Hothotレビュー

HDMI入力を装備する27型一体型PCをレビュー。コンパクトに置けてゲーム機やレコーダも接続可能!

M3700WY(価格:18万9,800円~)

 ASUS JAPAN株式会社は、27型液晶モニター一体型デスクトップPC「M3700WY」を9月3日より販売開始した。ノートPC向けAPU Ryzen 7 5825UまたはRyzen 5 5625Uを搭載する液晶モニター一体型デスクトップPCで、ワイヤレスキーボードとマウスを同梱。Office Home & Business 2021のライセンスも付属し、ノートPCより大きな27型モニターを生かし、購入してすぐ快適にテレワークできるマシンに仕上げられている。

 今回、本製品の実機を借用したので、スペックや外観、使い勝手、パフォーマンスなどについてレビューしていこう。

モニター一体型としては採用例が増えてきたHDMI入力端子を用意

 M3700WYには下記の2モデルがラインナップされている。

  • M3700WY-R75825LU(価格 : 22万4,800円)
    Ryzen 7 5825U/メモリ16GB/SSD 512GB+HDD 1TB/Office付き
  • M3700WY-R55625LU(価格 : 18万9,800円)
    Ryzen 5 5625U/メモリ8GB/SSD 512GB/Office付き

 OSはWindows 11 Home(バージョン21H2)、APUはRyzen 7 5825U(8コア/16スレッド)またはRyzen 5 5625U(6コア/12スレッド)を採用。メモリは16GBまたは8GB(DDR4-3200)、ストレージは512GB PCIe 3.0 x4 SSD+1TB SATA HDDまたは512GB PCIe 3.0 x4 SSDを搭載している。オフィスアプリはOffice Home & Business 2021がプリインストールされ、ライセンスカードが同梱されている。

 モニターは27型フルHD液晶(1,920×1,080ドット)を搭載。モニター下部には92万画素Webカメラを内蔵している。なお製品公式サイトにはマルチタッチ対応と謳われているが、現在日本向けにはマルチタッチ対応モデルは販売されていない。

 インターフェイスはUSB 3.0×4、USB 2.0、HDMI入力、HDMI出力、Gigabit Ethernet、3.5mmコンボジャックを装備。ワイヤレス通信はWi-Fi 6、Bluetooth 5.1をサポートしている。HDMI入力端子を備えているので、家庭用ゲーム機やレコーダのモニターとしても利用できるわけだ。

 本体サイズは約613×48~217×456mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約8.7kg。ACアダプタ、電源ケーブルに加えて、ワイヤレスキーボード、ワイヤレスマウスが同梱されている。本製品だけ購入すればPC一式がすべて揃うわけだ。

