ASUSTeK Computer「Eee Pad TF201」
~世界初のTegra 3搭載Androidタブレット




ASUSTeK Computer「Eee Pad TF201」

 ASUSTeK Computerは、着脱式キーボードが付属するAndroidタブレットとしておなじみの「Eee Pad Transformer TF101」の後継モデルとなる、「Eee Pad TF201」を発売した。従来モデルに比べ薄型/軽量化を実現するとともに、NVIDIAの最新プロセッサ「Tegra 3」を採用することで、性能も大幅に向上している。


●本体デザインを一新し、薄型・軽量化を実現

 「Eee Pad TF201」(以下、TF201)は、従来モデルとなる「Eee Pad Transformer TF101」(以下、TF101)同様、着脱式のキーボードが付属するAndroidタブレットだ。通常のAndroidタブレットとしてだけでなく、キーボードを取り付けてノートPCと同等のスタイルでも利用可能となっており、ホビー用途だけでなく、文字入力作業の多いビジネス用途でも快適に利用できるというコンセプトは従来モデル同様。ただ、従来モデルからさまざまな点で進化を遂げている。

 まず、最も目立つ進化といえるのが、本体サイズだ。従来モデルは、タブレット本体はもとより、着脱式のキーボード「モバイルキーボードドック」もそれほど薄型ではなく、特にタブレットとモバイルキーボードドックをドッキングさせた状態では、かなり厚いという印象が強かった。それに対しTF201では、サイズがかなり薄くなっている。タブレット単体の高さは8.3mmと、TF101より約4.7mm薄く、またモバイルキーボードドックを取り付けた状態では19.4mmと20mmを切り、TF101より8.6mmも薄くなっている。実際に双方を横に並べて比較してみると、TF201は圧倒的に薄くなっていることがよくわかる。

 フットプリントは、263×180.8mm(幅×奥行き)。TF101と比較すると、幅は8mmほど狭くなったのに対し、奥行きが3.8mm大きくなっている。ただ、横に並べてようやくサイズの違いがわかる程度で、ほぼ同じ大きさと考えて差し支えない。

 また、重量も軽量化を実現。TF201の公称重量は、タブレット単体で596gとTF101より約94g軽く、またモバイルキーボードドックとのセットでは約1.1kgとTF101より約200g軽くなっている。実際に双方を持ち比べてみると、本体が薄くなっていることもあってか、数値以上に軽く感じる。ちなみに重量の実測値は、タブレット本体のみで590g、モバイルキーボードドックとのセットでは1,127gであった。

 本体の薄型・軽量化にあわせ、本体デザインも従来から変更されている。TF101は、前方から後方までほぼフラットで、側面を直線的に切り落とすとともに、本体表面に特殊なディンプル加工を施すという、独特なデザインを採用していた。それに対しTF201では、後方よりも前方を薄くするとともに、側面を薄く絞り込み、本体表面に同心円状または直線状のヘアライン加工を施したメタリック調のボディと、ASUSが発売しているUltrabook「ZENBOOK」に近いデザインを採用している。

 またボディカラーも、TF101ではブラウンのみだったが、TF201では従来のブラウンに近いシャンパンゴールドと、明るいシャンパンゴールドの2色が用意される。今回はアメジストグレーの個体を試用したが、モバイルキーボードドックに取り付けた状態では、まさに薄型ノートそのものといった印象を受けた。そして、それ以上にMacBook Airを強く意識しているデザインであるとも感じた。本体デザインの変更は、従来モデルの個性が失われたという意味では少々残念という気もするが、一般ユーザーからすると、TF201のデザインの方が親しみやすいだろう。

 ところで、モバイルキーボードドックは、TF101同様リチウムポリマーバッテリが内蔵されている。タブレット本体をモバイルキーボードドックに取り付けた状態では、モバイルキーボードドックのバッテリを利用して本体のバッテリが充電されるため、単体時よりも長時間の利用が可能となる。本体およびモバイルキーボードドックに内蔵されるバッテリ容量は非公開だが、NVIDIAがレビューアー向けとして配布している資料(非公開)では、本体に24.4Wh、モバイルキーボードドックに22Whのバッテリを内蔵するという記述がある。TF101のバッテリ容量は、本体とモバイルキーボードドック双方とも24.4Whとされているため、TF201ではモバイルキーボードドックのバッテリ容量が削減されたことになる。

