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新世代ゲーミングスマホ「ROG Phone 8 Pro」。おサイフケータイ対応で“ゲーム専用端末”脱却

ROG Phone 8

 ASUSは5月15日、ゲーミングスマートフォン「ROG Phone 8 Pro」および「ROG Phone 8」シリーズの国内販売に関する情報を公開した。販売開始は5月17日からで、価格は「ROG Phone 8 Proが17万9,800円、「ROG Phone 8」が15万9,800円。また、ROG Phone 8 Proに関しては、専用の外付けクーラー「AeroActive Cooler X」を同梱した数量限定版「ROG Phone 8 Pro Edition」を21万9,800円で販売する。

 第3世代を謳う今回のROG Phoneのキャッチコピーは「ゲームは、日常というフィールドへ」。従来はモバイルゲーム向けに特化したゲーム用端末という趣が強かった同シリーズだが、最新モデルは高いゲーム性能をそのままに、本体のスリム化やカメラ性能の強化、おサイフケータイ/交通系ICで利用可能なFeliCaへの対応など、一般的なスマホとしての使い勝手を意識したデザインや機能性にも注力している。

 いわゆる「普段使い」の利便性が強化されたわけだが、これにより、以前よりも幅広いユーザーにリーチできるスマホに進化したと言っていいだろう。

 国内販売開始に先がけて、同社からシリーズ上位モデル「ROG Phone 8 Pro」および「AeroActive Cooler X」のレビュー用サンプル機材を貸与された。外観や性能面の特徴、実際の使用感などをレビューしていく。

画面サイズはそのままに先代からコンパクト化

「ROG Phone 8 Pro」。価格17万9,800円

 「ROG Phone 8 Pro」は、2モデル展開となるROG Phone 8シリーズの上位製品だ。そもそもROG Phoneは世代によって上位製品が「Pro」だったり「Ultimate」だったりとネーミングルールが安定しない傾向にあるが、今回はROG Phone 6シリーズ以来の「Pro」に回帰した形となる。

 ゲーミングらしさよりも普通のスマホらしさを押し出すROG Phone 8シリーズに、「Ultimate」といういかにもゲーミング然とした名前はマッチしない、という判断かもしれない。

本体背面。トリプルカメラのほか、新しくなったLEDアニメーション機能「AniMe Vision」を用意
本体下部
本体左側面
本体右側面

 実売約18万円のスマホということもあり、基本的な性能面は現行製品としては最高峰だ。SoCはQualcommのSnapdragon 8 Gen 3で、Gen 2搭載だったROG Phone 7シリーズを上回る総合性能を実現。

 メモリは最大24GB(LPDDR5X)、ストレージは最大1TB(UFS 4.0)と、こちらもROG Phone 7シリーズを超える最大スペックを実現している。また、OSはAndroid 14をベースにした「ROG UI」を採用する。

前面カメラがパンチホール化し、そのぶん画面占有率も向上している

 ディスプレイは6.78型(2,400×1,080ドット)の有機EL液晶パネルで、最大165Hzの高リフレッシュレート駆動に対応している。ピーク輝度は2,500cd平方/mと、最大1,500cd平方/mだった従来モデルよりもさらに画面が明るくなっているのは1つのポイントだろう。視認性は非常によく、太陽光が強く眩しい屋外のシーンでも使いやすいはずだ。

ASUSの資料より。「ROG Phone 7 Ultimate」から画面サイズはほぼ据え置きで、本体は薄くコンパクトになった

 そしてディスプレイサイズがほぼ据え置きな反面、本体サイズが前世代からコンパクト化しているのも「ROG Phone 8 Pro」の大きな特徴の1つだろう。

 本体サイズはおよそ76.8×163.8×8.9mmで、重さは225g。「ROG Phone 7 Ultimate」がおよそ77×173×10.3mm、重量246gだったことを思えば、長さは9.2mm短く、薄さは1.4mm薄く、さらに21g軽くなっている。

 実際に従来品と比較できたわけではないが、いざ持ってみると「ROG Phoneってこんなに小さくて軽かったっけ」と思えるぐらいには印象が良い。前面カメラのパンチホール化や狭額縁デザインの採用もあって、画面占有率は94%と高くなっており、外観もいい意味でゴツさのない「普通のスマホ」に近づいているわけだ。

