西川和久の不定期コラム
デジタイザペンつき2in1「レノボ ideapad MIIX 720」
~12.2型QHD解像度対応でキックスタンド式
2017年5月27日 06:00
レノボは今年(2017年)の2月に、12.2型QHD(2,880×1,920ドット)で筆圧4,096段階のActive Penを標準搭載する2in1「ideapad MIIX 720」を発表した。数モデルある中、最上位モデルが送られて来たので、試用レポートをお届けしたい。
第7世代Kaby Lakeを搭載したキックスタンド式の2in1
「ideapad MIIX 720」には、直販モデルと販売代理店モデルの2パターンあり、両者でそれぞれ3モデルが用意されている。違いは主にCoreプロセッサのSKU、メモリとストレージ容量で、価格はおおよそ約10万円から17万円の範囲。
今回手元に届いたのはそのなかでも販売代理店モデル最上位の「80VV003XJP」の型番の製品となる。
主な仕様は以下のとおり。
ideapad MIIX 720 | |
---|---|
プロセッサ | Core i7-7500U(2コア4スレッド、クロック 2.7~3.5GHz、キャッシュ4MB、TDP 7.5W) |
メモリ | 8GB/PC4-17000 DDR4 |
ストレージ | 256GB PCIe SSD |
OS | Windows 10 Pro(64bit) |
グラフィックス | プロセッサ内蔵Intel HD Graphics 620 |
ディスプレイ | 12.2型QHD(2,880×1,920ドット) 10点タッチ対応IPS光沢液晶 |
ネットワーク | IEEE 802.11ac対応、Bluetooth 4.1 |
インターフェイス | USB 2.0×1、USB 3.0×1、USB 3.1 Type-C/Thunderbolt 3(給電/DisplayPort兼)、100万/500万画素Webカメラ、microSDメディアカードリーダ、音声入出力 |
センサー | 光センサー、加速度センサー |
サイズ(幅×奥行き×高さ)/重量 | 292×210×8.9mm/約780g(単体)、293×215×14.9mm/約1.15kg(フォリオキーボード装着・折りたたみ時) |
バッテリ駆動時間 | 約8.5時間/4セル リチウムイオンポリマー |
その他 | 筆圧4,096段階のActive Pen |
税別ダイレクト価格 | 166,000円 |
プロセッサは第7世代Kaby LakeのCore i7-7500U。2コア4スレッドでクロックは2.7GHzから最大3.5GHz。キャッシュ4MB、TDPは7.5W。同じCore i7の4コアよりは下位となるものの、その分TDPが低く、性能と消費電力のバランスが取れたSKUだ。
メモリはPC4-17000 DDR4/8GB。ストレージはPCIe/NVMe接続のSSD 256GB。OSは64bit版のWindows 10を搭載する。
グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel HD Graphics 620。外部出力用にThunderbolt 3(DisplayPort兼)を備えているが、USB Type-CからDisplayPortへの変換アダプタが必要。最大解像度は4,096x2,304ドットとなる。
ディスプレイは、光沢ありの12.2型IPS式QHD(2,880×1,920ドット)液晶。ゴリラガラスを採用し、10点タッチ対応となる。コントラスト、発色、視野角すべて良好。ただし、輝度を最小にするとほぼ見えないくらいに暗くなる。無段階に調整可能なキックスタンドで、角度もジャストに調整可能だ。また筆圧4,096段階のActive Penも付属する。
インターフェイスは、IEEE 802.11ac対応、Bluetooth 4.1、USB 2.0×1、USB 3.0×1(常時給電)、USB 3.1 Type-C/Thunderbolt 3、100万/500万画素Webカメラ、microSDメディアカードリーダ、音声入出力。Thunderbolt 3は先にあげたようにDisplayPort、そして電源供給を兼ねる。センサーは、光センサーと加速度センサーを搭載。
サイズは本体のみで292×210×8.9mm(幅×奥行き×高さ)、重量約780g。フォリオキーボードを装着し折りたたみ時で293×215×14.9mm(同)、重量約1.15kgだ。できればキーボード込みで1kgを切ってほしかったところだが、それによってキーボードの剛性が損なわれても困るのでバランスを取ったということなのだろう。
価格は税別166,000円。Core i7、メモリ8GB、SSD 256GBな2in1としては、解像度が高くActive Penも付属すると考えば妥当なところか。
【6月23日訂正】記事初出時、OSはWindows 10 HomeでOfficeが付属するとしておりましたが、これは誤りで、正しくはWindows 10 ProでOfficeなしでした。お詫びして訂正します。
筐体は一体型のメタル合金筐体を採用し、非常にカッコいい。裏はマットブラック(エボニーブラック)。本体だけだと重量787gなので、片手で楽々持ち上がる。厚みが8.9mmなのもちょうどいい感じがする。またキーボード装着時でザックリ1kgであり、セットで持ち歩いても苦にならないレベルだ。
本体前面のパネル中央上に100万画素前面カメラがあり、背面は上右側に500万画素背面カメラ。独自のヒンジが印象的だ。左側面は音声入出力、USB 3.1 Type-C、USB 2.0。下側面にはDockコネクタ。右側面は電源ボタン、音量±ボタン、USB 3.0(常時給電)。左右ともに下側のスリットにスピーカー。上側面は何もない。USB 3.1 Type-Cは本体用の給電も兼ねている。また写真からはわからないが、キックスタンドの下(本体側)にmicroSDメディアカードリーダがある。
