ASUSTeK「Eee PC 1101HA」
~大型/高解像度液晶搭載の最新Eee PC



ASUSTeK「Eee PC 1101HA」

発売中
価格:オープンプライス



 ASUSTeKのネットブックEee PCシリーズに、最新モデルとなる「Eee PC 1101HA」が追加。一足先に登場した「Eee PC 1008HA」と同様、貝殻をモチーフとした新デザイン「Seashell」を採用するとともに、Eee PCシリーズとして最大かつ高解像度表示対応の11.6型液晶を搭載することで、新たな魅力を実現している。

●シリーズ最大かつ1,366×768ドット表示対応の液晶を搭載

 Eee PC 1101HA(以下、1101HA)の最大の特徴は、なんと言っても搭載している液晶パネルだ。サイズは11.6型ワイドと、従来モデルを含めEee PCシリーズとして最大。表示解像度も1,366×768ドット(WXGA)表示をサポート。従来モデルの表示解像度1,024×600ドットでは、Webアクセス時など窮屈さがあったが、WXGAなら余裕が生まれ、快適に利用できる。

 また、液晶サイズの大型化も同時に実現することで、高解像度になっても文字サイズはそれほど小さくなっておらず、視認性も問題ない。一般的なB5サブノートに比べると、まだ一回りほどサイズは小さいものの、表示解像度が同等となったことで、液晶に関して本製品は、ネットブックだからと妥協する必要がない。

 液晶パネルの表示品質は、従来モデルと同等。液晶表面は光沢処理が施されており、発色はかなり鮮やかだ。垂直方向の視野角がやや狭く、見る角度が少し変わっただけで色合いが変化する点と、外光の映り込みがややきつい点は気になるが、ネットブックとしては標準的で、我慢できる範囲内だ。

1,366×768ドット表示対応の11.6型液晶を搭載。高解像度と大型化を同時に実現し、文字の視認性も低下していないWebブラウザを全画面表示させた状態。このように、左にお気に入りペインを表示させても余裕でページを表示できる液晶上部中央には、130万画素Webカメラが搭載されている

●Seashellデザインの新デザインボディを採用

 1101HAのもう1つの特徴となるのが、新デザイン「Seashell」ボディを採用している点だ。貝殻をモチーフとして、曲面を多く取り入れたデザインは、先に発売された1008HAとほぼ同等。ボディ全体は同じ色で統一され、底面以外の部分は光沢仕上げと、細部まで丁寧に仕上げられており、従来までに感じられた安っぽさはほぼ完全に払拭されている。ただし、1008HAでは本体側面のポート類を全てフタで覆うことでデザイン性を追求していたが、1101HAでは従来同様むき出しとなっている。同じSeashellデザインを採用するなら、1101HAでも追求してもらいたかったように思う。

 本体サイズは、286×196×21.8~36.2mm(幅×奥行き×高さ)。液晶が大型化しているため、本体サイズも従来モデルよりも一回り大きくなっている。携帯性は若干損なわれたが、一般的なB5サブノートとほぼ同じサイズにとどまっている。

 本体重量は、実測値で1,359g。本体サイズ以上に重くなったという印象を受けるかもしれないが、1101HAでは標準で6セルバッテリが付属しており、バッテリの重量増も加わっているからだ。ただ、6セルバッテリ搭載のおかげで、後ほど紹介するようにバッテリ駆動時間は非常に長くなっており、マイナス要素ばかりではない。とはいえ、バッテリ駆動時間よりも重量を優先させたい人もいるはずなので、今後できれば3セルの軽量バッテリもオプションで用意してもらいたい。

本体天板。プラスチック感を感じさせない光沢の強いブラックで、高級感がある。ASUSロゴのみでよけいな装飾もなく好印象だフットプリントは、286×196mm。一般的なB5サブノートとほぼ同等の大きさで、従来モデルよりも一回り大きくなっている本体正面。1008HA同様、曲面を多用したSeashellデザインのボディは、細部の仕上げもしっかりとしており、安っぽさを感じさせない
左側面。前方最薄部が21.8mm、奥の最厚部が36.2mmと、奥に向かって厚くなっているが、全体的には十分な薄さを実現している背面。中央にはバッテリが搭載されている右側面。1008HAのように、ポート類に蓋がされず、むき出しになっている点は少々残念
底面までカラーが統一されている点も、安っぽさを感じさせない要因の1つだ重量は、実測値で1,359g。本体が大きくなり、6セルバッテリを搭載しているために、やや重くなっている

