買い物山脈

「さっきイライラしてた?」と教えてくれる「Fitbit Sense 2」でストレスマネジメント

製品名
Fitbit Sense 2
購入日
11月22日
価格
3万2,800円
試用期間
約1カ月
「買い物山脈」は、編集部員やライター氏などが実際に購入したもの、使ってみたものについて、語るコーナーです
「Fitbit Sense 2」ルナホワイト/プラチナアルミニウム。公式ストア価格は3万2,800円

 Googleに買収されたFitbitのスマートウォッチ「Fitbit Sense 2」を買いました。本当のことを言うと、最初はGoogleの「Pixel Watch」を購入予定でした。見た目が丸くてかわいいし、Googleが気合を入れて出したフラグシップですしね。しかし、iOSには非対応とのことで、iPhoneユーザーの自分は断念。Pixel Watchの「魂」に当たる「Fitbit Sense 2」を購入しました。いや、発表時から目を付けてはいたんですよ。

 Fitbit Sense 2が、Pixel Watchよりも優れているのは、ヘルス系の計測機能が段違いなこと。そしてバッテリの持ち。Pixel Watchの最大24時間に対して6日間以上と圧倒的です。使用から約1カ月が経ちましたのでレビューをお届けします。

見た目以上にフィット感は良し

 購入前に気になっていたのは装着感。自分はある種の過敏症なんだと思いますが、昔からネクタイやタートルネックといった体を締め付ける物が苦手。腕時計やアクセサリの類も極力付けたくない人間です。

 Fitbit Sense 2(以下、Sense 2)は薄型軽量化が図られ、重心を下げることで手首へのフィット感が高められたといいます。実際、見た目のサイズ感よりは重たい感じがない。また、バンドも手首にフィットしつつ締め付ける感じがありません。これ以前に使っていた、より細身の「Xiaomi Smart Band 7」に比べても違和感がない。

裏側には、血中酸素、心拍、皮膚電気活動(EDA)、皮膚温を検知するセンサーがある
比較的肌に優しい素材のバンド。少し緩めにしているが、各種データはきちんと取れている。素材が肌に合わない場合は、ニットバンドなども別売りで用意されている

 最大の懸念が、「寝るときは鬱陶しいので外してしまうようになるのでは」だったのですが、ここ1カ月間、1晩も外して寝ることがありませんでした。もちろん、常に身につけているから違和感がなくなる「慣れ」もあります。逆に、外している時間が長いと、身につける度に違和感が発生してしまうわけで、鶏と卵の関係でもありますが、とにかく標準のバンドでもフィット感と体への負担が少ないと感じました。

常時表示にも対応。バッテリの持ちが良いので気兼ねなく使える
左側面(左腕装着の場合)に物理ボタンが復活。画面タッチだけよりもストレスがない
もちろんフェイスは色々と変えられる。歩数すら表示しない、こんなフェイスも(笑)
出不精な性格だが、スマートウォッチがあると外出やウォーキングが少し楽しくなる

普段スルーしていたストレスを認識する効果

 さて、Sense 2の真骨頂は、身体反応計測(ストレスマネジメント)です。1日を通して計測するのは、Fitbit製品の中でもSense 2のみに与えられた機能です。詳細なアルゴリズムは不明ですが、皮膚電気活動(EDA)や心拍数、心拍変動などからストレスの身体的兆候を検知して通知します。通知はリアルタイムではなく、だいたい20分ぐらい前の変化を通知してくることが多いです。なので、何が身体に反応を起こさせたのか、思い出す必要があります。

 通知後、その時の状態を、「ストレスを感じる」、「イライラ」、「不安」、「悲しい」、「穏やか」、「満たされている」、「幸せ」、「ワクワクする」から選択して記録できます。後半はポジティブな感情ですが、どちらかというとネガティブな状態の検知が多いです。もしかしたら、自分がネガティブなだけかもしれませんが。

記録した「気分」はアプリから振り返ることができる

 ストレスマネジメントの通知で面白かったのは、サッカーワールドカップの日本代表の初試合(ドイツ戦)を見ていた時のこと。前半では、ほとんどボールをドイツに支配されていて、ストレスを感じていたことが明らかでした。その後、ドイツには逆転勝利を収めるのですが、その時の喜びは検知しませんでした。やはりポジティブな感情よりネガティブな感情の方が検知しやすいんでしょうか。

