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モバイルPCの1つの到達点。10型世界最小2in1「OneMix 4」レビュー
2021年4月8日 06:55
ONE-NETBOOKは4月4日、10.1型のコンバーチブル2in1 PCとして世界最小のフットプリントを実現した「OneMix 4」の販売を開始している。
7~8型クラスのきわめてコンパクトな筐体を採用していた過去のシリーズ製品から若干大型化している反面、ディスプレイおよびキーボードが大型化し、タッチパッドが搭載されるなど、各部の使い勝手が向上。
CPUにはノートPC向け第11世代CoreプロセッサのCore i5-1130G7を搭載しており、メモリ容量はモデルにより8~16GB、ストレージ容量は256~1TBと、いずれも性能的には申し分ない。多少のサイズアップはあるものの、より“使いやすい”モバイルPCに生まれ変わったのが本製品の大きな特徴といえるだろう。
この記事ではそんな「OneMix 4」の製品サンプルを使用し、ベンチマークも含めたレビューをお届けする。
きわめてコンパクトで小ささを感じない液晶
【表】OneMix 4の仕様 | |
---|---|
CPU | Core i5-1130G7(1.8GHz~4.0GHz) |
メモリ | LPDDR4-3200 8GB/16GB |
ストレージ | 256GB/512GB/1TB M.2 NVMe SSD |
液晶 | 2,560×1,600ドット表示対応10.1型 |
OS | Windows 10 Home |
インターフェイス | USB 4.0×2、USB 3.0、microSDカードリーダ、指紋認証センサー(電源ボタン兼用)、3.5mmミニジャック |
無線 | Wi-Fi 6(IEEE802.11ax)、Bluetooth |
本体サイズ | 227×157.3×11~17mm(幅×奥行き×高さ) |
重量 | 769g |
さて、冒頭で“大型化した”とは言ったものの、それでも10型クラスのモバイルノートPCとして見た場合、OneMix 4のコンパクトさは驚異的だ。本体サイズはおよそ227×157.3×11~17mm(幅×奥行き×高さ)であり、同じ10型クラスのノートPCやタブレットと比べても非常にスリムといえる。
ほぼ同じ画面サイズである第8世代iPad(10.2型)のフットプリントが250.6×174.1mmなので、OneMix 4のほうが長辺・短辺どちらも10%ほど短い計算になるだろうか。製品サンプルが冗談かと思うほど小さな段ボールに梱包されて自宅に届けられたのにも驚いたが、実際に筐体を目の当たりにすると、なんとも不思議な気分にさせられる。
ディスプレイ部分のベゼルレスデザインの採用が、これだけのコンパクト化に大きく寄与していることはいうまでもないだろう。パネルはスマートフォンや車載ディスプレイに活用例が多く、狭額縁化しやすいLTPS(低音ポリシリコン)液晶を採用。フレーム部分の長さは左右辺と上辺が約4.5mm、下辺のみ約15mmで、画面占有率は90%だ。ちなみにディスプレイ解像度は2,560×1,600ドット(アスペクト比16:10)で、画面輝度は320cd/平方mに達する。タッチ対応で画面に光沢があるものの、輝度が高いために映り込みが極端に気になることはない。
モバイルPCは携行性の追求の結果、ともすれば画面表示がチープになりがちな印象もあるが、本製品は300dpiの精細な画面表示をベゼルレスで堪能できるため、視覚的な満足感も高いと言ってよさそうだ。パネルの色域に関しても、公称sRGBカバー率100%ときわめて良好。なお、テキストの表示サイズは等倍だとさすがに小さく、150~200%程度に調整すると使いやすかった。
筐体はCNC加工による削り出しで、強度や耐食性に優れる6000系のアルミ合金を採用。見た目に高級感があり、ペタペタと触れても指紋がつきにくい点は、タブレットとしての運用も考えるとうれしい。各部に多少の力を加えてもたわみやへこみがまったく感じられなず、ヒンジにがたつきはないことからも、実際に強度は問題なさそうだ。
本体重量は約769gで、ノートPCとしては軽く、タブレットとしてはやや重いといった具合。携行性は高いものの、片手で持つと多少ずしりと来る。ついついタブレットモードで使いたくなってしまう魅力はあるのだが、実際に抱えて長時間使用するには多少の腕力が必要かもしれない。
