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12万円前後で25時間駆動!? マウスのビジネスモバイルノート「MousePro NB4」を試す

14型液晶を搭載するマウスコンピューターの「MousePro NB4」

 「ビジネス向けのノートPC」というと、洗練されていないデザインで重く、基本スペックやバッテリ駆動時間はあまり重視されていない普及型のノートPCを想像するユーザーは多いだろう。しかしマウスコンピューターが1月8日に発売した「MousePro NB4」シリーズは、そうした先入観を大きく覆す、優れたモバイルノートPCだ。

 14型サイズながら超薄型で、最新世代の4コアCPUを搭載するにもかかわらず、重さは約1.1kgと軽量。モバイルノートPCを活用する上では非常に重要なバッテリ駆動時間は、なんと約25時間にも達するにもかかわらず、12万円前後から購入できるというから驚きだ。

大きめの14型液晶を搭載、シンプルながら美しいデザイン

 MousePro NB4は、14型の液晶ディスプレイを搭載するモバイルノートPCだ。最近のモバイルノートPCでは、13.3~14型の大きめな液晶パネルを搭載した狭額縁タイプが主流であり、MousePro NB4もその流れに沿ったモバイルノートPCの1つである。

 Windows 10のエディションやストレージの容量、MicrosoftのOfficeの有無などで4モデルをラインナップする。CPUはIntelの第10世代Core iシリーズとなる「Core i5-10210U」、4コア8スレッドに対応する。搭載メモリは8GBだ。

【表1】MousePro NB4の各モデルのスペック
型番MousePro-NB410H-1912MousePro-NB410HMousePro-NB410H-AMousePro-NB410H-S
OSWindows 10 Pro 64bitWindows 10 Pro 64bit(Sモード)
Microsoft OfficeなしMicrosoft Office Personal 2019なし
CPUCore i5-10210U(1.6GHz)
メモリPC4-21300 DDR4 SDRAM 8GB
ストレージSATA SSD 512GBSATA SSD 256GB
ディスプレイ14型(1,920×1,080ドット、非光沢)
通信IEEE 802.11ax、Bluetooth 5.0
主なインターフェイスUSB 3.1 Type-C、USB 3.1、USB 3.0、HDMI、ヘッドフォン/マイク
キーボード日本語キーボード
カメラ100万画素(IRカメラ)
バッテリ駆動時間約25時間
本体サイズ(幅×奥行き×高さ)322×218.2×16.9mm
重量約1.1kg
直販価格‭124,080円‬120,780円142,780円120,780円

 本体素材には、剛性と軽量性を両立できるマグネシウム合金を採用。全体がつや消しのブラックで塗装されており、安っぽさは感じない。金属特有の質感と薄さ、そして深い色味も相まってなかなか美しい。

 天板にはマウスコンピューターのロゴがシルバーで入っている。金属プレートになっていたり、彫り込みが入っていたりするわけではなく、シールのような素材を貼りつけているだけなのはちょっと残念。とはいえシンプルなアイキャッチなので、全体のデザインを損なうことはない。

天板やパームレストにはつや消しのブラックを採用
マウスコンピューターのロゴはシルバー

 本体の幅は322mm、奥行きは218.2mmだ。狭額縁設計を採用していることもあり、14型パネルを搭載しながらもフットプリント自体は13型に近いサイズだ。筆者が利用している同じく14型パネルを搭載するレノボの「ThinkPad T480s」や「ThinkPad T485」と比べると、ひとまわり小さい。

 厚みは16.9mm。実際にスケールを当ててみると、おおむね最厚部の数値と考えて良さそうだった。手前部分が鋭角に切り取られたくさび形のデザインを採用していることもあり、薄さが際立つ。前述のT480sやT485を入れるとキツキツな14型ノートPC用のインナーケース(内寸が365×255×15mm)に入れてもスカスカで、かなり余裕があった。

ThinkPad T480sの上にMousePro NB4を載せたところ
MousePro NB4の液晶パネルの周囲にあるフチはかなりせまい

 重さは1.1kgだ。NECパーソナルコンピュータの「LAVIE Pro Mobile」シリーズ、あるいは富士通クライアントコンピューティングの「LIFEBOOK UH」シリーズのような1kgを大きく切る超軽量モデルというわけではない。とはいえ、さすがにこのくらいなら両手で持ったり小脇に抱えたりすると「軽いなあ」という実感はあるし、ビジネスバッグに入れて持ち歩いても、負担には感じないはずだ。

