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Macでメモより速い「クイックメモ」を使いこなすテクニック 〜Macのキホン Vol.3

 Appleユーザーにはおなじみの「メモ」アプリ。MacやiPhone、iPadなど複数デバイス間で同期してメモを共有できるのが持ち味ですが、それゆえに、使い始めに同期で少々もたつくことも……。しかし、macOS Montereyに新たに搭載された「クイックメモ」を使えば、急な電話のメモ取りだって対応できるんです!

とにかく起動が早い

 買い物メモや備忘録、書類の下書きなど、テキストを作成するときにMacやiPhone、iPadに標準搭載されている「メモ」アプリを使っている人も多いでしょう。私も、電話やWebミーティングで取ったメモ書きは、あとからiPhoneなどで確認ができるように「メモ」アプリにも内容を控えておくようにしています。

 ですが「メモ」アプリは、起動直後だと同期に時間がかかることがあり、急ぎでメモ書きをしたい場合はタイムラグが発生します。そのため、いったん手書きで紙にメモをしたり、付箋アプリの「スティッキーズ」にテキストを打ち込んでから、あとで「メモ」アプリにもう一度同じ内容をバックアップするといったひと手間が発生していました。

 macOS Montereyで新たに搭載された「クイックメモ」は、まさにこのタイムラグを解消してくれる機能です。「クイック」というその名の通り、「メモ」アプリを起動してから新規メモを作成するという操作をすることなく、すぐに使い始めることができます。

 また、使いたい瞬間にすぐに呼び出せるのもポイントです。「クイックメモ」の呼び出し方はいくつかありますが、いずれの方法を選んだとしても、パッと画面上に「クイックメモ」が展開されるため、時間のロスなくメモが書き始められます。

「ホットコーナー」で呼び出す場合、標準設定ではポインタをデスクトップ画面の右下隅に動かすと、画面のコーナーから「クイックメモ」の一部がひょこっと飛び出します。そのままクリックをすると「クイックメモ」が開かれ、編集が可能になります
キーボードショートカットを使って呼び出すこともできます。「Fn」キーまたは「地球儀」キーを押したまま「Q」キーを押すと、即座に「クイックメモ」が展開されます
Safari使用中は、テキストを選択した状態で副ボタンクリック(「control」キー+クリック、または右クリック)してコンテキストメニューを開きます。そして「クイックメモに追加」を選択すれば、Safariのリンクを追加することができます。リンクしたテキストはハイライト表示され、メモのリンクをクリックすると、Webページの該当テキストへジャンプできます

普通のメモと何が違う?

 「クイックメモ」でできることは、「メモ」アプリから起動した場合と同様です。テキストだけでなく、URLリンクや画像の保存、表組やチェックボックスの作成などの機能が備わっています。「メモ」アプリから開いたときと見た目の違いもないので、一見すると「クイックメモ」であることが分かりにくいかもしれません。

 ですが、1つだけ大きな違いがあります。それは、「クイックメモ」として呼び出した場合は、ウィンドウが最前面に固定されることです。

 スティッキーズを使っている人にはピンとくると思いますが、ウィンドウメニューで「常に手前に表示」が有効化されている状態なので、たとえばWebブラウザや写真などのウィンドウを展開したときにも「クイックメモ」が常に表示され、いちいちウィンドウを切り替えるストレスがありません。

複数アプリのウィンドウを開いても、「クイックメモ」のウィンドウが隠れません。Webブラウザと併用してのコピペ作業なども快適です

 もう1つの特徴が、前回作成したメモがそのまま開かれる点です。前回の内容の続きからすぐに書き始められるので、端末をまたいでメモを共有する場合も、いちいち特定のメモを選び直さずに済むのがメリットです。

 一方で、新しくメモを作成したい場合は新規作成し直すひと手間が発生します。もしそれを面倒と感じる場合は、「メモ」アプリを起動して「環境設定」から「最後のクイックメモを再開」をオフにしましょう。

「メモ」アプリの「環境設定」を開きます。「最後のクイックメモを再開」のチェックを入れると、前回の「クイックメモ」を開きます。常に新規の「クイックメモ」を作成する場合は、ここのチェックを外しておきます

「クイックメモ」はどこに保存される?

