ユニットコム「LesanceTB A07A」
~12,000円を切る低価格の7型Androidタブレット



「LesanceTB A07A」

発売中
価格:11,980円



 「LesanceTB A07A」は、11,980円という低価格が特徴となる7型のAndroidタブレット。株式会社ユニットコムが販売し、パソコン工房、グッドウィル、フェイス、ツートップの店舗およびインターネット通販で9月27日より発売されている。

●HDMIやmicroSDなど外部接続は充実。充電は専用アダプタのみ可能

 インターフェイスは本体右側面の下部に電源ボタンと音量ボタン、戻るボタン、右側面上部に充電状態を表示するLEDランプを搭載。外部接続用の接続インターフェイスはすべて本体上部に集約され、マイク、イヤフォンジャック、リセット用ボタン、電源アダプタ端子、MicroUSBポート、Mini HDMIポート、microSDカードを配する。スピーカーは横置きにした際にステレオとなるよう、本体上部と下部に配されている。なお、充電は専用端子で行ない、MicroUSBポートからの充電はできない。

背面右側面はボタン類などが一切排されている本体下部にスピーカー
本体右側面に物理ボタン本体上部に接続インターフェイスを集約同梱の電源ケーブル。Micro USB経由では充電できない

 OSはAndroid 4.0を搭載し、ディスプレイの解像度はWSVGA(1,024×600ドット)。CPUは1GHzのCortex-A9で、メモリは1GB、内蔵ストレージは8GB。IEEE 802.11b/g/nに準拠した無線LANを搭載し、3G通信は非対応。カメラは30万画素のインカメラのみで背面カメラは搭載しない。内部ストレージは合計容量401MB、空き容量が393MBで、このほか内蔵ストレージとして6.54GBが利用可能。microSDカードは最大32GBまで対応する。
 
 本体サイズは約190×120×11.6mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約390g。大きさは7型タブレットとして標準的なサイズだが、重量は「Nexus 7」の340g、「GALAXY Tab 7.7 Plus」の345gと比べて50g近く重い。実際、手に持った時も見た目よりずっしりとした重さを感じるが、取り回しに不便というほどの重さではない。
 
 液晶ディスプレイは5点マルチタッチ対応の7型。解像度は7型タブレットとして標準的な1,024×600ドットだが、発色はややくすんでおり、視野角も30度ほど横に回転するだけで画面が暗く視認性が下がってしまう。基本的には正面から画面を見て利用する個人用途が中心となるだろう。

手に持ったところ10型のARROWS Tab LTEとの比較

●Google Playは非対応。アプリは「Tapnow」からインストール
対応アプリをダウンロードできる「Tapnow」

 タブレットとしての使い勝手を言及する以前に、LesanceTB A07Aで認識しておかなけばいけないのは、この端末がGoogle Playに非対応であるということだ。独自にAndroidアプリやコンテンツを配信する「Tapnow」がプリインストールされており、アプリのインストールは基本的にここから行なうことになる。マップやGmailといったGoogle関連アプリは軒並み非搭載だが、なぜかカレンダーだけはGoogleカレンダーがプリインストールされている。

 Tapnowで提供されているアプリはGoogle Playに比べると非常に少なく、FacebookやTwitterの公式アプリ、LINEなどはTapnowにはない。Twitterクライアントは「ついっぷる」がある程度。電子書籍もTapnowで配信されているが、ジャンルはコミックと萌え系が中心になっている。

 変則的な対応として、他のAndroid端末でAndroidアプリをバックアップし、microSDカード経由でインストールする方法は可能。また、Dropboxはインストール可能だったため、アプリをDropboxにバックアップしてLesanceTB A07Aにインストールするという使い方も可能は可能だ。ただし、これでもいくつかのアプリはインストールできず、Google Playはインストールできるもののアプリのダウンロードはエラーが発生して利用できなかった。また、Google Play経由でないアプリは、以降アップデートの対象にならないため割り切った使い方が必要だ。

●ホーム画面はAndroid標準。動作はやや重め

 ホーム画面のインターフェイスはAndroid 4.0標準のランチャーで、横5画面のホーム画面、左下にソフトボタンで「戻る」「ホーム」「マルチタスク」、右上にアプリケーション一覧を備える。「戻る」については本体左側面の物理ボタンからも利用可能だ。

ホーム画面スリープからの復帰画面もAndroid標準

 ホーム画面の操作感は低価格タブレットということもあって、高速ではないものの実用には十分なレベル。ただし、スリープ状態から電源ボタンを押してホーム画面へ復帰する時には2秒程度の時間を要し、ボタンを押し間違えたかと思ったタイミングでホーム画面が表示される。一般的なタブレットやスマートフォンと比べてもかなり待たされる印象が強く、このあたりは慣れが必要だ。

