最新液晶ディスプレイ ピックアップ

Alienware「OptX AW2310」



AW2310
液晶サイズ23型
パネル方式TN方式
表示解像度1,920×1,080ドット
アスペクト比16:9
画素ピッチ0.265mm×0.265mm
表面処理ノングレア
バックライト方式冷陰極管
応答速度中間色 3ms
コントラスト比ダイナミックコントラスト時80,000:1、標準時 1000:1
視野角水平170度/垂直160度
輝度400cd/㎡
表示色約1,670万色
走査周波数水平:31.5kHz~93.8kHz、118.4KHz(アナログ)
31.5KHz~91.1KHz、118.4KHz(デジタル)
垂直:50Hz~85Hz(WUXGA:60Hz)
最大リフレッシュレート120Hz
チルト角度下4度~上21度
高さ調節最大100mm
スイーベル左45度/右45度
ピボット機能なし
入力端子DVI-D(HDCP対応)×1
HDMI×1
USB 2.0×2
ステレオミニプラグ×1
出力端子USB 2.0×4
ステレオミニプラグ×1
スピーカーなし
VESAマウント対応
電源内蔵
消費電力不明
付属品DisplayPortケーブル
DVI-Dケーブル
ミニD-Sub15ピンケーブル
電源ケーブル
ユーティリティディスク
本体サイズ549.3×194.4×377.7~487.7mm(幅×奥行き×高さ)
重量約7.53kg

 デルが展開している、ハイエンドゲーミングブランド「Alienware」から、液晶ディスプレイの新モデルとなる「OptX AW2310」が登場した。Alienwareブランドの液晶ディスプレイとしてはOptX AW2210に続く2モデル目となるが、液晶サイズが23型へ大型化されるとともに、リフレッシュレート120Hzをサポートし、NVIDIAの3D表示システム「3D Vision」に対応する点が大きな特徴となっている。販売価格は、55,893円だ。

●本体デザイン

 OptX AW2310の本体デザインは、以前取り上げた「OptX AW2210」とほぼ同じだ。液晶サイズが23型ワイドと大型化しているため、本体サイズは549.3×194.4×377.7~487.7mm(幅×奥行き×高さ)と、AW2210よりもひとまわり大きくなっているものの、見た目の印象はAW2210とほとんど同じと考えていい。下部ベゼルにAlienwareロゴが配置されているものの、特に目立った装飾などはなく、AlienwareブランドのデスクトップPCなどとは異なり、かなり落ち着いた印象を強く受ける。また、エイリアンエンブレムも、背面スタンド部に目立たないように取り付けられている点も同じだ。

 スタンドも、AW2210と全く同じものを採用している。液晶面のチルト角度は下3度から上21度の範囲内で、高さは100mmの範囲内でそれぞれ調節可能。また、左右それぞれ45度のスイーベル機構も備えている。

 電源ボタンやOSDメニューの操作ボタンは、右ベゼル下部に用意されている。これら操作ボタンは全て静電容量式のタッチセンサーを採用しており、指を近づけるとボタン部のLEDが点灯する仕様もAW2210と同じ。タッチセンサーの反応も良好で、物理的なボタンと変わらない軽快な操作が可能だ。

●液晶パネル

 1,920×1,080ドット表示対応の、23型ワイド液晶を搭載。パネルの方式はTN方式を採用。応答速度は中間色で3msと非常に高速だ。視野角は水平170度、垂直160度と広いが、TN方式パネルということもあり、見る角度が変わった場合の色合いの変化は若干大きい。また、中央部と周辺部との輝度ムラもわずかだが感じられる。バックライト輝度は400cd/㎡。パネル表面は非光沢処理が施されている。

●接続端子

 映像入力端子は、DVI-D(HDCP対応)×1系統と、HDMI×1系統の計2系統を用意。アナログの映像入力端子が用意されていない点はAW2210と同じだが、HDMI入力が1系統に減った点はやや残念。端子類は、液晶裏面下部に下向きに配置されている。

 また、DVI-D入力用として、ステレオミニジャックの音声入力端子を1系統用意するとともに、音声出力端子もステレオミニジャックで1系統用意。この音声出力端子からは、ステレオミニジャックで入力された音声や、HDMI経由で入力された音声が出力される。ただし、スピーカは搭載しておらず、音声の再生には別途スピーカを利用する必要がある。ヘッドホン出力は用意されない。

 映像・音声の入出力端子以外に、USB 2.0アップストリームポート×1と、USB 2.0ダウンストリームポート×4が用意されている点も、AW2210と同じ。ただ、映像入力端子と同様に、液晶背面下部にポートが配置されている点も変わっておらず、ケーブルの着脱がやりづらい。ダウンストリームポートを本体側面に用意するなどの配慮が欲しかった。

