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Macを正しい方法でお掃除! 話題のApple純正布「ポリッシングクロス」も使ってみた

 年の瀬を控え、大掃除のシーズンとなりました。Macの外側もキレイにクリーニングして新しい年を迎えたいですね。しかし、誤った方法で掃除をするとMacの外装や液晶ディスプレイのコーティングを傷める危険性があります。どのような布やクリーナーを使用すればいいのか、またやってはいいけないことは何か。ここでは、Macの正しい掃除の方法についてまとめました。また、Appleから2021年10月に発売されたばかりの清掃用クロス「ポリッシングクロス」の使用感もお伝えします。

毎日のように使ったMacは一見きれいに見えても、ほこりや汚れなどが溜まっています。安心安全にMacをきれいにしましょう

アルコール清掃はNGだった

 年末の大掃除シーズン、Macの汚れもしっかりとクリーニングしたいですね。付着している汚れの大半はホコリや飲食物の飛沫物、手指からの油脂で、放置しておくとこれらが固着してしまいクリーナーや専用のクロスで拭き取る必要があります。

 現在市販されているコンピュータ向けのクリーナーの主成分は「精製水」や「界面活性剤」、そして「エタノール(エチルアルコール)」などのアルコール成分を含むもの、もしくはこれらを混合したものが大半です。

 ところが、一昔前まではApple製品のお手入れにアルコール成分を含んだクリーナーの利用は推奨されていませんでした。その理由は、ディスプレイのコーティング剥離や、キーボードの刻印や樹脂パーツへのダメージなどが起きる危険性があったからです。これは、多くの他社製のコンピュータでも同様です。

アルコール消毒がついに解禁

 このAppleの方針に変化があったのは、2020年の3月10日。Apple製品のお手入れに関するサポートページに「Apple製品のお手入れに消毒剤を使っても大丈夫ですか?」という質問に対する回答が追加されました。そして、「濃度70%のイソプロピルアルコール(IPA)」や「濃度75%のエチルアルコール」を含むワイプ(拭き取り布)の利用が新たに認められたのです。

 その背景には世界的な感染症の蔓延があると考えられます。というのも、75%以上の高濃度エタノールはウイルスの膜(エンベロープ)を破壊して不活性化する働きがあることが知られていて(一部エタノール抵抗性の高いウイルスもあります)、医療機関でも「消毒用エタノール」として機器の消毒などに用いられています。

 この消毒用エタノールは第3類医薬品として薬局などでも一般販売されています。また、これとよく似たものとして「無水エタノール」も販売されていますが、こちらはアルコール濃度が99.5%と純度が高く、揮発性も強力なため、そのままではクリーニング用途には適していません。

使用する消毒剤には注意

 そのため、Apple製品の清掃と除菌を兼ねたクリーニングには、Appleの認めるアルコール濃度を満たすワイプを利用するのが安心です。なお、「薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)」では「消毒」と「除菌」は明確に区別されていて、除菌は「菌やウイルスを減らすこと」と定義されています。

 ところが、実際には「除菌」と銘打ったすべてのワイプがクリーニングに利用できるとは限りません。例えば、塩素系漂白剤に用いられる次亜塩素酸ナトリウム水溶液や過酸化水素水(オキシドール)を含む消毒薬は金属の腐食性があるためApple製品の清掃に用いることはできません。

 また、二酸化塩素を主成分とした空間除菌剤についても同様に精密機器の近くで利用するのは控えたほうがよいでしょう。そのほか「Apple製品のお手入れ方法」には、スプレー式の液体クリーナーや溶剤、研磨剤、過酸化水素を含む洗剤など使用すべきではないものが記載されていますのでしっかりとチェックしましょう。

Appleが公開する「Apple製品のお手入れ方法」には、MacやiPhoneなどの清掃に関する推奨事項やガイドラインが掲載されています
Macの清掃には70%以上のアルコール成分を含んだワイプ(外装洗浄・除菌用シート)を利用するのがおすすめです。購入の際には成分表を確認してから購入しましょう
Appleが使用可能な消毒剤の例として挙げている「クロロックス除菌ワイプ(Clorox Disinfecting Wipes)」は、日本国内での入手はやや困難です

やっていいことと悪いこと

 Macの清掃にアルコール成分を含む消毒剤が利用可能とはいえ、スプレーなどで直接噴射すると開口部などから水分が内部に浸入する恐れがあります。また、当然ながら洗剤の中に漬け込むこともAppleでは推奨していません。

