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重量1kg切りでCore Ultra 7搭載、AI処理もイケるマウスの14型ビジネスノート

MousePro G4-I7U01BK-C。実売価格は20万9,880円

 「MousePro G4-I7U01BK-C」は、マウスコンピューターが販売するビジネスPCブランド「MousePro」の14型モバイルノートPCだ。

 ビジネスPCと言えばやや地味な印象を持つ人もいるかもしれないが、本機は目立った特徴として、AI系のワークロードで有効な働きをするNPU(Neural Processing Unit)を内蔵したIntelの最新プロセッサ「Core Ultra 7 155U」を搭載している。Core Ultra搭載PCは市場に登場してから日が浅いこともあり、「AI対応」の新鮮さに惹かれるユーザーにとっては注目に値するモデルと言えるだろう。

 もちろん、1kgを切る本体重量や長時間のバッテリ駆動などビジネスPCに求められがちな要件もクリアできており、AI PCであることを意識せずとも活用はしやすい。一言で言い表わすなら、AI処理にも対応できる今どきのビジネスノートPC、といったところだろうか。

 この記事ではMousePro G4-I7U01BK-Cのレビュー機をもとに、特徴や使い勝手などのインプレッション、およびベンチマークによる性能チェックを実施していく。

NPU搭載でAI処理に強い「Core Ultra」を搭載

 まずは、本製品の基本的なハードウェア性能を確認していこう。先に述べた通り、本製品はCPUに12コア/14スレッド動作のCore Ultra 7 155Uを採用。Core Ultraシリーズは、従来のCoreシリーズを置き換える新たなノートPC向けCPU群だが、CPUコアとは別に、推論に特化したAI処理プロセッサであるNPUを内蔵した点が最大の特徴となっている。

CPUは12コア/14スレッドでNPU搭載のCore Ultra 7 155U。この世代からは2種類のCPUコアに加え、省電力・高効率なLP Eコアも組み込まれるようになった

 NPUの利用には対応するアプリなどが必須となるものの、対応さえしていればCPUや内蔵GPU処理を上回る速度でAI処理が可能となる。また、AI系の処理に際してCPU・GPUに負荷をかけにくいこともメリットの1つだろう。

 なお、IntelのノートPC向けCPUは近年、高パフォーマンスなPコア、高効率なEコアを併載して性能と消費電力のバランスを取ってきたが、Core Ultraシリーズでは3種類目のCPUコアとして省電力・高効率なLP Eコアが追加されている。Core Ultra 7 155UのCPUコアの内訳は、Pコアが2基、Eコアが8機、LP Eコアが2基となっているが、これにより低負荷時の消費電力がさらに改善されたことで、より長時間のバッテリ駆動時間を実現しているようだ。

GPUはCPU内蔵型のIntel Graphics。名前はシンプルになったがIris Xe Graphicsの後継で、新たにAV1エンコード/デコードにも対応した

 ちなみにGPUはCPU内蔵型で、従来のIris Xe Graphicsではなく新たに「Intel Graphics」を採用する。最新アーキテクチャであるXe-LPGを採用し、性能自体も以前より向上していることに加え、リアルタイムレイトレーシングやAV1エンコード/デコードにも対応するなど、名称はシンプルだがさまざまな点で強化されている。

 メインメモリの容量は16GBで、ストレージは高速なデータ転送に対応する256GB NVMe SSD。メインメモリはともかく、ストレージ容量は端末にデータを多く保存したい人であれば若干の不安を感じるかもしれない。購入時のBTOメニューからは500GB(+7,700円)、2TB(+31,900円)などのカスタマイズも可能になっているので、このあたりは用途に合わせて調整してもいいだろう。

ディスプレイは非光沢のWUXGAパネル。アスペクト比が16:10と若干縦に広く、文書やウェブサイトなどのコンテンツ表示に優れることから近年採用例が増えている

 液晶パネルがアスペクト比16:10、解像度1,920×1,200ドットの14型WUXGAディスプレイである点も本製品の特徴の1つ。近年のモバイルノートPCではこのタイプが流行しているが、一般的なフルHD(1,920×1,080ドット)パネルよりも表示領域が縦に若干広く、画面に多くの情報を収められることがメリットだ。特にインターネットの閲覧やOfficeソフトを活用した作業など、いわゆる普段使いのシーンで扱いやすい点は評価できるだろう。

