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6コアの第8世代Coreを搭載したクリエイター向けPC「DAIV-DGZ520H2-SH5」レビュー

マウスコンピューター「DAIV-DGZ520H2-SH5」。直販価格は249,800円

 マウスコンピューター株式会社は、クリエイター向けパソコンブランド「DAIV」より、第8世代(Coffe Lake世代)の6コア12スレッドのCPU、Core i7-8700Kを搭載可能なハイスペックデスクトップPC「DAIV-DGZ520シリーズ」を10月11日に発表、10月13日に販売を開始した。

 本シリーズは上位モデルのビデオカードとしてGeForce GTX 1080 Tiが組み合わされており、高いCPU、GPUパワーを必要とするRAWデータ現像、4K動画書き出しなどに適したクリエイター向けPCとして企画されている。

 今回マウスコンピューターより上位モデルの「DAIV-DGZ520H2-SH5」を借用した。本製品の詳細スペック、使い勝手、性能などについてレビューしていこう。

標準構成モデルとしては7モデルを用意

 「DAIV-DGZ520シリーズ」には、標準構成モデルとして下記の7モデルが用意されている。大きく異なるのはCPU、メモリ、ストレージ、GPUの組み合わせ。また全モデルに共通して有線のキーボード、マウスが同梱されているが、最上位モデル「DAIV-DGZ520H1-M2SH5」のみ、ワイヤレスマウス「Logicool ワイヤレス サイレント マウス M590GT」、バックライト搭載有線キーボード「Logicool Illuminated Keyboard K740」が採用されている。

【表1】DAIV-DGZ520シリーズ ラインナップ
モデル名価格CPUメモリM.2 SSDSSDHDDGPU
DAIV-DGZ520E1-SH119,800円Core i5-84008GB120GB1TBGeForce GTX 1050 (2GB)
DAIV-DGZ520E2-SH2-CS16GB240GB2TB
DAIV-DGZ520M1-SH5-CS169,800円Core i7-8700K32GB480GB3TB
DAIV-DGZ520S1-SH2149,800円16GB240GB2TBGeForce GTX 1060 (3GB)
DAIV-DGZ520H1-SH5219,800円480GBGeForce GTX 1080 (8GB)
DAIV-DGZ520H2-SH5249,800円32GB3TBGeForce GTX 1080 Ti (11GB)
DAIV-DGZ520H1-M2SH5299,800円64GB512GB

 もちろん購入時にカスタマイズ可能。CPU、CPUファン、CPUグリス、メモリ(最大64GB)、M.2 SSD(最大1TB)、SSD(最大2TB)、HDD(最大8TB)、セカンドHDD(最大4TB)、ビデオカード、光学ドライブ、カードリーダなどきめ細かに選択できる。

 なお、カスタマイズ時に注意してほしいのがビデオカードの選択。たとえば最廉価モデル「DAIV-DGZ520E1-SH」では、ビデオカードは「GeForce GTX1050(2GB)」または「GeForce GTX1060(3GB)」しか選べない。まず必要な性能を備えたビデオカードを搭載したモデルを選んでから、その後メモリ、ストレージなどをカスタマイズしていこう。

M.2 SSDを選択したさいには、放熱性を向上させる「M.2シールド」(500円)を装着できる。マウスコンピューターによれば、このパーツを装着することにより動作温度を5℃低減させられるとのこと

必要十分なインターフェイスを搭載、USB Type-Cが用意されない点は残念

 クリエイター向けに開発された「DAIV-DGZ520シリーズ」は、スタジオ内での移動を想定し、持ち上げやすい大型ハンドルを上部に装備。ハンドル部は持ち上げたさいの荷重に耐えられるように板金補強されているので、PC本体の重さを気にせず持ち上げられる。

 もし頻繁にPCを移動するなら、カスタマイズ時にキャスターを選択しよう。シャーシ後方下部にキャスターが設置されるので、シャーシ前方を持ち上げるだけでスムーズに移動できる。このキャスターはプラス900円で装着可能だ。

 インターフェイスは前面にマイク入力、ヘッドフォン出力、USB 3.0 Type-A×2(常時給電対応)、背面にPS/2、USB 3.1 Type-A×2、USB 3.0 Type-A×4、Gigabit Ethernet、DisplayPort×3、HDMI、音声入出力端子を用意。シャットダウン中にも充電したいUSB機器は前面のUSB 3.0 Type-A、高い転送速度が必要な外部ストレージは背面のUSB 3.1 Type-A×2を利用するといい。