 しかし、本体コンパクト化の代償としてバッテリ容量は5,500mAh(2,750mAh×2構成)と、従来モデルの6,000mAhよりも総容量が少し落ちた。その反面、65W急速充電(満充電まで約39分)のほか、新たにQi規格の15W無線充電にも対応している。

 昨今のリッチなスマホゲームは勢いよくバッテリを食うため、ゲーミングスマホであればバッテリ容量が多いに越したことはないのだが、総合的な取り回しが良くなっている点については歓迎すべきだろう。

トリプルカメラのメインはソニー製IMX890

トリプルカメラは広角/超広角/望遠という構成。「ROG Phone 7 Ultimate」までのマクロカメラは非搭載となった

 冒頭でも述べた通り強化されたカメラ部分は、5,000万画素(23.8mm相当、F1.9)のメイン広角カメラ、1,300万画素(12.7mm相当、F2.2)の超広角カメラ、3,200万画素(65.3mm相当、F2.4)の3倍光学ズーム望遠カメラのトリプル構成となった。

 特に注目なのがソニー製の1/1.56インチセンサー「IMX890」を使ったメ前面カメラで、過去にはASUSの「Zenfone 10」でも採用例がある6軸ジンバルスタビライザーの内蔵により、強力な手振れ補正を実現。ブレ抑制により動画撮影に強いのはもちろん、シャッタースピードが稼げない状況下での写真撮影のミスも大きく減らせる。

 このあたりの装備はZenfoneシリーズの上位モデルに比肩するほどで、もはやゲーミングスマホだからと侮ることはできないだろう。なお、前面カメラは3,200万画素(22mm相当、F2.05)だ。

作例
3倍ズーム
10倍デジタルズーム。違和感なく処理されている印象
ポートレートモードを使用
疑似的な長時間露光で光源を引き延ばす「ライトトレイル」機能も手持ちで利用可能
ポートレートモードではスライダーでF値を選択できるが、うまく調整しないとボケの処理が不自然になってしまう

 背面カメラでいくつか作例を撮影してみたが、広角から望遠まで明るいレンズで非常に扱いやすく、画質も極めて良好だった。何より手ブレ補正が強力な都合上、撮影ミスをほぼ心配せずにカメラを構えられるのがありがたい(ジンバルは設定からオンにする必要があるので注意)。

 特に夜間の撮影においては心強く、長時間露光を疑似的に再現する「ライトトレイル」モードも気軽に試せるのがおもしろかった。普段使いのカメラとして、性能は十分すぎるほどだ。

FeliCa対応で「普段使いスマホ」化が加速

メニューを確認したところ、おサイフケータイのアプリもしっかりプリインストールされていた

 もう1点、普段使いのスマホらしい使い勝手という意味では、非接触型決済「FeliCa」に対応したことは大きなトピックだ。交通系ICやおサイフケータイといったキャッシュレス決済が一通り利用可能になるため、国内市場においては実用性が高い。なお、検出エリアはカメラの下部に用意されている。

 そのほか、防水/防塵機能はIP68相当にアップグレードされており、ゲーミングスマホのみならず、一般的なスマホとしても最高クラスの防水/防塵機能を備えるようになった。とにかく高価な製品なので、こういう安心感があるのはありがたい。

 一方、従来と比べ少しパワーダウンした印象が否めないのはスピーカーだ。今回のオーディオは「ROG Phone 7 Ultimate」のようなデュアルフロントスピーカー+サブウーファ(AeroActive Cooler 7)ではなく、一般的な内蔵型のデュアルスピーカーとなっている。

 依然としてハイレゾ再生などはサポートしており、音質も悪いわけではないのだが、端末の両端からサウンドが均等に広がっていくデュアルフロントスピーカーと比べれば、やはりゲームプレイ時の音響の満足感は「それなり」といったレベルに留まる。これも結局のところ小型化を志向した影響であることは分かるのだが、少し残念に感じてしまった。もちろん、イヤフォンやヘッドフォンを併用する場合は特に問題にならない。

