGoogle Octane 2.0の結果を掲載した。カッコ内は「MediaPad T3 10」の値だ。結果は、総合 37,924(37,541)。3D 2,554(2,448)、UX 16,965(17,015)、CPU 13,414(13,201)、RAM 4,991(4,877)。Google Octane 2.0は3,500(3,362)。SoCなどが同じなだけに、結果もほぼ同じとなった。
バッテリ駆動時間は、輝度50%音量50%に設定し、Wi-Fi接続でYouTubeの動画を全画面で繰り返し再生したところ、約14時間で電源が落ちた。バッテリ駆動時間だけは、「MediaPad T3 10」の約10時間と比較して4時間ほど増えている。
いずれにしても、この状態で12時間を超えるのだから、バッテリ駆動時間に関しては十分な性能だ。
以上のようにファーウェイ「MediaPad T3」は、8型IPS式1,280×800ドット、Snapdragon 425、2GBメモリ/16GBストレージ、そしてAndroid 7.0を搭載したタブレットだ。安価な割に、パネルや筐体の質感が良いのは嬉しいポイントだ。
仕様上、特に気になる部分はなく、逆に高い完成度で驚くほど。「MediaPad T3 10」とほぼ内容が同じなので、どちらを選ぶかは価格とサイズで決めることになる。手頃なAndroidタブレットを探しているユーザーにおすすめしたい逸品だ。