日本HP「HP mini 110」オリジナル(量販店)モデル
~スペックが強化され魅力向上



日本HP「HP mini 110」オリジナル(量販店)モデル

発売中
価格:オープンプライス



 日本ヒューレット・パッカード(日本HP)から、ネットブックの新モデル「HP mini 110」が登場した。個人向けネットブック「HP mini 1000」の後継モデルとして位置付けられており、CPUなどがパワーアップしている。HP mini 110には、32GB SSD搭載のオンライン販売専用モデルと、160GB HDD搭載の市販専用モデルの2モデルが用意されているが、今回は市販モデルを取り上げる。

●市販モデルは3色展開

 HP mini 110の本体デザインは、HPのネットブックでおなじみのデザインをほぼそのまま踏襲している。ただし、天板カラーは、ブラックの「漆黒」に加えて、ホワイトの「白磁」、ピンクの「淡紅藤」を用意。HPおなじみの天板デザイン「ZEN-Design」は、漆黒と白磁が従来モデル同様「uzu」だが、淡紅藤は新デザインとなる「Canna」を採用する。花をモチーフとしたそのデザインは、かなりお洒落な印象で、特に女性に好まれそうだ。天板に合わせてキーボードカラーも統一されているので、特に淡紅藤はかなり派手だ。

 本体サイズは、263×173×28~33mm(幅×奥行き×高さ)と、従来モデルより若干大きく、また厚くなった。重量も1,143gと、こちらも従来モデルよりわずかながら重くなっている。とはいえ、その差はそれほど大きなものではなく、携帯性はほとんど損なわれていないと考えていいだろう。ちなみに、オンライン販売専用のSSDモデルでは、従来モデルよりも若干の軽量化が実現されているようだ。

本体正面。基本的なデザインは、従来モデルのものをほぼそのまま踏襲している左側面。全体的に厚さが増すとともに、前方と後方で厚さに違いがある背面。従来モデルはバッテリが底面に搭載されていたが、HP mini 110では背面に搭載されるようになった
右側面。ポート類の種類や数が変更されている天板カラーは、従来モデルからある「漆黒」に加え、「白磁」、「淡紅藤」の3色が用意される漆黒モデルは、従来同様、渦状のラインが多数描かれた「ZEN-Design uzu」を採用
白磁モデルも、漆黒モデルと同じ「ZEN-Design uzu」を採用淡紅藤モデルは、花をイメージした新デザイン「ZEN-Design Canna」を採用する白磁モデル、淡紅藤モデルは、キーボード面も天板に合わせてカラーが統一されている
本体重量は、実測値で1,143gと、従来モデルより若干重くなっている

●CPUとストレージ、ポート類を強化

 こちらですでに紹介しているように、HP mini 110は、従来モデルからさまざまなスペック強化が実現されている。ここでも、スペックの強化点を簡単にまとめておこう。

 まず、CPUはAtom N270からAtom N280に。ストレージは1.8インチHDDから2.5インチHDDに変更されている。従来モデルのHDD搭載モデルと直接比較したわけではないが、CPUとHDDの変更によって、体感の快適度は確実に向上しているはずだ。

 また、本体に用意されているポート類も強化されている。従来は左右側面に1ポートずつだったUSB 2.0が、左1、右2の3ポートに増やされるとともに、アナログRGB出力のミニD-Sub15ピンが追加された。さらに、メディアカードスロットは、SD/SDHC/MMC/メモリースティック、xD-Picture Card対応の5-in-1メディアスロットとなった。これによって、使い勝手も大きく向上している。

 ちなみに、バッテリは従来のリチウムポリマーバッテリから、3セルのリチウムイオンバッテリへと変更されるとともに、オプションで6セルの大容量バッテリも用意される。6セルバッテリは、HP mini 2140の6セルバッテリ同様、本体底面に出っ張る形状となっており、取り付けた場合には本体が大きく傾くことになる。

