Hothotレビュー
HDMI入力を装備する27型一体型PCをレビュー。コンパクトに置けてゲーム機やレコーダも接続可能!
2022年9月29日 06:13
ASUS JAPAN株式会社は、27型液晶モニター一体型デスクトップPC「M3700WY」を9月3日より販売開始した。ノートPC向けAPU Ryzen 7 5825UまたはRyzen 5 5625Uを搭載する液晶モニター一体型デスクトップPCで、ワイヤレスキーボードとマウスを同梱。Office Home & Business 2021のライセンスも付属し、ノートPCより大きな27型モニターを生かし、購入してすぐ快適にテレワークできるマシンに仕上げられている。
今回、本製品の実機を借用したので、スペックや外観、使い勝手、パフォーマンスなどについてレビューしていこう。
モニター一体型としては採用例が増えてきたHDMI入力端子を用意
M3700WYには下記の2モデルがラインナップされている。
- M3700WY-R75825LU(価格 : 22万4,800円)
Ryzen 7 5825U/メモリ16GB/SSD 512GB+HDD 1TB/Office付き - M3700WY-R55625LU(価格 : 18万9,800円)
Ryzen 5 5625U/メモリ8GB/SSD 512GB/Office付き
OSはWindows 11 Home(バージョン21H2)、APUはRyzen 7 5825U(8コア/16スレッド)またはRyzen 5 5625U(6コア/12スレッド)を採用。メモリは16GBまたは8GB(DDR4-3200)、ストレージは512GB PCIe 3.0 x4 SSD+1TB SATA HDDまたは512GB PCIe 3.0 x4 SSDを搭載している。オフィスアプリはOffice Home & Business 2021がプリインストールされ、ライセンスカードが同梱されている。
モニターは27型フルHD液晶(1,920×1,080ドット)を搭載。モニター下部には92万画素Webカメラを内蔵している。なお製品公式サイトにはマルチタッチ対応と謳われているが、現在日本向けにはマルチタッチ対応モデルは販売されていない。
インターフェイスはUSB 3.0×4、USB 2.0、HDMI入力、HDMI出力、Gigabit Ethernet、3.5mmコンボジャックを装備。ワイヤレス通信はWi-Fi 6、Bluetooth 5.1をサポートしている。HDMI入力端子を備えているので、家庭用ゲーム機やレコーダのモニターとしても利用できるわけだ。
本体サイズは約613×48~217×456mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約8.7kg。ACアダプタ、電源ケーブルに加えて、ワイヤレスキーボード、ワイヤレスマウスが同梱されている。本製品だけ購入すればPC一式がすべて揃うわけだ。
【表】ASUS M3700WYのスペック | ||
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製品名 | M3700WY | |
型番 | M3700WY-R75825LU | M3700WY-R55625LU |
OS | Windows 11 Home(バージョン21H2) | |
CPU | Ryzen 7 5825U (8コア/16スレッド、最大4.50GHz、15W) | Ryzen 5 5625U (6コア/12スレッド、最大4.30GHz、15W) |
GPU | Radeon Graphics(8コア、2,000MHz) | Radeon Graphics(7コア、1,800MHz) |
メモリ | DDR4-3200 16GB | DDR4-3200 8GB |
ストレージ | 512GB PCIe 3.0 x4 SSD 1TB SATA HDD | 512GB PCIe 3.0 x4 SSD |
モニター | 27型フルHD液晶(1,920×1,080ドット、82ppi、16:9、輝度不明、コントラスト比不明、60Hz、応答速度不明、sRGB 100%、非光沢、ペン非対応、タッチ非対応) | |
ワイヤレス通信 | Wi-Fi 6、Bluetooth 5.1 | |
WWAN | - | |
インターフェイス | USB 3.0×4、USB 2.0、HDMI入力、HDMI出力、Gigabit Ethernet、3.5mmコンボジャック | |
カメラ | 92万画素Webカメラ | |
サウンド | ステレオスピーカー(3W×2、Dolby Atmos対応)、アレイマイク、双方向AIノイズキャンセリング | |
本体サイズ | 約613×48~217×456mm(幅×奥行き×高さ) | |
重量 | 約8.7kg | |
セキュリティ | セキュリティロックスロット | |
オフィスアプリ | Office Home & Business 2021 | |
同梱品 | ACアダプタ、電源ケーブル、ワイヤレスキーボード、ワイヤレスマウス、説明書類(クイックスタートガイド、必ず初めにお読みください、Warranty Card、Wireless Keyboard & Mouse Kit説明書、Office Home & Business 2021ライセンスカード、i-フィルターのちらし) | |
価格 | 22万4,800円 | 18万9,800円 |
デザイン的に本体とマッチしたワイヤレスキーボード&マウス
本製品には109キー日本語配列ワイヤレスキーボードと2ボタン+1ホイール方式のワイヤレスマウスが同梱されている。どちらもデザイン的には本体とマッチしている。
キーボードのキーピッチは実測19mm前後、キーストロークは実測2.2mm前後、押圧力は実測0.49N。キーボード面の剛性はある程度確保されているが、強く押すとキーボード全体がややたわみ、強く打鍵したときの感触は少々安っぽい。ただ、クリック感自体は悪くない。上質とは言えないが、実用上はフルスピードでテキスト入力できるキーボードだと思う。
一方、ワイヤレスマウスについては、実測60×109×31mm前後(同)と手頃なサイズで、握ったときの手への収まりはよい。ただ、クリック感がやや固めに感じられた。個人的にはキーボードもマウスも使っているうちに手になじんできたが、どうしてもフィーリングが合わなければマウスだけでも買い替えてもよいだろう。
