Hothotレビュー
Alexaスマートディスプレイに合体変身するレノボ製Androidタブを試す
2019年3月7日 11:00
レノボ・ジャパンは1月25日、Alexa搭載スマートディスプレイとして利用可能な10.1型Androidタブレット「Lenovo Smart Tab P10 with Amazon Alexa」を発売した。
本製品はタブレット部「Smart Tab P10」とドッキングステーション部「Smart Dock」がセットになっており、単独ではAndroidタブレットとして、合体するとAlexa搭載スマートディスプレイとして利用可能となる。今回本製品の実機をレノボ・ジャパンより借用したので、スマートディスプレイとAndroidタブレットの両側面からレビューしていこう。
タブレット部は割り切った仕様かと思いきや、指紋センサーなど装備は充実
Smart Tab P10は、OSに「Android 8.1」、SoCに「Qualcomm Snapdragon 450(オクタコア、1.80GHz)」を採用。メモリは4GB(LPDDR3)、ストレージは64GBを内蔵しており、最大256GBのmicroSDカードを増設可能だ。ディスプレイは10点マルチタッチ対応の10.1型ワイドIPS液晶(1,920×1,200ドット)を搭載している。
ドッキングステーションと合体することを前提にしているので、タブレット部は割り切った仕様かと思いきや、指紋認証センサーを搭載し、背面800万画素(オートフォーカス、F値2.2、LEDフラッシュ)、前面500万画素(固定焦点、F値2.2)のカメラを採用。またドルビーアトモスに対応した4つのスピーカーが内蔵されている。
通信機能はIEEE 802.11ac、Bluetooth v4.2に対応しているが、用意されているのはWi-Fiモデルのみ。LTEモデルはラインナップされていない。
インターフェイスはUSB 2.0 Type-C(OTG対応)、ヘッドセットジャックに加えて、ドッキングステーションとの接続に利用する「スマートコネクター」を備えている。このスマートコネクターは2つの金属接点で接続される仕様で充電専用。Smart Tab P10とSmart Dockは物理的に合体するが、Bluetooth経由で通信する。
Smart Tab P10のサイズ/重量は約242×167×7mm(幅×奥行き×高さ)/約440g、Smart Dockは約283.6×65.5×50mm(同)/約520g。7,000mAhのリチウムイオンポリマーバッテリを内蔵しており、Smart Dockに接続した状態でのバッテリ充電時間は約5時間、単体でのバッテリ駆動時間は約10時間とされている。
本体は金属筐体で、ディスプレイ面、背面は強化ガラスで保護されている。「オーロラブラック」と名付けられたカラーは虹のような模様が浮かび上がって、なかなか美しい。価格以上の質感を備えていると言える。
【表1】Lenovo Smart Tab P10 with Amazon Alexa本体のスペック | |
---|---|
型番 | ZA440158JP |
OS | Android 8.1 |
プロセッサー | Qualcomm Snapdragon 450(オクタコア、1.8GHz) |
メモリ | 4GB LPDDR3 |
拡張スロット | microSDメモリーカード(最大256GBに対応) |
ストレージ | 64GB |
ディスプレイ | 10.1型ワイドIPS液晶(1,920×1,200ドット、10点マルチタッチ対応) |
インターフェイス | USB 2.0 Type-C(OTG対応)、ヘッドセットジャック、スマートコネクター(充電機能付き) |
ネットワーク | IEEE 802.11ac無線LAN、Bluetooth 4.2 |
オーディオ | スピーカー×4(ドルビーアトモス対応) |
カメラ | 背面800万画素(オートフォーカス、F値2.2、LEDフラッシュ)、前面500万画素(固定焦点、F値2.2) |
ボタン類 | 電源ボタン、ボリュームボタン |
セキュリティ | 指紋認証センサー |
センサー | 加速度センサー、光センサー、GPS、GLONASS |
バッテリ | リチウムイオンポリマーバッテリ(7,000mAh) |
バッテリ駆動時間 | 約10時間 |
バッテリ充電時間 | 約5時間(Smart Dock使用時) |