タブレット本体の天板部分。アルミ素材をそのまま活かしたメタリック調のボディで、表面は同心円状のヘアライン処理が施されている旧モデル、TF101(左)との比較。正面から見た形状は良く似ているが、カラーリングや表面処理が異なるため、印象が全く異なるタブレット本体を側面から見た状態。厚さは8.3mmと非常に薄い
TF101(左)との比較。TF101に比べ4.7mmも薄くなったキーボードドックを取り付けた状態で側面から見た様子。この場合の高さは19.4mmとなるTF101にキーボードドックを取り付けた状態と比較すると、8.6mm薄くなっている
TF201のフットプリントは、263×180.8mm(幅×奥行き)。奥のTF101より幅が8mm狭く、奥行きが3.8mm大きいタブレット本体の重量は、公称で596gとTF101より約94g軽い。実測では590gと公称値より若干軽かったモバイルキーボードドックとのセットの重量は、公称で約1.1kg。実測では1,127gと、1.1kgを若干上回っていた
タブレット本体の側面上部。ほぼフラットだが、左右側面が薄く絞り込まれている左側面。こちらから見ても、上下側面部が薄く絞り込まれていることがわかる下部側面。付属の専用USBケーブルを接続するコネクタが中央に見える
右側面。こちらはヘッドフォン端子のみが見え、すっきりしているモバイルキーボードドックを取り付けた状態での上部側面。最近の薄型ノートの液晶を閉じた状態に非常に似ている左側面。上部(写真右)が薄く、下部(写真左)が厚くなっているが、この点でも薄型ノートPCに近い形状だ
下部側面。タブレット本体とドッキングさせるヒンジ部の構造は、従来モデルとほぼ同様だ右側面。従来モデル同様、フルサイズのUSBポートが用意され、各種USB機器を直接接続して利用可能だモバイルキーボードドックにタブレット本体を取り付け、最大に開いた状態

●世界初、Tegra 3搭載

 TF201の特徴は、本体デザインが変更されただけではない。プロセッサにNVIDIAの最新クアッドコアプロセッサである「Tegra 3」を採用する、世界初のAndroidタブレットであるという点も大きな特徴だ(Tegra 3についての詳細はこちらの記事が詳しい)。

 Tegra 3は、CPUコアを4個内蔵するとともに、動作クロックも最大1.4GHz(マルチコア動作時には最大1.3GHz)に向上しており、演算性能は従来モデルであるTegra 2の約5倍に向上。また、内蔵GPUはコア数が従来の8コアから12コアに増強されるとともに、コア自体の演算能力も向上しており、Tegra 2の約3倍の描画能力も実現。これにより、TF201もTF101より大幅な処理能力の向上が実現されているわけだ。

 そこでまず、ベンチマークソフトを利用してパフォーマンスをチェックしてみた。利用したベンチマークソフトは、「Quadrant Professional Edition」と「AnTuTu Benchmark」の2種類だ。

Quadrant Professional Edition総合
Quadrant Professional Edition詳細

【表1】AnTuTu Benchmarkの結果
AnTuTu BenchmarkXOOM Wi-Fi TBi11M
Android 3.2
IdeaPad Tablet K1
Android 3.1
Sony Tablet SEeePad SliderEeePad Transformer TF101
Android 3.2
EeePad TF201
バージョンv2.5.4v2.1v2.1v2.3.1v.2.5.4v.2.5.4
RAM8188188197878082217
CPU integer14251169.41170116114043722
CPU float-point110910161018102810652922
2D graphics286291.8293346307291
3D graphics872802.28118238721189
Database IO332175325295325345
SD card write104130.695141150146
SD card read158130.6192189181192
Total score51044533.647234770511211022

 結果を見てみると、TF101をはじめ、Tegra 2を搭載するタブレットに対し、Quadrantで約1.5倍、AnTuTu Benchmarkで2倍以上と、圧倒的な性能差が確認できた。細かな結果を見てみると、特にメモリ性能やCPUの演算性能が圧倒的に高まっていることがよくわかる。