重さはスペックシートでは約1.1kg、今回の実測値では1.094Kgだった
ACアダプタはかなり小さめなうえに軽いので、いっしょに持ち歩いても苦にならない

 キーボードは一般的な浮き石タイプで、メインキーのキーピッチは19mm。液晶が14型と大きめなこともあり、フルサイズのゆったりしたキーボードで快適にタイピングできる。タッチは柔らかめでストロークは約1.2mm、指先を軽く乗せるだけで軽快にタイプしていける。

 キーボード用のスペースが大きく取られていることもあり、記号キーも含めてほとんどのキーは通常サイズのキートップだ。右下にあるカーソルキーとページアップ、ページダウンキーは細身のタイプだが、後述するタッチパッドのスクロール機能などを使えば、操作性に悩むことはない。

キーボードはキーピッチが19mmの浮き石タイプ

 タッチパッドは実測値で幅107mm、奥行き67mmでクリックボタンを搭載しないタイプ。モバイルノートPCとしてはかなり広く取られており、2本指のスクロール機能などマルチタッチ機能もサポートする。マウスが利用できない状態でも、このマウスパッドだけで十分に操作できるだろう。

タッチパッドはマルチタッチ操作にも対応

 14型の液晶ディスプレイは、スペックに記載はないが視野角が広く、色味の変化が少ないことを考えるとIPSパネルと予想される。発色もよく、デジタルカメラで撮影した花の画像を表示してみたが、赤や緑を美しく表現していた。光の反射が少ない非光沢処理が施されており、外出時でも快適に利用できそうだ。

バッテリテストではなんと18時間以上の好成績を収める

 スペックシート上の数値とはいえ、約25時間ものバッテリ駆動時間に対応するというスタミナ設計に興味があるユーザーは多いだろう。そこで、バッテリ駆動時間やモバイル環境における使い勝手に関するテストをいくつか行なった。

 まずは東北新幹線のシートに設置されている幅44cm(実測値)の簡易テーブルに載せたところ、14型液晶搭載モデルとしてはコンパクトなこともあり、奥行きや幅が足りなくなることはない。しっかりと安定した状態で利用できる。

 左右の空きスペースは約5cmで、左右どちらかに寄せればマウスも使えそうだ。ただ、その状態だと体や腕を片方に向けなければならないので、あまりオススメはできない。マウスパッドの反応や操作性もよいので、普通に簡易机の中央に置いて使いたい。

東北新幹線の簡易テーブルにはちゃんと収まる

 筆者が住む小山市のショッピングセンター「おやまゆうえんハーヴェストウォーク」にあるマクドナルドに設置してあった、幅約45cmの小型テーブルに置くと、使用感としては新幹線の簡易机と同じような印象だった。ただマクドナルドなら座る場所を移動できるため、ノートPCを片方に寄せてマウスを使っても、体に負担は感じない。

マクドナルドの小型テーブルも問題ない

 同じくおやまゆうえんハーヴェストウォークのスターバックスコーヒーには、直径が約42cmの小型丸テーブルがある。これに乗せると左右手前部分がテーブルからわずかにはみだすが、重心部分はちゃんとテーブルの上に乗った状態なので、利用中に不安を感じる場面はなかった。ただ左右どちらに寄せてもマウスを使うのは無理そうだ。

 バッテリ駆動時間については2つのテストを行なった。1つ目は、半日程度の作業を想定したテストだ。まずは満充電状態にして、アクションセンターで「バッテリ節約機能を有効にし、画面の輝度を40に設定する。

 この設定でPCをスリープにして、2時間ほど移動。さらにこの原稿の作成やWebブラウジング、音楽再生などの軽作業を約4時間行なった。最後にスリープ状態で2時間ほど移動して帰宅した時点で、バッテリの残りは82%。いままでテストしてきたモバイルノートPCと比較しても、かなり余裕がある。

 PCMark 10には、軽作業を想定した「MODERN OFFICE」というバッテリ駆動時間のテスト機能がある。これを上記と同じ設定で実行したところ、18時間42分という結果になった。スペック上では10時間を超えるバッテリ駆動時間をサポートするノートPCはいくつも検証しているが、このテストで実際に10時間を超える結果を残したモデルはそうそうない。

PCMarkのバッテリテストでは、なんと18時間を大きく超えるスコアを達成

顔認証機能搭載でセキュリティ面にも配慮

 個人認証機能としては、IRカメラによる顔認証機能を利用できる。液晶パネルの上部にあるカメラを見るだけで、すぐに認証作業が行なわれるため、指紋認証よりもラクにWindows 10へのサインインなどが行なえる。認証の速度も速く、カメラを見るとすぐにサインインできた。