カラー | オーロラブラック |
サイズ(幅×奥行き×高さ) | 約242×167×7mm |
重量 | 約440g |
付属品 | Smart Dock、Smart Dock電源アダプタ、USB Type-Cケーブル、microSDカード取り出しツール、マニュアル類 |
直販価格 | 32,270円 |
【表2】Lenovo Smart Dockのスペック | |
---|---|
オーディオ | スピーカー(3W)×2、マイク×3 |
ネットワーク | Bluetooth v4.2 |
ボタン類 | Bluetoothボタン、ボリュームボタン、マイクオン/オフボタン |
インターフェイス | 電源コネクタ、スマートコネクター(充電機能付き) |
サイズ | 約283.6×65.5×50mm(幅×奥行き×高さ) |
重量 | 約520g |
GoogleとAlexaのアカウント、アクセス権限付与と設定が多い
セットアップは長め。まずSmart Tab P10でAndoirdタブレットとしての設定を済ませたのちに、Alexaを使うためにAmazonアカウントでサインインする。
その後Smart Tab P10をSmart Dockに乗せて、Alexaに対して「ファイルへのアクセス」、「カメラ」、「場所」、「マイク」に対する権限を付与する。つぎに、製品発売後にソフトウェアアップデートが提供されているので、「Amazon Alexa – Show Mode for Lenovo」と「Smart Dock Firmware Updater」を適用する。最後にSmart Tab P10とSmart DockのBluetooth経由でのペアリングを済ませれば設定完了だ。
PC Watch読者の皆様であればセットアップで詰まることはない。また、本製品の設定ができない方であれば、そもそもAmazonのEchoシリーズもセットアップは困難だ。しかし、GoogleとAlexaのアカウント、アクセス権限付与と設定項目が多いの仕方ないが、もう少しセットアップのステップ数を減らしてほしいと思う。
遠く離れた場所からでも音声を正確に認識、サウンド品質も期待以上
Smart Tab P10をSmart Dockに装着すると、Androidタブレットモードから「Showモード」に切り替わり、Amazon純正「Echo Show」と同等のAlexa搭載スマートディスプレイとして利用可能となる。
Smart Dock上部には3つのマイクが搭載されており、正確に声を認識するように設計されている。実際、本製品を設置している場所から7mぐらい離れても、室内で目の前の人と話す程度の声で正確に認識された。
音楽を最大音量で再生しているときはさすがに音声を認識できないが、それはEcho Showなどでも同じ。音楽を75%のボリュームで再生しているときは声を張れば、50%のボリュームで再生しているときは普通の声で認識するので実用上問題はない。
ディスプレイの輝度、色域、コントラスト比などは公表されていないが、明るさは十分で発色も鮮やかだ。筆者の画質チェック用の画像を見てみても、赤、緑のグラデーションが綺麗に描き出されていた。10.1型HD(1,280×800ドット)液晶を搭載するEcho Showよりも、同じディスプレイサイズで解像度は1,920×1,200ドットと高いので、「Amazon Prime Video」などの映像コンテンツも高精細に鑑賞できる。
サウンドのボリュームは十分。Smart Dockに搭載されているスピーカーは、レノボが設計し、ドルビーがチューニングしたとのことだが、3W×2のスピーカーとしてはなかなか伸びやかなサウンドを聴かせてくれる。筐体の大きなEcho Showと比べると低音が弱いが、個人的には好みの範疇だと思う。
もちろん、物理的なサイズが小さいのでオーディオコンポレベルの音質、音量ではない。しかしタブレット端末やノートPCなどと比べれば、段違いに迫力のあるサウンドを楽しませてくれると言える。
カメラのスペックは、背面800万画素(オートフォーカス、F値2.2、LEDフラッシュ)、前面500万画素(固定焦点、F値2.2)とややレンズが暗いのが気になるが、一定の光量がある状況なら同じ価格帯のスマートフォンと比べても遜色のない品質で撮影できる。Smart Tab P10で実際にテスト撮影したので、下に掲載した画像で画質を確認してほしい。
Androidタブレットとしての性能は?