 描画能力の結果も、Quadrantでは2D/3Dとも1.5倍程度に上回っている。AnTuTu Benchmarkでは、2DはTegra 2搭載タブレットとほぼ同等だったが、3Dは1.4倍ほどに向上、またQuadrantでは2D/3Dとも1.5倍程度に上回っている。3D描画能力はもう少し向上幅が大きくても良さそうに思うが、それでも3D描画能力がTegra 2より向上していることは十分に確認できる。

【お詫びと訂正】初出時にAnTuTu Benchmarkの3D性能について「2倍」と記載してありましたが、「1.4倍」の誤りでした。お詫びして訂正させていただきます。

 そして、ベンチマークテストだけでなく、実際にTF201を利用してみても、TF101よりかなり動作が快適になっていることが体感できる。例えば、ホーム画面をスワイプして切り替える場合、TF101ではアイコンやウィジェットが多数配置されている状態では切り替え時にわずかながら引っかかりを感じることがあったのに対し、TF202では壁紙にライブ壁紙を利用している状態でも、ほとんど引っかかりを感じることなく非常にスムーズに切り替わる。もちろん、アプリを利用した場合の快適度も同様で、例えば、写真のレタッチや動画編集などを行なうと、処理速度に違いが感じられる。

 ただ、Tegra 2に対して約5倍の処理能力向上を実現していると言われるほどの差は感じられなかった。これは、OSやアプリがクアッドコアに最適化されていないためだと思われる。ただ、TF201は将来のAndroid 4.0へのアップグレードが予定されている。Android 4.0ではマルチコアCPUへの最適化が実現されており、Tegra 3の処理能力が最大限引き出されることになるはず。そういった意味では、TF201の本来のパフォーマンスは、Android 4.0へのアップグレード後に発揮されると考えた方がいいだろう。

【動画】TF201を操作している様子

●バッテリ駆動時間は約18時間に延長

 Tegra 3は、Tegra 2に対し大幅な処理能力向上を実現しているだけでなく、省電力性も高まっている。例えば、4個あるCPUコアは、状況に応じて動的に動作が制御され、常に4つのコアが動作しているわけではない。OSやアプリの動作状況に応じ、その時点で不要なコアの動作を停止させることで、不要な電力を消費しない仕組みが盛り込まれている。また、マルチコア動作に最適化されたアプリを利用する場合には、デュアルコア動作時に比べてコアの動作クロックを低減できる場合もある。

 さらに、Tegra 3にはもう1つ消費電力を低減させる大きな特徴がある。それは、メインとなる4個のCPUコア以外に、“第5のコア”とも呼ばれる「コンパニオンコア」という特別なコアが搭載されている点だ。このコンパニオンコアは、最大500MHzで動作する、超低消費電力のコアで、メインのCPUコアとは排他で動作する。このコンパニオンコアが動作するのは、ハードウェア再生支援が有効となる動画を再生している場合や、音楽を再生している場合、画面表示がオフになっている状態などだ。メインのCPUコアの動作が全て停止し、コンパニオンコアのみで動作する状態では、電力消費が大幅に低減されることになる。

 また、液晶表示に関する省電力機能も盛り込まれている。それは「PRISM Display Technology」と呼ばれるもので、液晶パネルの表示性能を解析し、輝度を落とした場合に、表示される色を明るめの色に置き換えることで、輝度を高めた状態とほぼ同様に明く見えるという技術だ。この技術により、従来よりも輝度を低くして利用できるようになるため、消費電力を抑えられるというわけだ。

TF201に用意されている、省電力設定を「省電力モード」にすると、「PRISM Display Technology」が機能するようになる

 このように、メインのCPUコアの動的な動作制御に加え、コンパニオンコアの搭載と、液晶の消費電力を下げるPRISM Display Technologyにより、Tegra 3を搭載するタブレットでは、あらゆる局面でTegra 2よりも消費電力が低減しているとする。事実、TF201では、公称のバッテリ駆動時間がタブレット単体で約12時間、モバイルキーボードドック併用時で約18時間(双方ともバックライト輝度を60cd/平方m)に下げ、720p動画を連続再生させた場合の数値とされている)と、TF101よりも長くなっている。

