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MacでWindows 11を快適利用!AppleシリコンMacでParallels Desktopを使いこなそう

 「AppleシリコンMacで正規版Windows 11を使おう!「Parallels Desktop」導入編」の記事では、仮想化ソフトウェア「Parallels Desktop 18 for Mac」(以下、Parallels Desktop)を用いて、Appleシリコン搭載MacでArm版Windows 11を稼働させる方法について解説しました。しかし、MacにWindowsをインストールすることだけが、Parallels Desktopの価値ではありません。Parallels Desktopには、Mac上でWindowsを快適に使うための機能や設定がたくさん搭載されています。ここではその中から特におすすめしたい7つのテクニックを紹介します。

Mac上でWindowsを実行できる仮想化ソフトのParallels Desktop。現在はWindows 11とmacOS Venturaに最適化されたバージョン18が発売されています

使いやすい表示モードに切り替える

 Parallels Desktopを用いてMacにWindowsを導入したあと、最初に設定したいのがWindowsの表示モードです。Parallels Desktopには「フルスクリーン」、「ウインドウ」、「Coherence(コヒーレンス)」、「ピクチャ・イン・ピクチャ」の4つモードが用意されています。

 まず、Windows 11のデスクトップをフルスクリーンで表示するのが、フルスクリーンモードです。Macの画面いっぱいにWindowsのデスクトップを表示できるので、MacをまるでWindows PCのように利用できます。

 次のウィンドウモードは、Macのデスクトップ上の1つのウィンドウ内にWindowsを表示するモード。WindowsのデスクトップをあたかもMacの1つのアプリのように利用でき、WindowsとMacの切り替えや双方の連携がしやすいのがメリットです。

 あまり聞きなれないCoherenceは、Parallels Desktop独自の表示モードです。このモードにすると、Windowsのデスクトップやタスクバー、スタートボタンが表示されなくなり、WindowsのアプリをMacのアプリのように起動できます。

 つまり、WindowsのアプリがMacに組み込まれたような形になるため、デスクトップを2つ管理したり、再起動したり、MacのアプリとWindowsのアプリの違いを意識したりすることなく利用できます。

 そして最後のピクチャ・イン・ピクチャは、Windowsのデスクトップを小さなサムネイルとして表示するモード。Macの操作がメインで、ときどきWindowsを利用したいときに向いています。

 Mac上のWindowsでどんな作業を行ないたいかによって最適な表示モードは異なりますが、特にしっかりと使い方をマスターしたいのがCoherenceモードです。独特な表示モードなので最初は操作に戸惑うかもしれませんが、いったん慣れてしまえばMacでWindowsアプリを実に快適に使えるようになります。

 なお、表示モードはParallels Desktopのメニューバーにある[表示]メニューでフルスクリーンモードとウィンドウモードを切り替えられるほか、Coherenceモードとピクチャ・イン・ピクチャの開始と終了が行なえます。

フルスクリーンモードは、Macの画面いっぱいにWindows 11のデスクトップが表示されます。Windowsだけを集中して使いたいときに向いています
Windowsのデスクトップをウィンドウ内に表示するのがウィンドウモードです。MacとWindowsの間でデータをやりとりしたり、表示を比較したりするのに適しています
CoherenceモードにするとWindowsのデスクトップは表示されず、Macのアプリを使うようにWindowsのアプリを利用できます
ピクチャ・イン・ピクチャにするとWindowsのデスクトップが小さなサムネールとして表示されます。クリックすることでフルスクリーン表示に切り替えられます
Parallels Desktopのメニューバーにある[表示]をクリックすると、フルスクリーンモードとウィンドウモードの切り替え、Coherenceモードやピクチャ・イン・ピクチャの開始と終了が行なえます。それぞれに割り当てられたショートカットキーを使えば素早い切り替えが可能です

ステージマネージャやSidecarを活用する

 Windowsの表示モードを上手に切り替えられるようになったら、さらにmacOS標準の画面操作を組み合わせて使ってみましょう。たとえば、Coherenceモードをオンにした状態で「ステージマネージャ」を開始すれば、MacのFinderとWindowsのエクスプローラーのウィンドウを同時に並べて表示できます。