キーボードが大型化し、いい意味で“普通のモバイルPC”らしく扱える
そのほか本体サイズを10.1型にした恩恵としては、キーボードのレイアウトが改善され、新たにタッチパッドが採用された点が挙げられる。
スペースの都合から多くのキーが統合されていた前世代のOneMix 3/3 Proに比べ、OneMix 4では(ハーフサイズではあるが)ファンクションキーが独立し、TabキーがQの左に配置されるなど、いわゆる一般的なテンキーレスのノートPCらしいキーボードになった印象だ。
まだ変則的な配置はあるものの、これぐらいのクセであれば許容できるという人は多いだろう。キーピッチは18.5mmで、ストロークにはやや浅さを感じるものの、打鍵感はまずまずといったところ。
また、この世代で新たに搭載されたタッチパッドは、サイズこそ90×47mmと大きくないものの、操作感は悪くない。本体スペックが高いことも大きいだろうが、追従性がよくキビキビと操作できるので、わざわざマウスを用意せずともまったく問題なく使えるはずだ。
こうした入力まわりの変更もあってか、レビュー期間を通して、本製品が「OneMix」シリーズであることをあまり意識せずに操作できたのは筆者にとってささやかな驚きだった。これだけコンパクトでありながら、いい意味で“普通のモバイルPCらしく扱える”点が、この製品の最大の魅力ではないだろうか。
ちなみにタブレットモード時は、ディスプレイの10点マルチタッチ、2,048段階の筆圧感知に対応したペン入力で操作することになる。タッチ操作のフィーリングは良好で、ノートPCモードであっても、ちょっとした操作ならこれが一番手っ取り早いかもしれない。スタイラスペンを使用した文字の筆記に関しては、キャンバスが狭いというネックはあるものの、十分に実用的だ。
ただし、先行予約特典のオリジナルスタイラスペンは数十秒放置してしまうと復帰に1~2秒かかるため、断続的に筆記する場合はそこがややストレスになりそうだ。
インターフェイスはUSB Type-Cのみ。指紋センサー搭載ですぐにログイン
インターフェイスは、右側面にUSB 3.0ポート(Type-C)と3.5mmコンボジャック、電源ボタンを配置。特筆すべきは電源ボタンで、指紋認証センサーを兼ねており、Windows Helloを活用したサインインに対応できる。左側面にはUSB 4.0ポート(Type-C)×2、microSDカードスロットを配置。Type-A形状のUSBポートは搭載されていないが、これに関しては致し方ないだろう。
スピーカーはモノラルスピーカーを搭載しており、底面から音を出して机などに反響させる方式を採用。低域・高域が物足りず、さすがに音楽鑑賞には向かないが、とりあえず普通に音を聴くぶんには問題なく使える水準ではある。
無線機能に関してはIntel「Wi-Fi 6 AX201」搭載で、Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)、Bluetooth 5.0に対応する。こういう部分でも手を抜かず、しっかりと最新規格に対応しているのはありがたいポイントだ。
最後に付属のACアダプタについて触れておこう。最大20V/2.25A(45W)の出力が可能なUSB PD対応タイプで、プラグを折り曲げて持ち運べる。ケーブル込みの重量は実測で154g。約769gの本体と合わせても1kgを切るので、ちょっとしたバッグさえ用意すれば持ち運びに困ることはまずないと思われる。
フットプリントからは想像できないパワフルさを発揮
それでは、実際にベンチマーク結果を見てみよう。サンプル機はCPUに「Core i7-1160G7」を搭載した現時点で販売ラインアップにないモデルだが、動作クロックがやや高いだけ(CPU+400MHz、GPU+100MHz)で、それ以外のスペックは16GBメモリ、512GB SSD搭載で中位モデルに準拠している。
使用したベンチマークは、「PCMark 10」、「3DMark」、「Cinebench R23.200」、「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒の反逆者 ベンチマーク」、「CrystalDiskMark v8.0.1」。
OneMix 4 | |
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PCMark 10 Extended | |