 そこで、実際にバッテリ駆動時間を計測してみた。今回は、実際にコンパニオンコアが動作する状況になるよう、ハードウェア再生支援が効くH.264動画(フルHD、ビットレート4Mbps、Baseline Profile)を用意し、動画再生アプリ「MX動画プレーヤー」を利用して連続再生させて計測した。また、その他の動作設定は、液晶のバックライト輝度は最低に設定するとともに、TF201に用意されている省電力設定を「省電力モード」に設定、無線LANとGPS機能はオンにし、Bluetoothはオフに設定した。比較として、TF101の結果も掲載しているが、そちらは省電力設定以外は同じ設定で測定したものだ。

 結果を見ると、公称値には届いていないものの、タブレット単体で約11時間06分、キーボードドックとの併用で約16時間52分と、TF101よりも長時間の駆動が確認された。キーボードドック併用での駆動時間はTF101比で約30分ほどの延長にとどまったが、単体では2時間弱ほど延長している。先に紹介したように、タブレット本体に内蔵されるバッテリ容量は、TF201、TF101とも24.44Whと同じ。つまり、TF201の駆動時間が長くなっているのは、Tegra 3の省電力機能が有効に発揮された結果と考えていい。それに対し、キーボードドック併用時の差があまり大きくなかったのは、TF201のキーボードドックに搭載されるバッテリ容量が、TF101のキーボードドック内蔵バッテリより少なかったためと考えられる。ただ、それでもTF101より駆動時間が長かったのだから、やはりTegra 3の省電力性能の高さが裏付けられたと言っていいだろう。


【表2】バッテリ駆動時間

Eee Pad TF201Eee Pad Transformer TF101
キーボードドックあり約16時間52分約16時間25分
タブレット単体約11時間06分約9時間18分
※(H.264 Baseline Profile、ビットレート3Mbpsの動画をMX動画プレーヤーで連続再生、液晶輝度は最低、無線LANとGPSはオン、Bluetoothはオフ、TF201では省電力設定を「省電力モード」に設定して計測)

●最大輝度600cd/平方mのSuper IPS+液晶を搭載

 TF201に搭載される液晶パネルは、1,280×800ドット表示に対応する10.1型液晶で、表示解像度とサイズはTF101と同じ。しかし、パネルの種類はSuper IPS+液晶に変更されている。Super IPS+液晶は、従来のIPS液晶に比べ、輝度や発色性能が高められ、鮮やかかつ明るい映像を表示できるとされる。実際にTF101と並べて映像を見比べてみたところ、TF101は若干青が強く表示されるのに対し、TF201では自然な発色が確認でき、確かに発色性能はTF201のほうが優れていると感じた。

 またTF201では、通常よりも輝度を高める「Super IPS+ mode」と呼ばれる表示モードを用意。このモードを利用した場合には、液晶輝度が最大600cd/平方mにまで高まり、野外など明るい場所でも優れた視認性が発揮されるとしている。こちらも、実際に野外の直射日光下で試してみたところ、確かに通常よりもはっきりと映像や文字が視認できた。室内ではまぶし過ぎると感じるほどで、野外で利用する機会の多い人にとって、この機能はかなり魅力があるはずだ。

 液晶パネル表面にはTF101同様、強度に優れるGorillaガラスを採用。そのうえで、表面には指紋などのよごれが付きにくい、アンチフィンガープリント加工が標準で施されている。実際に試したところでは、指紋が全く付かないというわけではなかったが、長時間操作してもTF101より指紋が付きにくいように感じた。これなら、保護シートを貼らなくても大丈夫だろう。

TF201には、1,280×800ドット表示に対応する10.1型液晶を搭載。パネルにはSuper IPS+液晶が採用されており、高輝度かつ発色性能が向上しているTF101(左)との比較。表示解像度や画面サイズは同じ。写真ではわかりづらいが、TF201の方が発色性能に優れる
「Super IPS+」モードをオンにすると、液晶輝度が最大600cd/平方mに高まり、直射日光下の野外でもはっきりと画像や文字が視認できる液晶表面には強度に優れるGorillaガラスを採用し、表面は指紋などのよごれが付きにくい、アンチフィンガープリント加工が施されている。全く指紋が付かないわけではないが、他のタブレットに比べると指紋が付きにくいのは間違いない