【表】ASUS M3700WYのスペック
製品名M3700WY
型番M3700WY-R75825LUM3700WY-R55625LU
OSWindows 11 Home(バージョン21H2)
CPURyzen 7 5825U
(8コア/16スレッド、最大4.50GHz、15W)
Ryzen 5 5625U
(6コア/12スレッド、最大4.30GHz、15W)
GPURadeon Graphics(8コア、2,000MHz)Radeon Graphics(7コア、1,800MHz)
メモリDDR4-3200 16GBDDR4-3200 8GB
ストレージ512GB PCIe 3.0 x4 SSD
1TB SATA HDD
512GB PCIe 3.0 x4 SSD
モニター27型フルHD液晶(1,920×1,080ドット、82ppi、16:9、輝度不明、コントラスト比不明、60Hz、応答速度不明、sRGB 100%、非光沢、ペン非対応、タッチ非対応)
ワイヤレス通信Wi-Fi 6、Bluetooth 5.1
WWAN
インターフェイスUSB 3.0×4、USB 2.0、HDMI入力、HDMI出力、Gigabit Ethernet、3.5mmコンボジャック
カメラ92万画素Webカメラ
サウンドステレオスピーカー(3W×2、Dolby Atmos対応)、アレイマイク、双方向AIノイズキャンセリング
本体サイズ約613×48~217×456mm(幅×奥行き×高さ)
重量約8.7kg
セキュリティセキュリティロックスロット
オフィスアプリOffice Home & Business 2021
同梱品ACアダプタ、電源ケーブル、ワイヤレスキーボード、ワイヤレスマウス、説明書類(クイックスタートガイド、必ず初めにお読みください、Warranty Card、Wireless Keyboard & Mouse Kit説明書、Office Home & Business 2021ライセンスカード、i-フィルターのちらし)
価格22万4,800円18万9,800円
パッケージのサイズは72×26×60cm(同)。パッケージ保管の際の参考にしてほしい
パッケージには、ACアダプタ、電源ケーブル、ワイヤレスキーボード、ワイヤレスマウス、説明書類が同梱
サイズは約613×48~217×456mm(同)、重量は約8.7kg。モニターは27型液晶(1,920×1,080ドット、82ppi、16:9、輝度不明、コントラスト比不明、60Hz、応答速度不明、sRGB 100%、非光沢、ペン非対応、タッチ非対応)
本体背面。電源ボタンは背面左下に配置
背面にはHDMI入力、USB 3.0×4、HDMI出力、Gigabit Ethernet、電源端子を用意
本体上面(上)と本体下面(下)。スタンド底面にはシリアルナンバーや認証情報が記載されている
本体下面にはUSB 2.0、3.5mmコンボジャック、MODEボタン、セキュリティロックスロットを配置
本体右側面と本体左側面
モニターは前後に角度調節が可能。上下調節には非対応
同梱の109キー日本語配列ワイヤレスキーボード
同梱のワイヤレスマウス
ワイヤレスキーボードは単4形電池2本、ワイヤレスマウスは単3形電池1本を使用。USBドングルはマウス内に収納されている
ACアダプタのコード長は実測160cm、電源ケーブルの長さは実測89cm
ACアダプタの型番は「ADP-90LE B」。仕様は入力100-240V~1.5A、出力19V/4.74A、容量90W
説明書類は、クイックスタートガイド、必ず初めにお読みください、Warranty Card、Wireless Keyboard & Mouse Kit説明書、Office Home & Business 2021ライセンスカード、i-フィルターのちらしで構成されている
ACアダプタと、ワイヤレスキーボード&マウスのUSBドングルを挿せば利用できる。すっきりとした配線で省スペースに設置可能だ
今回の貸出機は、AMD Ryzen 7 5825U/メモリ16GB/SSD 512GB/HDD 1TBという構成の上位モデルだ

デザイン的に本体とマッチしたワイヤレスキーボード&マウス

 本製品には109キー日本語配列ワイヤレスキーボードと2ボタン+1ホイール方式のワイヤレスマウスが同梱されている。どちらもデザイン的には本体とマッチしている。

 キーボードのキーピッチは実測19mm前後、キーストロークは実測2.2mm前後、押圧力は実測0.49N。キーボード面の剛性はある程度確保されているが、強く押すとキーボード全体がややたわみ、強く打鍵したときの感触は少々安っぽい。ただ、クリック感自体は悪くない。上質とは言えないが、実用上はフルスピードでテキスト入力できるキーボードだと思う。

 一方、ワイヤレスマウスについては、実測60×109×31mm前後(同)と手頃なサイズで、握ったときの手への収まりはよい。ただ、クリック感がやや固めに感じられた。個人的にはキーボードもマウスも使っているうちに手になじんできたが、どうしてもフィーリングが合わなければマウスだけでも買い替えてもよいだろう。

キーピッチは実測19mm前後
キーストロークは実測2.2mm前後
文字キー(Fキー)の押圧力は0.49N
キーボード面の剛性はある程度確保されているが、強く押すとキーボード全体がややたわむ。タイピングしたときの感触は少々安っぽいが、クリック感自体は悪くない
マウスは2ボタン+1ホイール方式
マウスのサイズは実測60×109×31mm前後、重量は実測81.6g。手への収まりはよいが、クリック感がやや固めに感じられた

