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画面比率16:18の27.6型モニター「28MQ780-B」実機レビュー。そしてゲームも遊んでみた!

LGエレクトロニクス「28MQ780-B」実売価格9万5,000円前後

 LGエレクトロニクス・ジャパンは画面比率16:18の27.6型モニター「28MQ780-B」を4月19日に発表、5月16日に販売開始した。本製品はWQHD(2,560×1,440ドット)を縦に2つ並べた「2,560×2,880ドット」という縦長の液晶パネルを採用した新スタイルのモニター。通常スタンドの代わりにアームスタンドが同梱されており、設置自由度の高さも本製品の大きなポイントだ。

 今回、本製品の実機を借用したので、縦長モニターがどのような使い勝手なのかレビューしていこう。基本的にビジネス用途を主とした製品だが、ゲームを動作させた際にどのように表示されるのか、不都合はないかという点もチェックしていく。

作業性を向上させるため縦長の液晶パネルを採用

 28MQ780-Bは画面比率16:18、解像度2,560×2,880ドットの27.6型モニター。画面比率が特殊なのでサイズ感をイメージしにくいが、約21型で16:9のWQHD(2,560×1,440ドット)モニターを縦に2台並べたサイズに相当する。

 液晶パネルはIPS(Nano IPS)で、表面加工は反射防止型(アンチグレア)。リフレッシュレートは60Hz、応答速度は5ms(GtoG、「Faster」設定時)だ。

 輝度は300cd/平方m、コントラスト比は1,000:1、色域はDCI-P3 98%、sRGB 135%。HDR規格は「HDR10」に対応。視野角は上下左右178度だ。

 映像入力端子はUSB Type-C(データ転送、DisplayPort Alternate Mode、USB Power Delivery対応)×1、DisplayPort 1.4×1、HDMI×2、その他の端子はUSB 3.0(ダウンストリーム)×2、USB 2.0(アップストリーム)×1、3.5mmヘッドフォン端子×1、電源端子×1を装備する。

 2基の映像入力端子を利用することで、PBP(ピクチャー・バイ・ピクチャー)表示が可能。ただし、PIP(ピクチャー・イン・ピクチャー)は非対応。スピーカーは「MaxxAudio」を謳うステレオ仕様で、7W+7Wを搭載する。

 本体サイズは482×713~843×111mm(スタンドあり)、482×550×45mm(スタンドなし)、重量は9kg(スタンドあり)、4.3kg(スタンドなし)。通常スタンドの代わりにアームスタンドが同梱されているが、VESAマウント(100×100mm)が用意されているので、高ささえ足りればサードパーティー製スタンドも利用可能だ。

 USB Power Deliveryに対応していることから付属の210W ACアダプタは大きめで、サイズは実測180×87×30mm、重量は実測729g。足元に設置する際にはある程度のスペースが必要となる。

画面サイズは27.6型、画面比率は16:18、解像度は2,560×2,880ドット、液晶パネルはIPS(Nano IPS)
本体背面にはVESAマウント(100×100mm)が用意
通常スタンドの代わりにアームスタンドが同梱
本体上面には環境光センサー、本体下面にはOSDジョイスティックボタンを配置
本体右側面(上)と本体左側面(下)
左上から、USB Type-C(データ転送、DisplayPort Alternate Mode、USB Power Delivery対応)×1、DisplayPort 1.4×1、HDMI×2、USB 3.0(ダウンストリーム)×2、USB 2.0(アップストリーム)×1、3.5mmヘッドフォン端子×1、電源端子×1を配置
パッケージには本体以外に、アームスタンド、アームスタンドバックカバー、アームスタンドトップカバー、ACアダプタ(実測150cm)、電源ケーブル(実測100cm)、ACアダプタ延長コード(実測140cm)、HDMIケーブル(実測200cm)、USB Type-Cケーブル(実測180cm)、USBアップストリームケーブル(実測175cm)、プラスドライバー兼六角レンチ、説明書類(モニター製品簡単セットアップガイド、アームスタンド設置ガイド、ディスプレイクオリティレポート、REGULATORY INFORMATION、修理に関するご案内、モニター保証書)が同梱される
ACアダプタの型番は「ACC-LATP1」。仕様は入力100-240V~3.0A、出力19.5V 10.8A、容量210W。サイズは実測180×87×30mm、重量は実測729g
【表1】28MQ780-Bのスペック
パネルサイズ27.6型
パネル解像度2,560×2,880ドット
パネル種類IPS(Nano IPS)、反射防止
最大表示色約10.7億色
リフレッシュレート60Hz
応答速度5ms(GtoG、「Faster」設定時)
視野角上下左右178度
輝度300cd/平方m
コントラスト比1,000:1
色域DCI-P3 98%、sRGB 135%
HDRHDR10
PBP2PBP
同期技術Dynamic Action Sync(DAS)
映像入力USB Type-C(データ転送、DisplayPort Alternate Mode、USB Power Delivery対応)×1、DisplayPort 1.4×1、HDMI×2
その他端子USB 3.0(ダウンストリーム)×2、USB 2.0(アップストリーム)×1、3.5mmヘッドフォン端子×1、電源端子×1
スピーカー7W+7W(MaxxAudio)
消費電力40W(最大190W)、0.5W(節電モード時)、0.3W(電源オフ時)
本体サイズ(幅×奥行き×高さ)482×713~843×111mm(スタンドあり)、482×550×45mm(スタンドなし)
重量9kg(スタンドあり)、4.3kg(スタンドなし)
同梱品アームスタンド、アームスタンドバックカバー、アームスタンドトップカバー、ACアダプタ(実測150cm)、電源ケーブル(実測100cm)、ACアダプタ延長コード(実測140cm)、HDMIケーブル(実測200cm)、USB Type-Cケーブル(実測180cm)、USBアップストリームケーブル(実測175cm)、プラスドライバー兼六角レンチ、説明書類(モニター製品簡単セットアップガイド、アームスタンド設置ガイド、ディスプレイクオリティレポート、REGULATORY INFORMATION、修理に関するご案内、モニター保証書)
価格実売価格9万5,000円前後

