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社会人ゲーマーの出張用に検討価値あり! 11万円台からのビジネス&ゲーミングノート「IdeaPad L340 ゲーミングエディション」

IdeaPad L340 ゲーミングエディション

社会人PCゲーマーに必要な「出張用ゲーミングノートPC」

 ゲームが趣味という大人も珍しくないこの時代。社会人ゲーマーを悩ませるのが、出張だ。一般的なホテルには、ゲーム機やゲーミングPCは置かれていない。つまり出張中はゲームができない。

 ゲームが趣味ではない人は、「数日ゲームができないから何? 大人なんだし我慢しなよ」と鼻で笑うかもしれない。しかしそれは違う。対戦ゲームに3日触れなければ勘を取り戻すのに1週間はかかると言われるし、オンラインゲームで定期的に起こるイベントには仲間のためにも参加したい。なかには「連続ログイン何日で豪華アイテムプレゼント!」なんていう企画が進行中のこともある。たった1日がゲーマーにとって大きな痛手になり得るのだ。

 社会人ゲーマーは「ゲーム内イベントと重なるので出張しません」とは言えない。ではどうするかと言えば、ゲーム機なりPCなりを持ち込むしかない。ゲーム機ならカバンを大きめにすれば荷物に入るだろうし、今時のホテルならインターネット回線くらいはある。

 ただ、PCゲームはそうもいかない。自宅でハイスペックなデスクトップPCを使っている場合、出張先にPC環境一式を持ち込むのは無理がある。となるとノートPCが要るわけだが、年に数回程度の出張のために高価なハイスペックノートPCを買うのは辛いし、あまり大きな荷物を増やしたくもない。性能もとりあえずゲームが動くくらいで許せる。

 つまり、そこそこのお値段で、それなりにゲームを動かせて、あまりかさばらないノートPCが欲しい。さらに仕事に持ち込んで使えるような外見だとなおよい。出張の頻度や遊んでいるゲームによってもノートPCの需要度は変わるが、多くの社会人PCゲーマーは似たような願望があるのではないかと想像している。

 という前置きのもと、今回はレノボ・ジャパンが発売した「IdeaPad L340 ゲーミングエディション」をレビューする。「IdeaPad」シリーズはゲーミング向けではなく、一般向けのブランド(レノボにはゲーミング向けの「Legion」ブランドがある)だが、本機は単体GPUを追加してゲームも動かせるようにしたもの。ポジション的に「出張用ゲーミングノートPC」にふさわしい製品のはずだ。

11万円台からスタートのゲーミングノート、Officeも選択可能

 今回お借りした「IdeaPad L340 ゲーミングエディション」のスペックは下記のとおり。

【表1】IdeaPad L340 ゲーミングエディション
CPUCore i7-9750H(6コア/12スレッド、2.6~4.5GHz)
GPUGeForce GTX 1650(4GB GDDR5)
チップセットIntel HM370
メモリ16GB DDR4-2400(16GB×1)
HDD1TB + Intel Optaneメモリー(16GB、M.2 NVMe)
光学ドライブ-
ディスプレイ15.6型非光沢液晶(TNパネル)
解像度1,920×1,080ドット
OSWindows 10 Home 64bit
汎用ポートUSB 3.0×3(うちType-C×1)
カードリーダ-
映像出力HDMI
無線機能IEEE 802.11ac、Blunetooth 4.2
有線LANGigabit Ethernet
その他720pカメラ(プライバシーシャッター付き)、音声入出力など
本体サイズ(幅×奥行き×高さ)約363×254.6×23.9mm
重量約2.19kg
付属ソフトMicrosoft Office Home & Business 2019
店頭予想価格169,800円(税別)

 スペックの違いとMicrosoft Officeの有無により複数のモデルがあり、今回試用しているものは最上位モデルとなる。最下位モデルでは、CPUがCore i5-9500H(4コア/8スレッド、2.4~4.1GHz)、GPUがGeForce GTX 1050(3GB GDDR5)、メインメモリが8GB、Microsoft Officeなしに変更され、店頭予想価格は114,800円(税別)となる。なお量販店での販売となるため、ポイント還元などで実質的にはもう少し安価に購入できる。

 仕事と遊びの両方に使いたいPCとして考えると、最下位モデルでも4コアのCPUや8GBのメインメモリを搭載しているので、ビジネスユースで困ることはまずないだろう。スペック的に気にするべきはゲーミング性能で、価格や遊ぶゲームと相談して好みのスペックを選ぶことになる。

 となるとビジネスユースを考えた時に気になるのは、性能より外見だ。性能面の話はいったん置いておき、先に外見と使い勝手を見ていきたい。

落ち着いた外見はビジネス向け。各所の独特な仕様は把握しておきたい

落ち着いた外見からはゲーミングPCっぽさは感じられない

 本機の本体カラーはブラックのみの展開。天板はヘアライン加工されており、控えめな光沢がある。青地のLenovoのロゴが端に1つあるだけで、印象としてはかなり落ち着いている。これを見てゲーミングPCだと思う人はまずいないだろう。元々が一般向けの「IdeaPad」ブランドである意味はここにある。