 ネットワーク機能は、Wi-Fi 6Eに対応し、有線LANコネクタは搭載しない。また、無線通信はBluetooth 5も利用できる。

MousePro G4-I7U01BK-Cの主なスペック
CPUCore Ultra 7 155U(12コア/14スレッド、1.2GHz、ブースト時最大4.8GHz)
GPUIntel Graphics(CPU内蔵)
メモリ16GB (DDR5-4800、8GB×2、デュアルチャネル)
ストレージ256GB(M.2 NVMe SSD)
ディスプレイ14型WUXGA(1,920×1,200ドット)非光沢
OSWindows 11 Home
ネットワークWi-Fi 6E、Bluetooth 5
本体サイズ314×224×18.3mm
重量約969g
直販価格20万9,880円

USB PDと映像出力に対応したThunderbolt 4も用意

ビジネスPCということもあり、全体的にシンプルな外観を採用。天板には「mouse」のロゴが

 一般的なビジネスPCの例に漏れず、MousePro G4-I7U01BK-Cも外観はシンプルに構成されている。ボディカラーはやや青みがかったマットなブラック系で、目立つようなパターンも採用せず、装飾は唯一天板に「mouse」のロゴがプリントされる程度にとどまっている。外観で利用シーンが制限されることはまずないだろう。

 本体サイズはおよそ314×224×18.3mmと、14型ディスプレイ採用PCとしては一般的な寸法を採用する。A4サイズよりは少々大きいが、高さは最厚部で20mm未満に抑えられていることから、持ち運ぶためのビジネスバッグやリュックサックの選択肢は豊富だろう。

 加えて本体重量は約969gと、しっかり1kgを切っているあたりは魅力に感じる人も多そうだ。なお、本製品のバッテリ駆動時間はJEITA 3.0形式の計測で約8.5時間と、ヘビーに活用した場合でも1日程度は稼働できることから、電源アダプタを同時に持ち運ばずとも運用可能と言える。PCは持ち運ぶが、できるだけ身軽に動きたいというユーザーにはうってつけの可搬性の高さだ。

右側面にはヘッドフォン/マイク端子、USB 3.0、microSDカードスロット、セキュリティスロットを配置。光っているのは電源ボタンだ
左側面にはUSB 3.1 Type-C、HDMI、USB 3.1、Thunderbolt 4を配置。貼ってあるシールの通り、SIMスロットは利用できない
背面にはインターフェイスなし

 インターフェイスは、USB 3.1 Type-C、USB 3.1、USB 3.0、Thunderbolt 4、HDMI、microSDカードスロット、ヘッドフォン/マイク端子に加え、セキュリティスロットを備えている。なお、Thunderbolt 4は映像出力端子としても利用できるほか、65WのUSB PD入力に対応する。

 今どきのノートPCらしくUSB Type-C形状のポートが多めの構成ではあるが、まだまだ利用機会の多いUSB Type-A形状も2つ用意されており、バランスは悪くない。映像出力端子も2系統あるため、外部ディスプレイを活用すれば3画面のマルチディスプレイ環境を構築可能だ。

日本語のテンキーレスキーボードを採用。余談だが、Microsoftが発表して話題になった「Copilotキー」は採用されていない
MIL規格(MIL-STD-810H)にも準拠しており、衝撃、低圧(高度)、高温、低温、温度変化、湿度、振動、船舶振動の8項目のテストをクリアしているとのこと

 キーボードはテンキーなし、88キー日本語配列を採用。キーピッチは公称19.1mm前後、キーストロークは1.2mmで、モバイル向けとしてはやや大きめの本体サイズを生かし、キーピッチが広めに設計されているのは1つのメリットだろう。電源ボタンはレイアウトからやや外れた位置に設置されており、誤操作の心配も少ない。また、キーボードバックライトにはホワイトLEDを採用している。

100万画素Webカメラをディスプレイ上部に搭載。Windows Helloによる顔認証ログインが利用できる
プリインストール機能である「Windows スタジオエフェクト」を利用すれば、NPU処理でカメラの背景ぼかしやオートフレーミングが可能になる。CPUへの負荷もかからず、結構便利

 ディスプレイ上部に用意されたWebカメラは100万画素で、Windows Helloによる顔認証にも対応する。余談だが、OSにあらかじめ用意されている機能の1つである「Windows スタジオエフェクト」を利用すれば、本体のNPUを活用してWebカメラの背景ぼかしや自動フレーミング、アイコンタクト(視線補正)などが可能となる。あまり派手なAI活用ではないが、CPU処理には負荷がかからないメリットもあって、Web会議やオンラインミーティングなどでも使いやすいだろう。