 作成した「クイックメモ」は、「メモ」アプリ内の「クイックメモ」フォルダに保存されます。フォルダが見当たらない場合、一度「クイックメモ」を呼び出して、文字などを記入してみてください。「メモ」アプリのサイドバーに自動で「クイックメモ」フォルダが作成されるはずです。

「クイックメモ」を作成すると、自動的に「メモ」アプリ内に「クイックメモ」フォルダが作成されます。新たに作成した「クイックメモ」はこのフォルダに保存されていきます

 なお、「クイックメモ」フォルダに複数のメモが保存されている場合、「クイックメモ」として展開されるのは、フォルダ内で最後に編集したメモです。

 また、「クイックメモ」を開いている状態で「メモ」アプリの「ファイル」メニュー(または「commnad」キー+「N」キー)から「新規メモ」を作成すると、そのメモも「クイックメモ」フォルダに保存されます。

 ただし、この方法で新規に作成したメモは「常に手前に表示」が解除されますので注意しましょう。一度メモを閉じたあとにもう一度呼び出せば、「常に手前に表示」が有効となります。

 一方で「クイックメモ」が開かれていない状態で「新規メモ」を作成すると、保存先は「メモ」アプリのサイドバーにある「iCloud」フォルダになります(「メモ」アプリで新規メモを作成しただけという状況です)。

 このあたりの挙動がちょっと複雑なので慣れるまで分かりにくいですが、いずれにしろ、「クイックメモ」を新規で作成する場合には「クイックメモ」フォルダに保存されているかどうかを確認しましょう。

「クイックメモ」を展開している状態で新規に作成したメモは、最前面にはなりません。もう一度「クイックメモ」として呼び出した場合は、「常に手前に表示」がオンになります

「クイックメモ」のそのほかの設定

 「クイックメモ」をさらに使いやすくするためには、設定を見直すとよいでしょう。たとえば、ホットコーナーを使えばマウスやトラックパッド操作ですぐに呼び出せますが、Macの使用環境によっては右下の位置だとDockに干渉する可能性もあります。

 そこで、システム環境設定の「Mission Control」パネルなどからホットコーナーの設定を変更して、右下以外から「クイックメモ」を呼び出すようにできます。

 もしくは、ホットコーナー使用時に修飾キーを押しながら呼び出すようにするのもいいでしょう。ホットコーナー設定時は、機能を割り当てたい四隅をクリックしてポップアップメニューから「クイックメモ」等を選びますが、この際「command」キーや「option」キーなどを同時に押すと、その修飾キーを押しながら画面の四隅にポインタを移動させたときに呼び出せるようになります。

システム環境設定の「Mission Control」パネルを開き、「ホットコーナー」をクリックします。デフォルトでは右下に「クイックメモ」が割り当てられていますが、機能を無効にしたり、左上、左下、右上に割り当てることも可能です
ホットコーナーの四隅をクリックしてポップアップメニュー表示中に修飾キーを押します。すると、修飾キーとの組み合わせで「クイックメモ」を呼び出せます。図では「command」キーを押しながら画面右下にカーソルを移動すると「クイックメモ」が起動します

iPhoneやiPadとの連携は?

 「クイックメモ」は、macOS Monterey搭載のMacのほかに、iPadOS 15以降を搭載するiPad(A9チップ以降を搭載したiPad)でも利用できます。「クイックメモ」という名称は同じですが、Apple Pencilによる手書きに対応していたり、スワイプで複数の「クイックメモ」を切り替えられたりと、Mac版と異なる点もあります。

 なお、iPhoneでは「クイックメモ」としての機能は提供されませんが、「メモ」アプリを開くと「クイックメモ」フォルダは表示されるため、「クイックメモ」として作成したメモをiPhone上で編集することはできます。

iPadの「クイックメモ」はApple Pencilでの手書きに対応するため、簡単なイラストを描いたり、手書き文字を添えたりも可能です
スクリブルを有効化していれば、手書き文字を自動でテキスト変換もできます。また、手書きした文字を投げ縄ツールで囲み、メニューから「テキストとしてコピー」を選択することで、あとからテキストに変換することもできます
複数の「クイックメモ」がある場合は、「クイックメモ」上でスワイプすることで、「メモ」アプリを開かずに切り替えができます
iPhoneの「メモ」アプリでも「クイックメモ」フォルダを開くことは可能。すでに作成済みのクイックメモなら、iPhoneでも編集できます

「クイックメモ」を探しやすくするひと工夫

 最後に、これは「クイックメモ」に限った話ではありませんが、新規にメモを作成していくと、膨大なメモが溜まっていくために、目的のメモが見つけにくくなっていきます。

 検索などを駆使すれば探し出すことはできますが、メモを作成時にタグ付けをしておくと、より見つけやすくなります。ざっくりとでもジャンル分けをするなど、タグ付けを習慣づけておくことをオススメします。

タグ付けは、メモ内に「#」をつけたテキストを入力すればOK。インスタなどのハッシュタグ感覚でタグ付けをしておくと、サイドバーの「タグ」に登録されていきます