アームスタンドは厚み75mm以下のデスクに対応

 アームスタンドは約4.7kgとかなり重めだが、工具は不要なので、設置は比較的容易だ。アームスタンドは厚み75mm以下のデスクに対応しており、下のハンドル側のパーツを上下に調節できるので薄いぶんには制限がない。とは言え、モニター本体とアームスタンドを合わせれば9kgとかなり重い。薄いテーブルや、ガラステーブルなどへの装着は避けたほうがいいのは言うまでもない。

パッケージのサイズは740×240×550mm
アームスタンドは厚み75mm以下のデスクに固定できる。アームスタンドをデスクにはめ込み、下のパーツを上にずらしたのち、ハンドルを締めて固定する。その後、モニター本体をマウンターに装着すれば完成だ
ケーブルはアームスタンドバックカバーで隠し、スマートに配線できる

 アームスタンドには可動部が6カ所用意されており、高さ調節は130mm、ピボット(画面回転)は左90度、スイベルは左右ともに335度、チルトは前後ともに25度に対応する。また、アームスタンドを最も伸ばすと実測38cmとなる。作業内容に合わせて、デスク上のどの位置にもモニター本体を移動できるのは重宝するはずだ。

高さ調節は130mm
ピボット(画面回転)は左90度
スイベルは左右ともに335度
チルトは前後ともに25度
アームスタンドの可動部は6カ所。最も伸ばすと実測38cmとなる。モニター本体をデスク上の自由な位置に移動可能だ

他メーカーから乗り換えても迷うことはないOSDメニュー

 OSD(On Screen Display)メニューは、主要機能をまとめた「クイック設定」、映像入力関連機能を集約した「入力」、プリセットやパラメーターで画質を変更する「画質」、音量と「MaxxAudio」を操作する「サウンド」、その他の細かな設定をまとめた「全般」で構成されている。OSDジョイスティックボタンをワンプッシュすると、まずは円形メニューが表示され、そこで「設定」を選ぶと詳細設定メニューに移動する。

 OSDジョイスティックボタンの操作性は良好で、メニューもキビキビと軽快に切り替わる。また、特にわかりにくい用語も使われていない。他メーカーのモニターから乗り換えても迷うことはないはずだ。

OSDジョイスティックボタンをワンプッシュすると円形メニューが表示される。詳細設定には右の「設定」から移動する
「クイック設定」は「明るさ」、「自動輝度」、「コントラスト」、「音量」、「色温度」、「PBP」、「USB選択」に素早く飛べる
「入力」には映像入力関連の機能を用意。PBP(ピクチャー・バイ・ピクチャー)もここから選択する
「画質」内の「ピクチャーモード」には「鮮やか」、「ブルーライト低減モード」などのプリセットを用意。「画像調整」や「カラー調整」ではパラメーターを個別に変更できる
「サウンド」では音量と「MaxxAudio」のオンオフを設定可能
「全般」にはその他の細かな設定を用意。「ユーザー定義キー」には「PBP」、「ピクチャーモード」、「KVMスイッチ」のいずれかを割り当て可能で、円形メニューから素早くアクセスできるようになる