 また、iPadを持っているなら、iPadをMacのサブディスプレイとして使える「Sidecar」の機能を活用するといいでしょう。フルスクリーンモードで表示したWindowsのデスクトップをiPadに移動すれば、メインの画面にMac、サブ画面にWindowsといった使い方が可能になります。

Coherenceモードの状態でステージマネージャを利用できます。MacのFinderとWindowsのエクスプローラーを同時に並べて表示できます
iPadをMacのサブディスプレイとして使えるSidecarを有効にすれば、WindowsのデスクトップやソフトのウィンドウをiPadに移動して利用できます

Mac側の共有フォルダをカスタマイズする

 Parallels Desktopの初期設定では、両OS間のファイル共有(ミラーリング)が有効になっており、Macの[デスクトップ][書類][ピクチャ][ミュージック][ムービー][フォルダ]が自動でWindows側に同期されます。

 そのため、Windows上でMac側にあるファイルやフォルダを参照したいときも、特別な設定を行なったり、ファイルやフォルダを移動・コピーしたりすることなく、Windows上から素早くアクセス可能です。

 しかし、人によってはMac側の特定のフォルダだけ共有されていれば十分と考える人もいるでしょう。そんなときは、Parallels Desktopの各種設定が可能な「構成」ウィンドウを開き、[Macを共有する]タブで[カスタマイズ]をクリックしましょう。

 初期設定では[デスクトップ][書類][ピクチャ][ミュージック][ムービー][フォルダ]のすべてが同期されるようになっているので、同期の必要がないもののチェックを外せばオフにできます。

 また、同じく[Macを共有する]タブで[Windowsと任意のMacフォルダを共有する]にチェックを入れれば、Mac側の特定のフォルダをWindows側と共有することが可能です。

[処理]メニューから[構成]を選択すると、「構成」ウィンドウが開きます。[デバイス]メニュー→[共有]→[構成]から開くことも可能です
「構成」ウィンドウの[Macを共有する]タブで[カスタマイズ]をクリック。Windows側に同期するフォルダを指定します(設定を反映させるにはWindowsをいったんログアウトする必要があります)

WindowsのアプリをDockから起動する

 Macで作業をしているときにWindowsのアプリを起動したいと思ったら、通常は一度Windowsの画面に切り替えて[スタート]メニューなどから目的のアプリを選択するのが一般的です。しかし、もっと素早くWindowsのアプリを開きたい場合は、MacのDockから起動できるようにしておくと良いでしょう。

 設定するには、「構成」ウィンドウを開き、[オプション]タブにある[アプリケーション]項目を選択します。[WindowsアプリケーションフォルダをDockに表示]にチェックを入れると、MacのDockにWindowsアプリケーションフォルダが表示され、目的のアプリをクリックしてすぐに起動できるようになります。

「構成」ウィンドウの[アプリケーション]で、[WindowsアプリケーションフォルダをDockに表示]を有効にすると、MacのDockから直接Windowsのアプリを起動できるようになります

スナップショットの間隔を変更する

 Parallels Desktopには「スナップショット」と呼ばれる機能が搭載されており、Mac上にインストールしたWindowsなどの仮想マシンの状態を保存できます。スナップショットを作成しておけば、作業の途中でいつでも作成したスナップショットに戻せるのがメリットです。

 スナップショットの作成は[処理]メニューから[スナップショットを作成]を選ぶことで可能ですが、この方法だとついつい作成するのを忘れてしまうという人もいるでしょう。

 そこで便利なのが「SmartGuard」機能です。「構成」ウィンドウを開き、[バックアップ]タブから[SmartGuard]を有効にすると、それ以降スナップショットが自動で作成されます。

 仮想マシン自体のデータサイズが大きくなるのでMacのストレージには十分な空き容量が必要となりますが、「SmartGuard」をオンにしておけばスナップショットの取り忘れや、予期せぬトラブル発生時にデータを復元できる確率が高まります。なお、[SmartGuard]の脇にある[詳細]ボタンをクリックすると、スナップショットを作成する間隔を自由に設定できます。

 また、[Time Machine用に最適化]のオプションを有効にすると、仮想マシンのイメージ全体ではなく最新のスナップショットのみがTime Machineバックアップの対象となります。これにより、Time Machineがバックアップするデータ量が減少し、バックアップの所要時間も短縮されます。