●スペック面も進化

 では、TF201のそのほかの基本スペックを確認していこう。

 メインメモリは1GB。また内蔵ストレージは64GBと非常に大容量だ。本体にはmicroSDカードスロットが用意され、32GBのmicro SDHCカードを利用できるが、内蔵ストレージが64GBもあるため、増設の必要性は少なそうだ。

 カメラ機能は、裏面側に約800万画素のアウトカメラと、液晶側に約120万画素のインカメラを搭載。このうちアウトカメラにはLEDフラッシュが新たに搭載されている。さらに、撮像素子には裏面照射CMOSを採用するとともに、f2.4の明るいレンズを採用し、暗い場所での撮影能力が向上。実際にTF201とTF101で撮影した写真をそのまま掲載しているが、これを見るとわかるように、暗い場所での撮影時でもノイズが少なく、また細かい部分までくっきり撮影できていることがわかる。

 無線機能は、IEEE 802.11b/g/n対応の無線LANと、Bluetooth 2.1+EDRを搭載し、3G機能は非搭載。センサー類は、GPS、電子コンパス、加速度センサー、ジャイロスコープ、照度センサーを搭載する。

 本体に用意されるポートは、左側面にmicro HDMI出力とmicroSDカードスロット、右側面にヘッドフォン出力を配置。また下部側面には、TF101同様、付属の専用USBケーブルを接続する端子が用意されており、PCのUSB端子に接続することでデータの送受信が行なえる。また、付属のACアダプタに接続すれば、内蔵バッテリの充電が可能。PCのUSB端子を利用した充電が行なえないのはTF101と同じだ。

タブレット部の左側面には、microSDカードスロットが用意されているmicroSDカードスロットの横には、micro HDMI出力とボリュームボタンがある上部側面には、左側に電源ボタンがあるのみだ
右側面には、ヘッドフォン端子が用意されている下部側面には、付属の専用USBケーブルやモバイルキーボードドックと接続するための専用コネクタがある。この専用コネクタの形状はTF101のものと同じだ付属の専用USBケーブル。下部の専用コネクタに接続して利用する
このように接続すれば、PCのUSB端子などと接続し、データの送受信が可能こちらは付属のACアダプタ。専用USBケーブルを接続することでバッテリの充電が可能バッテリの充電は付属のACアダプタを利用する必要があり、PCなどのUSB端子経由では充電できない
液晶側上部中央には、約120万画素のインカメラが搭載されている背面上部中央には、約800万画素のアウトカメラを配置。横にはLEDフラッシュがある。アウトカメラの撮像素子は裏面照射CMOSで、レンズはf2.4と明るいため、暗い場所での撮影能力が向上している
こちらは、TF101で撮影した写真。ノイズがかなり多く、色もくすんでいるこちらは、TF201で撮影した写真。TF101のようなノイズは見あたらず、色も鮮やか。細かな部分もくっきり撮影されている

●モバイルキーボードドックはUSBポートが減り、キーボードのストロークが浅くなった

 本体の薄型・軽量化に加え、パフォーマンスは向上し、バッテリ駆動時間も長くなっているが、TF101と比べて若干機能面が後退している部分もある。特にその影響が大きいのが、モバイルキーボードドックだ。

 TF101のモバイルキーボードドックには、フルサイズのUSBポートが左右に1ポートずつ、計2ポート用意されていたが、TF201のモバイルキーボードドックでは右側面にのみ用意され、左側面のUSBポートは省かれている。

 また、キーボードのストロークも浅くなっている。実際に、キーを見ると、フレーム部からの高さがかなり低くなっていることがわかる。そして、キーを押すと、フレーム部よりも低い位置まで押し込める。そのため、タイピングしていると、指がフレーム部に触れることがある。個人的な印象では、それほど気にはならなかったものの、中には違和感を感じる人もいるかもしれない。

 さらに、キーボードのキーピッチは約17mmと、TF101よりも若干狭くなっている。これは、本体の横幅がやや狭くなった影響だろう。ただ、違いはほとんど感じられず、ほぼ同じ感覚で利用できた。配列はTF101と全く同じで、いびつな配列もなく、ノートPCのキーボードと比較しても違和感なく利用可能だ。

