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4K超のゲームも快適プレイ。Core i9+RTX 4090搭載ハイエンド「ALIENWARE Aurora R15」
2023年3月2日 06:24
デルのゲーミングPCブランド「ALIENWARE」からゲーミングPC「Aurora R15」が登場した。CPUに第13世代Core、GPUにNVIDIA GeForce RTX 30/40シリーズを搭載するスペックで、Core i5/RTX 3050のメインストリームモデルで23万9,980円、Core i9/RTX 4090のハイエンドモデルで61万9,980円と、幅広いゲーマー層のニーズを満たすモデルだ。今回は、Core i9/RTX 4090のハイエンドモデルをテストする。
まるでオブジェのよう。オーバルの前面に傾斜レイアウトのゲーミングPC
ゲーミングPCはデザインでも魅せる。そこを重視する方なら、デルのALIENWARE Aurora R15はピッタリの1台と言えるだろう。ゲーミングPCもさまざまなメーカーから登場しているが、一般的には汎用ケース、あるいはそれをベースにカスタマイズしたものが多く、オリジナルでデザインできるメーカーは限られる。ALIENWAREのゲーミングPCは昔から独特のデザインでゲーマーから支持されてきた。まずはALIENWARE Aurora R15の外観から見ていこう。
Aurora R15の筐体はAurora R13から続く「Legend 2.0」デザイン。LegendデザインはALIENWAREのゲーミングノートPCでも採用されていて、共通するところがある。それはオーバル(角丸長方形)を採り入れているところだ。
Aurora R15では前面パネルにオーバルを採用している。丸みを帯びた前面パネルはPCと言うよりはモダンな家電、インテリアのようでもある。机の上に置いても独特の存在感を放つ。今回の評価機には付属しなかったが、オプションにバックケーブルカバーも用意されており、これを装着すれば側面や背面から見てもやわらかな曲面をした筐体になる。
カラーは2色展開で、今回お借りしたモデルはルナライト(シルバーホワイト)。もう1色はダークサイド オブ ザ ムーン(ダークグレー)。ルナライトは膨張色なので、余計にやわらかに見えるかもしれない。
筐体サイズは225×529(カバー装着時は589)×510mm。ATXミドルタワークラスのやや大きめモデルに相当するだろう。実のところ本製品は拡張スロットが3基なのでmicroATXに準じる。丸みを帯びたデザイン、傾斜デザインのためだ。
前面はスモークのクリアパネルで、右に前面インターフェイス、中央上部にあるエイリアンマークが電源ボタンとなっている。外装とのすき間は給気口。前面インターフェイスはオーディオジャック、USB 3.0×3(うち1基はPowerShare対応)、USB 3.1 Type-Cと、一般的な仕様となっている。
背面から見ると、ここは一般的なPCに近い配置なので少しホッとする。本製品は上部も丸みを帯びており、そこには通気孔がない。排気を行なうのは背面からで、特に背面上部に設けられた大きな通気孔が重要な役割を担う。その下には背面パネルとファン。さらにWi-Fi 6E対応アンテナがあり、3つの拡張スロットブラケット、最も底面寄りに電源が置かれている。
まず背面パネル。オーディオ端子は光端子を中心に充実しており、USBもType-Cが2つ(USB 3.2および3.1が1基ずつ)、2.5Gigabit Ethernetといった具合だ。拡張スロットは2スロット分を使いビデオカードが搭載済み。映像出力端子はビデオカードからのみとなっている。
そして電源。よく見るとATX電源とは異なる縦横比率の専用設計であることに加え、インレットも国内で市販されているATX電源(IEC規格C13形状)とは違うIEC規格C19形状のものが採用されている。当然、付属の電源ケーブルもC19タイプだ。
左側板はクリア側面パネル(スモーク)。下半分には六角形の穴をした通気孔を設けている。また、傾斜レイアウトがよく分かるところも見た目的にポイントが高い。側面パネルの開き方は独特なので、詳しくはマニュアルをご覧いただきたい。背面上部にある四角い部分にネジが1つあり、それを緩めるとレバーになる。
パネルを開けばAurora R15が内部も独特の設計であることが分かる。ビデオカードの右には、フロント下部のファンから風を導くための導風板(というよりもボックス形状のもの)がある。ハイエンドビデオカードも、この導風板によって効果的に冷却されるわけだ。また、重量のあるビデオカードを支えるホルダーも装着されていた。