側面のUSB Type-Cポートは「AeroActive Cooler X」接続用

 インターフェイス類は、本体下部にUSB Type-Cポートおよび3.5mmヘッドフォン/イヤフォンジャック、SIMカードスロット(Nano SIM×2)を用意。

もう1つのType-Cポートは本体下部、左端に寄せられている。SIMカードスロットはNano SIM×2に対応

 本体左側面にも専用クーラー「AeroActive Cooler X」接続用のUSB Type-Cポートを備えている。加えて、右側面の両端にゲーム操作に使用する感圧式ボタン「AirTrigger」を搭載するのは従来通りだ。なお、生体認証はカメラによる顔認証に加え、画面下部のセンサーによる指紋認証を利用できる。

「AniMe Vision」。カラー表示がなくなったが、視認性は向上した

 また、本体背面にはLEDライトによりテキストやアニメーションの表示ができる「AniMe Vision」を搭載。着信や通知、ゲーム中、音楽再生時といったモードに応じてプリセットされたアニメーションを呼び出したり、任意のテキストや手書きした文字/イラストをカスタムプリセットとして登録可能だ。

専用アプリ「Armoury Crate」から挙動を変更できる
スマホの状態によって細かく表示が変わる。充電状況などが分かるのは便利かも
任意のテキストを打ち込んだり、指で手書きしたマークやイラストも表示できる

 セルフタイマーを使ったカメラ撮影時にはカウントダウンを表示できたりなど、ちょっとした利便性にも寄与する。このあたりは好みで表示/非表示を決めればよいだろう。

外付けクーラー「AeroActive Cooler X」

「AeroActive Cooler X」。数量限定の「ROG Phone 8 Pro Edition」に付属するほか、単品販売も実施されるとのこと。単品価格は1万2,480円

 「AeroActive Cooler X」についても言及しておこう。こちらは内部にファンやペルチェ素子を内蔵した外付けのクーラーユニットで、「ROG Phone 8 Pro」本体側面のType-Cポートに装着し、本体を挟み込むことで動作する。

本体上部にはクーラーの取り外しボタン(画像上)と、装着時の電源ボタン(画像下)を用意
ゲーム操作用の物理ボタンも両側面に2つずつ、計4つ用意。こちらは専用ツール「Game Genie」などから挙動を決められる
下部にはオーディオジャックとUSB type-Cポートを用意。ここに給電した場合のみ、最も冷却力が高まる「フローズン」モードが利用可能になる
スマホとの接触部分にはペルチェ素子も利用されており、センターレイアウトのSoCを強烈に冷やしてくれる。冷却機構自体も改良され、従来比で効率1.2倍を謳う

 ROG Phoneシリーズはスマホの中央部にSoCをレイアウトする内部構造なので、冷却効果は絶大だ。通常時の動作モードは「スマート」、「クール」、「フロスティ」の3モードだが、クーラー下部のType-Cポートに給電した場合のみ、最大出力となる「フローズン」モードを利用できる。

下部のキックスタンドを立てればスマホごと自立させられる。ながらゲームに便利

 従来の「AeroActive Cooler 7」のようにサブウーファは内蔵されておらず、そのぶん10%の軽量化、29%の小型化に成功している。実重量は約117.01gで、本体と合わせても総重量は約342g。スマホとして軽くはないが、長時間のゲームにも耐えやすい重さだろう。合計4つの物理ボタンやキックスタンドによる自立が可能な点は従来通りだ。

中身はゴリゴリのゲーミングスマホ。AI活用の新機能も

初回起動時にはAirTriggerなどのチュートリアルとして機能する「アンボクシングミッション」が自動で始まる。ちょっとした短いゲームだが、スキップすれば後からプレイ可能だ

 UIに関しては、初回起動時や設定画面から任意のシステムスタイルを選択できる。「デフォルト」を選べばいつものROGらしいゴリゴリのゲーミングUI、「クラシック」を選べばより純正Androidに近いUI環境を構築可能だ。