 フルサイズのSDカードスロットは、TF101同様右側面に用意されている。また、左側面には専用USBケーブルを接続するコネクタもあり、PCとのデータ送受信や充電が行なえる。

モバイルキーボードドックは薄型化のため、左側面のUSBポートはなくなった。ただ、専用USBケーブルを接続する端子は従来通り用意されているこのように、専用USBケーブルを接続し、データ送受信や内蔵バッテリの充電が行なえる右側面後方にはUSB端子が用意され、USBメモリやゲームコントローラなどのUSB周辺機器を直接接続し利用できる
右側面前方には、従来モデル同様、SDカードスロットが用意されているモバイルキーボードドックのキーボードは、見た目はTF101のキーボードに近いが、ストロークが浅くなり、幅も狭くなったTF101のキーボードとの比較。配列は全く同じだ
キーの高さはかなり浅く、キーを押すとフレーム部より下までキーが押し込めるキーピッチは約17mmと、従来モデルの約17.5mmよりわずかに狭くなっているモバイルキーボードドックを取り付けると、画面にマウスカーソルが表示され、タッチパッドで操作可能となる。タッチパッドは切り離すことも可能。クリックボタンはパッドと一体構造となっている

●使いやすさを高める工夫も

 TF101には、豊富なプリインストールアプリが用意されていたが、その点はTF201も同様。Office互換アプリの「Polaris Office」や、リモートデスクトップツールの「MyCloud」、オンラインストレージサービス「MyContent」、コンテンツ配信サービス「@Vibe」、DLNA対応の「MyNet」なども引き続き標準で搭載される。その上で、さらに使いやすさを高めるアプリや独自の機能拡張も追加されている。

 まず、インストールしたアプリやデータをバックアップする「アプリのバックアップ」。こちらを利用し定期的にバックアップを取っておけば、いざという時にも安心で、また新機種へ乗り換える場合でも簡単に環境を移行できる。また、従来も搭載されていた「ファイルマネージャー」は、内蔵ストレージやUSBメモリ、SDカードなど、ファイル操作を行なう対象となるストレージデバイスがアイコンで表示され、ワンタッチで切り替えられるようになった。これにより、ファイル操作がかなりやりやすくなっている。

 さらに、画面右下の時間やバッテリアイコンが表示されている部分をタップすると開く、各種設定が行なえるウィンドウは、無線LANやBluetoothのON/OFF、省電力設定の切り替えなど、さまざまな機能の設定を簡単に行なえるように、独自にアイコンを配置し、直感的に操作できるよう機能強化されている。これにより、わざわざ設定メニューを開かずとも設定できる項目が増え、操作性が向上している。

 このように、独自のアプリを搭載したり、機能強化を盛り込むなど、ユーザーの使いやすさを追求する姿勢は大いに評価したい部分だ。

「アプリのバックアップ」で、インストールしているアプリや「ファイルマネージャー」は、microSDやUSBメモリ、内蔵ストレージなど、ファイル操作を行なうデバイスを直接アイコンで選択できるようになり、ファイル操作がやりやすくなったポップアップメニューも独自に強化されており、アイコンをタップし直感的に機能の設定が可能となっている

●タブレット部単体での発売にも期待

 TF201は、本体の薄型軽量化に加え、本体のデザイン性の向上、Tegra 3搭載による大幅な処理能力の向上、バッテリ駆動時間も延ばすなど、非常に魅力的な製品へと進化している。Android 3.2.1を搭載する現状では、まだTegra 3のパフォーマンスがフルに発揮できる環境が整っていないとも思われるが、すでにAndroid 4.0へのアップデート提供が表明されており、将来性も安心。Tegra 3を搭載するAndroidタブレットとして、現在唯一の存在であることも合わせ、現時点で最もオススメできるAndroidタブレットであることは間違いない。

 ただ、販売価格が69,800円とやや高い点は少々気になる。モバイルキーボードドックがセットになっていることもあるが、キーボードが不要な人にとっては、やや高く感じるのも事実。そのため、タブレット本体のみで安価なモデルも発売してもらいたい。それなら、より多くのユーザーがTF201に触れられるようになるのはもちろん、Tegra 3の高性能さも体験できるようになると思うので、ぜひ検討をお願いしたい。

バックナンバー

(2012年 1月 31日)

[Text by 平澤 寿康]