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Core i7/RTX 4060/120Hz 2.5K液晶で約21万円!「Inspiron 16 Plus」が高コスパすぎ

デル「Inspiron 16 Plus」。直販価格21万1,776円から

 デルは、コスパ優れるInspironシリーズにクリエイティブ、ゲーム用途に適した16型ノートPC「Inspiron 16 Plus」を発売した。本製品は6月15日時点において直販価格が21万1,776円。

 Core i7-13700H/RTX 4060/メモリ16GB/SSD 1TB/16型WQXGA液晶(120Hz)という条件を満たすマシンの中でも最安クラスだ。今回は本製品がゲーム、クリエイティブ用途でどのぐらいの性能を発揮するのかじっくり見ていこう。

メモリは16GBと32GBを用意。ストレージは1TBのみ

 Inspiron 16 PlusはOSにWindows 11 Home/Pro、CPUに第13世代のCore i7-13700H(6P+8Eコア/20スレッド、最大5.00GHz)、ディスクリートGPUにGeForce RTX 4060 Laptop GPU(GDDR6 8GB)を採用。メモリは16GBまたは32GB、ストレージは1TB(PCIe 4.0 x4接続SSD)を搭載する。

 記事執筆時点で下記の3モデルがラインナップされている。なお、今回はメモリ32GBのものを試用している。

即納モデル

  • Core i7-13700H/RTX 4060/メモリ32GB/SSD 1TB/Microsoft Officeあり:24万5,350円

受注生産モデル

  • Core i7-13700H/RTX 4060/メモリ16GB/SSD 1TB/Microsoft Officeオプション:21万1,776円
  • Core i7-13700H/RTX 4060/メモリ32GB/SSD 1TB/Microsoft Officeオプション:23万4,653円

 即納モデルはOfficeが同梱、受注生産モデルはOfficeがオプション。そしてメモリが16GBと32GBの2モデルが用意されている。ちなみに少なくとも執筆時点では、受注生産モデルでもメモリとストレージは変更できない。より大容量のメモリ、ストレージを搭載したい場合にはユーザーが自分で換装することになる。

 以降のスペックは共通で、ディスプレイは16型WQXGA(2,560×1,600ドット)WVA非光沢液晶を搭載。ディスプレイ上部にはフルHD Webカメラ(プライバシーシャッター付き)とデュアルアレイマイクを内蔵している。

ボディはアルミニウム製。本体カラーはプラチナシルバーのみ
本体底面の吸気口は大きめ。また底面左右にはウーファーが内蔵
ディスプレイは16型WQXGA(2,560×1,600ドット)WVA非光沢液晶を搭載
キーボードは84キー日本語仕様(バックライト付き)。キーボード奥にはツイーターが内蔵
本体前面(上)と本体背面(下)
右側面(上)にはmicroSDカードスロット、3.5mmコンボジャック、USB 3.0、左側面(下)には電源端子、HDMI 2.0、USB 3.0、Thunderbolt 4を用意

 インターフェイスはThunderbolt 4(データ/映像/USB PD対応)、USB 3.0×2、HDMI 2.0、microSDカードスロット、3.5mmコンボジャックを用意。ワイヤレス通信はWi-Fi 6E(最大2.4Gbps)、Bluetooth 5.3をサポートしている。

 本体サイズは約356.78×251.9×17.11~19.95mm、重量は約2.06kg。86Whのリチウムポリマーバッテリを内蔵するが、バッテリ駆動時間は非公開。生体認証は顔認証と指紋認証をサポートする。

ディスプレイの最大展開角度は実測133度
パッケージには本体、ACアダプタ、電源ケーブル、説明書類が同梱
ACアダプタのケーブル長は実測175cm、電源ケーブルの長さは実測90cm
ACアダプタの型番は「LA130PM190」。仕様は入力100~240V/2.5A、出力19.5V/6.7A、容量130W
本体の実測重量は2,179g
ACアダプタと電源ケーブルの合計重量は実測502g
【表1】「Inspiron 16 Plus」のスペック
製品名Inspiron 16 Plus
OSWindows 11 Home/Pro
CPUCore i7-13700H(6P+8Eコア/20スレッド、最大5.00GHz、45W)
GPUGeForce RTX 4060 Laptop GPU(GDDR6 8GB)、Iris Xe Graphics
メモリ16GB/32GB(DDR5-4800、SO-DIMM×2、最大64GB)
ストレージ1TB(PCIe 4.0 x4接続SSD)
ディスプレイ16型WQXGA WVA非光沢液晶(2,560×1,600ドット、300cd/m平方m、sRGB比100%、コントラスト比1,000:1、120Hz、タッチ/ペン非対応)
ワイヤレス通信Wi-Fi 6E(最大2.4Gbps)、Bluetooth 5.3
WWAN(5G)-
インターフェイスThunderbolt 4(データ転送、DisplayPort 1.4、USB PD対応)、USB 3.0×2、HDMI 2.0、microSDカードスロット、3.5mmコンボジャック
入力デバイス84キー日本語キーボード(バックライト内蔵)
カメラフルHD(1080p)Webカメラ
サウンドステレオスピーカー(Dolby Atmos対応、クワッドスピーカー、2W×4)、デュアルアレイマイク
バッテリ容量86Wh(リチウムポリマー)
バッテリ駆動時間非公表
バッテリ充電時間0~15℃時:4時間、16~50℃時:3時間
本体サイズ約356.78×251.9×17.11~19.95mm
重量約2.06kgから
セキュリティ指紋認証対応、セキュリティロックスロット非搭載
オフィスアプリモデルによりオプション
同梱品ACアダプタ、電源ケーブル、マニュアル類
カラープラチナシルバー
価格21万1,776円から