一般的なビジネス用途のモニターとしては広色域

 28MQ780-Bの色域は、DCI-P3 98%、sRGB 135%とされている。カラーキャリブレーション機器「i1Display Pro」と色度図作成ソフト「ColorAC」で実測したところ、sRGBカバー率は99.5%、sRGB比は130.6%、Adobe RGBカバー率は89.7%、Adobe RGB比は96.8%、DCI-P3カバー率は93.4%、DCI-P3比は96.3%という値が出た。 スペックの値には届かなかったものの、それほど遠くはない。sRGBカバー率は100%に限りなく近い値が出ているので、一般的なビジネス用途のモニターとしては十分な色域を備えている。もっとも、LGが公開しているスペック表には「%」としか書かれておらず、今後は「カバー率」なのか「面積比」なのか明確に記載してほしいとは思う。

実測したsRGBカバー率は99.5%、sRGB比は130.6%
Adobe RGBカバー率は89.7%、AdobeRGB比は96.8%
DCI-P3カバー率は93.4%、DCI-P3比は96.3%
デフォルトの設定では実際の色より赤みが強かった。用途に合わなければ「画像調整」や「カラー調整」から変更しよう。カラーキャリブレーション機器を使えば正確に変更できる
視野角は上下左右178度と広く、斜めから見ても、明るさや彩度の変化は少ない

16:18の縦長の画面比率はなんとも新鮮

 28MQ780-Bを実際に数日使ってみたが、16:18の縦長の画面比率はなんとも新鮮だ。日本電気(NEC)の「PC-100」を思い出してしまった昭和世代の筆者は、これまでモニターを縦にして使ったことはないが、16:9のモニターを縦に使うよりも、16:18の28MQ780-Bのほうが無理なく利用できると感じた。絶妙な比率だと思う。

 1台のPCと28MQ780-Bを2本の映像ケーブルで接続し、PBP(ピクチャー・バイ・ピクチャー)を選択することで、デュアルモニターとして利用できる機能もユニークだ。ただ、Windows 11では「ウィンドウスナップ」機能でウィンドウを簡単に整列できるので、映像端子にはできるだけ多くのデバイスを接続したいと思う。

16:18の縦長の画面比率は前後の見通しがいい。スクロールの回数を最低限に抑えられる
1台のPCと28MQ780-Bを2つの映像ケーブルで接続すれば、デュアルモニターとして利用できる

 さて、ビジネス用途を主とした28MQ780-Bで、あえてゲームを動作させてみたところ、「フォートナイト」、「PUBG: BATTLEGROUNDS」、「Ghostwire:Tokyo」は画面比率に合わせて縦長の画像となってしまい、「エーペックスレジェンズ」ではウィンドウ表示された。

 縦に引き伸ばされたゲーム画面は新鮮で、意外に楽しく遊べるが、せっかくの魅力的なキャラクターのプロボーションが変化してしまう。また、「フォートナイト」では画面上のボタンを押せず、すべてをキーで操作しなければならなかった。もし28MQ780-Bをメインモニターとして導入するなら、別途ゲーム用のモニターは必須だ。

4本中3本のゲームは16:18の画面比率に合わせるために、縦長の画像となってしまった
「フォートナイト」プレイ時の画面
「PUBG: BATTLEGROUNDS」プレイ時の画面
「エーペックスレジェンズ」プレイ時の画面
「Ghostwire:Tokyo」プレイ時の画面

 最後に消費電力を計測してみたところ、電源オフ時で0.27W、電源オン時は35.86W、節電モード時(ディープスリープモードはオン)は平均11.38Wだった。

消費電力は電源オフ時で平均0.27W、電源オン時で平均35.86W、節電モード時で平均11.38W

横型モニターを縦に使っていた方々が待ち望んでいた真の縦長モデル

 16:18の画面比率、そしてアームスタンドが標準装備という28MQ780-Bは、これまで横型モニターを縦に使っていた方々にとって、まさに待ち望んでいた真の縦長モデルだ。色域は突出して広いわけではないが、一般的なビジネス用途なら十二分。映像入力端子が合計4つ用意されている点も、複数デバイスで共有するのに使い勝手がいい。競合がいないということで価格はややお高めだが、前後の見通しのいい作業環境を構築したいという方にとってもってこいの1台と言える。