Hothotレビュー

日本エイサー「Iconia W3-810」

~8.1型液晶搭載のWindows 8タブレット

Iconia W3-810
発売中

価格:オープンプライス

 日本エイサーは、8.1型液晶を搭載するWindows 8タブレット「Iconia W3-810」を発売した。片手で持てるコンパクトボディが大きな特徴で、これまでのWindows 8タブレットにはない使い勝手を実現していることから、大いに注目を集めている。また、標準でMicrosoft Officeをプリインストールしながら6万円前後という手頃な価格も大きな魅力となっている。

Windows 8タブレットとして世界最小

 Iconia W3-810(以下、W3)は、Windows 8タブレットとして初となる、8.1型液晶を搭載する製品だ。6月に台湾で開催された、COMPUTEX TAIPEIで発表され、7月11日より日本でも販売が開始となった。

 W3の魅力は、やはり8.1型液晶を採用することにより、Windows 8タブレットとして世界最小となるコンパクトボディを実現している点だろう。W3のボディサイズは、219×134.9×11.4mm(幅×奥行き×高さ)となっている。7型液晶搭載のAndroidタブレットの「Nexus 7」と比べると、フットプリントは一回り大きいといった程度(Nexus 7のフットプリントは、198.5×120mm)。女性の小さな手では少々厳しいかもしれないが、男性ならほぼ問題なく片手でつかんで持てるサイズだ。高さは11.4mmと、Nexus 7の10.45mmより1mmほど厚くなっているが、横に並べて初めて高さの違いが認識できるほどで、実際に手に持ってもほとんど違いは感じられない。

 重量は、公称で約500g、実測では496gであった。約340gのNexus 7に比べると、若干重く感じるものの、10型クラスの液晶を搭載するWindows 8タブレットよりも軽く、これならカバンに入れて持ち歩くとしても、全く苦にならないだろう。

 Nexus 7よりフットプリントが一回り大きく、150gほど重いとは言え、このコンパクトなボディサイズは絶妙だ。当然だが、10型クラスの液晶パネルを搭載するWindows 8タブレットよりも快適に持ち運べるし、5型クラスの液晶パネルを搭載するスマートフォンなどと比べても、表示される文字などは圧倒的に見やすい。実際に外に持ち出して、ストアアプリを中心としてWebアクセスやメールチェックなどを行なってみても、Androidタブレットと遜色のない使い勝手だと感じる。おそらく、こういった感覚は通常のクラムシェル型ノートPCや10型クラスのWindows 8タブレットでは味わえないだろう。確かに、後述するように、液晶の表示品質など不満を感じる部分もあるが、このサイズならではの使い勝手の良さこそ、W3の最大の魅力と言っていいだろう。

 ちなみに、液晶面に用意されているWindowsボタンは、液晶の画面右に用意されている。これは、W3は主に縦画面での利用を想定しているからだろう。

8.1型液晶を搭載することで、219×134.9×11.4mm(幅×奥行き×高さ)とWindows 8タブレットとして世界最小サイズを実現
7型液晶搭載のNexus 7(手前)との比較。フットプリントは一回り大きいが、10型クラスの液晶を搭載するWindows 8タブレットと比べると非常に小さい
男性なら片手でも余裕でつかんで持てるサイズで、携帯性は抜群
Windowsボタンは液晶右側に配置されており、縦画面での利用をメインとして想定している
下部側面。高さは11.4mmと極端に薄くはないが、十分な薄さを実現
左側面。前方から後方まで、高さはほぼ均一だ
上部側面。ボディデザインはかなりシンプルだ
右側面。ボディ側面のカラーはホワイトとなっている
Nexus 7(右)よりも1mmほど厚いが、手に持つと高さの違いはほとんど感じられない
底面。底面のカラーはシルバー。ボディは樹脂製で質感がそのまま伝わってくるが、それほど安っぽい感じはしない
重量は実測で496g。軽くはないものの、カバンに入れて軽快に持ち歩ける

1,280×800ドット表示対応の8.1型液晶を搭載

 すでに紹介したように、W3では8.1型とWindows 8タブレットとして世界初となる小型の液晶を採用している。表示解像度は1,280×800ドット。Windows 8のシステム要件では、表示解像度の下限は1,024×768ドット、Windows 8の全機能を利用するには1,366×768ドット以上の表示解像度が必要とされており、W3の表示解像度では全機能が利用できる表示解像度に届いていない。そのためW3では、アプリのスナップなど、一部機能が利用できない。しかし、実際に使ってみても、スナップが利用できないという点が欠点と感じることはなかった。8.1型と小型の液晶を採用していることもあり、アプリを並べて使うとしても、使い勝手が高まることはほとんどないだろう。そういった意味では、全機能を利用する解像度に届いていないとしても、W3に関しては大きな問題はないと感じる。