最後にベンチマークスコアを見てみよう。今回は総合ベンチマーク「AnTuTu Benchmark v7.1.5」、CPU/グラフィックスベンチマーク「Geekbench 4.3.2」、3Dベンチマーク「3DMark 2.0.4589 Sling Shot Extreme」を実施した。
比較対象機種としては「Pixel 3 XL」を使用している。価格もスペックも大きく異なる両機種だが、現行のフラグシップクラスのスマートフォンと比べて、Smart Tab P10がどの程度の性能を備えているのかという視点からご覧いただければと思う。
下記が検証機のおもな仕様とその結果だ。
【表3】検証機の仕様 | ||
---|---|---|
Smart Tab P10 | Pixel 3 XL | |
OS | Android 8.1 | Android 9 |
SoC | Snapdragon 450 | Snapdragon 845 |
メモリ | 4GB | 4GB |
ストレージ | 64GB | 64GB |
ディスプレイ | 1,920×1200ドット | 2960×1,440ドット |
【表4】ベンチマーク結果 | ||
---|---|---|
Smart Tab P10 | Pixel 3 XL | |
AnTuTu Benchmark v7.1.5 | ||
Total | 71,784 | 284,326 |
CPU | 34,057 | 90,067 |
GPU | 12,058 | 123,280 |
UX | 20,799 | 57,699 |
MEM | 4,870 | 13,280 |
Geekbench 4.3.2 | ||
Single-Core Score | 775 | 2,387 |
Multi-Core Score | 3,928 | 8,395 |
Compute | 3,349 | 13,405 |
3DMark 2.0.4589 Sling Shot Extreme - OpenGL ES 3.1 | ||
Overall score | 442 | 4,668 |
Graphics score | 363 | 5,101 |
Physics score | 1,829 | 3,598 |
3DMark 2.0.4589 Sling Shot Extreme - Vulkan | ||
Overall score | 487 | 4,194 |
Graphics score | 399 | 4,726 |
Physics score | 2,108 | 3,008 |
Smart Tab P10がエントリー向けSoC「Snapdragon 450」、Pixel 3 XLがハイエンド向けSoC「Snapdragon 845」を搭載しているだけにその差は大きい。Smart Tab P10はPixel 3 XL に対して、AnTuTu BenchmarkのCPUでは38%、GeekbenchのMulti-Core Scoreでは47%のスコアということになる。
そしてAnTuTu Benchmarkのトータルスコアでは25%に落ち込み、3DMarkの総合性能ではOpenGL ES 3.1で9%、Vulkanで12%にまで性能差が開く。実際、バトルロイヤルゲーム「PUBG」をインストールしてみたが、デバイス負荷がもっとも低い「快適画質」に設定された。
しかし、Alexa搭載スマートディスプレイとしての動作にもたつきはないし、Webブラウジング、動画鑑賞などで気になる遅延はない。PUBGだって多少ちらつくことはあるものの、「快適画質」に設定していれば十分プレイ可能だ。本格3Dゲームや、重たいアプリでは起動で待たされることはあるが、一般的な用途であればSmart Tab P10を使っていてストレスは少ないというのが率直な感想だ。
Alexa搭載スマートディスプレイとAndroidタブの両方をゲットしたい方にオススメ
「Echo Spot」やEcho ShowなどのAlexa搭載スマートディスプレイは基本的に据え置き型。バッテリも内蔵していないので、ACアダプタごと移動しないかぎり設置場所以外では利用できない。その点「Lenovo Smart Tab P10 with Amazon Alexa」は普段決まった場所に設置しておいて、ほかの部屋や屋外でも利用できるというメリットがある。かぎられた予算でAlexa搭載スマートディスプレイとAndroid端末の両方をゲットしたいという方にはもってこいの製品だ。