ホーム画面ではおなじみのROGロゴがお出迎え
より純正Androidに近いUIも選択できる
アプリロゴなどもゲーミングらしくカスタムされていることが分かる

 ROG Phoneの代名詞とも言えるゲーム統合管理アプリケーション「Armoury Crate」は健在。大きく分けて、インストール中のゲームの動作モードや後述する表示エリアなどを変更できる「ゲームライブラリ」、本体の動作モードやAirTriggerなどの調整を行なう「コンソール」、ASUSがレコメンドするゲームタイトルなどが表示され、そのままインストールも可能な「特集」の3つのタブが用意されている。基本的なゲーム周りの操作が、このアプリから一通り完結できるのは便利だ。

「Armoury Crate」の「ゲームライブラリ」タブ。インストール済みのゲームが表示される
タイトルごとの動作モードや登録したAirTriggerの設定、プリセットなどを管理可能
表示エリアは「コンソール」からも調整可能だが、ゲームごとに設定したい場合はここから変更する

 「ゲームライブラリ」ではインストール済みのゲームごとに本体モード、AirTriggersの割り当て、キーマッピングやマクロ、表示エリアなどを変更できる。

 本体モードはパフォーマンス特化の「Xモード」、よりバランスを重視した「ダイナミック」、電力消費を抑える「超省電力」に加え、カスタマイズ設定となる「アドバンスド」の4パターン。なお、「AeroActive Cooler X」を本体に装着した場合に限り、「Xモード」が自動的に「X+モード」へと切り替わるが、ユーザー側としては特に意識する必要はない。

パンチホールカメラがある画面部分(画像左端)を避けてゲームを描画する「片寄せ」モード
両端を削ってバランスを取る「中央」モード
全画面モードではパンチホールカメラ部分の表示が欠けるが、画面端なのでそこまで気にならないという人も多いように思う

 AirTriggersの有効化や配置は基本的にゲームを起動して自分で設定することになるが、「ゲームライブラリ」では保存した設定を切り替えたり、「ROG Instant Master」からゲームごとのプリセットをダウンロードして使用できる(「原神」など一部ゲームのみ対応)。

 また、ROG Phone 8シリーズでは前面カメラがパンチホールになった都合上、全画面にゲームを表示すると一部ゲーム画面がホールで隠れてしまう。気にならなければそのままでいいのだが、表示エリアをパンチホールが入らないように少し狭くする「片寄せ」、あるいは両端を狭くする「中央」に設定することでこれを回避できる。

 画面端を注視する機会はあまりないので、個人的には全画面表示でも特に気にはならなかったものの、UIなどゲームの操作が阻害されるような場合は使ってみるといいだろう。

「コンソール」タブ。全体の動作モードを切り替え可能
クーラー装着時のモード変更もここから
トリガーのタッチに関する設置
スマホのジャイロセンサーを動かすことで仮想ボタンを操作する「モーションコントロール」の感度設定なども変更できる

 「コンソール」からはスマホ全体に適用される動作モード、Anime Visionの各種設定、「AeroActive Cooler X」装着時の冷却モード、AirTriggersやモーションコントロールの調整などを変更可能。ゲームごとの動作モードを設定していない場合、基本的にはコンソールで設定した動作モードが適用される。

サポートツール「Game Genie」。ゲーム中に画面端のスワイプでいつでも引き出し、動作モードや新機能「AI Grabber」、「X Sense」などをオン/オフ可能
AirTriggersや物理ボタンをどこに置くか、ゲームごとに設定可能

 また、ゲーム中に画面上端を斜めにスワイプすることで専用ツール「Game Genie」を起動できる。本体あ動作モードの変更はこの「Game Genie」からも可能であることに加え、追加ボタン類の配置やCPU/GPUの稼働率や本体温度、フレームレートのモニタリング、独自機能である「AI Grabber」、「X Sense」などもオン/オフを切り替えられる。

「AI Grabber」でゲーム中のテキストを読み取り、そのまま検索にかけられる

 全体としては「ROG Phone 7 Ultimate」からあまり大きな変化はないように思うが、特にAIを活用する「AI Grabber」と「X Sense」は、ゲームごとの対応がまだ少ないもののユニークな機能だ。