そしてもう1つ注目なのが、ビデオカードに用いる12VHPWR端子はL字型のものを用いている点だ。この部分にかかる負担を軽減しており、安全性が高いと思われる。
ビデオカードを外し、マザーボードにフォーカスしてみよう。まずマザーボードはATX規格ではない独自設計のようだ。CPUやメモリ、拡張スロットなどは一般的な位置に配置されているが、横幅が非常に大きくとられている。そしてM.2スロットはメモリスロットの右にSSD用2基、Wi-Fi用1基が並んでいる。
拡張スロットは、ビデオカード用のx16形状スロット、その下に2つのx4形状スロットが確認できた。ただ、スロットの左に、ケースの地肌が見えるスペースがある。通常ならブラケットのすぐ右までマザーボードが来るものだ。こうした独自の設計であることは留意したい。
CPUソケットの左と上部分にはヒートシンク付きのVRMがある。背の低いブロック型のヒートシンクで、その下には合計12フェーズが確認できた。Aurora R15では従来モデルより倍増とあり、さらに超高効率ともされている。そもそもAurora R15はOC(オーバークロック)も謳うモデルなので、この部分はかなり力を入れていると思われる。
本製品の冷却は、CPUが簡易水冷、ビデオカードが空冷だ。ケース内のファンのレイアウトは、前面2基、天面(ラジエータ部)2基、背面1基となっている。前面下部のファンは先に触れた通りビデオカード用の導風板付き。CPU周辺、その手前のメモリやM.2 SSDへは前面上部ファンからエアフローが供給される。
評価機に用いられていたビデオカードはGeForce RTX 4090搭載モデル。GeForce RTX 4090カードというと自作PC向けではかなり大型のものが中心だが、本製品に使用されていたカードは厚みが2.5スロット程度で、トリプルファンだがそこまで大型というほどではないあたりになる。デザインはシンプルで、質実剛健といった感じだ。
ビデオカードの下にある電源ユニットだが、搭載するビデオカードがGeForce RTX 40シリーズなので、12VHPWRコネクタも備えていた。背面紹介時の写真からもお気づきかもしれないが、これもATX電源ではないようだ。出力はCore i9-13900KFとGeForce RTX 4090を組み合わせても余裕の1,350W。変換効率面でも80PLUS Platinum認証とされている。
電源ユニットの前方には、3.5インチシャドウベイ1基があり、評価機ではここにHDDが搭載されていた。購入時のBTOではM.2 SSDを1基またはM.2 SSDとHDDを1基ずつといった構成が可能なようだ。先の通りM.2スロットはもう1基空きがあるのでここも拡張できる。
CPU&GPUは最新最強!ただし標準構成ではメモリ、SSDが最小構成
内部スペックを見ていこう。今回の評価機はCore i9-13900KF+GeForce RTX 4090。Aurora R15の標準構成としては最高のスペックであり、さらにHDDが追加されたカスタマイズモデルのようだ。それぞれ見ていこう。
まずCore i9-13900KFだが、これはCore i9-13900KのiGPU非搭載版。ビデオカード搭載が前提のモデルであるため、iGPU非搭載のCore i9-13900KFでよかったのだろう。背面パネルの写真も確認いただきたいが、そこに映像出力端子はなかった。スペックとしてはPコア8基にEコア16基で、合計24コア/32スレッドとなり、クロックはブースト時最大5.8GHzとなる。
GeForce RTX 4090は、GeForce RTX 40シリーズの最上位GPUだ。16,384基のCUDAコアを搭載し、ビデオメモリも24GBと大容量。4K超のゲーミング向けの製品である。
メモリは標準構成のままで、DDR5-4800の8GB×2という構成だった。BTOカスタマイズではDDR5-5200も用意されているほか、容量も64GB(32GB×2)まで用意されていた。DIMMスロットが2基なので64GBが最大ということになる。
ストレージは、M.2 SSDがNVMe対応の512GB、HDDは7,200rpmで2TBのものが搭載されていた。M.2 SSDのBTOカスタマイズは256GB/512GB/1TB/2TB/4TB、HDDは非搭載または2TBとなるようだ。NVMe SSDは、PCI Express 4.0 x4接続で、シーケンシャルリードが7.1GB/s、同ライトは5.1GB/sといった高速なモデルを搭載していた。
ハードウェアスペックとしては以上の通り。デルでは「ALIENWARE COMMAND CENTER」を用意しており、電源設定や冷却設定、LED制御などはここから設定を行なう。Aurora R15ではOCプロファイルも用意されているので、定格に飽き足らない方は試してみるとよいだろう。また、LED制御についてはかなり細かく指定できる。