PCMark 10 Score | 3,896 |
Essentials | 8,938 |
App Start-up Score | 10,980 |
Video Conferencing Score | 7,996 |
Web Browsing Score | 8,133 |
Productivity | 5,979 |
Spreadsheets Score | 5,467 |
Writing Score | 6,539 |
Digital Content Creation | 3,899 |
Photo Editing Score | 6,693 |
Rendering and Visualization Score | 2133 |
Video Editting Score | 4,155 |
Gaming | 2,989 |
Graphics score | 4,048 |
Physics score | 9,525 |
Combined score | 1,284 |
PCMark 10 Modern Office Battery Life | 7時間31分 |
3DMark | |
Time Spy | 1,275 |
Fire Strike | 3,593 |
Wild Life | 8,952 |
Night Raid | 11,295 |
Cinebench R23.200 | |
CPU(Multi Core) | 3,550 |
CPU(Single Core) | 905 |
ファイナルファンタジーXIV: 漆黒の反逆者 ベンチマーク | |
1,280×720ドット 標準品質(ノ-トPC) | 8,072 |
1,920×1080ドット 標準品質(ノートPC) | 5,400 |
SSDをCrystalDiskMark 8.0.1で計測 | |
1M Q8T1 シーケンシャルリード | 1,844.99 |
1M Q8T1 シーケンシャルライト | 1,714.07 |
1M Q1T1 シーケンシャルリード | 1,456.26 |
1M Q1T1 シーケンシャルライト | 1,552.64 |
4K Q32T16 ランダムリ-ド | 699.01 |
4K Q32T16 ランダムライト | 644.59 |
4K Q1T1 ランダムリ-ド | 54.44 |
4K Q1T1 ランダムライト | 233.6 |
どのベンチマークも、今どきの一般的なノートPCと遜色ない高水準の結果が出ているように思える。とくに内蔵GPUは従来より処理能力の高いIris Xeグラフィックスであるため、解像度を落とせば負荷が軽めのPCゲームやブラウザゲームにも対応できるはず。
メーカーの公式サイトでは外出先での動画エンコードなど、クリエイティブ向けの活用もうたわれているが、これだけの性能が出ていれば、たしかにそのような運用も可能ではありそうだ。ベンチマーク中や充電中は本体がやや熱を持つものの、サイズを考えれば無理からぬことだろう。ベンチマーク中の騒音に関しては、こちらも一般的なノートPCと大きく変わらないように思える。
駆動時間については、ディスプレイ輝度50%の状態で「Modern Office Battery Life」テストを実行したところ、ほぼ7時間30分駆動という結果に。ビジネスなどで一日外出していても問題ないだけのバッテリは確保できており、実用性は高いと言っていい。
欲しくなるだけじゃない、“しっかり使える”モバイルPC
この手のモバイルPCに対しては、とかく「趣味性が高く、実用には心もとない」といったイメージが付きまといがちだ。実際、筆者も8型クラスのウルトラモバイルPCを普段使いしたいとは思えなかったのだが、10.1型にバランスよくまとまったOneMix 4は、その堅実な性能もあり、なかなかどうして購買意欲を刺激してくる。
とくに、隙間時間にちょっと膝の上に乗せて作業をするといった場合、本製品の軽快な使用感は実に心地よい。趣味のPCにするにはもったいないほどのポテンシャルを備えており、とにかく“いろんなシーンで使ってみたい”と思わせるだけの魅力が、本製品には確かにあると言っていい。
実売価格は下位モデルが12万6,270円、中位モデルが13万6,620円、上位モデルが14万6,520円で、現在は公式サイト上で先行予約販売第2弾を受け付け中だ。用途を選ばず活用できることから、モバイルPC好きならずとも広くオススメしたい。