 モニターは27型液晶で、解像度が1,920×1,080ドット、画面比率が16:9、リフレッシュレートが60Hz、色域がsRGB 100%、表面処理が非光沢。輝度やコントラスト比などの詳細なスペックは公表されていない。

 色域についてはカラーキャリブレーション機器「i1Display Pro」と色度図作成ソフト「ColorAC」で実測したところ、sRGBカバー率は95.2%、sRGB比は101.9%、Adobe RGBカバー率は73.7%、Adobe RGB比は75.5%、DCI-P3カバー率は75.1%、DCI-P3比は75.1%という値が出た。

 本製品のモニターの色域について、製品公式サイトには「100% sRGB」と記載されているが、これは「sRGBカバー率」ではなく「sRGB比」を指しているのだと思われる。

27型液晶モニターは、解像度が1,920×1,080ドット、画面比率が16:9、リフレッシュレートが60Hz、色域がsRGB 100%、表面処理が非光沢。輝度やコントラスト比などの詳細なスペックは不明だ
液晶パネルは特に広視野角は謳われていないが、斜めから見ても明るさ、彩度は実用上十分なレベルで維持される
実測したsRGBカバー率は95.2%、sRGB比は101.9%
Adobe RGBカバー率は73.7%、Adobe RGB比は75.5%
DCI-P3カバー率は75.1%、DCI-P3比は75.1%

 スピーカーはDolby Atmos対応の3W×2ステレオスピーカーが内蔵されており、迫力あるサウンドを聴かせてくれる。ただし、サウンドユーティリティ「Dolby Access」のデフォルトでは「Music」の「Balanced」が選択されており、低音が効きすぎていてこもり気味に感じられる。いくつか設定を試してみたが、個人的には「Movie」で「Intelligent equalizer」をオフにしたほうが、音楽を聴く際には好ましいサウンドになると思った。

YouTubeで公開されている「前前前世(movie ver.) RADWIMPS MV」を最大ボリュームで再生した際の音圧レベルは最大82.7dBA(50cmの距離で測定)
サウンドユーティリティ「Dolby Access」で「Movie」を選び、「Intelligent equalizer」を「off」にしたほうが、音楽を聴く際には好ましいサウンドになる

 92万画素Webカメラは画質的にはかなり厳しい。最近筆者が試用したASUS製ノートPCのWebカメラはどれも画質がよかったが、「ASUS M3700WY」はデフォルト設定ではノイズが多く、Windows 11の「カメラ」アプリで「HDR pro」を有効にすると、赤みが強く、のっぺりとした写真になってしまった。また、モニター下部にWebカメラが内蔵されているため、意識的にレンズを見つめないと下から見上げる不自然な構図となる。

 たまにしか使わないのであれば内蔵Webカメラでもよいが、Web会議の機会が多いのであれば外付けWebカメラを装着することを強くおすすめする。

92万画素Webカメラ、アレイマイクはモニター下部に内蔵
Windows 11の「カメラ」アプリで撮影(HDRオフ)
Windows 11の「カメラ」アプリで撮影(HDR proオン)

Ryzen 5 5625U搭載機の約126%相当のCPUスコアを記録

 最後にパフォーマンスをチェックしてみよう。今回はRyzen 7 5825U/メモリ16GB/SSD 512GB/HDD 1TBという構成の上位モデルを借用している。そこで今回は比較対象機種として、Ryzen 5 5625U/メモリ8GB/SSD 512GBという構成の「MINISFORUM UM560」を採用した。M3700WYの上位モデルと下位モデルでどのぐらいパフォーマンスが違うのかという参考値としてご覧いただきたい。

ベンチマークは「MyASUS」の「ASUSインテリジェントパフォーマンステクノロジー」を「パフォーマンスモード」、Windows 11の電源モードを「最適なパフォーマンス」に設定して実施している