左側面には、電源コネクタ、USB 2.0×1、ヘッドフォン・マイク端子が用意されている右側面コネクタは、USB 2.0が2ポートに増え、アナログRGB出力も用意。また、メディアカードスロットは5-in-1メディアスロットとなり、対応メディアが増えた。有線LANは100BASE-TX対応だ本体正面には、電源スイッチ(左)と、無線機能のオン/オフスイッチがある
バッテリは、本体背面に取り付けるリチウムイオンバッテリに変更。標準の3セルバッテリと、オプションで6セルバッテリが用意される6セルバッテリは下に出っ張る形で本体に取り付けて利用することになる6セルバッテリ搭載時の本体重量は、実測値で1,291gだった
メインメモリスロットには本体底面より容易にアクセス可能。標準は1GBだが、2GBモジュールを搭載しても問題なく認識したACアダプタは、従来モデルと同じコンパクトなものが付属する直接コンセントに接続できるL字アダプタも付属
L字アダプタ接続時のACアダプタの重量は、実測値で188.5gだった

●液晶は若干小型となり解像度が減少

 液晶ディスプレイは、1,024×576ドット表示対応の10.1形ワイド液晶。従来モデルでは1,024×600ドット表示対応の10.2形ワイド液晶を搭載していたことを考えると、サイズ、解像度ともにスペックダウンとなっている。HP mini 110に限らず、1,024×576ドット表示対応の液晶を搭載するネットブックが増えているが、Webアクセス時など、縦の解像度に余裕があった方が有利なのは間違いなく、わずか24ドットではあるが、垂直方向の表示解像度が減っている点はかなり残念だ。

 さらに、HP mini 110の海外モデルでは、1,366×768ドット表示対応の10.1形高解像度液晶を搭載するモデルも用意されているが、残念ながら日本向けモデルでは高解像度液晶搭載モデルは用意されていない。パネル調達が厳しく、豊富な数が用意できないための措置かもしれないが、できればなるべく早い段階で日本でも高解像度液晶搭載モデルを投入してもらいたいところだ。

 ただ、液晶表面がノングレア処理となっている点は、改善点と言える。従来モデルもそうだったが、光沢感の強いグレア処理の液晶は、外光の映り込みが気になることが多いが、HP mini 110ならその心配は少なく、快適な視認性が確保される。ノングレア液晶搭載のネットブックは少数派なので、HP mini 110のウリになるだろう。

1,024×576ドット表示対応の10.1型ワイド液晶を搭載。垂直方向の解像度が減っているのは残念。ただ、表面がノングレア処理で映り込みが全く気にならない点は嬉しい液晶中央上部には、VGA解像度のWebカメラを搭載する

●キーボード、タッチパッドは従来モデルと同じ

 キーボードは、ピッチが約17.5mm、ストロークが約2mmの87キー日本語キーボードを搭載。サイズや配列など、従来モデルに搭載されているものと全く同じで、使い勝手は非常に良好。HP miniシリーズのキーボードは、もともと使い勝手の良さで定評があるが、その点が変わらず受け継がれている点は嬉しい。

 タッチパッドも従来と同じものが搭載されている。パッド自体の使い勝手は悪くないものの、クリックボタンがパッド左右に配置されている点も従来通りで、この点は使いづらく感じる。

 ところで、タッチパッド上部に用意されていた、タッチパッドの動作をON/OFFするスイッチが、HP mini 110では省かれており、キーボードとタッチパッドの間に余裕がある。これだけの余裕があるなら、タッチパッド下部にクリックボタンを配置することも十分可能なはずで、次期モデルではぜひとも実現してもらいたい。

キーボードは、従来モデルとほぼ同じものを搭載。ピッチはほぼ均等で、無理な配列もなく、非常に扱いやすいキーピッチは17.5mm。ピッチに余裕があるだけでなく正方形のため、タッチタイプも難なくこなせる
こちらは、評価機材に搭載されていた英語キーボード。キー数が少なく、全体的にピッチに余裕がある。日本でもBTOで英語キーボードが選択できるといいが、残念ながら用意されていないタッチパッドは、従来通りクリックボタンが左右に配置され、やや使いづらい。タッチパッドの動作を切るボタンが廃止されているので、パッドを上に寄せてクリックボタンをパッド下に配置してもらいたい

