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多数のAI機能を搭載した新生「Photomator」は写真編集に超おすすめ!

 Macには写真の編集を行なえる「写真」アプリが標準搭載されています。しかし、中には使いづらいと感じたり、編集機能に物足りなさを感じている人もいるでしょう。そこで、おすすめしたいのが、2023年5月からMac版がリリースされた「Photomator」です。このアプリを使えば、AI機能を活用して1クリックで見違えるような写真に仕上げたり、マニュアル操作でこだわりの絵作りを行なったりすることが可能。実際に使ってみて分かった、Photomatorのさまざまな魅力をレポートします。

Photomatorのユーザーインターフェイス。ライトモードとダークモードの2種類が用意されています

開発元はあのPixelmator Team!

 Photomatorは、「Photoshopキラー」として知られる人気のグラフィックスアプリ「Pixelmator Pro」を開発するPixelmator Teamがリリースした高機能な写真編集アプリです。

 もともとは「Pixelmator Photo」という名称で呼ばれていましたが、2023年4月からPhotomatorへ名称を変更し、iOS版/iPadOS版がリリース。そして翌月の2023年5月に待望のMac版が提供開始されました。

 Photomatorの大きな特徴と言えるのは、Pixelmator Proのように、マシンラーニングフレームワーク「Core ML」やグラフィックスAPI「Metal」といったAppleの先進的な基盤技術を最大限活かして開発されていること。これによって、高機能な画像処理でも高速かつ高品質に行なえるようになっています。

 アプリの入手はMacのApp Storeから可能で、ダウンロード自体は無料。料金体系は月額が580円または年額が4,500円(執筆時点での割引価格は年額が3,000円)のサブスクリプションプランに加え、1万5,000円(執筆時点での割引価格は年額が1万円)の買い切りプランも用意されています。

 なお、Pixelmator Proとの違いについてですが、これはAdobeのPhotoshopとLightroomのような関係に似ています。Pixelmator Proが総合グラフィックスアプリとして写真の編集だけでなく、ブラシでの描画や文字やシェイプを使ったデザインが行なえるのに対し、Photomatorは強力な自動補正や一括処理など写真の編集に特化した機能を数多く搭載しています。

アプリのダウンロードはMacのApp Storeから行ないます。課金を行なわなくても10枚まで写真の編集を試すことが可能です

「写真」アプリと密接に連携

 Photomatorには、魅力的な機能がたくさん搭載されています。ここからはその中で特に便利に感じたものをいくつかピックアップして紹介しましょう。

 まずは、写真編集の流れについて説明します。一般的な写真編集ソフトではファイル単位で写真を開いて調整を行ないますが、Photomatorではそのような作業をする必要がありません。

 Photomatorをはじめて起動すると「写真」アプリへのアクセスを求められますので、それを許可します。すると、「写真」アプリに登録されているすべての写真や「写真」アプリで作成したアルバムなどがPhotomator上に表示されます。

 そしてここから目的の写真を選んで調整を行なうのですが、調整後の結果はPhotomator上のみならず、「写真」アプリのライブラリにも反映されます。同様に、Photomator上で調整をリセットすれば、「写真」アプリのライブラリの写真もオリジナルの状態に戻ります。

 つまり、Photomatorは「写真」アプリのライブラリと密接に連携して動作するように作られているのです。また、インターフェイスも「写真」アプリに酷似しており、「写真」アプリに慣れ親しんだ人が違和感なく使い始めることができます。

「写真」アプリのライブラリをそのまま参照します。左側にアルバムが並ぶレイアウトも「写真」アプリと同じなので、違和感なく使い始められるでしょう
ウィンドウ右側に補正項目が並ぶインターフェイスも「写真」アプリと共通です
編集した写真は左上の[元に戻す]ボタンからいつでもオリジナルに戻せます。その隣にあるのは、補正前後を見比べるためのボタンです

強力な自動補正が魅力

 次に便利に感じたのは、Photomatorに搭載されているさまざまな「マシンラーニングを活用した機能」です。

 中でも特筆すべきなのが、写真の自動補正機能。1クリックで写真を自動補正してくれる機能は「写真」アプリにも搭載されていますが、Photomatorの自動補正はより美しい結果をもたらしてくれます。

 特に色温度の補正に長けており、複雑なライティング環境で撮影した写真も自然な形に仕上げてくれます。さらに、「写真」アプリと比べると、暗部のディテールもしっかりと表現されます。

 マシンラーニングを活用した機能はそれだけではありません。写真のトリミングでは「ML切り抜き」というボタンをクリックするだけで、理想的なトリミングを自動で行なってくれます。

 また、解像度不足の写真を最適な形で引き伸ばす「ML 超解像技術」や、カメラのノイズや画像圧縮で生じたカラーノイズを最適な形で取り除く「ML ノイズ除去」といった機能もあります。