「構成」ウィンドウの[バックアップ]で[SmartGuard]を有効にするとスナップショットの作成を自動化できます。[詳細]ボタンから各種オプション設定が可能です

キーボードショートカットをカスタマイズする

 Parallels Desktopは、一般的なMacのキーボードショートカットキーの組み合わせを、対応するWindowsキーの組み合わせに割り当てています。そのため、たとえばWindows上でコピーする際も[Control]キー+[C]キーではなく、Mac標準の[Command]キー+[C]キーで実行可能です。Windowsのショートカットキーがよく分からないという人にとっては便利に感じるでしょう。

 しかし、中にはWindowsを操作する際には使い慣れたWindows用キーボードで操作したい人もいるはずです。その場合は、Parallels Desktopの環境設定を開き、[ショートカット]タブの[Windows 11]から、Windows側にも反映されるMac側の各種キーボードショートカットをオフに切り替えられます。

 また、Parallels Desktopでは、Mac側でキーマッピングされていない「PrintScreen」「ScrollLock」などのキーをキーボードメニューからWindows側に送信できます。
 このメニューに表示されていない「半角/全角」キーなども、[キーボードメニュー]のカスタマイズ画面から追加できます。

Parallels Desktopの環境設定で[ショートカット]タブの仮想マシン[Windows 11]を選ぶと、Mac側からWindows側に送信するキーボードショートカット一覧が表示されます。個別にオン/オフを選択するか、[プロファイル]を[Mac]に変更してショートカットキーの変換を無効にします
[デバイス]→[キーボード]メニューから、Windowsに固有のキーやショートカットをWindows側に送信できます。キーボードメニューの[カスタマイズ]を選ぶとParallels Desktopの環境設定の[キーボードメニュー]が表示され、メニューに表示する項目を減らしたり[+]をクリックして追加できます

外部デバイス接続時の動作を設定する

 Parallels DesktopでWindowsを導入したMacにUSBメモリやハードディスクなどの外部デバイスを接続すると、Macに接続するか、仮想マシンのWindowsに接続するかの選択画面が表示されます。その都度選ぶこともできますが、接続するデバイスをどちらのOSで利用するのか決まっている場合は、デバイスごとに接続先を覚えさせておくこともできます。

外部デバイス接続時に表示されるウィンドウで[選択を記憶する]にチェックすると、次回以降の確認画面を非表示にできます。デバイスへのアクセス許可が表示されたら[常に許可]をクリックしておきましょう
「構成」ウィンドウの[ハードウェア]で[USBとBluetooth]を選択し、[USBの接続設定]をクリックすると外部デバイスが検出されたときの動作を変更できます。[+]ボタンをクリックしてデバイスごとに動作を変えることもできます

iPhoneやiPadからリモート接続する

 ここまで7つのテクニックを紹介してきましたが、Parallels Desktopにはそのほかにも実にたくさんの便利な機能や設定が搭載されています。その多くは「構成」ウィンドウやParallels Desktopの環境設定で設定のオン/オフや変更ができますので、Mac上のWindowsをもっと使いやすくしたい場合はぜひチェックしてみてください。

 なお、Parallels Desktopを使ってMacに導入したWindowsは、別途「Parallels Access」を導入することで、iPhoneやiPadなどのモバイルデバイスからリモート接続できるようになります。特に、iPadから接続する場合は、キーボードやApple Pencilにも対応しているので、タブレットPCのような使い方が可能です。外出先からWindowsをちょっと使いたいときなどにとても便利ですので、ぜひ導入を検討してみましょう。

Parallels Desktopの環境設定の[Access]を表示し、[インストール]をクリックします。すると、Parallels Accessをインストールするための設定画面が表示されます。その際に「システム設定」の[アクセシビリティ][画面収録][フルディスクアクセス]をそれぞれ許可します
iPhoneまたはiPad版のParallels AccessをApp Storeよりインストールしておき、いずれかのアカウントでサインインします。Parallels Accessの価格は、公式サイトからする場合は1年あたり1,000円、または2年で3,500円(パーソナルの場合)です
iPhoneやiPadのParallels Accessを開いて[マイコンピューター]から自分のMac上の仮想マシンを選択すると、Windows 11のデスクトップが表示されます(図はiPadの画面)。画面右側のメニューをタップして、接続しているMac上のほかのウィンドウに切り替えることもできます