 ちなみに、MicrosoftはWindows 8.1から一部認定要件を見直し、表示解像度1,024×768ドット以上の表示解像度で全機能が利用できるようになる予定。そのため、Windows 8.1登場後は機能制限なく利用できることになると思われる。

 表示解像度に関しては、さすがに、フルHD(1,920×1,080ドット)表示対応の液晶に比べると精細感は劣るが、表示文字が見にくいこともなく、また画像も特に粗いと感じることはない。このあたりは、8.1型というサイズが幸いしているといった感じだ。

 ただし、液晶に不満点がないわけではない。W3が採用している液晶パネルは、IPSなどの広視野角パネルではなく、視野角の狭いTNパネルとなっている。そのため、斜めから見るなど視点が移動すると、色合いや明るさが大きく変化してしまう。サイズが小さいため、複数人で画面を見るという場面は少ないかもしれないが、個人で使っている場面でも視野角の狭さはかなり気になってしまう。

 また、粒子状のざらつきもかなり気になる。液晶表面が光沢処理となっているので、発色自体はまずまず鮮やかだが、表示品質自体は最近のタブレットとしては満足できるレベルに届いていないという印象。このあたりは、コストとの兼ね合いもあるとは思うが、タブレットとしての使い勝手を追求するという意味でも、もう少し表示品質に優れる液晶パネルを採用してもらいたかったように思う。

 タッチパネルには、5点マルチタッチ対応の静電容量方式タッチパネルを採用。こちらの使い勝手は申し分なく、軽快にタッチ操作が行なえる。

1,280×800ドット表示対応の8.1型液晶を搭載。横の解像度が1,366ドットを下回っているため、アプリのスナップなどWindows 8の一部機能は利用できない。ただ、実際に使ってみると、表示解像度の低さを感じることはほとんどなく、Webアクセスも快適で文字もしっかり読める
液晶表面は光沢処理となっているため、発色はまずまず鮮やかに感じるが、粒子状のざらつきがかなり気になる。また、TN方式の液晶パネル採用のため視野角が狭く、液晶の表示品質はあまり優れない印象だ

プロセッサとしてAtom Z2760を採用

 W3に搭載されるプロセッサは、これまでに登場済みのWindows 8タブレットの多くで採用されている、SoCであるClever TrailことAtom Z2760(動作クロック1.8GHz)を採用している。また、メインメモリは2GBを標準搭載し、増設は不可能。ストレージデバイスは、64GBのeMMCを採用。プロセッサやメインメモリ容量など、基本スペックは他のAtom Z2760搭載タブレットとほぼ同等だ。

 性能的にはUltrabookなどで採用されているCoreプロセッサに劣るものの、Windows 8の動作は思った以上に軽快。確かに、ソフトの起動などでやや待たされるという印象を受ける場面は少なからず存在するものの、Windowsストアアプリや、動作の軽いWebブラウザ、Office系アプリなどは、大きな不満を感じることなく利用できる。このあたりは、他のAtom Z2760搭載Windows 8タブレットと同等の印象だ。

 無線機能は、IEEE 802.11b/g/n対応の無線LANとBluetooth 4.0+HSを標準搭載。センサー類は、照度センサー、ジャイロスコープ、加速度センサー、電子コンパスを標準搭載する。カメラは、液晶面及び背面に搭載しており、双方とも約200万画素となっている。

 側面のポートは、左側面にMicro USBポートとMicro HDMI出力、上部側面にmicroSDカードスロット、右側面に電源コネクタとヘッドフォンジャックを備える。物理ボタンは左側面に電源ボタン、上部側面にボリュームボタン、液晶右にWindowsボタンを用意。USBコネクタがMicro USBとなっているが、標準ポートへの変換アダプタは付属しないため、USB周辺機器を利用するには、別途変換アダプタの用意が必要となる点は注意したい。

 アプリとしては、AcerCroudやclear.fiなど、日本エイサー製PCで広く搭載されているオリジナルアプリに加え、標準でMicrosoft Office Home and Business 2013が用意されている。Officeのショートカットを選ぶと、付属のプロダクトキーの入力を求められる。入力後、インターネットに接続された環境であれば、ストリーミングでダウンロードされる仕組みだ。実売価格が6万円前後ということを考えると、Officeはかなり魅力的で、この点は他の製品に対する大きな優位点になるだろう。

左側面には、Micro USB 2.0ポートとMicro HDMI出力を用意。USB周辺機器を利用するには変換アダプタが必要だが、製品パッケージには付属しないため別途用意が必要。また、電源ボタンもこちらにある
上部側面には、microSDカードスロットとボリュームボタンを配置。試した限りでは、64GBのmicroSDXCカードも利用できた
右側面には、ヘッドフォンジャックと電源コネクタを配置。またステレオスピーカーもこちらに配置されている
背面には、約200万画素のWebカメラを搭載
液晶面にも約200万画素のWebカメラを搭載する
液晶面右のWindowsボタンは物理ボタン。Windowsボタンのロゴの向きを見ても、縦位置を基本としていることがわかる
付属のACアダプタは十分にコンパクトだ
ACアダプタの重量は、実測で100gだった
実売6万円前後と安価ながら、標準でMicrosoft Office Home and Business 2013をプリインストールしているのは嬉しい