 そして敗北した第2戦の時も、当然のように通知が来ました。スポーツ観戦はストレスが生まれがち。しかし、それが覆った分喜びが大きくなる、落語でいう緊張と緩和のエンターテインメントなんでしょう。

サッカーW杯観戦時に検知した「ストレスマネジメント」。その時の気分を、「ストレスを感じる」「イライラ」「不安」「悲しい」「穏やか」「満たされている」「幸せ」「ワクワクする」から選んで記録できる

 ほかに通知が来たのは、レストランの券売機が故障して長時間並ばされた時、電動工具の調子が悪い時、尿意があるのに息子が長時間トイレを占拠している時、奥歯に食べ物の繊維が挟まって全然取れない時、配偶者にイラついている時などなど。

 イライラしがちな人間の自覚がありますが、毎日やたらにイライラしているのが自覚できました。こんな小さなことでストレスを感じたんだと気づけば、それ以上にストレスを増大させることがなくなります。小さなイライラから大きな怒りへと発展することが、通知によって防げるのです。

手のひらを本体にかぶせて、2分間のマインドフルネスを実行すると、その時の身体反応の変化がチェックできる

 しかし、通知を受けてもその原因に覚えがないことも多々あって、そんな通知が1時間に何度も来ると、体調が悪いのか、無意識でストレスを感じているのだろうと思わざるを得ません。そんな原因不明のストレスには、Sense 2に用意されている「マインドフルネスセッション」(最短だと2分で終了)で落ち着いたり、「今日は酒を飲まずに早めに寝るか」などと判断するようになりました。

心拍数や皮膚電気活動などから推定される「反応性」、「活動のバランス」「睡眠パターン」の3指標から算出される「ストレスマネジメントスコア」

 そのほか、個人的に気になっていたポイントについて触れておきます。

睡眠測定

 さすがに精度が高く、ちょっとした昼寝なんかも自動的に検知します。Sense 2では、睡眠中の皮膚温の変化、血中酸素濃度も記録しますが、普通に健康な人間なら睡眠時間と100点満点で表示する「睡眠スコア」だけ気にしていれば、睡眠改善につなげられるのではないでしょうか。また、毎月1日から14日夜以上の記録があれば、翌月1日に「睡眠プロフィール」が受け取れ、自分の睡眠のパターンを知ることができます。

睡眠の分析。飲食や運動といった生活を振り返ってみると新たな発見がある
夜間に計測される血中酸素濃度の変化が確認できる
睡眠時の皮膚温の変化。正直、これを見ても良いのか悪いのかは分からないが、極端な変動があるなら、体調や環境などをチェックすべきかもしれない

バッテリの持ち

 スペック上は6日以上とある電池の持ち。まる4日間連続で使用したところ、100%から51%へと49%減りました(常時画面はオフ)。つまり、1週間は十分に持つ。そして、充電は15分間で15%増える。ちょっとシャワーを浴びている間に、1日に必要な分量を補充できる計算です。

 防水性能があるので、シャワー時に外さなくてもいいのですが、自分の場合は充電タイムにあてることにしています。

通知の精度

 通知は大幅に時間が遅れたり、来ないことが多々あります。アプリの仕様なのか、Bluetooth接続の問題なのか、何に起因するかは不明ですが、通知の正確性がマストという人には致命的かも。個人的には、通知機能をさほど重視していないので問題ないですが(iPhoneとの組み合わせでは返信もできないし)。

通知は正直、来たり来なかったり。近年やたら発生する電車の遅延のように、気にしたらダメなのかも

 いずれにせよ健康管理以外の機能を重視するなら、ほかの選択肢も多いですし、Androidスマホと組み合わせて生産性を上げたいなら、Pixel Watchを選ぶのが正解でしょう。

 ちなみにFitbitには、フィットネスの機能に重点を置いたモデル「Fitbit Versa 4」も用意されています。Sense 2は、どちらかというと体を鍛える系ではなく、心の健康面に目を向ける人、日々のストレスをどうにかコントロールしたい人向けです。