アルミニウムボディの質感は良好、キーボード、タッチパッドの感触も◎

 Core i7-13700H/RTX 4060/メモリ16GB/SSD 1TB/16型WQXGA液晶(120Hz)というスペックで、直販価格21万1,776円という低価格を実現しているInspiron 16 Plusだが、アルミニウムボディの品質、作りはデルらしくしっかりとしたものだ。

 キーボードのキーピッチは実測19mm前後、キーストロークは実測1.4mm前後。実際に打鍵してみるとやや浅く感じるが、打鍵感自体は悪くない。また打鍵音も比較的低めだ。16型なので手軽に持ち運ぶノートPCではないが、静かな環境で使っても過剰に気を遣う必要はなさそうだ。

 タッチパッドのサイズは115×80mm(幅×奥行き)と広く、ストロークは浅めで明確なクリック感が与えられている。軽い力でクリックできるので、指がずれて誤操作することもなかった。個人的にはマウスなしで快適に操作できるノートPCに仕上がっていると思う。

キーピッチは実測19mm前後
キーボードバックライトは明るさを2段階に調整できる
キーストロークは実測1.4mm前後
実測した押圧力はFキーが0.5N、Spaceキーが0.56N、Enterキーが0.6N
電源ボタンは指紋認証センサー一体型
タッチパッドのサイズは115×80mm(幅×奥行き)、解像度は300dpi

 本製品のディスプレイの解像度は2,560×1,600ドットと高く、Dolby Visionに対応している。NetflixなどのHDRコンテンツを再生可能だ。ただし、輝度は300cd/平方m、コントラスト比は1,000:1なので、鮮やかさではやや物足りなさを感じた。

 とは言え16:10の画面比率は前後の見通しがよく、非光沢の表面処理は照明などの映り込みを低減してくれる。なにより最大120Hzのリフレッシュレートはゲーム用途にももってこいだ。厳密な色調整には外部ディスプレイを用意したほうがいいが、ゲーム用途であれば実用上十分な画質だ。

デルのディスプレイの「WVA」は「Wide-Viewing Angle」の略で、広視野角であることを指す。モニター名としては「LGD075C」と表示された
広視野角を謳うだけに45度ぐらいまでであれば一定の視認性が確保される
ディスプレイのリフレッシュレートは、「ダイナミック(60Hzまたは120Hz)」、120Hz、60Hz、48Hzから選択できる
「MyDell」でカラープロファイルをオンにすると、「映画」、ブルーライトを低減する「ComfortView」、「スポーツ」、「アニメーション」などのプリセットを利用可能。彩度、温度、コントラストも手動調整できる

 スピーカーの音質については、キーボード奥に2つのツイーター、本体底面に2つのウーファーが内蔵されており、なかなか広がりのある音を再生してくれる。しかし、最大ボリュームだとボディ内での共鳴が気になった。また低域がやや物足りないというのが正直なところだ。ノートPC全体では平均点を超えているが、スピーカーの音質を特に売りにしているノートPCに比べると明確な差があると感じた。

YouTubeで公開されている「前前前世(movie ver.) RADWIMPS MV」を最大ボリュームで再生した際の音圧レベルは最大84.2dB(50cmの距離で測定)

 WebカメラについてはフルHD Webカメラが搭載されている。RGB & IRのハイブリッドカメラではないため、室内灯下でも明るく、自然な発色で撮影できる。ノイズも少ない。配信ならともかく、Web会議用途であれば実用上十分なクオリティだ。

ディスプレイ上部にはフルHD Webカメラ。プライバシーシャッターが付いているので、安心感が高い
Windows 11の「カメラ」アプリで撮影(HDRオフ)
Windows 11の「カメラ」アプリで撮影(HDR proオン)

