ゲーミングPC Lab.
LEVEL∞「Lev-SA5M-i5-LM」
~性能と静音の両立を目指したミニタワーゲーミングPC
(2016/3/10 06:00)
iiyama PCのゲーミングPCブランド「LEVEL∞」より、ミニタワー型ゲーミングPC「Lev-SA5M-i5-LM」が発売された。
本機は「LEVEL∞」の中で、静音ゲームパソコンを標榜する「S-Class」の製品。Cooler Master製の静音ケースを採用することで、性能と静音性の両立を図ろうという製品群になっている。今回はその中で最廉価モデルとなる「Lev-SA5M-i5-LM」の試用レポートをお届けする。
ASUS製パーツとCooler Master製静音ケースの組み合わせ
「Lev-SA5M-i5-LM」のスペックは下記の通り。
【表1】LEVEL∞ Lev-SA5M-i5-LMの仕様 | |
---|---|
CPU | Core i5-6500 |
GPU | GeForce GTX 950(2GB ) |
メモリ | 8GB DDR3L-1600(4GB×2) |
HDD | 1TB |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチ |
電源 | 500W(80PLUS Silver) |
ケース | Cooler Master Silencio 352 |
OS | Windows 10 Home |
販売価格(税別) | 109,980円 |
CPUはCore i5-6500、GPUはGeForce GTX 950、メインメモリはDDR3L-1600の8GBで、ゲーミングPCとしてはエントリークラスの構成。ストレージも1TB HDDのみで、いかにも基本モデルというシンプルな構成になっている。
ただパーツにはこだわりを見せている。マザーボードはASUS製「H170M-E D3」を指定で採用している。さらにビデオカードとDVDスーパーマルチドライブもASUS製となっており、主要パーツがASUS製で固められているという安心感がある。
またPCケースは、Cooler Master製microATXミニタワー「Silencio 352」を採用。前面ドアと左右のパネルには吸音シートが使われているなど、静音に特化したモデルとなっている。ゲーミングPCは発熱の大きなCPUやGPUを搭載することが多くなるため、どうしても騒音は大きくなる。高い性能と同時に騒音低減も図るため、このケースを採用しているようだ。
BTOにも対応しており、PlextorブランドのM.2タイプのSSDも追加可能。さらにCPUやビデオカード、メインメモリ、電源、OSも変更が可能で、OSなしも選べるなど、カスタマイズの幅が広い。ビデオカードはASUS製の上位製品、HDDはWestern Digital製の高信頼製品となる「WD Red」シリーズも選択でき、変更後も安心感のあるパーツが選べるのもありがたい。
そういうこだわりがある分、価格はやや高め。同社のミニタワー型ゲーミングPC「LEVEL∞ M-Class」では、スペック的には同等となる製品が9万円強で売られており、約2万円ほどの価格差がある。静音と信頼性の高いパーツを選べるという点に、どれだけ価値を見出せるかが本製品を選ぶ上でのポイントとなる。
フルHDクラスのゲーミングを楽しめるエントリーモデル
続いて各種ベンチマークソフトのスコアを見ていきたい。利用したのは、「3DMark v1.5.915」、「ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク」、「ドラゴンズドグマ オンライン ベンチマーク」、「バイオハザード6 ベンチマーク」、「ファンタシースターオンライン2 キャラクタークリエイト体験版 ver.2.0」、「CINEBENCH R15」、「CrystalDiskMark 5.1.2」。
ベンチマークスコアの結果は、およそスペック通りの数値という印象だ。「ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク」の結果を見るに、フルHD(1,920×1,080ドット)環境でのゲームプレイならば十分快適だが、4K(3,840×2,160ドット)でプレイするには力不足。最新の3Dゲームを最高画質でプレイしたいという場合を除けば、まずまず実用に耐えうる性能と言える。
【表2】LEVEL∞ Lev-SA5M-i5-LMのテスト環境 | |
---|---|
CPU | Core i5-6500 |
GPU | GeForce GTX 950(2GB GDDR5、ASUS製) |
メモリ | 8GB DDR3L-1600(4GB×2) |
HDD | 1TB(Seagate ST1000DM003) |
OS | Windows 10 Home 64bit |
【表3】ベンチマークスコア | |
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「3DMark v1.5.915 - Fire Strike」 | |
Score | 5,575 |
Graphics score | 6,473 |
Physics score | 7,295 |
Combined score | 2,329 |
「3DMark v1.5.915 - Sky Diver」 | |
Score | 16,137 |
Graphics score | 20,937 |
Physics score | 7,412 |
Combined score | 16,921 |
「3DMark v1.5.915 - Cloud Gate」 | |
Score | 16,344 |
Graphics score | 42,872 |
Physics score | 5,163 |
「3DMark v1.5.915 - Ice Storm Extreme」 | |
Score | 122,368 |
Graphics score | 190,673 |
Physics score | 54,294 |
「ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク」(DirectX 11/最高品質) | |
3,840×2,160ドット | 1,588 |
1,920×1,080ドット | 6,271 |
「ドラゴンズドグマ オンライン ベンチマーク」(最高品質) | |
1,920×1,080ドット | 9,879 |
「バイオハザード6 ベンチマーク」 | |
1,920×1,080ドット | 9,503 |
「ファンタシースターオンライン2 キャラクタークリエイト体験版 ver.2.0」(簡易設定5) | |
1,920×1,080ドット | 32,661 |
「CINEBENCH R15」 | |
OpenGL | 113,45fps |
CPU | 551cb |
CPU(Single Core) | 145cb |
HDDは、今回の試用機にはSeagate製「ST1000DM003」が使われていた。
密閉性の高いPCケースにより静音性を確保
ケースは一見して密閉性が高いのが分かる。正面はドアで塞がれ、両側面は吸音材が張られたパネルでスリットは一切ない。天面奥にファンの通気口があるものの、本機ではこの位置のファンは搭載されていないので、同梱のパネルをはめて通気口を塞いでも問題はないだろう。開いている部分は底面と背面のみとなるため、PCの後ろに回らない限りは高い静音性が得られる。
ケースのカラーは内部まで黒で統一されている。前面ドアも黒単色で、直角のフォルムと相まって、無駄のないすっきりしたデザインになっている。その中で、前面ドアにある「LEVEL∞」とCooler Masterのロゴが派手すぎない印象で自己主張している。一般的にゲーミングPCは派手なデザインのものが多いが、「LEVEL∞」はシンプルで落ち着いたデザインが多く、本機もその流れを確実に受け継いでいる。
静音という観点で考えると、本機はCPU、GPUともに元々騒音が小さい製品なので、静音ケースの恩恵を受けるまでもなく各パーツレベルで十分に静かだ。本機が真価を発揮するのは、より上のグレード、または上位のCPUやGPUにカスタマイズした時だろう。高性能と静音性、加えてコンパクトさも求めたいが、水冷までは必要ないという人には、「LEVEL∞ S-Class」がぴたりとはまるのではないかと思う。