 本体サイズは15.6型にしてはコンパクト。一昔前は15.6型というと結構な存在感のあるサイズだったが、液晶が狭額縁のおかげでずいぶんおとなしい印象になった。厚さはそこそこあり、重さも2kgを超えるので、モバイルPCとは比べられないものの、普段使いのビジネスPCとして無理のない大きさだと思う。

 筐体は液晶を開いて見える部分もブラックで統一されている。アイソレーションタイプのキーボードは文字などが水色で書かれているが、さほど主張が強い色合いでもない。キーボードはバックライトを搭載しており、Fn+スペースキーでバックライトオフと2段階の明るさ調整もできる。

キーボードはバックライト搭載。テンキーやファンクションキーが特殊

 キータッチはゴムのボタンを押すようなクリック感があり、メリハリのある手ごたえながらタイピング音はかなり静か。ただ筐体がコンパクトになった弊害というべきか、右側に配置されたテンキー周辺は縦長の形状になっている。また上部のファンクションキーは、キートップの絵柄で示される機能(ボリュームや画面の明るさ調整など)が標準機能となっており、F1~F12キーを使うにはFnキーと同時押しが必要。ファンクションキーをよく使う人は注意が必要だ。

 液晶はTNパネルで、視野角にやや難がある。特に上下方向の色相反転が出やすく、画面を近くで見ると色ムラを感じやすい。ただTNパネルは一般的に応答速度が速いので、ゲームには適しているという見方もできる。ちなみに液晶部分は水平に近いほぼ180度まで開くことができる。全開にすることは少ないと思うが、可動域が広いのは使い勝手がいい。

15.6型の液晶は狭額縁で、本体サイズはコンパクトにまとまっている
液晶パネルの視野角はやや狭く、近くで見ると色相が変化しやすい
液晶部分はほぼ180度開く

 拡張端子は全て本体左側に配置されているのがユニーク。電源、3つのUSB、HDMI、有線LAN、マイク・ヘッドフォンコンボの端子が全て左側にある。さらに電源ランプも左側にあり(キーボード右上部にある電源ボタンにも電源ランプがある)、右側にはセキュリティキーホールがあるだけ。筆者はマウスなどのUSBデバイスを使う際、ケーブルや端子の出っ張りが邪魔にならないよう左側の端子を使うので、ゲーマー的には好印象の仕様だ。

左側面に全ての端子類が集約されている
右側面はセキュリティキーホールとスピーカーが見えるのみ
前面には何の機能もない

 あと細かい点だが、ディスプレイの上部に内蔵されているWebカメラには物理シャッターが付いている。ハッキングを含め、思わぬ時にWebカメラが使われることがないよう、普段は物理的に閉じておけるというのは安心感がある。

Webカメラは上部にスイッチがあり、シャッターで物理的に閉じられる

フルHDなら十分遊べる性能。VRにも対応可能

 続いてはゲームプレイに関わる性能面を見るため、各種ベンチマークソフトのスコアをチェックする。利用したのは、「PCMark 10 v2.0.2115」、「3DMark v2.8.6578」、「VRMark v1.3.2020」、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」、「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」、「World of Tanks enCore」、「ファンタシースターオンライン2 キャラクタークリエイト体験版 EPISODE4」、「CINEBENCH R20」、「CrystalDiskMark 6.0.2」、「BBench」。

 結果を見ると、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」ではフルHDでも「普通」のスコアが出ているが、その他のテストでは十分快適なスコアが出ている。最新のゲームを高画質で見ようとしない限りは十分な性能があると言っていい。ただ4Kの外部ディスプレイにつないでゲームをプレイするというのは少々厳しそうに思える。またVRも「VR Ready PC」のターゲットスコアとほぼ同等で、一応動かせる程度のスペックがあると言える。

 なお「VRMark v1.3.2020」の「Cyan Room」において、通常の設定ではGeForce側のGPUを使用せずスコアが悪かったため、NVIDIAコントロールパネルで「高パフォーマンスNVIDIA プロセッサ」を優先的に使用する設定に変更した上で再テストしている。単体GPUを搭載したノートPCでは、GPUの切り替えがうまく働かないのはよくあることなので、他の3Dアプリでも妙にパフォーマンスが悪いと感じた時は、この設定を確認するといい。