付属のACアダプタは、サイズが約70×60×27mm(同)、重量184g。この手のアダプタとしては若干大きめだ。出力は20V/2.25A、12V/3A、5V/2A。
付属のActive Penはバッテリを使用するタイプ。よくあるボールペンと同程度のサイズ感なので違和感なく操作できる。少し前にAtom x5搭載機でAutoDrawを試したが、さすがにCore iだけあって遅延などもなく快適に扱えた。加えてキックスタンドをかなり倒す(水平+α程度)ことができ、場合によっては机の上で水平状態で紙に書くより書きやすかったりする。
500万画素の背面カメラを軽く試したところ、画質はこの連載でご紹介した多くの2in1と同レベルだ。ただこの被写体を画面いっぱいに入れようとすると(近過ぎて)ピントが合わず、少しズームしている。ほかの同クラスのカメラよりも最短撮影距離が数cm短いと思われる。いずれにしても最近のスマートフォンのカメラより画質は劣るので、積極的に使うことはないだろう。
ノイズや振動は皆無。発熱もほとんど気にならないレベルだ。サウンドは左右のスリットから外向きにスピーカーがある関係で音が正面に回らず、その分、パワー不足になる。手で反射するように持つといきなりボリューム感が増し、高音から低音までそれなりに鳴り出す。左右に小型キックスタンドのような反射板でもあればいいのだが……。
付属のフォリオキーボードは、2段階に調整できるバックライト付き。主要キーのキーピッチは約19mmあり、いびつな並びや幅のキーもない。フォリオキーボードは本体に磁石で固定され、斜めになる関係で、薄い板が宙に浮く感じになるものの剛性が確保され、たわむこともなくしっかり入力可能。これは結構ポイントが高い。ただカバンへ入れるとき、磁石が強いので磁気カード類の入った財布などは周囲に置かないほうが無難だ。タッチパッドは1枚プレート型。パームレストも含めフットプリントのわりに広めに確保され、安定した操作ができる。
Core i7/8GB/NVMe SSDで快適な性能
初回起動時のスタート画面(タブレットモード)は1画面。Windows 10標準に加え、Lenovo Appsグループに3つのタイルが追加されている。デスクトップは壁紙の変更のみとシンプル。Core i7/8GB/SSDの構成なので作動自体は非常に快適だ。
ストレージはNVMe SSD 256GBの「SAMSUNG MZVLV256」。C:ドライブとD:ドライブの2パーティションだが、D:ドライブはシステムで使う関係上、実質C:ドライブのみ。約212.23GBが割り当てられ空きは186GB。Wi-FiとBluetoothはIntel製。
プリインストールされているソフトウェアは、Windowsストアアプリは、同社お馴染み「Lenovo Companion」、「Lenovo Settings」、「Lenovo アカウント」。デスクトップアプリは、「Dolby Audio」、「Thunderblotソフトウェア」、「マカフィー リブセーフ」、「ワコムペン」。いずれもアプリケーション的なものはなく、システムやデバイスのルーツ系となる。
ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2/Home(accelerated)、BBench。CrystalDiskMarkの結果を見たい。参考までにCrystalMark(2コア4スレッドで条件的に問題ない)のスコアも掲載した。
winsat formalの結果は、総合 6.2。プロセッサ 7.6、メモリ 7.9、グラフィックス 6.2、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 8.75。メモリのバンド幅は24322.78507MB/s。Core i7、そしてNVMe搭載機としては標準的なスコアだ。
PCMark 8 バージョン2のHome(accelerated)は3173。CrystalDiskMarkは、Seq Q32T1 Read 1587/Write 307.8、4K Q32T1 Read 509.0/Write 306.6、Seq Read 1288/Write 307.2、4K Read 43.55/Write 157.8(MB/s)。CrystalMarkは、ALU 55902、FPU 56279、MEM 60931、HDD 44285、GDI 16692、D2D n/a、OGL 15517。
BBenchは、本体のみ、バッテリ節約機能オン、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果は、バッテリの残5%で32,768秒/9.1時間。仕様では約8.5時間なのでおおよそ同じ。ただ先に書いたようにバックライト最小はほぼ見えないので、輝度を上げた場合、もう少し短くなると思われる。
以上のようにideapad MIIX 720は、12.2型QHD解像度で第7世代Kaby Lakeを搭載した2in1だ。本体のみならずバックライト付きのフォリオキーボードの完成度も高く、とてもうまくまとまっている。筆圧4,096段階のActive Penが付属するのもポイントが高い。
外部ディスプレイ接続時に別途USB Type-C型のアダプタが必要になるものの、仕様上とくに気になる部分もなく、安定作動で速くて扱いやすい高解像度の2in1を探しているユーザーにおすすめできる逸品と言えよう。