西川和久の不定期コラム
極細ベゼル採用の15.6型4Kノート、デル「XPS 15」
2017年5月24日 06:00
極細ベゼルで4Kタッチ対応の最新鋭モデル
Webサイトの製品説明を見ると、極細ベゼルにより「世界最小の15.6インチノートパソコン」、「4K UHDディスプレイ(3,840×2,160ドット)の驚異的な表示」、「第7世代Intel Quad CoreプロセッサーとPascalアーキテクチャを備えたGeForce GTX 1050でハイパフォーマンス」……など、最新鋭の技術を詰め込んだ製品であることをアピールしている。
「XPS 15 プラチナ」と「XPS 15 プラチナ・4Kディスプレイ・タッチパネル」の2モデルが用意され、前者は主要部分が同じで、メモリとストレージが後者の半分、バッテリが56WHr、フルHD解像度、タッチ非対応となる。
今回手元に届いたのは後者の「XPS 15 プラチナ・4Kディスプレイ・タッチパネル」で、主な仕様は以下のとおり。
XPS 15(9560) | |
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プロセッサ | Core i7-7700HQ(4コア/8スレッド、クロック 2.8~3.8GHz、キャッシュ6MB、TDP 45W) |
メモリ | 16GB(8GB×2)/DDR4-2400MHz(2スロット/最大32GB) |
ストレージ | SSD 512GB |
OS | Windows 10 Home |
ディスプレイ | 15.6型 4K(3,840×2,160ドット) InfinityEdgeタッチディスプレイ |
グラフィックス | Intel HD Graphics 630、NVIDIA GeForce GTX 1050 4GB GDDR5 |
ネットワーク | IEEE 802.11ac 2x2無線LAN(Killer 1535)、Bluetooth |
インターフェイス | USB 3.0×2、USB 3.1/Thunderbolt 3、HDMI、720万画素カメラ、SDカードリーダ、指紋認証リーダ、音声入出力、キーボードバックライトあり |
バッテリ | 97WHr |
サイズ/重量 | 約357×235×11~17mm/約1.99kg |
価格 | 241,980円から(税別/配送料込み) |
プロセッサは第7世代Kaby LakeのCore i7-7700HQ。4コア8スレッドでクロックは2.8GHzから最大3.8GHz。キャッシュは6MB、TDP 45W。ノートPC用としてはかなり強力なSKUとなる。
メモリはDDR4-2400 8GB×2で計16GB。最大32GBまで対応する。DDR4が出回ってからそれなりの月日が経っているものの、いまだに1世代前のDDR3を採用する製品は多い。後半のベンチマークを見るとバンド幅がDDR3のそれと結構差があることがわかる。ストレージはNVMe SSDの512GB、OSは64bit版Windows 10 Homeを搭載する。
グラフィックスはプロセッサ内蔵のIntel HD Graphics 630と、ディスクリートのGeForce GTX 1050(4GB)。外部出力用にThunderbolt 3とHDMIを備えている。
このモデル最大の特徴であるディスプレイは、15.6型4K(3,840×2,160ドット) InfinityEdge 10点タッチ対応ディスプレイ。扉の写真からもわかるように極細ベゼルを採用する。また発色も非常に美しい最上級のパネルだ。
インターフェイスは、IEEE 802.11ac 2x2無線LAN、Bluetooth、USB 3.0×2、USB 3.1/Thunderbolt 3、720万画素カメラ、SDカードリーダ、指紋認証リーダ、音声入出力。キーボードバックライトにも対応している。有線LANがないのは残念だが、必要に応じてUSBアダプタを付ければいいだろう。
本体サイズは約357×235×11~17mm(幅×奥行き×高さ)、重量約1.99kg。このモデルのバッテリは97WHr。またフルHDタッチ非対応のモデルは重量1.82kg、バッテリ56Whrとなる。
注文時のカスタマイズによって、OSをWindows 10 Proへ、USキーボード(バックライト/指紋認証リーダあり)の選択が可能だ。価格は今回の構成で241,980円(税別/配送料込)だった。それなりに高価ではあるものの、価格に十分に見合う内容と言える。
トップカバーなど主要部分がアルミ、パームレストなどはカーボンファイバーを採用した筐体はとにかく美しくソリッド。眺めているだけでもほれぼれする。ただ重量が約2kgなので、片手で持ち上げるとズッシリする。
前面は下側、左端とデルのロゴの間辺りにWebカメラ、裏は手前左右のスリットがスピーカー。中央のXPSと書かれたパネルは、メモリなどへアクセスするものではなく、FCCなど認証が並んでいる部分を隠している。
左側面に電源入力、USB 3.0、HDMI、USB 3.1 Type-C、音声入出力。右側面にロックポート、バッテリ/充電インジケータ、USB 3.0、SDカードリーダを配置。付属のACアダプタのサイズは145×65×20mm(幅×奥行き×高さ)、重量332g。
ディスプレイは極細ベゼルに加え、色域、発色、明るさ、コントラスト、視野角、すべてにおいて普通のノートPCとは別次元。パッケージから本体を取り出し、ルックスに魅了された。そして電源オンでパネルを見てさらに感動。画面がこれだけ綺麗だとタッチ対応とは言え、指紋跡がつくのでタッチするのを躊躇する(笑)。仕様的には、100% Adobe RGBカラー、IGZO IPSパネルで上下左右最大170度の視野角となり、輝度は350cd平方m。