 これらの機能を使えば、複数のステップにわたる面倒で難しい作業を行なわなくても、ほんの数クリックで写真のクオリティを格段にアップさせることが可能です。

写真の自動補正の比較。「写真」アプリ(右)に比べると、Photomator(左)ではしっかりとディテールが再現されています
被写体に合わせて自動でトリミングをしてくれる「ML切り抜き」。被写体が中央になる「日の丸構図」になることもありますが、被写体がよく見えるよう自動でトリミングしてくれます
指定した縦横比でのトリミングも簡単です。プルダウンメニューから縦横比を選択し、写真をドラッグして位置を微調整しましょう
ML超解像技術を使用すると、画面上で適用前後を見比べられます。特に文字など輪郭のはっきりしたものだと違いが分かりやすいと思います
写真の暗い箇所にはノイズが発生しやすいですが、この機能を使えば自然にノイズを取り去ってくれます

細かな補正も思いのまま

 Photomatorは、自分で細かく絵作りを行ないたいときにも威力を発揮します。露出やコントラスト、鮮明度など「写真」アプリでお馴染みの補正項目はひととおり網羅されているうえ、写真内の特定の色を別の色に置き換える機能も搭載しています。

 また、ハイライト、ミッドトーン、シャドウそれぞれで色味を調整できる「3ウェイカラー」のバランス調整といったものまで備えています。

 部分的な補正をしたいときは「被写体を選択」や「背景を選択」、「空を選択」といった機能が役に立ちます。ユーザーが細かな範囲選択をしなくても自動で選択範囲を作成してくれるので効率的に作業ができます。

 うまく選択できない箇所があった場合には、ブラシを使って選択範囲を再編集することも可能です。色の置き換えや選択範囲を使った部分補正などを行なうことで、自分の意図に沿った絵作りができるようになるでしょう。

 さらに、Photomatorでは50種類を超える補正プリセットが用意されています。これらはグラフィックスソフトのフィルタのような使い勝手で、写真をアナログフィルム風に加工したり、ヴィンテージ感を演出したりといったことができます。

「色の置き換え」を利用して、本来は朱色の鳥居をライムイエローに変更。選択範囲を作らなくても一部の色味を簡単に変えられます
3ウェイカラー補正を使えば、ハイライト、ミッドトーン、シャドウそれぞれで彩度・色相・明度をコントロールできます。意図を持った複雑な表現の写真が可能になります
カラー調整モードの上部にある[+]ボタンを押すと、範囲選択を作成できます
「対象を選択」や「空を選択」「背景を選択」を選ぶと、クリック操作をしなくても自動的に選択範囲が作成されます
自動で選択範囲を作成したあと、ブラシツールを使って範囲を微調整することも可能です
ウィンドウの一番下に並んでいるのがプリセット。選ぶだけで瞬時に適用されます
写真に紛れ込んだ余計なものを消してくれる「修復ツール」。消すものが大きいとうまくいかないことも多いですが、小さいものなら手軽に除去できます
ブラシで要素を複製する「クローンツール」を使えば、このように1つの花を2つにするのも簡単です

一括処理もお手のもの

 Photomatorは、複数の写真の一括処理も得意です。まとめてトリミングしたり、色補正を適用したり、JPEGなど指定したフォーマットで書き出したり、実に数多くの処理が一括で行なえます。

 一括処理は、同じ環境で撮影した写真の色温度をまとめて揃えたいときや、ブログ掲載用に写真をまとめて書き出したいといったシーンで役立つでしょう。同じ操作を何度も繰り返さなくて済むため、大量の写真を補正するときには非常に有用です。

ブラウズ画面で複数枚の写真を選択したのち、[画像]メニュー→[ワークフロー]を選んで一括処理を行ないます
メニューから[その他の項目]を選ぶと、カスタムワークフローの設定ウィンドウが開きます。ここで自分が行ないたい処理を設定できます
ワークフローの書き出し設定では、JPEGやPNG、HEICなどのフォーマットを選べます。また、画像サイズの縮小も自由に設定可能です

サブスクか、買い切りか

 Photomatorにはここで紹介した以外にもたくさんの機能が搭載されており、使えば使うほど可能性を感じることでしょう。

 また、PhotomatorはiPhone、iPad版も用意されています。MacでPhotomatorに課金すれば、どのデバイスでも利用できるようになります。

 Photomatorの料金体系は、月額払いと年額払い、そして買い切りと3つのプランがあり、どれにするかは悩みどころです。

 この先どれくらいこのアプリを使い続けるかによって選ぶプランが変わってきますが、まずは無料で使ってみて、自分にとっての価値を見極めてみるといいでしょう。課金を行なわなくても10枚まで編集が可能です。