クリエイティブ/ゲーム性能は十分。チューニングは安定寄り

 最後にパフォーマンスをチェックする。今回の比較対象機種としては、第12世代のCore i7-12700Hを搭載する「Zenbook Pro Duo 14 OLED」(2022年8月発売モデル)を採用した。これは下位モデルのディスクリートGPU非搭載モデルなので、「GeForce RTX 4060 Laptop GPU」による3Dグラフィックス性能の向上にも注目していただきたい。

「HWiNFO64 Pro」で取得したシステムの概要
今回の貸出機にはストレージにPCIe Gen4 x4接続SSD「PM9B1 NVMe Samsung 1024GB」が搭載されていた
ベンチマークは「MyDell」の「電源」→「温度管理」を超高パフォーマンスに設定して実施した。ただしバッテリベンチマークのみ「最適化」で行なっている

 まずCPU性能だが、Inspiron 16 Plus(以下Inspiron)はZenbook Pro Duo 14 OLED(以下Zenbook)に対して、Cinebench R23のCPU(Multi Core)で111%相当のスコアを記録している。しかし続けてCinebench R23を10分間連続で実行したところ、スコアが逆転して87%相当の値に留まってしまった。

 CPU温度とクロック周波数の推移を見てみると、Inspironの1周目は平均3,471.63MHzで動作しているが、2周目の1分7秒後に大きく落ち込み、その後は平均2,757.55MHzで推移していた。CPU温度が74.93℃前後まで下がっているのに、クロック周波数は上がっていかない。「MyDell」で超高パフォーマンスに設定していても、安定寄りで動作するチューニングとなっているようだ。

Cinebench R23.200
Cinebench R23.200(最小テスト時間10分)
Cinebench R23を10分間連続で実行した際のCPU温度は平均77.12℃、最大100℃、クロック周波数は2,804.83MHz、最大3,733.5MHz。1周目は平均3,471.63MHzで動作しているが、2周目の1分7秒後に大きく落ち込み、その後は平均2,757.55MHzで推移している

 一方3Dグラフィックス性能については、InspironはZenbookに対して、「3DMark」では208~450%相当(平均387%)、「FINAL FANTASY XV BENCHMARK」では398~445%相当(平均421%)のスコアを記録している。ディスクリートGPU搭載機と非搭載機の比較なので当然の結果だが、クリエイティブやゲーム用途のノートPCではディスクリートGPUはもはや必須装備と言える。

3DMark v2.26.8098
FINAL FANTASY XV BENCHMARK

 ストレージ速度については、Inspironはシーケンシャルリード(1M Q8T1)で3,659.307MB/s、シーケンシャルライト(1M Q8T1)で3,035.601MB/sに留まっている。今回のマシンにはストレージに「PM9B1 NVMe Samsung 1024GB」が搭載されており、スペックシート通りのスピードが出ている。しかし、より高速、より大容量のストレージもカスタマイズ購入時に選択できるようにしてほしい。

SSDをCrystalDiskMark 8.0.4で計測

 総合ベンチマーク「PCMark 10」では、InspironはZenbookに対して、総合スコアで130%相当、Essentialsで104%相当、Productivityで148%相当、Digital Content Creationで142%相当のスコアを記録している。総合スコアがこれだけ違えば、実作業でも性能差を十分体感できるはずだ。

PCMark 10 v2.1.2600

 実アプリでのベンチマークでは、「Adobe Lightroom Classic」で100枚のRAW画像を現像する所要時間はほぼ横並び。しかし、「Adobe Premiere Pro 2023」ではInspironはZenbookに対して約43%の所要時間で処理を終えた。GeForce RTX 4060 Laptop GPUによる支援が大きなアドバンテージとなっている。

「Adobe Lightroom Classic」で100枚のRAW画像を現像
「Adobe Premiere Pro 2023」で実時間5分の4K動画を書き出し

 最後にバッテリ駆動時間を計測するために、ディスプレイ輝度50%で「PCMark 10 Modern Office Battery Life」を実行したところ、7時間36分という好成績を記録した。サイズ、重量さえ許容できるのなら、モバイルノートPC的な使い方も可能なわけだ。

PCMark 10 Modern Office Battery Life

メモリやストレージ交換も比較的容易、末永く高い性能を発揮するマシンだ

 「Inspiron 16 Plus」最大の魅力はやはりコスパ。Core i7-13700H/RTX 4060/メモリ16GB/SSD 1TB/16型WQXGA液晶(120Hz)というスペックで直販21万1,776円というのは、為替レートを間違えているのではと思えてしまうほどの価格だ。

 また、ディスクリートGPUを搭載した16型ノートPCで約2.06kgという重量は、個人的には問題なくモバイルできる。メーカー保証はともかく、メモリ、ストレージの交換や増設はマニュアルもあり比較的容易なので、末永く高いパフォーマンスを発揮してくれるマシンと言えよう。