公称を大きく上回るバッテリ駆動時間を確認

 では、ベンチマークテストの結果を見ていこう。今回利用したベンチマークソフトは、Futuremarkの「PCMark 7 v1.4.0」、「PCMark Vantage Build 1.2.0」、「PCMark05 Build 1.2.0 1901」、「3DMark Professional Edition v1.1.0」、「3DMark06 Build 1.1.0 1901」の5種類。比較用として、同じくAtom Z2760を搭載する富士通製のWindows 8タブレット「ARROWS Tab Wi-Fi QH55/J」の結果も加えてある。

Iconia W3-810ARROWS Tab Wi-Fi QH55/J
CPUAtom Z2760(1.80GHz)Atom Z2760(1.50/1.80GHz)
チップセット
ビデオチップIntel GMAIntel GMA
メモリLPDDR2 SDRAM 2GBPC2-8500 LPDDR2 SDRAM 2GB
ストレージ64GB eMMC64GB eMMC
OSWindows 8Windows 8
PCMark 7
PCMark score14351414
Lightweight score958921
Productivity score616574
Entertainment score10381016
Creativity score29042963
Computation score33293787
System storage score29792980
Raw system storage score756
PCMark Vantage Build 1.0.1 0906a
PCMark Suite2343N/A
Memories Suite10231051
TV and Movies SuiteN/AN/A
Gaming Suite18441759
Music Suite31053065
Communications Suite1635N/A
Productivity Suite2631N/A
HDD Test Suite58556059
PCMark05 Build 1.2.0
PCMark ScoreN/AN/A
CPU Score21402126
Memory Score21092062
Graphics ScoreN/A527
HDD Score66016563
3DMark Professional Edition v1.1.0
Ice Storm2961
Graphics Score2546
Physics Score6901
3DMark06 Build 1.1.0 0906a
3DMark Score445457
SM2.0 Score167174
HDR/SM3.0 Score144146
CPU Score973960
Windows エクスペリエンスインデックス
プロセッサ3.43.4
メモリ4.64.7
グラフィックス3.53.7
ゲーム用グラフィックス3.23.2
プライマリハードディスク5.65.8

 結果を見ると、ARROWS Tabとの差はほとんどなく、どのテストのスコアもほぼ同等となっていることがわかる。搭載プロセッサやメモリ容量、ストレージなど、双方のスペックはほぼ同等であることを考えると、当然の結果と言っていいだろう。とにかく、性能的にはW3は他のAtom Z2760搭載Windows 8タブレットとほとんど変わらないことが、この結果からも裏付けられた形だ。

 次に、バッテリ駆動時間だ。W3では、容量3,400mAhのリチウムポリマーバッテリが搭載され、公称で最長8時間の駆動が可能とされている。そこで、Windowsの省電力設定を「バランス」に設定(省電力設定はバランスのみが用意されている)し、バックライト輝度を40%、無線LANを有効にした状態で、BBenchでキー入力とWeb巡回にチェックを入れて計測してみたところ、約9時間35分と、公称の8時間を大きく超える駆動時間であった。さらにバックライト輝度を絞れば、10時間の駆動も十分視野に入るはず。Windows 8タブレットとして、十分に満足できる駆動時間を実現していると言っていいだろう。

Windows 8タブレットの新たな可能性を示す1台

 W3は、スペック的には既に登場済みのWindows 8タブレットと同等で、特徴のある部分はこれといって見あたらない。正直に言って、8.1型と小型の液晶を採用しているだけかもしれない。ただ、その小型液晶の採用によって、これまでのWindows 8タブレットにはない魅力が実現されているのも事実。Windows 8タブレットとして世界最小で、重量も約500gと軽く、気軽に持ち出せるのはもちろん、片手で持って軽快に操作できる。

 Windowsストアアプリの充実度はまだまだといった印象ではあるが、Webアクセスやメールチェックなど、基本的な用途ならAndroidタブレットと遜色のない使い勝手で利用できる。個人的には、AndroidスマートフォンとAndroidタブレットを使い分けるぐらいなら、AndroidスマートフォンとW3の組み合わせの方が、より多くの用途に活用でき、魅力が大きいと感じた。

 何よりW3では、Windowsデスクトップアプリがそのまま利用でき、Microsoft Officeが付属されている点も、非常に大きな利点となるだろう。それでいて、6万円前後という実売価格も、非常にリーズナブルでコストパフォーマンスはライバル製品を圧倒している。それだけに、液晶の表示品質の低さは非常に残念だが、Windows 8タブレットの新たな可能性を示す1台としておすすめしたい製品だ。

(平澤 寿康)