MousePro G4-I7U01BK-Cの性能をベンチマークでチェック

 では、MousePro G4-I7U01BK-Cの性能をいくつかのベンチマークで計測してみよう。

 今回は「Cinebench 2024」「Cinebench R23」「PCMark 10」「CrystalDiskMark 8.0.4」といった定番ベンチマークアプリに加え、「UL Procyon」の「AI Computer Vision Benchmark」でNPUの性能をチェックした。なお、計測にあたっては専用ツール「Control Center」のパワーセッティングに「バランスモード」を選択した上で、本体の動作モードを「パフォーマンスモード」に設定している。

定番ベンチマークに加え、AI処理系のテストである「UL Procyon」の「AI Computer Vision Benchmark」も実施した
マウスコンピューター独自の動作モードを設定する「Control Center」。工場出荷時は「静音モード」が選択されている

Cinebench 2024/R23

 Cinebench 2024のCPUテストは、近年のメニーコアCPU向けに計算量が増加していることもあり、マルチコアテストでは352pts、シングルコアテストでは92ptsと、ともにスコアは控えめな数値にとどまっている。

 1世代前のベンチマークアプリであるCinebench R23のスコアは、マルチコアテストが5,759pts、シングルコアテストが1,609pts。こちらもシングルコア性能はまずまずだが、マルチコア性能にはやや物足りなさを感じる。筆者が過去に計測した他機種のベンチマーク結果と照らし合わせると、1世代前のCore i7である「Core i7-1355U」と似通ったスコアが出ている印象だ。

 CPU自体にはもう少し高いスコアを出せるポテンシャルがあると思うが、特にモバイルノートPCは本体の冷却性能などの兼ね合いもあり、モデルごとにパフォーマンスチューニングが異なることもしばしば。このあたりは評価が難しいところでもある。

Cinebench 2024
Cinebench R23

PCMark 10

 PCMark 10の総合スコアは5,423。アプリの起動やウェブブラウジング性能を比較するテストグループであるEssensials、およびビジネスアプリ系のテストであるProductivityでのスコアは高水準で、デジタルコンテンツ制作に関するテストであるDigital Content Creationでの成果は上記2つのグループに比べればやや低め。

 一般的なビジネスPCの持つ傾向として、グラフィックス処理能力を司るGPUがCPU内蔵タイプである場合、クリエイティブ系の用途ではスコアを伸ばしにくい。本製品はあくまでビジネス用途での利用がメインであり、EssensialsおよびProductivityのスコアは良好なので、それほど気にする必要はないだろう。

PCMark 10

UL Procyon

 UL ProcyonのAI Computer Vision Benchmark 1.6では、OpenVINOを指定し、「Float16」精度のテストをNPU、CPU、GPUそれぞれで実行した際のスコアをグラフ化した。結果は一目瞭然で、推論処理に優れるNPUのスコアがもっとも高く、並列計算能力が高いGPUのスコアが次点、CPUは両者から大きく離れてもっとも低いスコアとなった。CPUとNPUのスコア差は実に5倍以上となっており、こうしたAI系の処理におけるNPUの優秀さが分かりやすいだろう。

 NPUに任せた方が結果的に消費電力が低くなるという小さくないメリットもあるので、今後ますますAI処理を活用できるアプリ・機能が増えていくことに期待したい。

UL ProcyonのAI Computer Vision Benchmark 1.6

CrystalDiskMark 8.0.5

 CrystalDiskMark 8.0.5では、データサイズ1GiB、テスト5回の条件で計測を実施。シーケンシャルリードは2,300MB/s前後、シーケンシャルライトは1,100MB/s程度となった。少しライトが遅めな点は気になるところだが、一般的なHDDやSATA接続のSSDと比べれば十分に高速と言える。

 ランダムリード・ライトはいずれもさほど高速ではないが、データコピーや単純な読み込みといったシーンでは、旧来のストレージを上回る速度のメリットが感じられるかもしれない。

CrystalDiskMark 8.0.5

取り回しのいいビジネスノート、NPU対応の拡充でバリューは高まっていく

 ここまで見てきた通り、MousePro G4-I7U01BK-Cは、AI処理に優れる最新CPUを搭載し、ビジネスシーンでの利用に便利なスペック・機能を採用したノートPCだ。現状はNPU処理に対応するアプリ・機能が限られることが気になる人もいると思うが、今後対応が拡充されていけばCore Ultraや搭載PCのバリューは自然と高まっていくことが見込まれる。

 もちろん、アスペクト比16:10の画面サイズやバッテリ駆動時間の長さといった総合的な取り回しのよさも備えているので、手頃なビジネスPCを探しているユーザーの1つの選択肢となるだろう。