LEDイルミネーションを紹介すると、搭載箇所は前面および内部ファン、ラジエータ横のALIENWAREロゴカバー、水冷ヘッドのエイリアンマークなどだ。
4Kゲーミングも快適!この性能なら映像編集にも
最後に、パフォーマンスを計測していこう。今回用いたベンチマークソフトは、MAXONの「Cinebench R23」、ULの「PCMark 10」、「3DMark」、「VRMark」、Blender公式の「Blender Benchmark」、スクウェア・エニックスの「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」、CD Projekt REDの「サイバーパンク2077」。ALIENWARE Aurora R15の各種設定は、オーバークロックはOFF、サーマルはパフォーマンス、電源はバランスといした。
CPU | Core i9-13900KF |
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GPU | GeForce RTX 4090(24GB GDDR6X) |
メモリ | DDR5-4800 SDRAM 16GB |
ストレージ | 512GB PCIe 4.0 x4 SSD+2TB HDD |
OS | Windows 11 Home |
サイズ | 225×529×510mm |
重量 | 13.03~16.87kg |
価格 | 61万9,980円から |
CPUについて見ていくとCinebench R23のMulti Coreでは36,281ptsを記録し、3DMarkのCPU ProfileテストやBlender BenchmarkのCPUテストについてもCore i9-13900KFの32スレッド対応というスペックを示すスコアと言える。
3D性能も、GeForce RTX 4090を搭載するだけあってサイバーパンク2077のように4K+最高画質(with レイトレーシング)でも余裕だ。3DMarkのSpeed Wayでも1万ポイントに迫る。もちろんVRMarkも高得点。ただしメモリ不足が影響したのかCyan RoomのスコアがGPU性能に対して低い値となった。
PCMark 10も各シナリオ1万ポイント超えを記録しており、Overallは13,529ポイントとなった。ゲーミングPC=高性能PCである。
ALIENWARE Aurora R15の冷却性能、ベンチマーク実行中の各部の温度推移も見てみよう。Cinebench R23はCPU高負荷時のシミュレーションだ。Multi Coreテストを10分間実行している。CPU温度は最大87℃となったが、テスト1セットが終了するごとにスパイクのように冷却されるタイミングが確認できる。最大温度自体も危険域にはマージンがあり、簡易水冷を採用することで十分な冷却ができていることが分かる。
次はGPU負荷時を想定した3DMark実行中の温度推移。3DMarkのSpeed Wayテストを8回実行した際のグラフだ。GPU温度は最大84.5℃。NVIDIAによる最大GPU温度の仕様は90℃とされているので、若干マージンがあるようだ。温度制御が介入した時のように、フラットなグラフというわけでもないので、冷却は足りているように見える。CPU温度も120秒前後までは上昇傾向にあるが、以降は50℃台を行き来する。
今回はALIENWARE Aurora R15のデフォルトに準じた設定で検証している。このプロファイルであれば冷却は足りているようで、マージンも見られることから、確かにOCプロファイルを試してみるのもよさそうだ。
デザイン、性能、どちらも妥協できない方に選んでほしいゲーミングPC
ベンチマークの通り、現在最上位と言えるハードウェア構成だけあって、計測したベンチマークスコアはすべて高スコアだ。今最も高性能のゲーミングPCがほしいという方は、本製品も選択肢に入るだろう。
大手であるデルの製品ということでコストパフォーマンスを気にされる方もいると思うが、同じように第13世代Core i9+GeForce RTX 4090という構成で見ていくとどこも50万円後半あたりが相場で、本製品との価格差は5万円以内といったところだ。唯一無二のALIENWARE Aurora R15デザインが手に入るなら5万円プラスでも検討に値するのではないだろうか。
そして、デルでは定期的にセールを開催しており、執筆時点では54万5,580円だった。こうなると一部で逆転も起き、コスパもグンっと跳ね上がる。この製品を机の上に置き、プレイする自身をイメージしてほしい。かなり魅力的な情景が浮かぶのではないだろうか。