●CPU強化分の性能向上を確認

 では、ベンチマークテストの結果をチェックしていこう。利用したベンチマークソフトは、Futuremarkの「PCMark05 (Build 1.2.0)」と、HDBENCH.NETの「HDBENCH Ver3.40beta6」、スクウェア・エニックスの「FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3」の3種類。比較用として、従来モデルのHP mini 1000に加え、HP mini 2140の結果も加えている。

 結果を見ると、CPUの動作クロック向上分に相当する性能の向上が確認できる。また、比較用のHP mini 1000はSSD搭載モデルであったが、ストレージはHP mini 110のHDDの方がかなり結果が良くなっている。今回は、HP mini 1000と直接比較したわけではないが、以前レビューを行なったときの感覚と比較して、OSやアプリケーションが明らかに軽く動作しているという印象だ。CPUのクロック向上分とストレージの変更によって、ベンチマーク結果の数字以上に快適になったと言っていいだろう。

 次に、バッテリ駆動時間のチェックだ。液晶輝度は最大に設定し、無線LANおよびBluetoothを動作させた状態で、動画ファイル(WMV9、ビットレート1,156kbps、640×480ドット)をWindows Media Player 11を利用して連続再生させることで行なった。結果は、標準添付の3セルバッテリ利用時で約1時間51分と、従来モデルよりも若干ではあるがバッテリ駆動時間が延びている。また、オプションの6セルバッテリ利用時は約3時間50分であった。ネットブックとして、バッテリ駆動時間が長い方ではないが、液晶バックライト輝度を落としたり、省電力機能を有効にするなどすれば、3セルバッテリでも3時間は十分利用できるはずで、納得できる範囲内だ。

【ベンチマーク結果】

HP Mini 110HP Mini 2140 Notebook PCHP mini 1000
CPUAtom N280(1.66GHz動作)Atom N270(1.6GHz動作)Atom N270(1.6GHz動作)
チップセットIntel 945 GME ExpressIntel 945 GME ExpressIntel 945 GME Express
メモリ1GB1GB1GB
OSWindows XP Home Edition SP3Windows XP Home Edition SP3Windows XP Home Edition SP3
PCMark05 Build 1.2.0
PCMark Score15481561N/A
CPU Score154714871488
Memory Score247423442389
Graphics Score570547N/A
HDD Score457957681659
HDBENCH Ver3.40beta6
All363194014428690
CPU:Integer966039427894206
CPU:Float672286479264577
MEMORY:Read498994810648113
MEMORY:Write500644856948554
MEMORY:Read&Write886078554585469
VIDEO:Recitangle175851672116947
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VIDEO:BitBlt269192252
VIDEO:DirectDraw292929
DRIVE:Read629767116035420
DRIVE:Write35408474739510
DRIVE:RandomRead169762899229776
DRIVE:RandomWrite18614219883460
FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3
LOW153314091465

【バッテリ駆動時間】
HP mini 110 3セルバッテリ搭載時1時間51分
HP mini 110 6セルバッテリ搭載時3時間50分
HP Mini 10001時間45分
HP 2140 Mini-note PC 3セルバッテリ搭載時1時間59分
HP 2140 Mini-note PC 6セルバッテリ搭載時3時間55分

 HP mini 110は、液晶解像度が低くなっている点はかなり残念ではあるが、CPUやHDD、ポート類が強化され、従来モデルに比べて体感速度や使い勝手が大きく向上しており、より魅力のある製品へと進化している。価格はオープンプライスだが、直販専用モデルの直販価格である47,880円と同程度になるとされており、実売では4万円半ば程度になると思われる。定評のある使いやすいキーボードをそのまま受け継ぎ、スペック面の強化を実現するとともに、安価な価格も維持されており、広くおすすめできる製品だ。また、女性には淡紅藤カラーモデルを強くおすすめしたい。

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(2009年 7月 30日)

[Text by 平澤 寿康]