●CPUはAtom Z520を採用

 基本スペックにも変更が加えられている。これまでEee PCシリーズは、初期のCeleron M搭載モデル以外は、CPUとしてAtom N270/N280を採用していたが、1101HAではAtom Z520(1.33GHz動作)が採用され、チップセットもUS15Wとなった。最近では、ULCPCライセンスの運用が若干あいまいになっていて、液晶のサイズや解像度、ストレージ容量など、メーカーによってばらつきが見られるようになっている。例えば、ソニーの「VAIO W」は、WXGA対応液晶で、CPUはAtom N280を採用している。Atom ZはAtom Nよりも動作クロックが低いため、パフォーマンスが落ちる点は少々残念だが、Webアクセスなどネットブックに要求される用途には十分対応できるため、大きな問題とはならないはずだ。

 CPUとチップセット以外の基本スペックは、一般的なネットブックとほぼ同等。メインメモリは標準で1GB(最大1GB)、ストレージには160GBのHDDを搭載。ネットワーク機能は、100BASE-TX対応の有線LANと、IEEE 802.11b/g/n対応の無線LAN、Bluetooth 2.1+EDRを標準搭載。OSはWindows XP Home Edition SP3だ。

 本体側面のポート類は、左側面にアナログRGB出力とUSB 2.0×1、右側面にUSB 2.0×2と有線LAN、ヘッドフォン/マイク端子、SDカードスロットが用意されている。メインメモリ用のSO-DIMMスロットは本体底面に用意されており、標準で1GBモジュールが取り付けられている。ちなみに、保証外ではあるが、2GBモジュールを取り付けてみても正常に認識し利用できた。

左側面には、電源コネクタとアナログRGB出力、USB 2.0×1の各ポートを用意右側面には、SDカードスロットとヘッドフォン/マイク端子、USB 2.0×2、100BASE-TX対応LANコネクタを用意
SDカードスロットは、ダミーカードで保護されている本体底面の蓋を開けると、メインメモリ用のSO-DIMMスロットにアクセスできる。標準で1GBモジュールを搭載。非サポートながら2GBモジュールも認識した。

●1008HAと異なる新キーボードを搭載

 キーボードは、従来モデルに搭載されているものや、1008HAで採用された新キーボードと異なる、新たな仕様のものが搭載されている。キートップは平面に近くなっており(完全な平面ではなく、わずかに凹みがある)、その点では1008HA搭載キーボードに近いが、カーソルキーを含めたキー配列は従来のキーボードに近い。キーピッチは18.1mmと従来モデル以上に余裕があり、タイピングのしやすさはEee PCシリーズ随一と言っていいかもしれない。ちなみにこのキーボードは、ドイツのデザイン賞「レッドドット デザイン賞」を受賞しているそうだ。

 ポインティングデバイスは、1008HAとほぼ同じものを搭載している。パッド面はパームレストと一体となっており、継ぎ目がない。ただし、パッドとして動作する部分はディンプル加工が施されているため、どこがパッド面かは容易に判断できる。指2本を利用した拡大/縮小コントロールも行なえるが、指2本を利用したスクロール機能は盛り込まれていない。クリックボタンはパッド面下部に配置されるが、左右のボタンが一体となっているために、若干使いづらい。1008HAも含め、この点は今後の改善を期待したい。

キーボードは、キートップが平面に近い、新形状のものを採用。配列は、1008HA搭載のものではなく、従来モデルのものに近いキーピッチは約18.1mmとかなり余裕があり、新形状のキートップと合わせ、非常に扱いやすいタッチパッドは、1008HA同様パームレストと一体となっている。パッド部分はディンプル加工が施され、場所はわかりやすいが、左右一体のクリックボタンは扱いづらい
小型の光学式スクロールマウスも付属する従来同様のウレタン製ケースも付属

●長時間のバッテリ駆動で、モバイル性重視の人におすすめ

 では、ベンチマークテストの結果をチェックしていこう。利用したベンチマークソフトは、Futuremarkの「PCMark05 (Build 1.2.0)」と、HDBENCH.NETの「HDBENCH Ver3.40beta6」、スクウェア・エニックスの「FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3」の3種類を利用した。また、比較として、1008HA、S101およびS101Hの結果を添えてある。

 結果を見ると、CPUが1.33GHz動作のAtom Z520になったことで、CPUまわりのパフォーマンスが落ちているとともに、チップセットがUS15Wになったことで、グラフィックのパフォーマンスも大きく落ち込んでいる。3D描画能力も非常に低く、FINAL FANTASY XIなどの比較的軽い3Dゲームも、ほぼ動作しないと言っていいほどの結果となっている。もちろん、Webアクセスやメールの送受信、Office系アプリケーションの利用などは問題なくこなせるが、やはり、Atom Z520+US15Wの組み合わせでは、パフォーマンスは最低限といわざるを得ない。