●OSD

 OSDの操作は、画面右側面ベゼルのタッチセンサーを利用する。操作体系はAW2210とほぼ同じで、センサー部分に手を近づけると、センサー部に埋め込まれたLEDが光り、センサーに触れると、その横の画面上にメニューが表示されるとともに、ボタンに割り当てられる操作機能のナビも表示され、戸惑わずに操作できるよう工夫されている。

 ただ、OSDに用意されている機能は、AW2210同様あまり豊富ではない。もちろん、輝度や色合いの調節といった、基本的な設定項目はきちんと用意されているが、ハイエンド向けの液晶ディスプレイのような、高度な設定項目は一切用意されていない。やはりこれも、映像入力から表示までの遅延を最小限にとどめるための工夫だろう。

●画質

 映像の表示品質は、従来モデルのAW2210や、TNパネルを採用する一般的な液晶ディスプレイとほぼ同等と考えていい。発色の鮮やかさや明暗のコントラストなどには特に不満を感じることはないし、ゲーム画像やムービーなど、高速な描画を行なった場合でも残像は全くといっていいほど気にならない。もちろん、TNパネルの宿命である、視野角が変わったときの色合いの変化は避けられないものの、全体的には、TNパネル採用の液晶ディスプレイとして、十分満足できる表示品質が確保されている。

 AW2310の特徴の1つとして、映像入力から画面に表示されるまでの遅延の短さが挙げられるが、実は入力遅延の低減はDVI端子のみとされている。とはいえ、HDMI端子に家庭用ゲーム機を接続して、比較的シビアな操作を要求されるゲームをプレイしてみたところ、筆者は特に遅延を感じることなくプレイできた。おそらく、HDMI端子でも遅延はかなり少なく抑えられていることは間違いなさそうだ。ただ、HDMI端子が1系統に減っている点も合わせ、AW2310は基本的にPCゲーム向けに特化した液晶ディスプレイと考えた方がいいかもしれない。

 ところで、AW2310では、120Hzのリフレッシュレートに対応するとともに、NVIDIAが提供する3D描画システム「3D Vision」に正式対応しているという点が大きな特徴となっている。3D Visionの基本的な仕組みは、右目用と左目用の画像を120Hzのリフレッシュレートで交互に表示させつつ、リフレッシュレートに同期して液晶シャッターが閉じる専用メガネを通して映像を見ることで、映像が3Dで見えるというものだ(詳しい仕組みは、こちらの記事を参照)。

 ただ、120Hzのリフレッシュレートで映像を表示させるということは、最低でも8msの応答速度が要求されることになる。応答速度が遅いと、逆の目に対応する映像がリフレッシュされずに残像として残ってしまい、結果的にゴーストのかかったような映像として見えてしまう場合がある。しかし、AW2310の応答速度は中間色で3msと十分に高速であり、スペック的にはこのような残像が見えることは無いと考えられる。実際に3D映像を見ても、ゴーストのようなものはほとんど感じられず、非常にくっきりとした3D映像が楽しめた。応答速度の速さは本物と考えていい。

 ちなみに、映像が静止した状態で、明暗差の激しい境界線部分などをじっくり見た場合にのみ、ごくわずかにゴーストのようなものが感じられた。ただこれは、液晶側の問題ではなく、3Dメガネ側の問題と思われる。液晶シャッターメガネは、液晶シャッターが閉じている状態でも、ごくわずかだが光を透過してしまう。そのため、明暗差の激しい部分では、シャッターが閉じていても、明るい部分の光が透過し、反対側の目に対応する映像がわずかに見えてしまうという現象が起きやすく、それが原因で明暗差の大きい境界線でわずかにゴーストのようなものとして見えたのだろう。明暗差の少ない場面では、ゴーストが一切感じられないことからも、液晶の応答速度が原因によるものではないはずだ。

 とはいえ、このゴーストのようなものも、静止している状態でじっくり見てはじめて認識できるようなレベルで、ゲームプレイに没頭していれば全く気が付かないはずだ。とにかく、この点を考慮に入れたとしても、AW2310は3D Vision用の液晶ディスプレイとして、現時点で最適な製品と言っていい。

 もちろん、3D Visionを利用しないにしても、必要十分な表示クオリティ、高速な応答速度、表示遅延の少なさなど、魅力のある製品であることは間違いない。ドット抜けが1カ所でも存在した場合に良品と交換してもらえる「プレミアムパネル保証」が標準で添付される点も合わせ、ゲームプレイ用液晶ディスプレイとして大いにおすすめしたい。

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(2010年 2月 1日)

[Text by 平澤 寿康]