最新液晶ディスプレイ ピックアップ

ナナオ「FORIS FS2331」
~VAパネル採用のゲーマー向けモデル



 FORIS FS2331
液晶サイズ23型
パネル方式VA方式
表示解像度1,920×1,080ドット
アスペクト比16:9
画素ピッチ0.2655×0.2655mm
表面処理ノングレア
バックライト方式冷陰極管
応答速度白黒白 25ms/中間色 7ms
コントラスト比3,000:1(ダイナミックコントラスト時 10,000:1)
視野角上下/左右とも78度
輝度300cd/平方m
表示色約1,677万色:8bit対応 (約10億6,433万色中)
走査周波数水平:15kHz~68kHz(HDMI)
31kHz~68kHz(DVI-D)
31kHz~81kHz(アナログ)
垂直:49Hz~61Hz(HDMI)
59Hz~61Hz(DVI-D)
55Hz~76Hz(アナログ)
チルト角度下5度/上20度
高さ調節なし
スイーベルなし
ピボット機能なし
入力端子DVI-D×1
HDMI×2
ミニD-Sub 15ピン×1
ステレオミニジャック×1
出力端子ヘッドフォン出力×1
スピーカー500mW+500mW
VESAマウント対応(100×100mm)
電源内蔵
消費電力標準24W、最大45W
付属品DVI-Dケーブル
サウンドケーブル
電源ケーブル
リモコン
ユーティリティディスク
カラーパネル
本体サイズ549×212×403mm(幅×奥行き×高さ)
重量約6.9kg

 ナナオは、同社の液晶ディスプレイシリーズの中で、エンターテインメント向けブランドとして展開している「FORIS」シリーズのエントリーモデルとなる「FS2331」を発売した。上位モデルの表示品質を受け継ぎながら、価格が安価に抑えられている点が大きな特徴だ。EIZOダイレクトでの直販価格は44,800円。

●本体デザイン

 FORISシリーズは、同社のFlexScanシリーズなど他の製品群とは異なる、特徴的なデザインを採用している。それはFS2331も同様で、直線を多用しつつ、液晶本体下部を斜めに切り込んだような、印象的なデザインとなっている。また、赤や青といった目立つ色を取り入れている点もシリーズの特徴だが、FS2331では液晶下部に赤や青のライン状のカラーバーを取り付けられるようになっている。カラーバーはステッカーのようになっており、簡単に交換可能。製品には赤、青、シルバーの3色が付属しているので、好きな色のカラーシートを取り付けて利用可能だ。

 本体サイズは、549×212×403mm(幅×奥行き×高さ)。23型液晶パネルを搭載する液晶ディスプレイとしては、比較的コンパクトにまとまっている。本体重量は、スタンド込みで約6.9gだ。

 液晶面のチルト角は、下5度から上20度まで調節可能。ただし、高さ調節やスイベル、ピボット機構などは備えられていない。

 電源ボタンなどのボタン類は、液晶下部ベゼル中央部分にまとめられている。電源ボタン以外には、入力切り替えと音量調節ボタンのみが用意されている。電源のON/OFFや入力切り替え、音量調節に加え、OSDメニューの操作などは、付属のリモコンを利用して行なう。本体のボタン左側には、リモコン受光部と、輝度自動調節用の明るさセンサーが配置されている。

●液晶パネル

 1,920×1,080ドット表示対応の、23型ワイド液晶を採用。パネルの方式はVA方式を採用しており、他の方式よりも引き締まった黒の再現性に優れる。視野角は上下/左右とも178度で、多少視点が移動しても、表示映像の色合いの変化は全くといっていいほど感じない。コントラスト比は標準でも3,000:1と優れ、ダイナミックコントラスト時には10,000:1となる。

 応答速度は、VAパネルを採用しているため、中間階調域では7msだが、白黒白が25msと比較的遅く残像を感じることもある。バックライト輝度は300cd/平方m、パネル表面は非光沢処理が施されている。

●接続端子

 映像入力端子は、DVI-D×1系統、HDMI×2系統、ミニD-Sub15ピン×1系統の計4系統を用意。本体にはステレオスピーカー(0.5W×2)が内蔵され、音声入力端子(ステレオミニジャック)も1系統用意されている。入力端子は、本体背面下部に用意されている。また、左側面下部には、ヘッドフォン出力も用意される。

●OSD

 OSDは、他のナナオ製液晶ディスプレイに搭載されているものに近いが、FORISシリーズのエントリーモデルということもあってか、少々簡略化されているという印象だ。もちろん、明るさやコントラスト、色の濃さや色合いなどの調節はひととおり行なえる。また、独自のカラーマッチングツール「EIXO EasyPIX」に対応し、高度なカラーマッチングも行なえる。OSDメニューの呼び出しや操作は、全て付属のリモコンを利用して行なうため、戸惑わずに操作が可能だ。

●画質

 液晶パネルにVA方式のパネルを採用しているため、引き締まった黒の再現性に優れる点が大きな魅力。暗いシーンの多い映像コンテンツを再生させた場合など、他の方式の液晶パネルに比べて黒浮きが少なく、非常に臨場感あふれる映像が楽しめる点は大きな魅力だ。

 シャープネス機能の一種である「Power Resolution」を利用すると、境界線部分などがやや強調されるため、全体的にシャープな映像となり、解像感が高まったように見える。また、「Power Gamma」を利用すれば、暗いシーンが多いゲームなどの映像を、プレイしやすいよう暗部を補正できる。これらは、FlexScanシリーズの一部でも搭載されている機能だが、エントリーモデルの本機でもしっかり採用されている点は嬉しい。

【お詫びと訂正】初出時に「Power Resolution」について、超解像機能の一種と説明しておりましたが、正しくはシャープネスの強調機能です。お詫びして訂正させて頂きます。

 また、表示遅延が短い点も、本機の特徴の1つで、遅延は最小で1フレーム以下とされている。実際に、入力タイミングのシビアなゲームをプレイしてみたところ、筆者には表示遅延は全くと言って良いほど感じられなかった。

 ただし、応答速度が25ms(黒白黒)とやや遅いこともあり、映像の残像が気になる場面がある。特に、ゲームなど高速なスクロールを伴う映像を表示させた場合に、残像が気になることがあった。ただし、オーバードライブ機能を利用すると、中間階調域の応答速度が7msとなり、特に映画などの映像コンテンツでは、残像感はかなり緩和される。

 FORIS FS2331は、ナナオの製品としては安価な部類に入る製品だが、VAパネル採用による十分に優れた表示品質、ゲームプレイ時に嬉しい低遅延やガンマ補正機能、映像表示時に活用できるPower Resolutionなど、エントリーモデルを凌駕する表示品質や機能を実現しており、十分な魅力を持った製品だ。登場から少々時間が経過していることもあり、実売価格で37,000円を切って販売されている例もあり、購入しやすい点も嬉しい。表示品質とコスト双方にこだわった製品を選択したい人にオススメしたい。

バックナンバー

(2011年 2月 23日)

[Text by 平澤 寿康]