 残念なのがUSB Type-C端子が用意されていないこと。ノートPCではUSB Type-C端子搭載モデルが主流となり、対応周辺機器も増えている。アダプタなしに対応周辺機器を利用できるように、次期モデルではぜひUSB Type-C端子を搭載してほしいところだ。

 今回借用した「DAIV-DGZ520H2-SH5」には、付属品としてUSB日本語キーボード(102キー)、USB光学式スクロールマウス、DVI-HDMI変換アダプタが同梱されていた。このキーボード、マウスの使い勝手は決して悪くはないが、クリエイター向けPCとセットで使うにはミスマッチの感は否めない。価格が下がることはないが、不必要ならカスタマイズ時にキーボードなし、マウスなしを選択しよう。

本体前面
本体背面
本体右側面
本体左側面。ビデオカード付近に冷却口が設けられている
マグネット式の着脱型フロントパネルをはずすと、5インチオープンベイ×3、3.5インチオープンベイ×1が現われる
左からマイク入力、ヘッドフォン出力、USB 3.0 Type-A×2(常時給電対応)、アクセスランプ、電源ランプ、電源スイッチが並ぶ。電源スイッチはクリックするまで右に回転させるとオン/オフできる
背面には、PS/2、USB 3.1 Type-A×2、USB 3.0 Type-A×4、Gigabit Ethernet、DisplayPort×3、HDMI、音声入出力端子が用意されている
本体同梱品。左上からUSB日本語キーボード(102キー)、USB光学式スクロールマウス、電源ケーブル(150cm)、DVI-HDMI変換アダプタ、製品仕様書、ファーストステップガイド、マウスコンピューターサポートマニュアル、インテル特典引き換えシリアルカード、U-NEXTプレミアム特典チケットが同梱されている
USB日本語キーボード(102キー)。角度調整機構付き。ケーブル長は実測約145cm
USB光学式スクロールマウス。ケーブル長は実測約150cm
DVI-HDMI変換アダプタ

標準的な拡張性、しかし拡張カード増設はやや面倒

 本製品に搭載されているマザーボードはIntel Z370チップセットを採用したMSI製。借用機の「DAIV-DGZ520H2-SH5」はメモリを32GB搭載しているが、4スロットに8GBを4枚挿しているので、メモリを増設するさいには丸ごと換装が必要だ。

 ストレージを増設するさいには、M.2スロット接続、またはSATA 6bps接続のいずれかを選べる。拡張ストレージベイは、5インチオープンベイ×3、3.5インチオープンベイ×1、3.5インチシャドウベイ×5(内2つは使用済み)と豊富に用意されている。

 ストレージ増設の難易度は高くないが、可搬性やエアフローを考慮して電源ケーブルが結束バンドでまとめられており、またSATAケーブルも本製品には付属していない。ストレージ増設時にはSATAケーブルを別途購入するのを忘れないようにしておこう。

 拡張スロットはPCI Express x16を2基(うち1基はx4動作)、PCI Express x1を4基搭載している。しかし、CPU用電源ケーブルが拡張スロットの上をまたいだうえで、ビデオカードがそのケーブルの上に固定されているので、拡張カードを増設しにくい。いったんビデオカードを抜いて配線し直すことになるかもしれない。

本体左側面内部。Intel Z370チップセットを搭載したMSI製マザーボードを採用
本体右側面。メンテナンス性を重視して、ケーブルは裏配線されていない
CPUファンはCooler Master製「CM12V」を使用。7,800円で水冷CPUクーラーに変更可能だ。メモリタイプはPC4-19200 DDR4で、スロット数は4つ。交換が必要だが、メモリは最大64GBまで搭載できる
ビデオカードはMSI製「GeForce GTX 1080 Ti(11GB)」を搭載
拡張スロットはPCI Express×16を2基(うち1基は×4動作)、PCI Express ×1を4基搭載。CPU用電源ケーブルが邪魔になって拡張カードを挿しにくい
M.2 SSD用スロットが1基用意されている
借用機は、SSDにADATA Technology製「ASU800SS-480GT-B」、HDDにシーゲート製「ST3000DM008-2DM166」が搭載されていた
標準搭載されている電源は700W仕様(80PLUS BRONZE)。プラス5,800円で700W仕様(80PLUS GOLD)、プラス13,800円で1,200W仕様(80PLUS GOLD)に変更可能だ