キーボードはアイソレーションタイプ。輝度を2段階に調整可能なバックライトを備えている。主要キーのキーピッチは約19mm。たわむこともなく、気持ち手前に傾いているので入力もしやすい。
ただ、この[Enter]と[Backspace]キーは個人的にはNGで、これだけ狭いと使いづらい。小型のマシンならともかく、15.6型なのでフットプリントは十分なはず。これだけ本体はこだわっているのだから、キーボードにももっと気を使ってほしいとせつに思う。
パームレストは先に書いたようにカーボンファイバを採用し独特の手触り。タッチバットは物理ボタンがない1枚プレート型だ。いずれも十分広く操作しやすい。
ノイズや振動は試用した範囲でまったく気にならないレベル。発熱はベンチマークテストなど負荷をかけると本体の左上が若干暖かくなる程度だった。サウンドは、パワーがあり、ノートPCとしてはレンジも広い。加えてWAVES MaxxAudio Proで好みの音にも調整可能。久々に音のいいノートPCだ。
ノートPCとしては文句なしの高性能
OSは64bit版のWindows 10 Home。初回起動時のスタート画面(タブレットモード)は、標準に加えてDellグループに4つのタイルが追加されている。デスクトップ画面は壁紙の変更だけとシンプルだが、花の赤がとにかく映えて美しい。OSやアプリの起動、操作感などは、Core i7、メモリ16GB、SSDの構成で反応がよく非常に快適だ。
ストレージは512MBでNVMe SSDの「Toshiba NVMe THNSN5512GPUK」。C:ドライブのみの1パーティションで約464.5GB割り当てられ空き412GB。
Wi-Fiはネットワーク関連処理をプロセッサからオフロードできる「Killer Wireless-n/a/ac 1535」を搭載。ゲーミングPC以外での採用は(試用した中では)初めて見た。BluetoothはQualcomm製だ。グラフィックスは、Intel HD Graphics 630とNVIDIA GeForce GTX 1050が処理内容に応じてシームレスに切り替わる。
プリインストールのソフトウェアは、Windowsストアアプリは特になし。デスクトップアプリは、「Dell」フォルダに、「Dell Customer Connect」、「Dell Digital Delivery」、「Dell Help & Support」、「Dell Notifications」、「Dell Update」、「Dellの商品登録」、「SupportAssist」。
そのほか、「DELL PremierColor」、「マカフィーリブセーフ」。Intel、Killer、NVIDIA、Thunderbolt、WAVES MaxxAudio Proなどのシステム系。基本的にサポート系と、デバイスのツール系だけで構成されている。
なかでもDELL PremierColorは、以下のように色域、明度、色温度を調整/管理できるユーティリティだ。色域を操作すると素の特性がかなりよいことがわかる。
ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2/Home accelerated、3DMarkとCrystalDiskMarkの結果も見たい。バッテリ駆動時間テストはBBench。またCrystalMarkの結果も掲載した(今回は4コア8スレッドと条件的に問題があるため参考まで)。
winsat formalの結果は、総合 6.9。プロセッサ 8.3、メモリ 8.3、グラフィックス 6.9、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 8.85。メモリのバンド幅は28360.71582/s。PCMark 8 バージョ2/Home acceleratedは3,192。3DMarkは、Ice Storm 59559、Cloud Gate 19294、Sky Diver 15783、Fire Strike 5283。
DDR4だけあってメモリのバンド幅が2万を超えている。またwinsat formalはグラフィックス以外8以上とノートPCとしてはかなり高いレベルでバランスが取れている。3DMarkは、もともとゲーミングノートPCではないのでそれほど値は高くない。
CrystalDiskMarkは、Seq Q32T1 Read 1676/Write 1049、4K Q32T1 Read 491.6/Write 377.3、Seq Read 1202/Write 1004、4K Read 30.68/Write 152.6(MB/s)。CrystalMarkは、ALU 79370、FPU 68156、MEM 85855、HDD 58201、GDI 17158、D2D n/a、OGL 38932。ストレージはさすがNVMeと言ったところ。
BBenchは、キーボードバックライトオフ、バッテリ節約機能オン、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残5%で39,173秒/10.9時間。パネルの輝度最小でも結構明るく、通常使用でも10時間前後は使えそうだ。
以上のように「XPS 15 (9560)」は、第7世代で4コアのCore i7、DDR4 16GB、NVMe SSD 512GB、GeForce GTX 1050の基本性能に加え、極細ベゼルな15.6型4Kタッチ対応ディスプレイを搭載。筐体もアルミとカーボンファイバーを採用しクールでソリッド、長時間バッテリ駆動……何から何まで最新鋭のノートPCだ。
日本語キーボードのEnterキーのせまさなどは気になったが、価格を問わずにせずとにかくハイエンド、すべての面で美しいノートPCを探しているユーザーにお勧めしたい逸品だ。