【表2】ベンチマークスコア
「PCMark 10 v2.0.2115」
Essentials8,294
Apps Start-up score9,997
Video Conferencing Score7,039
Web Browsing Score8,110
Productivity6,772
Spreadsheets Score8,839
Writing Score5,189
Digital Content Creation5,407
Photo Editing Score7,068
Rendering and Visualization Score6,525
Video Editing Score3,428
「3DMark v2.8.6578 - Time Spy」
Score3,703
Graphics score3,520
CPU test5.261
「3DMark v2.8.6578 - Fire Strike」
Score8,121
Graphics score9,077
Physics score14,954
Combined score3,282
「3DMark v2.8.6578 - Night Raid」
Score27,174
Graphics score42,228
CPU score8,998
「3DMark v2.8.6578 - Sky Diver」
Score24,413
Graphics score32,036
Physics score12,465
Combined score18,128
「3DMark v2.8.6578 - Cloud Gate」
Score27,657
Graphics score56,836
Physics score9,889
「3DMark v2.8.6578 - Ice Storm Extreme」
Score73,728
Graphics score81,304
Physics score55,597
「VRMark v1.3.2020 - Orange Room」
Score4,765
Average frame rate103.87fps
「VRMark v1.3.2020 - Cyan Room」
Score3,540
Average frame rate77.17fps
「VRMark v1.3.2020 - Blue Room」
Score1,072
Average frame rate23.37fps
「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」(高品質)
3,840×2,160ドット1,471
1,920×1,080ドット3,880
「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」(最高品質)
1,920×1,080ドット8,849
「World of Tanks enCore」(超高)
1,920×1,080ドット12,492
「ファンタシースターオンライン2 キャラクタークリエイト体験版 EPISODE4」(簡易設定6)
1,920×1,080ドット17,022
「CINEBENCH R20」
CPU2,197cb
CPU(Single Core)453cb

 ストレージは「CrystalDiskMark 6.0.2」で計測した。ストレージのモデルはOS上からは「Intel Optane+932GBHDD」という表示で確認できないが、UEFIからWestern Digital製HDD「WD10SPZX」と、インテルOptaneメモリー「MEMPEK1J016GAL」が搭載されているのを確認できた。

 ベンチマークの結果は、リードで1GB/s近い値が出るなど、HDD単体をはるかに超える優秀なスコアが出ている。実際に使用していてもOSの起動が早いなど、SSDに迫る快適さが感じられる。

 バッテリー持続時間は「BBench」で測定。ディスプレイの明るさ40%の状態で、キーストロークとWeb巡回あり(Wi-Fi接続)で約6時間10分、「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」をループで動かしたときには約1時間32分動作した(NVIDIA Battery Boostはオフ)。ゲームプレイ時はやはりACアダプタが必要になるが、ビジネスユースなら長時間の利用にも耐えられる。

排熱処理にはやや難があるが、時々持ち出す2台目のPCとして魅力的

 次はゲーミングPC視点での使用感をお伝えしていく。まず騒音・発熱については、アイドル時にはほぼ無音で駆動する。ビジネスワークで騒音や排熱に困らされることはなさそうだ。

 ではゲームなどの高負荷時にはどうか。エアフローは底面吸気、背面排気となっており、高負荷時にはかなり高回転でファンが回る高い音がする。ただ音量はそれほど大きくはなく、ゲームの音を出してしまえば許せる程度ではある。

 排熱はディスプレイのつなぎ目部分からディスプレイに沿って排気されるような流れになっている。下部から上に噴き出すような流れになっている。そのためディスプレイ下部はかなり熱くなるが、普通は触れる必要のない場所なので問題ない。しかしキーボードの中段から下段にかけても熱が伝わっており、かなり温かくなる。長時間のゲームプレイで気になる人は多いだろう。

背面には何もないように見えるが、ディスプレイのつなぎ目部分に排気口がある
吸気口は底面にある
ACアダプタは135W出力で、重量はケーブル込みで約600g

 サウンドは本体左右に小型スピーカーが内蔵されている。サイズ的に低音は弱いものの、高音は耳障りにならない程度にうまく出ており、人の声もよく通る音質にチューニングされている。サラウンド感もうまく出ていて、このサイズのノートPCとしては十分満足のいくレベルだ。特に音にこだわるゲームでなければヘッドフォンなしでも構わないと思う。

 先に述べたビジネスユースでの視点も含めて本機を総合的に評価すると、液晶と排熱処理に弱点があるため、普段使いのメインPCとしてはあまり向かない。ゲーミングノートPCはこれ1台で全部済ませたいという人もいると思うが、それならせめて液晶はもう少しこだわった方がいいし、キートップへの熱伝導がもっと少ないものを選んだほうが幸せだと思う。

 ただ、2台目のPCとして持つ前提ならば話は変わる。自宅やオフィスには別にメインとなるPCがあり、外出先や出張先でだけ使うのなら、液晶や少々の発熱は妥協できる。ゲーミングPCとしての性能を妥協しすぎると使い物にならないが、本機は今時のゲームが普通に動かせる程度の性能はあるので問題はないだろう。価格も最新のCPUとGPUを搭載したマシンとしては安価な部類だ。

 本機は誰にでもおすすめできるとはいえないが、「時々持ち出すゲーミングPCを、なるべく安価に手に入れたい」という人には、かなり有力な選択肢になり得る。出張用にもう1台欲しいと思っている社会人ゲーマーは、ぜひ本機をチェックしてみていただきたい。