 「AI Grabber」は、ゲーム画面上に表示されている文字情報を読み取り、そのワードをコピーしたりそのままブラウザ検索をかけられる、というもの。要するにゲーム中のクエスト攻略情報などを検索しやすくなるわけで、今時のスマホゲームとの親和性も高く、マルチタスク作業がPCほど得意ではないスマホの能力を補ってくれる小便利な機能と言える。

 「X Sense」はゲーム別にさまざまなサポート操作を提供するもので、たとえば「崩壊 : スターレイル」であれば会話パートの自動スキップ、「原神」ならドロップしたアイテムの自動ピックアップといった項目が用意されていた。

 実際に「崩壊 : スターレイル」で会話自動スキップを使ってみたところ、セリフを飛ばすまでの時間がマチマチであるのは少々気になるが、確かにスマホを一切触らなくてもすべての会話パートをスキップしてくれた。

 こちらは現時点でベータ版として提供されており、今後さらに洗練されたり、対応タイトルや追加の機能が用意されていくものと思われる。いざ使ってみるとそれなりに便利なので、対応タイトルをプレイする場合は試してみてほしい。

ベンチマークで性能をチェック

「Game Genie」のモニタリングツール(画面下部参照)からおおまかなフレームレートは確認できるが、今回は念のため「Scene7」なども活用してゲームのフレームレートをチェックした

 続いては、アプリやゲームを使ったベンチマークを実施していく。まずはスマホのベンチマークアプリとしておなじみの「AnTuTu Benchmark V10.2.5」および「Geekbench 6」の結果からだ。ここでは本体のみで最高性能を発揮できる「Xモード」に加え、専用クーラー「AeroActive Cooler X」を装着した「X+モード」での結果を併記している。なお、クーラーの動作モードは初期設定の「スマート」とした。

「Xモード」時の「AnTuTu Benchmark V10.2.5」スコアは2,196,461
「X+モード」時の「AnTuTu Benchmark V10.2.5」スコアは2,206,903

 「AnTuTu Benchmark V10.2.5」に関しては、「Xモード」時の総合スコアが2,196,461で、「X+モード」時のスコアが2,206,903と、いずれも現行のSnapdragon 8 Gen 3搭載スマホとして最高クラスのスコアを記録できている。両モードのスコア差は1%未満で、万全の状態ではそこまで大きな違いが表れてこないようだ。

 また、クーラーありの状態では本体温度が約37.9℃とかなり控えめであったのに対し、本体のみでは最終的には40.9℃まで上昇した。本体がもう少し温まった状態からスタートすればさらに差は広がるため、本体のみでXモードを利用する場合は少し気を付けるべきかもしれない。

「Xモード」時の「Geekbench 6」スコアは、Multi-Core Scoreが7,008、Single-Core Scoreが2,233
「X+モード」時の「Geekbench 6」スコアは、Multi-Core Scoreが7,053、Single-Core Scoreが2,264

 「Geekbench 6」では、「Xモード」時のMulti-Core Scoreが7,008、Single-Core Scoreが2,233で、「X+モード」時のMulti-Core Scoreが7,053、Single-Core Scoreが2,264と、こちらもスコアの開きは1%未満となった。やはり、XモードとX+モードのパフォーマンス自体にはそれほど大きな違いはないものと思われる。

 ただし、冷却力を高めて安定的に長時間駆動させられるという意味で、X+モードの存在意義が大きいことは間違いない。

 実際に「原神」、「崩壊 : スターレイル」、「Call of Duty: Warzone Mobile」といった人気のゲームタイトルでもフレームレートを計測してみた。まず「原神」では、画質プリセットを「最高」に設定した上で、フレームレートを最大の「60」に変更している。一定コースを移動した際のフレームレートを計測ツール「Scene7」で記録している。なお、本体の動作モードは「X+モード」とした。

「原神」では、計測中のフレームレートがほぼ60fpsから動かなかった

 同作はスマホゲームとしては高負荷ではあるが、さすがにリリースから数年が経過していることもあり、「ROG Phone 8 Pro」であれば極めて快適な動作が可能だ。2分ほどの計測時間のうち、フレームレートが上限の60fpsから落ちた時間はわずかで、非常に安定した描画が実現できている。