 そして、拭き取りには「糸くずの出ない柔らかい布」が推奨されています。理想的にはAppleの販売する「ポリッシングクロス」となるでしょうが、PCやカメラの清掃用と明記されたマイクロファイバークロス製品などであれば、おおむね問題なく利用できるでしょう。

 ただし、糸くずが出ないといっても硬めのペーパータオルや研磨成分を含んだ布やメラミンスポンジは表面に傷を付ける危険性があるため利用は避けたいところです。

 また、清掃に適した布であっても、強くゴシゴシと擦ってしまうのは外装部品にダメージを与えるので厳禁です。

Macの正しいお掃除の仕方

 ここまでの注意点を踏まえ、Macの正しいクリーニング方法を整理しておきましょう。

 まずは、最初に必ずすべきなのは、Macの電源をオフにして終了すること。そして接続された電源や周辺機器のケーブルをすべて取り外します。

 次に、ディスプレイに付着したホコリやキーボードの隙間に挟まった食べ物のカスなどを、帯電しない柔らかいブラシやハケで優しく取り除きましょう。

 そして、清掃に適した柔らかい布に精製水をわずかに湿らせるか、条件を満たしたアルコール成分を含むワイプを利用して外装部分から拭いていき、皮脂汚れなどを取り除いていきます。すぐに落ちない汚れについては、強く擦らずに慎重に清掃していきましょう。

サンワサプライの「CD-BR14GYN」などの「除電ブラシ」で事前にホコリや抜けた毛髪などのゴミを取り除いておくと、後工程で外装に傷が付く危険性を下げられます
ディスプレイについては「糸くずの出ない柔らかい布」のほか、サンワサプライの「CD-CC23BL」など専用のクリーニングクロスなどで慎重に清掃します

Apple信者のためのクロス!?

 最後にせっかくの機会なので、現在入手困難になっているApple純正の「ポリッシングクロス」についても見ていきましょう。

 1枚1980円と高価なことから、口さがない一部のネットユーザーには「しんじゃのぬの」と揶揄されていますが、65万円超えのハイエンドディスプレイ「Apple Pro Display XDR」に付属していたクロスを欲しかったかった人も多いはずです。

 このAppleの「ポリッシングクロス」は特殊な表面コーティングが施されたNano-textureガラス向けに開発されたものですが、ほぼすべてのMac、iPhone、iPad、Apple Watchなどと互換性が確保されています。

 また、ディスプレイだけに用いるものだと思われがちですが、本体に同梱される使用ガイドを見ると、ボディ本体の清掃にも利用できるとされています。

 加えて、Appleのサポートページを見ると、汚れが落ちにくい場合に限り、70%のイソプロピルアルコールを湿らせての利用も可能となっています(ただし頻繁には利用しないこと)。

どれだけきれいに拭けるのか?

 「ポリッシングクロス」のパッケージを開封すると、中からは約16cm四方のハンカチサイズの布が出てきます。右下部分にエンボス加工されているAppleロゴマークがなければ一般的なクロスと見た目の差は感じませんが、触ってみるとその差は歴然です。

 「ポリッシングクロス」の生地は一般的なクロスと比べてかなり厚手でしっかりとしており、高級感があります。また、表面は吸水性のある少ししっとりとした手触りです。

 実際にMacBook Proのディスプレイの清掃に使ってみましたが、汚れ落ちが一般的なクリーニングクロスを大きく上回る感じはありません。しかし、ポリッシングクロスが優れているのは、数回軽くなぞるだけで画面の隅の指紋までしっかりと拭き取れる点です(使用するときは左右に往復させるのではなく、一方の方向で拭き取るのがおすすめです)。

 さすがAppleのハイエンドディスプレイ用に作られているだけあって、その品質は素晴らしいものがあります。また、汚れてしまった場合は食器用洗剤を水で薄めたもので手洗いし、よくすすいだあとに24時間以上の自然乾燥させれば再利用できます。実用性もあるコレクターズアイテムとして考えれば、そこまでコストパフォーマンスが悪いとは感じないかもしれません。

2021年10月に発表されたApple純正の「ポリッシングクロス」は1,980円という価格でも話題となりました。12月現在、オンラインのApple Storeで注文から3〜4週間程度の品薄状態になっています
ポリッシングクロスの表面を拡大してみました。起毛の方向はランダムで拭き取った汚れが溜まるスペースがあるように見えます
同梱されている使用ガイドにはディスプレイに加えて、本体表面の清掃用にも使える旨が記載されています
水分を含ませない状態でかなり汚れたMacBook Proのディスプレイ(写真左側)を数回軽くなぞりました。汚れが拭き取れていることが分かります(写真右側)