 まずCPUベンチマーク「Cinebench R23.200」のCPU(Multi Core)ではM3700WYが9,031、MINISFORUM UM560が7,186となった。M3700WYがMINISFORUM UM560に対して約126%相当のスコアを記録したことになる。Ryzen 7 5825Uが8コア/16スレッド、最大4.5GHz動作、Ryzen 5 5625Uが6コア/12スレッド、最大4.3GHz動作のプロセッサだ。コア数、スレッド数の差が順当に表われた結果と言えよう。

Cinebench R23.200
Cinebench R23.200実行中のCPU温度は平均73.13℃、最大75.8℃、クロック周波数は平均2,677.78MHz、最大2,902.1MHz
Cinebench R23.200実行中の消費電力は最大54.425W、平均48.29W。アイドル時の消費電力は平均22.77W

 総合ベンチマーク「PCMark 10 v2.1.2563」のPCMark 10 Scoreは、M3700WYが5,953、MINISFORUM UM560が4,742となった。M3700WYがMINISFORUM UM560に対して、約126%に相当するスコアを記録している。CPU性能が総合性能に対して大きな影響を与えていることが分かる。

PCMark 10 v2.1.2563

 一方、3Dグラフィックスベンチマーク「3DMark v2.22.7359」でも、M3700WYがMINISFORUM UM560に対して、Time Spyで約124%、Fire Strikeで約120%、Night Raidで約115%に相当するスコアを記録している。内蔵グラフィックスはRadeon Graphicsで同じだが、Ryzen 7 5825Uが8コア、2,000MHz、Ryzen 5 5625Uが7コア、1,800MHzと、GPUコア数とグラフィックス周波数が異なる。この差がベンチマークスコアに表われたわけだ。

3DMark v2.22.7359

 ストレージベンチマーク「CrystalDiskMark 8.0.4」では、M3700WYはシーケンシャルリードで3,040MB/s、シーケンシャルライトで1,654MB/s、MINISFORUM UM560はシーケンシャルリードで2,548MB/s、シーケンシャルライトで1,219MB/sとなった。M3700WYはPCIe 3.0 x4接続SSD「Intel SSDPEKNU512GZ」を搭載しているが、仕様通りのパフォーマンスがしっかりと出ている。

CrystalDiskMark 8.0.4

 参考までにM3700WYのみで3Dゲームベンチマークも実施したところ、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK ver 1.3」(標準品質、1,920×1,080ドット、フルスクリーン)のスコアは1,944(動作困難)、「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレベンチマーク」(1,920×1,080ドット、標準品質、ノートPC)のスコアは5,688(普通)というスコアが出た。テレワークの合間に、ファイナルファンタジーXIVであれば実用的な速度でゲームをプレイできるわけだ。

「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK ver 1.3」(標準品質、1,920×1,080ドット、フルスクリーン)のスコアは1,944(動作困難)
「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレベンチマーク」(1,920×1,080ドット、標準品質、ノートPC)のスコアは5,688(普通)

5分の4K動画を3分26秒で書き出し、クリエイティブワークにも利用できる

 Ryzen 7 5825Uを搭載したM3700WYの処理性能は高い。M3700WYでクリエイティブ系アプリを試してみたところ、「Adobe Lightroom Classic」で100枚のRAW画像を現像(7,952×5,304ドット、カラー - 自然)するのにかかった時間は4分17秒36、「Adobe Premiere Pro」で実時間5分の4K動画(3,840×2,160ドット、30fps)を書き出すのにかかった時間は3分26秒42。クリエイティブワークにも利用できるだけの処理性能を備えている。

 M3700WYは27型の大型モニターを搭載しつつ、コンパクトに設置できることから、テレワーク用にピッタリのマシンだ。HDMI入力端子には家庭用ゲーム機やレコーダも接続できるので、自宅のモニターの数をできるだけ減らしたいというミニマリストにも魅力的なマシンと言えよう。