 先に述べたサポート機能などの存在もあり、同作をプレイするためのスマホとして、「ROG Phone 8 Pro」が魅力的な選択肢であることは間違いない。

 より新しい3Dタイトルである「崩壊 : スターレイル」でも、画質設定を「最高」に設定した後で、フレームレートを最大の「60」に変更した状態で計測を実施。ゲーム内の一定コースを移動した際のフレームレートを「Scene7」で計測した。

「崩壊 : スターレイル」は「原神」に比べればシーンごとに多少フレームレートがばらついたが、おおむね問題なく上限の60fpsを維持できている

 こちらも「X+モード」での計測で、「原神」よりもフレームレートがブレているが、おおむね平均60fpsを達成できている。ちなみに、ゲームモードをより低グレードの「ダイナミック」や「超省電力」に変更してみても、多くの場面で60fpsは達成できていた。上限60fps環境では、高負荷タイトルでも「ROG Phone 8 Pro」はやや性能を持て余し気味と言えるだろう。

 なお、本体のみの「Xモード」である程度長時間のゲームプレイを試してみたところ、本作に関しては1~2時間ほどのプレイで温度が50℃に迫るシーンが見受けられた。上で述べたようにパフォーマンス上は問題ないので、本体が熱くなった時は「Game Genie」から動作モードを落とすことを検討してもいいかもしれない。

 「Call of Duty: Warzone Mobile」では、簡易的ながら動作モードごとのフレームレートも検証してみた。画質は「高」、最大フレームレートは「上限なし」とし、「Xモード」、「ダイナミック」、「超省電力」の3パターンで、約1分30秒ほどのゲームプレイ中のフレームレートをチェックしている。

 マルチプレイタイトルということもあり、必ずしも同じシチュエーションを用意できていないため計測条件にブレはあるが、参考程度にとらえていただければ幸いだ。

「Xモード」では最大120fps(おそらくゲーム内の計測上限値)を達成。平均fpsも84.6と優秀な結果が出た
「ダイナミック」では最大fpsが80fpsまで落ち、平均fpsも63.7fpsほどに。それでも快適ではある
「超省電力」では最大fpsが60fpsを超えなくなった。過剰な電力消費を避けるため、ハードウェア側でフレームレートが60fpsを超えないよう調整されていると思われる

 「Xモード」では最大120fps、平均84.6fpsと非常に快適な描画ができており、「ROG Phone 8 Pro」の高リフレッシュレート液晶もしっかり活用できる。「ダイナミック」では最大80fps、平均63.7fps前後と、「Xモード」に比べれば明確にフレームレートが落ちるものの、まだ快適と言えるレベルではある。全体のバランスを考えれば、これで十分と思える人もいるだろう。

 一方、「超省電力」モードでは「ダイナミック」比でそこまで劇的にフレームレートが低下しなかったものの、最大フレームレートが61%と、ほぼ60fps張り付きになった。負荷が低いと思われる場面でも最大フレームレートが61fpsを超えることはなかったので、おそらく「超省電力」モードでは、ハードウェア側でフレームレートの上限が60fpsに調整されるのだろう。

 本作のようにフレームレート上限が高いタイトルでは最大パフォーマンスは望めないわけだが、バッテリの持ちなどを考えれば、これはこれで悪くない設定ではないだろうか。

強力な性能、なおかつメイン端末としても使いやすい1台へ

 最新の「ROG Phone 8 Pro」は、現行の人気タイトルを安定してプレイできる確かなゲーミングパフォーマンスに加え、普段使いでも扱いやすい筐体やカメラ性能なども併せ持つ、より汎用性の高い端末に進化していた。

 ゲーミングスマホと言えば、とかく市場では「玄人向け」といった評価を受けがちな印象もあるが、本製品は特に用途を選ばず便利に使えるだけのポテンシャルを備えており、高い性能と機能性を求めるユーザーの選択肢になり得る。為替レートが厳しい中、国内での価格がかなり「がんばっている」ことも考慮すれば、個人的には非常に魅力的な1台であると思えた。