第8世代6コア12スレッドCPUの性能を存分に発揮

 最後にベンチマークのスコアを見てみよう。今回は下記のベンチマークを実施している。

・総合ベンチマーク「PCMark 10 v1.0.1403」
・総合ベンチマーク「PCMark 8 v2.7.613」
・総合ベンチマーク「PCMark 7 v1.4.0」
・3Dベンチマーク「3DMark v2.4.3819」
・CPU、OpenCLのベンチマーク「Geekbench 4.2.0」
・CPUのベンチマーク「Geekbench 3.4.1」
・CPU、OpenGLのベンチマーク「CINEBENCH R15」
・ゲーミングPCベンチマーク「モンスターハンターフロンティアベンチマーク大討伐」
・ゲーミングPCベンチマーク「ドラゴンクエストX ベンチマークソフト」
・ゲーミングPCベンチマーク「ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク」
・ゲーミングPCベンチマーク「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」
・ストレージベンチマーク「CrystalDiskMark 6.0.0」
・「Adobe Photoshop Lightroom CC」RAW画像の現像時間を計測
・「Adobe Premiere Pro CC」フルHD動画の書き出し時間を計測
・「Adobe Premiere Pro CC」4K動画の書き出し時間を計測
・「Adobe Premiere Pro CC」4K動画の書き出し時間を計測(Cinegy Daniel2 Adobe Plugin)

 なお比較対象機種としてマウスコンピューターの「DAIV-DGZ500S1-RAW」のスコアも掲載した。第6世代(Skylake世代)のプロセッサー「Core i7-6700」を搭載したモデルだが、販売が開始されたのは2016年4月6日。同じ「DAIV」ブランドのクリエイター向けPCが、約1年と7カ月後にどのくらい性能向上したのか参考にしてほしい。

【表2】検証機の仕様
DAIV-DGZ520H2-SH5DAIV-DGZ500S1-RAW
CPUCore i7-8700K(3.7~4.7GHz)Core i7-6700(3.4~4GHz)
GPUGeForce GTX 1080 Ti(11GB)GeForce GTX 950(2GB)
メモリPC4-19200 DDR4 SDRAM 32GBPC4-17000 DDR4 SDRAM 16GB
ストレージ480GB SSD(Serial ATA 6Gbps)、3TB HDD(Serial ATA 6Gbps)240GB SSD(Serial ATA 6Gbps)、2TB HDD(SerialATA 6Gbps)
OSWindows 10 Home 64bit
【表3】ベンチマーク結果
PCMark 10 v1.0.1403
PCMark 10 Score6422
Essentials9809
App Start-up Score12253
Video Conferencing Score8445
Web Browsing Score9123
Productivity8049
Spreadsheets Score9916
Writing Score6535
Digital Content Creation9102
Photo Editing Score10232
Rendering and Visualization Score12640
Video Editting Score5832
PCMark 8 v2.7.613
Home Accelarated 3.050374588
Creative Accelarated 3.093105940
Work Accelarated 2.050685256
Storage4849
PCMark 7 v1.4.0
PCMark score72026640
3DMark v2.4.3819
Time Spy9272
Fire Strike Ultra67141041
Fire Strike Extreme129912911
Fire Strike225235750
Sky Diver4711718663
Cloud Gate4312422246
Ice Storm Extreme176716125072
Ice Storm194255148374
CINEBENCH R15
OpenGL155.25 fps112.11 fps
CPU1406 cb730 cb
CPU(Single Core)199 cb
Geekbench 4.2.0
32-bit Single-Core Score5174
32-bit Multi-Core Score23827
64-bit Single-Core Score5810
64-bit Multi-Core Score25138
OpenCL216691
CUDA224835
Geekbench 3.4.1 Intel(32-bit)
Single-Core Score46484046
Single-Core Score Integer47284056
Single-Core Score Floating Point46263938
Single-Core Score Memory45344244
Multi-Core Score2520715265
Multi-Core Score Integer2813717236
Multi-Core Score Floating Point3237618618
Multi-Core Score Memory50094621
Geekbench 3.4.1 Intel(64-bit)
Single-Core Score48704243
Single-Core Score Integer50404348
Single-Core Score Floating Point48454132
Single-Core Score Memory45844256
Multi-Core Score2593415858
Multi-Core Score Integer2904018156
Multi-Core Score Floating Point3328919178
Multi-Core Score Memory50134625
モンスターハンターフロンティアベンチマーク大討伐.jpg
1,280×720ドット99999(カウンタストップ)25614
ドラゴンクエストX ベンチマークソフト
1,280×720ドット22224
ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク
1,280×720ドット 高品質(ノートPC)25620
1,920×1,080ドット 高品質(ノートPC)25248
1,920×1,080ドット 高品質(デスクトップPC)24270
ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク
1,280×720ドット 高品質(ノートPC)21127
1,920×1,080ドット 高品質(ノートPC)20093
1,920×1,080ドット 高品質(デスクトップPC)18853
SSDをCrystalDiskMark 6.0.0で計測
Q32T1 シーケンシャルリード561.146 MB/s542.547 MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト512.846 MB/s287.601 MB/s
4K Q32T1 ランダムリード323.473 MB/s204.929 MB/s
4K Q32T1 ランダムライト317.898 MB/s173.105 MB/s
4K Q1T1 ランダムリード35.168 MB/s25.943 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト119.633 MB/s81.191 MB/s
Adobe Photoshop Lightroom CCで50枚のRAW画像を現像
4,912×3,264ドット、自動階調1分5秒381分43秒62
Adobe Premiere Pro CCで実時間5分のフルHD動画を書き出し(H.264)
1,920×1,080ドット、30fps2分2秒853分9秒21
Adobe Premiere Pro CCで実時間5分の4K動画を書き出し(H.264)
3,840×2,160ドット、30fps5分56秒36
3,840×2,160ドット、30fps、P in Pを2つ配置7分58秒28
3,840×2,160ドット、30fps、エフェクト適用(自動カラー補正、ポスタリゼーション、レンズフレア)13分26秒08