モニターは27型液晶で、解像度が1,920×1,080ドット、画面比率が16:9、リフレッシュレートが60Hz、色域がsRGB 100%、表面処理が非光沢。輝度やコントラスト比などの詳細なスペックは公表されていない。
色域についてはカラーキャリブレーション機器「i1Display Pro」と色度図作成ソフト「ColorAC」で実測したところ、sRGBカバー率は95.2%、sRGB比は101.9%、Adobe RGBカバー率は73.7%、Adobe RGB比は75.5%、DCI-P3カバー率は75.1%、DCI-P3比は75.1%という値が出た。
本製品のモニターの色域について、製品公式サイトには「100% sRGB」と記載されているが、これは「sRGBカバー率」ではなく「sRGB比」を指しているのだと思われる。
スピーカーはDolby Atmos対応の3W×2ステレオスピーカーが内蔵されており、迫力あるサウンドを聴かせてくれる。ただし、サウンドユーティリティ「Dolby Access」のデフォルトでは「Music」の「Balanced」が選択されており、低音が効きすぎていてこもり気味に感じられる。いくつか設定を試してみたが、個人的には「Movie」で「Intelligent equalizer」をオフにしたほうが、音楽を聴く際には好ましいサウンドになると思った。
92万画素Webカメラは画質的にはかなり厳しい。最近筆者が試用したASUS製ノートPCのWebカメラはどれも画質がよかったが、「ASUS M3700WY」はデフォルト設定ではノイズが多く、Windows 11の「カメラ」アプリで「HDR pro」を有効にすると、赤みが強く、のっぺりとした写真になってしまった。また、モニター下部にWebカメラが内蔵されているため、意識的にレンズを見つめないと下から見上げる不自然な構図となる。
たまにしか使わないのであれば内蔵Webカメラでもよいが、Web会議の機会が多いのであれば外付けWebカメラを装着することを強くおすすめする。
Ryzen 5 5625U搭載機の約126%相当のCPUスコアを記録
最後にパフォーマンスをチェックしてみよう。今回はRyzen 7 5825U/メモリ16GB/SSD 512GB/HDD 1TBという構成の上位モデルを借用している。そこで今回は比較対象機種として、Ryzen 5 5625U/メモリ8GB/SSD 512GBという構成の「MINISFORUM UM560」を採用した。M3700WYの上位モデルと下位モデルでどのぐらいパフォーマンスが違うのかという参考値としてご覧いただきたい。
まずCPUベンチマーク「Cinebench R23.200」のCPU(Multi Core)ではM3700WYが9,031、MINISFORUM UM560が7,186となった。M3700WYがMINISFORUM UM560に対して約126%相当のスコアを記録したことになる。Ryzen 7 5825Uが8コア/16スレッド、最大4.5GHz動作、Ryzen 5 5625Uが6コア/12スレッド、最大4.3GHz動作のプロセッサだ。コア数、スレッド数の差が順当に表われた結果と言えよう。
総合ベンチマーク「PCMark 10 v2.1.2563」のPCMark 10 Scoreは、M3700WYが5,953、MINISFORUM UM560が4,742となった。M3700WYがMINISFORUM UM560に対して、約126%に相当するスコアを記録している。CPU性能が総合性能に対して大きな影響を与えていることが分かる。
一方、3Dグラフィックスベンチマーク「3DMark v2.22.7359」でも、M3700WYがMINISFORUM UM560に対して、Time Spyで約124%、Fire Strikeで約120%、Night Raidで約115%に相当するスコアを記録している。内蔵グラフィックスはRadeon Graphicsで同じだが、Ryzen 7 5825Uが8コア、2,000MHz、Ryzen 5 5625Uが7コア、1,800MHzと、GPUコア数とグラフィックス周波数が異なる。この差がベンチマークスコアに表われたわけだ。
ストレージベンチマーク「CrystalDiskMark 8.0.4」では、M3700WYはシーケンシャルリードで3,040MB/s、シーケンシャルライトで1,654MB/s、MINISFORUM UM560はシーケンシャルリードで2,548MB/s、シーケンシャルライトで1,219MB/sとなった。M3700WYはPCIe 3.0 x4接続SSD「Intel SSDPEKNU512GZ」を搭載しているが、仕様通りのパフォーマンスがしっかりと出ている。
参考までにM3700WYのみで3Dゲームベンチマークも実施したところ、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK ver 1.3」(標準品質、1,920×1,080ドット、フルスクリーン)のスコアは1,944(動作困難)、「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレベンチマーク」(1,920×1,080ドット、標準品質、ノートPC)のスコアは5,688(普通)というスコアが出た。テレワークの合間に、ファイナルファンタジーXIVであれば実用的な速度でゲームをプレイできるわけだ。
5分の4K動画を3分26秒で書き出し、クリエイティブワークにも利用できる
Ryzen 7 5825Uを搭載したM3700WYの処理性能は高い。M3700WYでクリエイティブ系アプリを試してみたところ、「Adobe Lightroom Classic」で100枚のRAW画像を現像(7,952×5,304ドット、カラー - 自然)するのにかかった時間は4分17秒36、「Adobe Premiere Pro」で実時間5分の4K動画(3,840×2,160ドット、30fps)を書き出すのにかかった時間は3分26秒42。クリエイティブワークにも利用できるだけの処理性能を備えている。
M3700WYは27型の大型モニターを搭載しつつ、コンパクトに設置できることから、テレワーク用にピッタリのマシンだ。HDMI入力端子には家庭用ゲーム機やレコーダも接続できるので、自宅のモニターの数をできるだけ減らしたいというミニマリストにも魅力的なマシンと言えよう。