液晶パネルの上にIRカメラを装備
顔認証機能は、[設定]アプリの[アカウント]にある[サインインオプション]から設定する

 ほかの人が周囲にいる状態だと、パスワードによる認証作業の最中にパスワードを盗み見られて不正にアクセスされることもある。しかしMousePro NB4の顔認証機能のような生体認証機能を搭載するノートPCなら、そうした心配はいらない。モバイルノートPCでは、必須とも言える機能だ。

 企業向けのノートPCとして考えると、有線LANポートがないのがちょっと残念だ。ただ、無線LANの最新規格「Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)」に対応しており、無線LANの環境が整っていれば最大で2.4Gbpsの帯域で高速なネットワーク接続が可能。どうしても必要なら、USB接続の低価格な有線LANアダプタを追加すればよいだろう。

左側面には電源コネクタやHDMI、Type-AとType-CのUSB 3.1ポートを1基ずつ装備
右側面には電源ボタンやMicroSDカードスロット、USB 3.0ポートなどを装備

ビジネス向けモバイルノートとしては問題のない性能

 最後に、基本的なベンチマークテストの結果をまとめた。書類作成やWebブラウズなども含めた日常的な作業における指標となるPCMark 10の結果は、Core i5を搭載するミドルレンジのノートPCとしては平均的な数値で、価格相応と言ってよい。

【表2】MousePro NB4のベンチマーク結果
PCMark 10 Extended v2.0.2144
PCMark 10 Extended score2,414
Essentials7,690
App Start-up score10,399
Video Conferencing score6,592
Web Browsing score6,635
Productivity6,368
Spreadsheets score7,467
Writing score5,431
Digital Content Creation2,695
Photo Editing score3,518
Rendering and Visualization score1,613
Video Editting score3,452
Gaming697
Graphics score899
Physics score6,792
Combined score295
PCMark 10 Battery Test v2.0.2144
※アクションセンターの[バッテリー節約機能]を有効、液晶の輝度は40
MODERN OFFICE18時間42分
3DMark v2.11.6846
Time Spy382
Fire Strike879
Sky Diver3,904
CINEBENCH R20.0
CPU1061cb
CPU(Single Core)394cb
CINEBENCH R15.0
CPU5661cb
CPU(Single Core)164cb
CrystalDiskMark 7.0.0g
Q8T1 シーケンシャルリード447.09 MB/s
Q8T1 シーケンシャルライト499.34 MB/s
Q1T1 シーケンシャルリード475.18 MB/s
Q1T1 シーケンシャルライト438.96 MB/s
Q32T16 4Kランダムリード300.65 MB/s
Q32T16 4K ランダムライト350.25 MB/s
Q1T1 4Kランダムリード25.35 MB/s
Q1T1 4K ランダムライト66.18 MB/s
TMPGEnc Video Mastering Works 7
※解像度1,920×1,080ドットでビットレート15~16Mbps、約3分の動画を、H264/AVCとH.265/HEVC形式で圧縮、パラメータは標準のまま変更なし
H.264/AVC8分6秒
H.264/AVC(Quick Sync Video有効)1分5秒
H.265/HEVC14分35秒
H265/HEVC(Quick Sync Video有効)2分7秒

 ただCPUの基本的な処理性能の目安となる「CINEBENCH」の数値は、4コア8スレッド対応のCPUとしてはあまり伸びていない印象がある。テスト中のクロックが2.1GHzにとどまっていたことを考えると、性能の高い冷却装置を搭載できない薄型のノートPCでは仕方のないことではあるのかもしれない。

 とはいえWindows 10やアプリの起動、日常的な操作はキビキビしており、ストレスを感じる場面はない。精細な3Dグラフィックスを多用する最新の3Dゲームでなければ、ほとんどの作業は快適に行なえるはずだ。書類作成や情報収集などの軽作業、動画再生など、多くのユーザーが日常的に行なう作業なら、問題なくこなせるだろう。

 操作性や基本性能に関しては、総じて軽量なビジネスモバイルノートPCの平均的なスペックにとどまってはいる。ただ、そうしたタイプのPCでは、実売価格が20万円前後、あるいはそれ以上であることも多い。

 12万円前後という直販価格でそうした平均的な使い勝手と、外に持ち出しても恥ずかしくないデザイン、そしてモバイルノートPCに重要なあるていどの壊れにくさ、頑強性を実現しているのは、やはりすごいことではないか。

 マウスコンピューターが想定しているビジネスユーザーはもちろん、しっかりとしたモバイルノートPCを利用したいが、高くて手が出ない……という個人ユーザーにもおすすめできるノートPCと言えるだろう。