【お詫びと訂正】初出時にCrystalDiskMarkの結果に誤ったものを掲載しておりました。お詫びして訂正させていただきます。

 「DAIV-DGZ520H2-SH5」が249,800円、「DAIV-DGZ500S1-RAW」が149,800円と両機種には大きな価格差があるが、性能差を考えれば十分納得できるレベルだ。とくにCINEBENCH R15のCPUでは約1.93倍のスコアを記録しており、2世代異なるCPUの性能差が如実に表われている。

 またグラフィックカードのスペックも大幅に差があることから、とくに負荷の高いベンチマークほど大きな性能差が表われている。なかでも3DMark のFire Strike Ultraでは6倍以上の圧倒的な違いだ。

 今回、とくに注目したいのがクリエイター向けアプリケーションの実行速度。5分の4K動画の書き出しにかかった時間はわずか5分56秒36。ぎりぎりではあるが、動画の実時間と同じ分数(ふんすう)で処理を終えている。

 もちろんほかの4K動画をピクチャーインピクチャー(P in P)で配置したり、エフェクトを複数適用すれば処理時間はそれに応じて長くなるが、一般的な動画編集は切り貼りが主体。実時間で4K動画を書き出しできるPCがコンシューマレベルに下りてきたと言っても過言ではない。

 なおベンチマーク時の発熱をサーモグラフィーカメラで撮影してみたら、CPUの左下周辺が高くなる傾向が見られた。M.2スロットはその付近に配置されている。今回M.2 SSD搭載モデルを試用していないので断言はできないが、もしM.2 SSDを装着するなら、高効率なCPUファンまたは水冷CPUクーラーも合わせて装着したほうが、夏場も安心して運用できるだろう。

ベンチマークを実行中に、サイドパネルをはずして計測。CPU左下で表面温度44.4℃を記録している

バランスのいいシステム構成を選べるハイミドルデスクトップPC

 マウスコンピューターの「DAIV」シリーズには、より性能を求めるユーザー向けに10コア20スレッドのCPU「Core i9-7900X」を選択可能な「DAIV-DGX750シリーズ」が用意されている。しかし「DAIV-DGZ520シリーズ」のほうが、同じ価格で2倍のメモリ、M.2 SSDを搭載できるなどバランスのいいシステム構成を選択可能だ。ご自身の用途、作業内容を考慮したうえで、最適なスペックのモデルを選んでほしい。