 CPUはシングルコア1GHzのCortex-A9と、デュアルコアが標準化しつつある昨今のスマートフォン/タブレットからすると低めのスペック。「Quadrant Professional Edition」の測定結果は2064で、「HTC Desire HD」をやや上回る数値だった。AnTuTu Benchmarkの測定結果も、以前にこのコーナーで取り上げた7型の低価格タブレット「IMPRESSION」と同程度の数値だった。Aututu Benchmarkのバージョンが異なるため一概に比較はできないものの、体感的にもほぼ近い数値と感じる。

 実際の動作もホーム画面は指に追従して動くものの、画像が多くデータ量の多いWebサイトをブラウザで閲覧した際は読み込みに待たされる。一番それを感じるのは文字入力の時で、フリック操作で次々に文字を入力しても実際の入力が追従してこない。

「Quadrant Professional Edition」測定結果

【Antutu Benchmarkの測定結果】
 LesanceTB A07AKT-i7AEeePad Transformer TF101
OSAndroid 4.0Android 4.0Android 3.2
AnTuTuバージョンv2.9.3v2.9v.2.5.4
RAM348356808
CPU integer5455091404
CPU float-point4051271065
2D graphics248254307
3D graphics878685872
Database IO250140325
SD card write14172150
SD card read185136181
Total score300022795112

【動画】ホーム画面からブラウザ操作までの操作動画

●4時間30分のバッテリ駆動が可能。プリインストールアプリは少なめ

 バッテリ容量は3,300mAhで、交換はできない本体一体型。駆動時間は動画再生で4.5時間、インターネット操作で約5時間を公称。実際にフルHD動画をループ再生してディスプレイのスリープをオフにし、液晶輝度を最低にして起動し続けたところ、4時間半でバッテリが空になった。動作時間はほぼ公称に近そうだ。ただし、インターネットの利用状況次第ではもっと時間が短くなる可能性がある。

配信アプリ

 プリインストールアプリは少なめで、Google関連アプリは「カレンダー」のみ。そのほかSDカード内のapkファイルをインストールできる「AppInstaller」、ファイラーアプリ「FileBrowser」、日本語入力アプリ「Simeji」、写真加工アプリ「フォトワンダー」などがプリインストールされている。Office関連アプリはインストールされておらず、WordやExcelなどを開くには別途自分でアプリを用意する必要がある。カメラアプリはプリインストールされているがカメラがインカメラのみのため、カメラとしての利用は事実上難しいだろう。

 アプリの追加は前述の通り専用サービスの「Tapnow」から行なう。Tapnowではアプリのほかに電子書籍やゲーム、動画、壁紙、着メロ、デコメなど数多くのカテゴリを取り扱う。ただし書籍はカテゴリが「コミック」「写真」のみとかなり限られており、動画に関してはDailymotionやpandora.tvなどの動画検索であって、動画コンテンツを配信するサービスではない点は注意が必要だ。

「Twitter」でアプリを検索したところ電子書籍はコミック中心
動画は海外系動画配信サービスの検索結果が表示される日本語入力はSimejiをプリインストール

●Google Play非対応が課題。低価格重視のユーザー向けタブレット

 7型サイズのAndroidタブレットは、動作保証や規格への準拠がされない中国からの輸入品が秋葉原などで販売され、低価格タブレットとして人気を集めていたが、Google自ら販売する7型タブレット「Nexus 7」の登場で状況は一変。microSDカードが使えない、背面カメラが無いなど完璧なスペックとは言えないものの、2万円を切る価格でサクサク動作するハイスペックなNexus 7は、こうした低価格タブレットに大きな影響を与えている。

 LesanceTB A07Aについては12,000円を切る低価格は魅力的なものの、Google Playに対応していないというのが懸念点だろう。Android端末を複数所有しているようなユーザーでも無い限りアプリはTapnowに登録されているものに限られることになる。ブラウザが使えれば十分、あとはできるだけ低価格なモデルを購入したいというユーザーのニーズは満たしそうだが、タブレットとして本格的に活用したいというユーザーは、スペックだけでなくGoogle Playを使えないという点をあらかじめ認識しておいた方が良いだろう。

【10月19日14時追記】AKIBA PC Hotlineの取材によると、ユニットコムでは、無保証ながらパソコン工房店頭への持ち込みでGoogle Playへの対応を追加するファームウェアアップデートを行なっている。

バックナンバー

(2012年 10月 19日)

[Text by 甲斐 祐樹]