 ただ、悪いことばかりではない。US15W内蔵のグラフィック機能(GMA500)には動画再生支援機能が搭載されている。この機能は、Windows Vistaでのみ有効で、基本的にWindows XPでは利用できないとされている。しかし、PowerDVD 9 Deluxなど、一部の動画再生ソフトではWindows XP上でもGMA500の動画再生支援機能を利用できるようになっており、実際に1101HAでも利用可能だった。実際、動画再生支援機能を有効にすると、それまでスムーズに再生できなかった、地上デジタル放送とほぼ同等のクオリティを持つMPEG-2動画(1,440×1,080ドット、16.8Mbps)も、コマ落ちすることなく再生できた。だが、HD解像度のWMV9やH.264形式の動画ファイルは、スムーズな再生は行なえなかった。YouTubeに掲載されているHD動画についても同様だ。

 このように、別途対応ソフトを用意する必要があるとともに、動画再生支援機能が働いてもスムーズに再生できない形式も多いことを考えると、過度な期待はできないが、Atom Nシリーズ+Intel 945GSE Expressの組み合わせより有利なのは間違いないだろう。

PowerDVD 9 Deluxでは、Windows XP上でもGMA500の動画再生支援機能が利用でき、地デジクオリティのMPEG-2動画をスムーズに再生できた6セルリチウムイオンバッテリが標準添付され、長時間のバッテリ駆動を実現している
従来同様、非常にコンパクトなACアダプタが付属する電源ケーブル込みで208.5g(実測値)と、非常に軽量で、本体と同時に持ち歩いても苦にならない

 次にバッテリ駆動時間だ。テスト方法は、省電力機能を切るとともに、液晶輝度を最大に設定し、無線LANを動作させた状態で、動画ファイル(WMV9、ビットレート1,156kbps、640×480ドット)をWindows Media Player 11を利用して連続再生させるというものだ。結果は、6セルバッテリを搭載していることもあり、約5時間18分と非常に長時間であった。また、Eee PCシリーズでおなじみの省電力機能「Super Hybrid Engine」を「Auto Mode」にセットするとともに、液晶輝度を約40%の明るさに抑えた状態で、海人氏製作のバッテリベンチマークソフト「BBench V1.01」を利用し、Web巡回とキー入力をONにして測定してみたところ、約8時間17分と、非常に長時間の駆動が確認された。これなら、まる1日外出して利用しても十分にバッテリが持つと考えて良く、持ち歩いて利用することの多い人でも安心なはずだ。

【ベンチマーク結果】

Eee PC 1101HAEee PC 1008HAEee PC S101HEee PC S101
CPUAtom Z520(1.33GHz動作)Atom N280(1.66GHz動作)Atom N270(1.6GHz動作)Atom N270(1.6GHz動作)
ビデオチップIntel US15WIntel 945 GSE ExpressIntel 945 GME ExpressIntel 945 GME Express
メモリ1GB1GB1GB1GB
OSWindows XP Home Edition SP3Windows XP Home Edition SP3Windows XP Home Edition SP3Windows XP Home Edition SP3
PCMark05 Build 1.2.0
PCMark Score1104166115311759
CPU Score1232155614931492
Memory Score1972252324322414
Graphics Score270633577545
HDD Score4110477440477755
HDBENCH Ver3.40beta6
All31255407974038045668
CPU:Integer78063986459896898124
CPU:Float53943687026800667228
MEMORY:Read40112512045069849495
MEMORY:Write40466515525105650243
MEMORY:Read&Write71015901808997688536
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DRIVE:Write33941541515458446800
DRIVE:RandomRead14691251041997662326
DRIVE:RandomWrite20221262022444414151
FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3
LOW519154315431541
バッテリ駆動時間

5時間18分2時間37分2時間00分2時間38分

 1101HAは、Atom Z520+US15Wの組み合わせで処理能力が落ちていたり、本体が大きく重くなっているために、携帯性が従来モデルよりもやや劣るなど、気になる点もいくつかある。だが、大型かつWXGA表示対応の液晶を搭載して、フルパワーでも5時間を超えるバッテリ駆動を実現しているなど、欠点を補って余りある魅力があると言っていい。常に持ち歩き、外出先で電源確保を気にすることなく利用したいと考えている人はもちろん、液晶の表示解像度の低さからネットブックの購入をためらっていた人に十分おすすめできるマシンだ。

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(2009年 8月 3日)

[Text by 平澤 寿康]